「ブータン・ヌーボ」お坊さまと鉄砲 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
ブータン・ヌーボ
ブータン映画と言っても、後にも先にも同じ監督の「ブータン山の教室」しか見たことがないので、ほかにどのような作品が作られているのか、全体像はわからない。人口80万人ほどの国で年間何本ぐらい公開されているのだろうか。この2本の映画を見る限り、私たちがイメージするブータンという国そのままの世界が描かれるが、この国の人々にとっては当たり前なわけで、彼らのためにはおそらくもっと違うジャンルの映画も作られているのだろう。
銃を調達するように指示する僧侶の意図がなかなか読めないので、最終的に何が待ち受けているのだろうと終始不安な気持ちのまま物語の展開を見守らざるを得ない。銃の入手に奔走する若い僧と模擬選挙の準備が並行して描かれ、満月の日を迎える(結末は納得の行くものであったが)。
王制から共和制への移行と言えば血なまぐさい政変を想定しがちだが、国王自ら施政権を手放すというのは奇特な例に違いない。ただ、民主主義の導入がかえって争いを産むという、劇中で提示された課題の答えは出ていないように思える。
田縣神社の神輿のようなファリック・シンボルも登場するが、あれはブータンの習俗に実在するのだろうか。
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