「吉岡里帆って不思議だよね」九龍ジェネリックロマンス Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
吉岡里帆って不思議だよね
吉岡里帆主演と聞くと暗雲が立ち込めるんだけど、監督が池田千尋だからね。観に行かないと。
そしてこの作品、主演二人の演技が今ひとつなの。どういうキャスティングなんだ。
これを池田千尋の手腕でなんとかできるのかってとこだね。
吉岡里帆は工藤を好きなんだけど、なかなかうまくいかなくてみたいなエピソード語られてくね。
それでそのうち、吉岡里帆はどうもオリジナルの記憶を部分的に植え付けられたクローンみたいな奴で、オリジナルはもう亡くなってるってことが分かるの。
しかし工藤は吉岡里帆を好きになるが、それはいったいどういうことなんだってなってくね。
たぶん「私」の特別性みたいな話なんだよね。
吉岡里帆は簡単なんだよね。「私は私」だから。オリジナルとは別物で、工藤が好きになったのは「私」で済む。
でも工藤はさ、目の前の吉岡里帆を好きになったのか、亡くなったオリジナルの代替として好きになったのかで、そりゃ悩むよね。
もし相思相愛の相手がなくなって、その記憶を引き継いだクローンが目の前に現れたとしたら、どうするかって悩むよね。悩むじゃ済まないくらい悩む。
しかしそこはケリがついて、当然のごとく、目の前の吉岡里帆が好きなんだよ。
新しい靴で新しい場所に行って、新しい友だちを作って、水餃子を正義と思わずレモン唐揚げを食べる吉岡里帆が好きなの。
そして次にくるのが仮想存在の実在化みたいな話だね。ピグマリオンの頃からやってる。
どうも九龍は、吉岡里帆のことを忘れられない工藤が産み出した幻想と実存が半々みたいな存在なんだね。
その中で産み出された人物は、九龍から外に出ると消えてしまうという。
でも大丈夫。吉岡里帆は愛を知ったから。出ても消えないの。
「よっしゃー!」と思ったら……。ここでエンドロール。
いやさすがにそれはと思ったら、エンドロール後でまとめたね。
これレモン唐揚げ屋が実在したってところで終わりでも良いんだよね。
さらに唐揚げ食べてる後ろに吉岡里帆っぽい人が立ってるところで終わりでも良い。
でもちゃんと分かりやすく説明してくれる親切設計。
そしてまた思うんだけど、吉岡里帆は、そんなに良い役者じゃない気がするんだよね。
主演作はスベった印象の方が強い。例外は《正体》。
コメディを頑張るけどそこまで笑えないし、美人ではあるけど飛び抜けた美人でもない。演技は下手ではないけどうまくはない。
なんかそんな感じなんだけど、色んな作品に出てて、この頃は悪いまでいかない。
不思議な役者だなと思ったよ。
池田千尋の手腕が鮮やかに発揮されたかというとそんなこともなく、これ多分、原作の設定の詰めが若干甘いんじゃないかという気がする。機会があったら原作も読んでみよ。