「内容を盛りすぎて焦点がボケた印象」女神降臨 After プロポーズ編 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
内容を盛りすぎて焦点がボケた印象
韓国のウェブコミックの映画化ということらしいですが、原作未読です。前作がそこまで良作だったわけでもないですが、乗りかかった船ということで、公開初日に鑑賞してきました。
ストーリーは、冴えない容姿が原因でいじめに遭い、メイクの力で”女神”のような美貌を手に入れて、転校先で新たな人生を歩み始めた谷川麗奈が、イケメン王子とイケメン御曹司と出会って交流を深め、やがて大学生になり、得意のメイクを使って美容系インフルエンサーとして一躍有名人となるが、何者かによってすっぴん姿がネットに晒され、窮地に追い込まれていくというもの。
前編と同様に、いたってシンプルなストーリーが軽いノリで描かれているので、肩の力を抜いて最後まで気楽に鑑賞できます。序盤は、ベッタベタなラブコメ鉄板のドジっ子ぶりを見せた麗奈が、多くの経験を通して変容し、ハッピーエンドへと収束していく展開は悪くないです。
その中で、麗奈の恋の行方、俊と悠との三角関係、すっぴんバレ、なりたい自分になる夢、悠の親子関係、俊の親子関係、かつてのバンド仲間・楓の事件、川島愛美との和解など、さまざまな要素を盛り込み、それなりに話をまとめているのはよかったです。ラブコメをメインに据えつつ、麗奈と俊と悠の3人がそれぞれに成長した姿を描いていた点も清々しいです。
しかし、それらの一つ一つがどれも薄くて、なんだか心に響いてこないのは残念です。内容をちょっと欲ばりすぎて、焦点がボケてしまったように感じます。例えば川島なんか、話を進めるためだけに存在したような印象です。高校時代にあんな意地悪だった彼女が、わずか3年であそこまで人格が変わるなんて信じられません。いったい彼女に何があったのでしょうか。
一方の麗奈も、メイクの道を目ざすのはいいのですが、何の努力もなく、とんとん拍子で大きな仕事をつかんだように見えたのはもったいないです。初めてメイクに出会って努力した時のように、プロの世界で必死にもがく姿が少しぐらいあってもよかったのではないかと思います。
また、川島に電話がかかってきた時にたまたま一緒にいただけなのに、無関係な麗奈たちが撮影現場にのこのこついて行く意味がわかりません。しかも、プロのメイクスタッフをさしおいて、頼まれてもいないメイクをし始めるなんて何様かと思ってしまいます。そして、これが大女優の目に触れて抜擢とか、人生舐めプ。
そんな感じで気持ちが萎えてしまったところに、告白やキスやプロポーズを見せられても、キュンとはなりませんでした。とはいえ、タイトルどおり”プロポーズ”という区切りまでしっかり描いていたのはよかったです。
主演はKōki,さんで、すっぴん時に見せる表情豊かな演技がよかったです。脇を固めるのは、渡邊圭祐さん、綱啓永さん、菅井友香さん、美山加恋さん、深尾あむさん、宮世琉弥さんら前編からのキャストに加え、筒井真理子さん、菅野莉央さん、堀夏喜さんらが新たに出演しています。