「言葉に詰まる」どうすればよかったか? ツネさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉に詰まる
もっと発狂して部屋が目を覆うほど乱雑な日常を映し出しているのかと思った。カメラを回し始めたのが20年後だったのもあるのだろうか。
問題がなさそうに暮らしている様子が不気味に思えた。家族だからこその隠蔽気質は自分にも無意識にあるのだと感じた。具体的な手を打てばいいじゃないのかと問われて、病気じゃないと診断されたから大丈夫みたいな堂々巡りを母親としているのを見ていて亡くなった母を思い出した。私も一生懸命やってるのに!って言ってるように見えた。そこに家族内であれだけ踏み込めるのが凄かった。自分なら、両親も話にならないし、手に負えないよって投げてしまうと思った。
お姉さんがとにかく眼の挙動と反応が不穏で、統合失調症は千差万別ともきくのでとある一つの形ということなんだろう。入院して合う薬があるとあれほど違うのかと驚いた。対話ができることが嬉しくなることなんだと思った。
母親の認知症、姉の入院が重なったときなど、父親や撮影者の弟さんはどんな心境だったんだろう。自分だったら、とんでもない不安に駆られて寝込んでしまいそうだ。淡々と時間が進んでいって、展開上そこじゃないんだろうけど気になった。
最後に父親はそうだと思ったと言ってた?と思うのだけど、母親はどっちだったんだろう。問い詰められてる際の印象が抑圧してるようには見えなかった。とはいえ健康と思っていて南京錠とかは、やっぱり、、、。
最期、確かビートルズを聴いて亡くなって、お棺に論文とタロットとケーキが入れられていた。40年家に閉じ込めた形になっても、好きなものを知っていた人がいたのだと思ったら泣きそうになった。自分が死ぬときに知ってる人はきっといないから羨ましく感じた。
最終的に、医療を受けさせずに生きた姉の一生は、正解だったのかは不明だ。個人的には今の精神医療なら早めで改善の兆しを想像できるけど、40年前はどうだだったのだろう。そのとき、自分がその立場だったら、と思うと言葉に詰まる。