雪子 a.k.a.のレビュー・感想・評価
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遅ればせながら
鑑賞しましたが素晴らしかったです。
性別も年齢も違い、ラップにさほど興味もなく学校の先生でもない自分が果たして共感できるのか不安に思いながら何か気になるオーラを放っており皆さんのレビューも参考に鑑賞した次第です。
結果、山下リオさん演じる雪子に見事に感情移入してしまい作中何箇所かで落涙する程に感動してしまいました。
ラップを通じて自分自身を見つめ直して再発見していくプロセスと教職員という仕事や学校教育の現状がリアルかつ優しい眼差しで語られていくシナリオが秀逸です。
脚本は直近で鑑賞して感銘を受けた秒速5センチメートルも担当した鈴木史子さん。
どちらの作品も普通に生活している人達の不安や閉塞感を性別や年齢、立場に関係なく丁寧に描かれています。
もちろん草場尚也監督の無駄がなく時にエモーショナルな演出、劇伴や作中のラップバトルのトラックも手がけたGuruConnectさん、ラップ監修されたダースレイダーさんなど皆さん素晴らしい仕事をされていました。
今年1月に公開され遅まきながら今回鑑賞した訳ですが、もっと多くの人に観てほしい愛されるべき作品だと思いました。
現在都内一館のみの上映ですが是非ご覧になってみてください。
自信がないから人の痛みがわかる割に彼氏には冷たい女
たまたまチケット取る日間違えて行ったら、監督とダンサーのshojiさんのトークショー。
小学校の女教師、雪子(29)が趣味でラッパーやってる話。
教師としても、ラッパーとしても自信がない雪子。唯一の相談相手が、同じ職業の彼氏(渡辺大知)。何一つ不自由はないはずなのに、将来に不安な若者を優しく描く。
雪子のラップがヘタクソ。だがこれはあとあと、本人が課題解決のためのある種の訓練だとわかる。よくあるエンタメみたいに、メンターもおらず、ラップでのしあがるとかはなし。
トークショーでshojiさんが、監督は元々ラップと縁がなかったから、安易にエンタメ化することなく、ラップの本質的なおもしろさが表現できたと話されたが、ボクには伝わらなかった。
でもその後、ご自身のダンスについて、お客様に見せる時に、ダンスってすごいでしょ、と思わないように、ダンスはつまらないという前提で、演出しているという話にはグッときた。
会社の仕事でもお客さんと対峙する時は、こちらがわかることだけ伝えるんじゃなくて、ホントはどう答えてほしいかを汲み取らないと信頼してもらえないと思ってる。
監督もまだ34歳だそうで、トークショーからもご自身を雪子のキャラクターに投影してるように感じた。
ひとつだけ、物申すならラストの発表会の描き方について。あの描き方だと子どもも一芸を持たないといけないように感じてしまう。伸びやかに生きていく、雪子が見たかった。
パンチラインが何回も刺さった
「自分で気づいたことの方が、他者が決めた正解よりも、価値があると思いませんか」
情報社会で、常に正解を調べてから行動しようとしてしまうし、それが良い結果を生むことももちろんあるけど、それだけじゃ空虚な大人になってしまうなあと、もう成りかけているなと思いました。
「向き合うのは自分の中の不安」もそうで、失敗したら、成果が出なかったら、続かなかったら、恥ずかしいし。という意識でいつまでも何もしていないし、それが1番恥ずかしいと思っていることを自覚させられた。恥ずかしくても中途半端でも何でも、興味があることはとりあえず調べよう、不安でもまずやろう。
「いつもは言えないことが言えるって、それはただの愚痴だよね」はパンチ強すぎる。
全然知らずにただ日程が合うという理由だけで行った上映で、まさかの上映後に生でサイファーが見られてそれがとても良い空間で楽しくて、数年前YouTubeで智大のラップバトルを観ていた記憶が蘇ったりして、とても楽しい夜になった。
観に行って良かった!
