ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件のレビュー・感想・評価
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劇場で貰ったポストカード見ても、絶対最後にどんでん返しがあると思ったのに…
英国統治末期の香港を舞台にした経済クライム・ムービー。
すべてを失い香港に流れ着いたヤン(トニー・レオン)。職探しのつもりで訪れた不動産会社で詐欺に荷担したことから、彼の人生は大きく展開。巨額詐欺を重ねるうち、当時の香港バブル景気の波にも乗って、資産百億香港ドルを越える巨大グループ華文(カーメイン)の総帥にまで登り詰める。そんなヤンの不正を暴くべく特別捜査チームのラウ(アンディ・ラウ)は執念深くヤンに迫るが…。
前半はほぼコメディ調の展開だが、終盤はアクション全開の様相。主演の二人が『インファナル・アフェア』シリーズ以来、久々の共演ゆえ、観ている側はクライマックスのどんでん返しに期待するが、そんな場面もないままラストはやや尻すぼみの感。
ラウの家族を襲わせたのがヤンでないとしたら、真犯人は?口封じのために関係者を次々消したのも、ほかに黒幕が?!…と疑問も多く残り、やや釈然としない結末。でも、場面ごとの選曲は良かった。
1980年代の香港で実際にあった巨額詐欺疑獄(佳寧案事件)がモデル。
株価の不正操作なんかやったら、日本ならとっくに司法のメスが入りそうなものだが、香港返還前の混乱期ゆえの出来事か。
『無名』(2023)で新鋭ワン・イーボーと派手な立ち回りを演じたT・レオンは今回はおとなしめ。年齢的にアクションはやっぱりキツい?!
期待しすぎた
これは、実話ですか?
正直、思っていた感じと違いました。決して、面白くない訳ではないんですが、ひねりも何もない。ただのドキュメンタリーという感じ。
トニー・レオンとアンディ・ラウ、面白くない訳がない。…と勝手に、ハードル上げてしまいました。なので、どうしても期待外れ感がありました。アクションとかもあるかと思ったんですがね…。
この二人が、カッコ良かったのだけが、せめてもの救いでした。
冒頭の参考人5人を縛っていたものは、どんな鎖だったのだろうか
2025.1.28 字幕 TOHOシネマズ二条
2023年の中国&香港合作の映画(126分、G)
実際の事件「佳寧集団詐欺事件」をモチーフに描いたクライムスリラー映画
監督&脚本はフェリックス・チョン
原題は『金手指』、英題は『The Goldfinger』で、「不正な取引」という意味
物語の舞台は、1970年代の香港
技師として香港で働こうと考えていたヤッイン(トニー・レオン)は、密入国の末、同郷のツァン・キムクォン(スン・キムロン)を訪ねた
全く相手にされなかったが、キムクォンの弟ギムキウ(サイモン・ヤム)は彼に興味を持った
ギムキウは新陽不動産を狙っていて、新松グループのン・レンソン(タイ・ボー)と取引を行っていた
だが、資金繰りが悪化していることを見抜かれ足元を見られていた
そこでギムキウはヤッインをサクラとして雇い、値段の吊り上げ交渉を目論んだ
このエピソードを機に親睦を深めたヤッインとギムキウは、甥のジョニー(カーキ・サム)と3人で、多くの詐欺を行っていく
ヤッインは事業資金を得て、会社の設立を始める
そんな彼の元にやってきたのが、チュン・カーマン(シャーリー・チョイ)で、ヤッインは彼女の名前を会社名にして、グループを立ち上げることになった
映画は、この出来事から11年後をメインに描き、ICAC(廉政公署)の上級調査官のカイユン主任(アンディ・ラウ)の捜査を中心に描いていく
ICACは皇家香港警察から独立した組織で、警察の汚職を取り締まる機関だった
冒頭では香港警察との衝突の様子が描かレ、このデモによって、過去の汚職は不問とされたと説明されていた
物語は、詐欺が多発し、株式のインサイダー取引や、不当な吊り上げ工作があったと疑われたヤッインが捜査対象となっていく様子を描いていく
前半は、ヤッインの事件の関係者となる友人たちの回顧録になっていて、レンソン、ジョニー、カーマン、ヤム・チェン、(マイケル・ニン)、ロバート(カルロス・チェン)たちの「思い出話」が描かれていく
ギムキウと一仕事を終えたヤッインは、レンソンが例の物件を政府に高値で買わせたことを知り彼の元を訪れた
