「Be Myself」雪子 a.k.a. ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Be Myself
30歳という人生の境目に悩む雪子先生が好きなラップを通して小さな一歩を踏み出していくという感じの作品で、成長譚大好き人間な自分はこのタイプの成長譚もクリーンヒットしまして最高でした。
雪子先生は常に悩んでおり、学校生活でのこと、人間関係のこと、恋人とのこと、そして趣味であるラップのこと、どれに対しても向き合ってはいるけれど結果は出せずにいるというのが等身大だなと思って共感性高めでした。
頑張ってはいるけれど結果は追いついてこない、そんなモヤモヤをラップにして吐き出していくというのはストレス発散の意味合いもありつつ、自分の趣味を謳歌しているようでもあり、仕事をしている中での微かな幸せを感じられているようで良かったです。
滲み出る不安を色んな人に察されてはオドオドしてしまったり、考え事を積み重ねすぎて項垂れてしまったりと、悩んでいる姿がこれでもかってくらいお出しされるので自分を重ねる部分も多く、観てる間自分かなり考え込む時間が多かったと思います。
フリースタイルはディスり合いの加熱が面白いところだと思っていましたが、雪子はディスるのが得意ではないというのもあってバトルにはてんで弱いというのも性格を表しているようで、コテンパンにされた時にしっかりガックリいっていたので、その優しさが学校生活でも裏目に出ちゃったりしたんだろうなと思うと心がキューっとなりました。
それでも殻を破ろうと、苦手であろうフリースタイルに挑んでみたり、大会にエントリーしたりと確かな成長が感じられるところは目一杯拍手したくなるシーンでした。
同僚の先生たちの押し問答も良かったですし、一緒にご飯を食べたり、何気ない会話をしたりするところがまさに自然って感じでとても雰囲気が大好きでした。
その中にも強烈なワードが挟まってきては胸を突き刺してくるもんですから罪な作品です。
ピアノとラップという距離のありそうなもの同士のセッションの爆発力は素晴らしく、溢れ出てくるリリックに軽快なピアノの音色が混じりに混じり合って怒涛の盛り上がりを見せてくれました。
ゆったりだけど確かに駆け巡りながら2人を映すショットが最高にカッコよく、思わず縦揺れしていました。
雪子先生の積み重ねの行動のおかげで一歩踏み出した生徒もいる事実、これだけでご飯何杯もいけます。
帰り道に自分もなんちゃってラップを口ずさみながら歩くのは気分がとても良かったです。
0を1にする難しさをこれでもかというくらい響かせてくれた今作に強く背中を押されました。
鑑賞日 4/7
鑑賞時間 18:30〜20:10
座席 K-5