シネコンは上映期間短すぎ
傑作でした。
タイトル通り、シネコンは名作をとっておきながら1週間で終わらせて他の大作などへシフトする。地域のミニシアターはシネコンがとったから上映ができない。
誰が得するんだこのシステム。イオンシネマなどシネコンで近年アートハウス系を上映するがやるんならミニシアターから遠いところでやって商圏が被らないようにして上映機会をミニシアターにも譲るべき。
ちなみに地域内で被ると、ミニシアター側にシネコンから上映予定など告知宣伝をさせない、上映を同時にはさせないなどの圧力がかかります。
街をつぶすこともある郊外型の大型ショッピングモールですが、映画館の顔して映画という文化が潰れても次の商売するだけなので、マジで害悪です。
作品は傑作でした。2回観たり他の人にすすめてみてもらう機会はありませんでした。
かわいそうな作品。
さり気なくリアリティある、秀作だと思われました。
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが溜まっていたので数行で短く)
結論から言うと、今作の映画『雪子 a.k.a.』を面白く観ました。
主人公・吉村雪子(山下リオさん)は小学校の教師なのですが、恋人の堀田広大(渡辺大知さん)から結婚したら家に入って欲しいという古い価値観や、子供との朗読の時間の10分すら惜しいと生徒の母親(森幸太郎(猪股怜生さん)の母親・森律子(中村映里子さん))から抗議されたりと、日常や仕事で小さくない圧力を受けています。
不登校の生徒・坂下類(滋賀練斗さん)の家に毎週訪問しても、彼からの満足ある返答ももらえません。
教師として頑張っているつもりでも、自分の生徒からは1番の評価を受けてはいないことを生徒のアンケート調査で知ったりもします。
ただ一方で、恋人の堀田広大は優しい存在で、子供との朗読の時間の10分すら惜しいと訴える森幸太郎の母親・森律子も仕事で子供との時間を作る困難さを考えれば、それぞれ全面的な悪とも言えません。
不登校の生徒・坂下類についても、不登校の原因も解決策も、そんなに簡単に分かる訳ではないことが次第に明らかになります。
(不登校の生徒・坂下類の父・坂下俊介(池田良さん)が、息子を部屋から出すためにあらゆる事をして来たとの告白も、感銘を受ける場面だったと思われます。)
このだからこそ主人公・吉村雪子の真綿でじりじりと締めあげられる日常と仕事での圧迫感は、さり気なくも出口のないリアリティがあったと思われます。
その描き方は、少しでも作為を感じさせればすぐにでもリアリティが壊れてしまう表現のやり方で、それなのに全てに制作者の意図が絡む映画表現で、作為を感じさせないままリアリティを保ったままで最後まで描き切った監督の力量に、正直、今作を観ながら僭越舌を巻いていました。
主人公・吉村雪子は、真綿で占められる日常の中で、唯一ラップすることが心の解放の時間なのですが、実はラップすることで全面的に解決しない所にも、この映画にリアリティがあったと思われました。
主人公・吉村雪子は、恋人・堀田広大との関係を解消し、不登校の生徒・坂下類が部屋から出て心を開くことにも成功します。
ラップバトルにも出場します。
しかしながら異性との関係性の根本が解決された訳ではないですし、不登校の生徒・坂下類も外に踏み出し始めたところです。
ラップバトルもあっさりと敗退します。
つまりこの映画では、劇的な問題の解決は最後まで行ってもされないのです。
しかしながらこの映画は、劇的な解決がされない所にもリアリティの良さがあったと思われました。
1観客としてはてっきり、教師の経験がある人の原作か、監督自身に教師の経験があり、その経験の実感からリアリティある今作が作られていると想像して映画を観ていました。
しかしながら、脚本も担当した草場尚也 監督も、脚本の鈴木史子さんも、教師の経験がある訳でなく、原作も別にある訳でなく、純粋におそらく膨大なリサーチを含めて今作を0から作り上げたということも後に驚かされました。
草場尚也 監督の次回作も気になる、志ある優れた秀作だったと、僭越思われながら、面白く心を揺さぶられながら今作を最後まで観ました。
小学校教員×ラップ、一歩踏み出す勇気を与えてくれる佳作!!