レンソンには専属の株式ディーラーのヤム・チェンがいて、この時のヤッインは彼に大損をさせられていた
だが、ヤッインはヤム・チェンを引き入れようと、大きな夢を語り始める
それが香港に聳え立つ金山大厦を手に入れるというもので、事業を大きくしつつ、子会社同士の株の買い入れなどを行いながら、カーマングループの価値を吊り上げていった
そんな折、ギムキウと再会を果たしたヤッインは、上級社会の連中と顔を合わせるようになる
手始めに華業銀行の副頭取のロバートとの接触を行い、彼が溺愛している女優(スミス・マリア)をあてがうなどして、金山大厦を購入させて、カーマンの株価を吊り上げていくのである
その後、香港の中国返還が決まり、イギリス系資本が撤退し、中国本土からの圧力が強まると、香港経済全体が冷え込んでしまう
投資意欲も消失し、全ての株価が下落の一途を辿っていく
その頃になると、ヤッインもかなり追い詰められていて、関係者の不審死などが相次いでくる
だが、それでもヤッインは有罪になることはなく、一連の詐欺事件はジョニーが身代わりとなって、生き延びてしまうのである
映画は、淡々と出来事を並べていくものの、金融関連の知識がゼロだととてもついていけない
ある程度株式の売買をしたことがあるとか、香港の経済に詳しいとかでないと厳しい部分もある
だが、そこまで複雑なことは描かれておらず、株式を現金と同じような価値があることを見抜いたヤッインが、資金集めのために現金ではなく株式を発行し、さらにその手数料を賄賂として購入者に渡していたという流れになっている
そして、それによって、株価に対して約1%の現金で相手を取り込むことができてきたのである
基本的に会話劇のため、俳優の演技力合戦になっているのだが、これを面白いと思えるかどうかは何とも言えない
会話の中身がわからなければ退屈だし、目を覚ますようなシーンも幾つかしかなかったりする
カイユン暗殺未遂とか、協力者の始末などはゾクっとする部分はあるが、一番怖いのは「一般債権者(株式購入者)には保証がない」というところだろうか
上級階級には損をさせない設定になっていて、株価が1香港ドルになっても50で買い戻すという約束をしていて、それだけ行って一般は無視という流れになっている
ヤッイン自身も東マレー海国銀行のムシャ・ハファ(フィリップ・ケウン)との違法取引における3年の懲役刑だけを喰らっていた
唯一の有罪であるものの、これだけの巨額な詐欺事件を起こしているので、実質「薄皮一枚もめくれていない」ようなものに思える
架空の妻の名義に送金したお金がどうなったのかなどは描かれず、あくまでもヤッインとカイユンの対決に重きを置いていて、そこにエンタメ性を見出していたのかな、と思った
いずれにせよ、この手の特殊な事件をどう描くかというのは難しく、あまりにも噛み砕きすぎると物語の展開が阻害され、事件そのものの重みというものが無くなってしまう
人の欲をわかりやすく表現するのが、性欲、食欲、支配欲で、本作ではその中でも性欲と支配欲というものを重視していたように感じた
色で狂う証券マン、色で力を誇示される上級などのように、その人物の何を抑えれば征服できるのかをヤッインはよくわかっている
金欲に溺れるものには現金を掴ませ、下半身を押さえて身動きを取れなくするのは常套手段で、そう言ったものを露骨に描かないのも良いのだろう
ヤッインは全てのものや人を道具と見なしていて、お金があっても手に入らないものをコントロールしてきた
そのわかりやすい例が性欲なのだが、それは同時に支配欲の強さを表しているとも言える
今の時代だとあり得ないようなシーンがたくさん登場するが、欲望をむき出しにして命懸けで生きてきたからこそ、熱いものがあったのかな、と感じた
本土と違う香港ならではの近代史を楽しむ
先日の九龍城砦再現に続き本作ではCGによる80年代香港再現の完成度が素晴らしい。また実話をベースとした物語も上手で時制が行き来する構成もメイクが凝っていて混乱させられることもなく見られた。自分は00年代に香港居住歴がありそれなりの知識もあるから役者も含め面白く見たが、知識なくても面白いのでは無いかと思う。
トニー•レオンにアンディ•ラウは若い役もまだまだ問題ない。何より驚いたのはTWINSの阿saことシャーリーン•チョイの登場、好久没見了。ちょっとボリューム感出てたな。
