「【”無から巨万の富を生む黄金の指。そして香港バブル。”。今作は、天才詐欺師を演じたトニー・レオンの笑顔を浮かべた怪演と、詐欺師を地道に追う捜査官との数十年に亙る攻防を描いた豪華エンタメ作品である。】」ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”無から巨万の富を生む黄金の指。そして香港バブル。”。今作は、天才詐欺師を演じたトニー・レオンの笑顔を浮かべた怪演と、詐欺師を地道に追う捜査官との数十年に亙る攻防を描いた豪華エンタメ作品である。】
■香港バブル経済時代を舞台に、巨額金融詐欺事件を描いた作品。
英国植民地支配の終わりが近づく1980年代香港。チン・ヤッイン(トニー・レオン)は株式市場ブームに乗り、資産100億ドルの”嘉文世紀グループ”を立ち上げ、大成功をおさめ巨万の富を得る。それを汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユン(アンディ・ラウ)は、チン・ヤッインの不正を暴こうと捜査を始める。
◆感想<Caution!内容に触れています!鑑賞後に読んでね!!>
・今作のストーリー展開は、やや粗い。チン・ヤッインが仕組んだ様々な株式操作や、英国人、香港人の要人に取り込んで行く様が多数あるために脳内フル回転で鑑賞する。
・だが、徐々にそんな事は忘れ、チン・ヤッインを演じるトニー・レオンが、爽やかな笑顔を浮かべながら、利用できる人間を自由自在に利用し、巨万の富を築いて行く様が、実に面白いのである。
トニー・レオンと言えば、どこか憂愁を帯びた演技が印象にあるのだが、今作では全く違うのである。
香港バブルの真っただ中で、チン・ヤッインが爽やかな笑顔を浮かべて株価操作などで稼いだ金を次々に注ぎ込み、更に富を得て行く様が、従来の映画であれば極悪人の様に見える筈がトニー・レオンが演じると、”別に良いんじゃない?”などと思ってしまうし、それまでチン・ヤッインを軽く見ていた連中を踏み台にして、のし上がって行く姿が実に爽快なのである。
・一方、ICACのエリート捜査官ラウ・カイユンを演じるアンディ・ラウは、少し可哀想で地味である。妻とは、捜査に掛かりきりのため、関係性が冷え切り、チン・ヤッインを何度検挙しても、悉く逃げられるのである。
■香港バブルの衣装、意匠もVFXを使っているのであろうが、大変に豪奢であり見応えがある。又、チン・ヤッインの衣装は茶系が多かった気がするが、センスある背広とネクタイでビシッと決めており、ラウ・カイユンの衣装も青を基調とした背広、ネクタイが映えていて、とても良い。
又、香港証券所での株価操作による乱高下シーンの描き方も、緊迫感が溢れ、良いのである。
・バブルが弾けても、チン・ヤッインはしぶとい。彼が手を下しているわけではないが、協力者たちを次々に切り捨てて行くシーンの数々の中、彼だけは大借金を抱えていても表面上は余裕なのである。
<再後半、漸くチン・ヤッインを追い詰めたラウ・カイユンとの、チン・ヤッインが定宿にしているホテルのスイートルームでの対峙のシーンも、見応えタップリである。
チン・ヤッインは豪華な食事を前に”何年、俺を追っているんだ。出世もしていないじゃないか、”と笑顔を浮かべながら言い、ラウ・カイユンは食事を勧められても険しい顔を崩さずに、自身の信念を告げるのである。
今作は、天才詐欺師を演じたトニー・レオンの笑顔を浮かべた怪演と、詐欺師を地道に追う捜査官との数十年に亙る攻防を描いた豪華エンタメ作品なのである。>