冬から夏へと変貌を遂げる
誰ひとり取り残さない世界。SDGsの基本理念。それはヒップホップにも通じる信念。
持たざる者がビートに乗せて発する言葉。不安や困難をフロウにして叫べば、ひとりじゃないと分かるそれがヒップホップ文化。
世間の普通に当てはめるよりも、自分で出した答えの方が何倍も価値がある。
なんとなく結婚して子供を産んでという普通。毎日学校に行って友達と仲良くする普通。教職員はタバコを吸うべきじゃないという普通。生理用品は茶袋に入れるという普通。でもそれらは誰かにとっての苦痛。
万全な安全、よりも不完全でも満点と言いたい。
完璧じゃなくて良い。その人らしさが輝かしい。
世の中にあるさまざまな普通を乗り越えて、いろんな人と対話し、実践して雪子は心の底からラップができるようになった。ラップバトルで勝つことだけが強さじゃない。ほんとうに言いたいことを言える強さ。雪子はラストでMC Summerとなった。
不安だっていいんだよ、そのままで
かなりリアルで実に現実的な作品です
他人が決めた"正しい結論"より 自分できづいた"道"
ラップ映画だと言うので、鑑賞を止めようかと 迷いましたが
各所での評価が高いので、見る事にしました。
A.K.Aとは「Also known as」即ち、「通称」という意味です。
映画の題名が「SAYURI A.K.A」でない と言う事は、
"自我に目覚めた"という 人生のタイミングを描いた作品なのですね。
職場(学校)でも 友人間(ラッパー仲間)の中でも、存在感がなく
ただ世の中に流されているだけで、自分の意思で生きていない まだ自分が誰なのかも
解かっていない 子供の延長である女性を熱演した山下リオさんの、
初々しい演技がとてもよく、主人公の"自信のなさ"をうまく表現できていて
素晴らしかった。
本来なら、もう少し年齢が上の"オールドミス"が演じるだろう 熟練先生である 大迫先生は、良い"道しるべ"だったと思います。
どの小役さんも、自分の世界を持っていて、とても素敵でした。
特にピアノが大人顔負けに上手い男の子は、将来が楽しみです。
いまどきの小学校は、廊下や教室棟の建物に木が多く使われていて、素敵です。「明星小学校」なのでしょうか?
食器はポリエチレンではなく、メラミン樹脂、で、箸で食べる給食は 僕らの時代と違って、とても美味しそうでした。
子供達が食べていた ハンバーグも Good!
この映画を観たら「小学校 それは小さな社会(2024年)」と併せて観ると、これからの小学校教育の在り方が、それぞれに見えてくる気がします。
【2025/04/25✩⃛初回観賞】 評価:3.3 【2025/0...
