「期待には届かずかな」ブラック・ショーマン おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
期待には届かずかな
■ 作品情報
監督は田中亮。脚本は橋本夏、原作は東野圭吾の小説「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」。主要キャストは福山雅治、有村架純、仲村トオル、成田凌、生田絵梨花、岡崎紗絵、生瀬勝久。
■ ストーリー
コロナ禍で活気を失った町で、元中学校教師の神尾英一が何者かに殺害される。結婚を2か月後に控えていた娘の真世は、父の死の真相を知るため故郷へ戻る。そこに現れたのは、ラスベガスで名を馳せた元マジシャンである叔父の神尾武史。彼は卓越したマジックの技術、鋭い人間観察力、そして巧みな誘導尋問を武器に、真世と共に事件の謎を解き明かしていく。
■ 感想
冒頭、福山雅治さん演じるマジシャン、神尾武史のイリュージョンには、一瞬で心を奪われます。彼が披露するステージをこのまま堪能したいと思うほどです。その腕前は、事件現場でも遺憾なく発揮され、警察を手玉に取りながら情報を集める様は、さすが元マジシャンというほかありません。その華麗な指捌きと鋭い洞察力はまさに圧巻で、わずかな手がかりから事件を紐解いていく展開は、まさに彼の能力の真骨頂だと感じます。
加えて、単なる犯人探しに終わらず、事件の真相に迫る中で、熱い友情や親子の愛情を絡めた展開が興味をそそります。東野圭吾作品らしく、ミステリーとしてだけでなく、登場人物たちの心の内側を描き出す人間ドラマが、作品に奥行きを与えています。
あと、舞台となる町の紅葉の絶景はすばらしかったです。特に地元愛知県豊田市の香嵐渓、岐阜県郡上市の郡上八幡、中津川市の苗木城跡などで撮影された景色は、とても印象的です。今年の紅葉シーズンは、例年以上の観光客が訪れそうです。
ただ、予告編から抱いていた、もっと軽快でコミカルな印象とは異なり、全体的には落ち着いた、静かに展開していく作品という印象を受けました。福山雅治さんと有村架純さんを中心に、仲村トオルさん、岡崎紗絵さん、生田絵梨花さん、成田凌さん、生瀬勝久さんといった実力派俳優陣が脇を固め、見応えのあるドラマとなっているのは悪くないです。しかし、登場人物が多いわりに個々の掘り下げがやや浅く感じられ、犯人探しに熱が入ってない自分がいて、なんだか淡々と物語を追っていた気がします。というわけで、おもしろくはあるのですが、期待にはちょっと届かなかったかなという印象です。
きゃらめろんさん、コメントありがとうございます。
本作のレビューを上げておられないようなので、こちらに返信いたします。
単なる犯人探しにしないというのは、東野圭吾さん自身の注文だったんですね。
確かにそうなっていたと思います。
でも、もう少しそれぞれの人物が共感的に描かれているとよかったです。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。