「スカッと爽快、拾い物的良作」市民捜査官ドッキ TSアラヨットさんの映画レビュー(感想・評価)
スカッと爽快、拾い物的良作
宣伝もなく、上映館も少ない。何かというと美男美女が出てくるのが韓国映画なのに、主役はおばちゃんたちで、スター俳優も出ていない。(こちらが知らないだけかもですが)
・・・てな感じで、さほど期待してませんでしたが、これが思わぬ拾い物。最初から最後まで、食い入るように画面に集中してました。
詐欺集団とその被害者というのが、昨今日本でもあるあるなので、すごく身近なテーマとして、まずぐいっと引き込まれる。次に詐欺集団に軟禁されている若者からのSOSで被害者のおばちゃんが捜査まがいの行動に出る。そんなことあるわけないやん、じゃなくて、そうせざるを得ない状況が描かれていて説得力がある。まあ、事実に基づいているとのことなので、そこは当然ですけど。舞台が青島に移ってからのスリリングな展開も、無駄なく、やり過ぎ感もなく、実に上手く描かれていると感じました。しかも適度にユーモアを盛り込んでいるのが、おばちゃんたちを主役にしているせいか、ワザとらしく感じない。自然に笑ってしまう感じ。かつ、どうなるのか結末までハラドキ感が止まらなかった。
あえて難点を指摘すると、空港のトイレなんて人の目につく場所で、元締めがあんな風に自分で直接殴る蹴る、というのはあり得ないと思いました。もっと目立たないようにやらないと。あれじゃあ、捕まえてくれと言ってるようなもの。でも映画的には、それによって被害者の怒りとワルの非道さ加減がよく伝わるシーンにもなっているので、シラケたわけではないです。後で思い起こして気がついたのであって、観ている間はこちらも熱くなっていました。
とにかく、今年の締めくくりにふさわしい、スカッとする映画でしたが、単に爽快なだけでなく、今般の闇バイトのように、被害者も加害者を酷い目にあっている現実を考えさせられる。この映画のように本当のワルが捕まることを祈るばかりです。