【2025/04/25✩⃛初回観賞】 評価:3.3
【2025/05/19✩⃛2度目観賞】 評価:3.3 ➡︎ 3.3
あまりないことだけど初回観た後でレビューするのすっかり忘れてた珍し案件。
初見の感想は『10年早く観てたら感想違ったのかな?』だった。あまりに周りの評価が高いので何か見落としてたのか??と思って2度目観賞実施。
観心地は良いのよ。基本的に悪い人誰も出てこないし。ちょいウザはいるけど。だから何度だって観られる。でもやっぱり刺さらない。2度目はさらに冷静な目で観てて、『みんなどこがそんなに刺さるのか…』と。
共感するには歳取りすぎちゃったのかな……
でも自分が雪子の歳のときにあんなん感じてなかったしな。
きっと自分の経験値の低さが邪魔してるのだな。
ということは経験値上がったらめちゃ共感する日が来ちゃうかも💛
何この共感
29歳の私は旦那も子供もいたし退職していた。先生でもなかった。でも不思議なことに、特に前半は共感の嵐だった。
雪子のどこに自分を見たのかは分からない。だけどこれは自分だと思った。
ラストに雪子の笑顔があるがいつまで続くだろう。明日は明日の風が吹くように、明日は明日の不安がある。29歳。10歳。50歳。70歳。人は多かれ少なかれ不安の中にいると思う。そう考えて年齢の違う雪子に自分を見たのだろうか。
自分が自分で良かったと思うなんて一年に一回あるかどうか。でも雪子の笑顔にはその思いの只中にいるように感じる。羨ましい。
ヒップホップという訳にはいかないが、私も好きなものをもう少し深めてみようかな。そう思わせる心良さ。これまた謎だが、観ていて何も焦ることなく不思議な安堵感に包まれる物語だった。
最高の映画
山下リオ(雪子役)の演技が良い。教師の顔とラッパーの顔、全く違うのが面白く、物語に引き込まれる。脚本、撮影、編集が上手いので展開に安心して身を委ねることができる。
そして最後まで飽きない。日々発生する仕事上、私生活上の出来事に真摯に向き合う雪子に共感し、心を奪われた。いつまでも余韻が残る素晴らしい映画だと感じました。この映画を分類するとどういう映画に当たるかなと考えたとき、はっきり分類しずらい。けれど、そこがまた良い。
映画パンフによると企画の途中で「「学校の先生でラップ好き」というアイデアが出てからこの物語が生まれた」とのことで、この構想も成功の要因と思える。
後半で、長崎ロケを入れたことも物語に素晴らしい広がりを与えていた。不満点を敢えて言うと、雪子の、恋人への想いの変化をもう少しわかりやすく描いて欲しかったかな。終盤、ピアノが得意な少年および父親とのやりとりも印象深い。
こんなに静かで誠実で丁寧な映画だったとは
ヒップホップを愛する小学校の若い女性教師が夜にはラッパーとしてライムを綴るお話です。先生とラップという組み合わせの新しさから、彼女が日々の鬱憤を一気にぶった切る物語かと思ったら全く正反対の作品でした。
彼女は、誠実に生きたいと願いつつ迷いや躊躇いをラップで丁寧に綴るのです。その細やかな言葉選びが観る者の胸に静かに響きます。僕がラップに全く馴染めないのは、互いに初対面の人間同士が相手を罵る様に噛みつくMCバトルの言葉の暴力性が不快だからです。なぜいつも喧嘩腰なんだ? 「互いに手を取り合おう」というラップじゃダメなのか? 「自分には攻撃なんて出来ない」ではラップにならないのか? 内省的・後ろ向き・独り言のラップでいいじゃないか、と考えてしまうのです。しかし、本作の雪子のラップにはその戸惑いが感じられました。それ故、終盤のピアノのカノンに乗せたラップは拙いにもかかわらず思わずウルウルと来てしまったのでした。
誠実に丁寧に作られた映画だったと思います。
観たい映画の時間調べてたら山下リオ主演映画?しかもラッパー役?え...
観たい映画の時間調べてたら山下リオ主演映画?しかもラッパー役?え、何?となって、予定変更して観たら山下リオさん良かったし、映画も良かった。教師兼アマチュアラッパーという簡単には結びつかなそうな設定それ自体がこちらの無自覚な偏見やバイアスへのカウンターとして機能する仕掛けになっていたり、教師のブラックな職場環境と仕事の醍醐味両面をちゃんと見せつつMCバトルの面白さも堪能出来たりで、ホントの自分とは?みたいな繰り返し語られ使い古されたテーマを今風の切り口で語り直した新鮮な作品だった。百合とは言わんけどシスターフッド映画と言えるあたりも個人的にはポイント高かったな…。あと山下リオさんのラップ、聴いてて微妙に居た堪れずモゾモゾしてくる感じ、どこまでが狙いか分からんけどリアルだったよ…。
小学校の教員、29歳女性のお話。 学校や私生活では、不安だらけで口...
