「おどろおどろしく、惑う。」蜘蛛巣城 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
おどろおどろしく、惑う。
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DVDで2回目の鑑賞。
疑心暗鬼に追い詰められ、自滅していく武将を演じる三船敏郎が素晴らしい限り。目を剥きながらの迫真の演技が画面から迫って来るようでした。恥も外聞も捨ててる感が秀逸!
妻役の山田五十鈴も、雰囲気・佇まいからして只者じゃないことが感じられて、人物造形がしっかりしているな、と…
想定を上回る恐怖の連続の末に発狂し、「血が落ちぬぅぅぅっ」と繰り返し桶で手を洗う姿がこれまた壮絶でした。
蜘蛛手の森が霧の中で動くシーンは、音も無く静かに忍び寄って来る感じがとてつもなく不気味でした。これを見てしまえば、いくら勇猛果敢な武将でも怖気が走るのは当然のこと。モノクロ画面だからこその怖さだなと思いました。これがカラーだったら全くの興覚めになるのではないかしら?
有名過ぎるクライマックス、本物の矢が三船敏郎目掛けて射られるシーンが大迫力。本当の恐怖がそこにありました。まさに命懸け。三船は後で黒澤監督に大激怒したとか…
合戦シーンなどは大人し目でしたが、本作は人間が内に秘めたる野心や強欲がこれでもかと描かれていて、スペクタクル的な迫力では無く、人間自体の迫力に圧倒されました。
※修正(2023/06/01)
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