追記:シャーリーンは監督の要望で8㎏の肉襦袢を着ていたらしいです。
【”無から巨万の富を生む黄金の指。そして香港バブル。”。今作は、天才詐欺師を演じたトニー・レオンの笑顔を浮かべた怪演と、詐欺師を地道に追う捜査官との数十年に亙る攻防を描いた豪華エンタメ作品である。】
■香港バブル経済時代を舞台に、巨額金融詐欺事件を描いた作品。
英国植民地支配の終わりが近づく1980年代香港。チン・ヤッイン(トニー・レオン)は株式市場ブームに乗り、資産100億ドルの”嘉文世紀グループ”を立ち上げ、大成功をおさめ巨万の富を得る。それを汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユン(アンディ・ラウ)は、チン・ヤッインの不正を暴こうと捜査を始める。
◆感想<Caution!内容に触れています!鑑賞後に読んでね!!>
・今作のストーリー展開は、やや粗い。チン・ヤッインが仕組んだ様々な株式操作や、英国人、香港人の要人に取り込んで行く様が多数あるために脳内フル回転で鑑賞する。
・だが、徐々にそんな事は忘れ、チン・ヤッインを演じるトニー・レオンが、爽やかな笑顔を浮かべながら、利用できる人間を自由自在に利用し、巨万の富を築いて行く様が、実に面白いのである。
トニー・レオンと言えば、どこか憂愁を帯びた演技が印象にあるのだが、今作では全く違うのである。
香港バブルの真っただ中で、チン・ヤッインが爽やかな笑顔を浮かべて株価操作などで稼いだ金を次々に注ぎ込み、更に富を得て行く様が、従来の映画であれば極悪人の様に見える筈がトニー・レオンが演じると、”別に良いんじゃない?”などと思ってしまうし、それまでチン・ヤッインを軽く見ていた連中を踏み台にして、のし上がって行く姿が実に爽快なのである。
・一方、ICACのエリート捜査官ラウ・カイユンを演じるアンディ・ラウは、少し可哀想で地味である。妻とは、捜査に掛かりきりのため、関係性が冷え切り、チン・ヤッインを何度検挙しても、悉く逃げられるのである。
■香港バブルの衣装、意匠もVFXを使っているのであろうが、大変に豪奢であり見応えがある。又、チン・ヤッインの衣装は茶系が多かった気がするが、センスある背広とネクタイでビシッと決めており、ラウ・カイユンの衣装も青を基調とした背広、ネクタイが映えていて、とても良い。
又、香港証券所での株価操作による乱高下シーンの描き方も、緊迫感が溢れ、良いのである。
・バブルが弾けても、チン・ヤッインはしぶとい。彼が手を下しているわけではないが、協力者たちを次々に切り捨てて行くシーンの数々の中、彼だけは大借金を抱えていても表面上は余裕なのである。
<再後半、漸くチン・ヤッインを追い詰めたラウ・カイユンとの、チン・ヤッインが定宿にしているホテルのスイートルームでの対峙のシーンも、見応えタップリである。
チン・ヤッインは豪華な食事を前に”何年、俺を追っているんだ。出世もしていないじゃないか、”と笑顔を浮かべながら言い、ラウ・カイユンは食事を勧められても険しい顔を崩さずに、自身の信念を告げるのである。
今作は、天才詐欺師を演じたトニー・レオンの笑顔を浮かべた怪演と、詐欺師を地道に追う捜査官との数十年に亙る攻防を描いた豪華エンタメ作品なのである。>
トニー・レオンとアンディ・ラウの直接対決をじっくり観たかった。
トニー・レオンとアンディ・ラウが、20年後も変わらず
第一線で《スターであり続けていた》
まずは、そのことに感動しました。
スターオーラはありましたが、やはりバイタリティは、年相応かな。
この映画はよく似てる「ウルフ・オブ・ウォールストリート」
の面白さの足元にも及ばない内容で、
前半はかなり退屈です。
トニー・レオンが無一文から100億香港ドルを稼いだ天才詐欺師。
時代は香港がイギリスから中国に返還される1997年の前後の30年間。
香港バブル景気とバブルがはじけるまでの長い年月。
トニー演じる“チンには実在したモデルがいるとのことです。
まぁ株価を上げる株価操作。
大金に縁のない私には、そのカラクリが、トント分からないのです。
普通、空売り、インサイダー取引などです。財閥の子弟の
ネームバリユーを利用してましたね。
バブルの波に乗って、金塊、札束そして酒に女にパーティー。
(日本のバブル期と似た感じ・・・でしょうか!)