Be Myself
30歳という人生の境目に悩む雪子先生が好きなラップを通して小さな一歩を踏み出していくという感じの作品で、成長譚大好き人間な自分はこのタイプの成長譚もクリーンヒットしまして最高でした。
雪子先生は常に悩んでおり、学校生活でのこと、人間関係のこと、恋人とのこと、そして趣味であるラップのこと、どれに対しても向き合ってはいるけれど結果は出せずにいるというのが等身大だなと思って共感性高めでした。
頑張ってはいるけれど結果は追いついてこない、そんなモヤモヤをラップにして吐き出していくというのはストレス発散の意味合いもありつつ、自分の趣味を謳歌しているようでもあり、仕事をしている中での微かな幸せを感じられているようで良かったです。
滲み出る不安を色んな人に察されてはオドオドしてしまったり、考え事を積み重ねすぎて項垂れてしまったりと、悩んでいる姿がこれでもかってくらいお出しされるので自分を重ねる部分も多く、観てる間自分かなり考え込む時間が多かったと思います。
フリースタイルはディスり合いの加熱が面白いところだと思っていましたが、雪子はディスるのが得意ではないというのもあってバトルにはてんで弱いというのも性格を表しているようで、コテンパンにされた時にしっかりガックリいっていたので、その優しさが学校生活でも裏目に出ちゃったりしたんだろうなと思うと心がキューっとなりました。
それでも殻を破ろうと、苦手であろうフリースタイルに挑んでみたり、大会にエントリーしたりと確かな成長が感じられるところは目一杯拍手したくなるシーンでした。
同僚の先生たちの押し問答も良かったですし、一緒にご飯を食べたり、何気ない会話をしたりするところがまさに自然って感じでとても雰囲気が大好きでした。
その中にも強烈なワードが挟まってきては胸を突き刺してくるもんですから罪な作品です。
ピアノとラップという距離のありそうなもの同士のセッションの爆発力は素晴らしく、溢れ出てくるリリックに軽快なピアノの音色が混じりに混じり合って怒涛の盛り上がりを見せてくれました。
ゆったりだけど確かに駆け巡りながら2人を映すショットが最高にカッコよく、思わず縦揺れしていました。
雪子先生の積み重ねの行動のおかげで一歩踏み出した生徒もいる事実、これだけでご飯何杯もいけます。
帰り道に自分もなんちゃってラップを口ずさみながら歩くのは気分がとても良かったです。
0を1にする難しさをこれでもかというくらい響かせてくれた今作に強く背中を押されました。
鑑賞日 4/7
鑑賞時間 18:30〜20:10
座席 K-5
私が常にトレンド
「一人の人間は、分けられない存在ではなく、複数に分けられる存在である。だからこそ、たった一つの「本当の自分」、首尾一貫した、「ブレない」本来の自己などというものは存在しない」
作家の平野啓一郎の言葉である。小学校の教師とラッパーのふたつの顔をもつ雪子から、この言葉を連想した。雪子はおそらく教師としての自分とラッパーとしての自分の両方に、本当の自分を探しているような気がした。だからおのずと苦しくなる。
本作では、「自信」を「自分を信じること」と定義して、「他信」という他人が考えた正解を信じることを否定している。雪子の同僚の女性教師が言っているように、「時代の主流なんてどうでもよくて、今の私が常にトレンドだよっていう気持ちです」という言葉に共感を覚える。
平野氏が言っているように、本当の自分を探さなければ、「本当の自分」が人間を隔離する檻にならない。いろいろな自分が、コミュニケーションを呼び、本作の冒頭のSDGSの標語「誰一人取り残さない」につながっていく。
雪子は、ひきこもりのクラスの教え子の家に足しげく通う。教え子は家でピアノを弾き続け部屋から出てこない。
教え子の父親は、夫婦であらゆる引きこもりの本を読んで正解を求めたが効果がなかった、と言う。だが、彼が雪子に言った、「先生は気の利いたことは言えないけれど、嘘はついていない」という一言が心に響いた。
世の中に正解がないように、本当の自分もいない。けれど自分にも他人にも嘘はつかない。そう思ったら、なぜか涙がこみあげた。
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