「映画作品としては」ノー・アザー・ランド 故郷は他にない キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
映画作品としては
不勉強なので、軽くパレスチナ問題を予習して臨んだ。
お話としては「軽い予習」で十分。
とてもシンプルな映画。
「国」も「民族」も「社会」も、あくまで「個人の集合体」でしかないのに、こと個人の話は軽視され、時には封殺される。
その意味でこの映画が、パレスチナで起きている「個人」のリアルを描いた作品としての価値は高いと思うし、緊張するシーンやグッとくる部分もある。
当初は「焦るな」とユバルをたしなめていたバーセルが、自分の逮捕が近付いていると察知して急に活動を強めていく感じとか。
今の生活、明日の寝る場所さえ危うい彼らには、将来なんて考える余裕もない。
明らかに不当な圧力や嫌がらせに屈しなければ、家族の安全が保てない人々の苦しみ。
日本公開のこのタイミングでトランプがまた無責任なことを言い出したり、怪しげな停戦話など、まだまだ先の見えないニュースが続く中での公開ということで話題性もあり、「資料」「記録」としての価値は重く、高く評価された方の気持ちも理解した上で、感じることは多くとも、あくまで「映画」としては私には「ソコソコ」の作品だった。
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