「見捨ててないよ」ノー・アザー・ランド 故郷は他にない hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)
見捨ててないよ
学校をブルドーザーで壊し、発電機を奪い、取り返そうとした人を撃ち、井戸を埋め、大工道具も奪い…。
イスラエルや入植者の酷さはSNSでよく知っていたので驚きはなかった。SNSだと入植者の子供までもがパレスチナ人を迫害していて怒りがわく。
あんな風に簡単に人が撃たれ、誰も罰せられない世界があるなんて。それが同じ現代に起きてる。
バーゼルとユバルにいつしか芽生える友情めいたもの。パレスチナ人とイスラエル人、立場の違いが浮き彫りになる。交わされる言葉、沈黙。
時には怒りが抑えられなくなって、バーセルが無口になるシーンもあった。いつか自由に行き来できるようになればとユバルに言われても、バーセルはうまく思い描くことができないようだった。
ユバルがアラビア語を覚えたことでいろいろなことを知ったと言っていたので、ヘブライ語だと情報に偏りがあるのだろう。それにしても、イスラエル兵や入植者はどんな気持ちであんな酷いことをしているのか、そちらのインタビューもあってもよかったかも。聞くに耐えない言葉だとしても。
私からみると、パレスチナ人もイスラエル人も見た目では見分けはつかない。よく似ているように思う。彼らが破壊し、追い立てているものはなんなのだろうか?恐れは何も生まないのだと思う。
希望があるとすれば、今日の映画館にたくさんの人がいたこと、このドキュメンタリーがアカデミー賞をとったこと。世界は見捨ててないよと伝えたい。
70年以上にわたるイスラエルの侵略とパレスチナの苦難を多くの人に知ってもらえたらと思う。どっちもどっちではないし、暴力の連鎖ではない。イスラエルによる侵略とパレスチナによる抵抗なのだと。
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