「濃密な3時間をとくと味わえ!」デーヴァラ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
濃密な3時間をとくと味わえ!
インド映画を観るようになったのはここ数年のことですが、どれもおもしろくてハズレがほとんどない印象です。というわけで、予告を目にすることはなかった本作ですが、勝手に期待して公開初日にIMAX鑑賞してきました。
ストーリーは、クリケット・ワールドカップの安全な開催を目指すインド警察本部において、破壊工作の企てとその首謀者の潜伏先の情報を得た特別捜査班のシヴァムが、南インドのラトナギリの「赤海」と呼ばれる地域にある4つの村の猛者たちで組織される密輸団にコンタクト取るため、密輸業者になりすまして現地に乗り込み、そこで長老シンガッパと出会い、かつてこの地で起きた凄惨な内部抗争とそこに深く関わる英雄デーヴァラと息子ヴァラの物語を聞くというもの。
やや複雑な構造をもつストーリーではありますが、わかりやすい脚本とテンポのよさで、混乱なく理解できます。要所要所で描かれるアクションも大きな見どころとなっていて、冒頭の密輸シーンにハラハラし、例祭の決闘シーンに興奮し、一騎当千のデーヴァラの無双に魅了され、その息子ヴァラの活躍に爽快感を覚えます。アクション中のスローモーションの多用も、実にインド映画らしいです。
インド映画らしいと言えばダンスと歌ですが、本作にももちろん盛り込まれています。特に、デーヴァラ中心の首振りダンスと彼の無双ぶりを讃える楽曲が熱く、スクリーンに釘付けです。歌もダンスも本作ではやや少なめですが、それでも光るものを感じます。
そして、その分の尺をしっかりと使ったストーリーがすばらしく、これがとにかくおもしろいです。期待を超えてやってくれたって感じで、3時間の上映時間を感じさせない展開に最後まで魅了されます。話運びがうまく、現在の問題を解決する体で語られる回想に至るまでの流れが超絶スムーズで、あっというまにデーヴァラの物語へと誘われます。
かつての英雄の子どもたちが、なぜ密輸の片棒を担ぐようになったのか、なぜデーヴァラが生き方を変えたのか、そして姿を消したのかなど、赤海にまつわる因縁がわかりやすく描かれます。その中で、デーヴァラのアクションがふんだんに描かれます。とりわけバイラの謀略を打ち砕く鬼神の如き戦いぶりに大興奮です。
そして時は流れ、息子ヴァラもデーヴァラそっくりに立派に育ちますが、中身はまるでダメ。それでも、時折見せる強さに片鱗をのぞかせ、まさか、ひょっとして、いや、でも、やっぱり…と観客を揺さぶる演出が心憎いです。さらには、そこからの大どんでん返しに驚かされます。しかし、隠された真相の解明によってもたらされる爽快感よりも、目の前の光景から伝わるやるせなさや切なさのほうが勝ります。そしてスクリーンいっぱいに広がる「2」の文字!そうなの?続くの? 確かに今見たら原題には「Part1」とある!早くも続きが気になりますが、公開はいつなんでしょうか。今から待ち遠しいです。
主演はNTR・Jr.で、キレキレのダンスとアクションを披露しているだけでなく、デーヴァラとヴァラの二役を見事に演じ分けています。脇を固めるのは、サイーフ・アリー・カーン、ジャーンビー・カプールら。サイーフ・アリー・カーンの存在感が、デーヴァラを引き立て、作品の重厚感を醸し出しています。
こんばんは〜。共感ありがとうございます
今作良いですよね
ラスト、息子ちゃんがお父さんを刺したところで一気に涙が溢れ、2の文字を見逃しました
お父さんを刺した理由が、2でわかるのでしょうか?
次作は3年後位かしら