チンの会社は不動産、旅行、ゴキブリ駆除(?)、そして株、
巨大グループ企業に成長しますが、裏ではギャングもどきの
《殺人事件》もチンの周囲に頻発する。
監督はマーティン・スコセッシがリメイクした
「インファナル・アフェア」の脚本家が勤めましたが、
ストーリー運びが単調で起伏がない。
本来、トニーもアンディ・ラウも、甘い2枚目です。
トニーは殺しを指示するほどの悪い奴に見えないし、
そもそも悪役にしたくない思惑が見えます。
最初にトニーがアップになった時、京劇みたいなメロディが流れて、
「これはあかんと、ちゃう?」
悪い予感がしました。
ラウもチンを服役させるために出世もせずに16年がかりで
追い詰める。
そんな執念はとても感じられないのです。
較べるのは失礼ですが、マーティン・スコセッシとディカプリオの
映画への向き合い方と大きく違う、
ラウとトニーの「スター映画」
「ファンサービス」と、感じました。
まぁ危ない橋を渡った結果として、死体が転がるんだけど。
どうも説得力がない。
20年前。2002年「インファナル・アフェア」シリーズ作品は最高でした。
私はトニー派でした。
驚いたのはアンディ・ラウの若々しさ。
(歳取るの忘れてますね)
前半に出番が少なくて、二枚看板じゃなくて、トニー・レオンの主演に
やはりトニー重視の映画でした。
ファンだからいいんですけれど、クオリティがイマイチでした。
植民地時代の香港は天国ではなかった
トニー・レオンとアンディ・ラウが共演の話題の映画ですが、その俳優目当てではなく植民地時代の香港を知りたくて早速見に行きました。また、こうして「植民地時代の香港」を見るならamazon primeでも見ておこうと考え、「ザ・スパイ エージェント・ウルトラ」もついでに見ましたが、結論として思ったのは要するに「植民地時代の香港は天国ではなかった」となります。
実際、「ゴールドフィンガー」なら金融界の資本家階級が不正に大儲けをしていたという話で、後者の「ザ・スパイ エージェント・ウルトラ」ならやくざ(とそれと結託したイギリス人たち)が不正に大儲けしていたという話で、要するに強力な政府がなければこんなことになってしまう社会だったということです。
現在の香港の政治制度を批判する西側の若者も多いですが、これらの映画を観て思ったのは、そうならざるを得ない必然性が香港社会にあったということです。「1国2制度の護持」を叫ぶだけでは駄目で、これら放置できない連中のコントロールをどうするかこそをちゃんと考えなければならないのだということです。
とはいえ、私に言わせれば、現在の中国中央政府による彼らのコントロールもまだまだ不十分なものでしかありません。「1国2制度」からの脱却ができるまではやはり不十分にならざるを得ないのかも知れません。参考まで。
トニー・レオン!
シネマ映画.comの試写会で鑑賞させていただきました。
いつものトニー・レオンと違う!というレベルではなく、えっ、本当にこの人トニーさん?というくらいこれまでのイメージが覆された感じのトニーさんの演技にまずはびっくりした。
60〜80年代の香港の描写には力が入っており、作り手の香港愛を感じた(それもそのはず花様年華の美術の張叔平さんが担当してたのか!)。センスの塊のようなカットがいくつも出てくる映像、衣装の美しさ、CGを多用した遊び心ある画面、オッペンハイマーを思い出すような編集マジック、とところどころにテンションの上がるディテールが込められていて、これぞエンタメ映画という感じ。
金融オンチなわたしにはストーリーも面白かったけど、詳しい人が見たら張一言のやり口はどんな感じだったんだろうか?モデルとなった実在の事件があるようだけど、香港大学のインテリ学生が操作に借り出されてるところとかは史実なんだろうか?といろいろ当時のことが気になってしまった。
カーマン役のシャーリーンチョイ(Twinsの人なのね…女優さんは疎くて知らず)は魅力的だったけど、この作品全般的に女性の描写がお飾りっぽいのがちょっと気になってしまった。もう少し彼女の心の揺れとか少年院暮らしという背景からのダークサイドみたいなのも描かれてたら完璧だったのにな…とも思う。まあ、時間足りないけど… 傷城の舒淇演じるフォンの方が奥深かったような気がするのでそこはちと残念…
とはいえ、香港映画の魅力たっぷりのエンタメ大作、見応えありすぎなので見て損はないはず!!
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