イベリン 彼が生きた証のレビュー・感想・評価
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ドキュメンタリーというジャンルだが半分は再現ドラマで、その再現シー...
ドキュメンタリーというジャンルだが半分は再現ドラマで、その再現シーンをゲーム映像で作り、声優に語ってもらい表現している。
完全なドキュメンタリーでは無い事を否定してる訳では無い。25歳で亡くなったノルウェーのゲーマー、マッツ・スティーンの行動とそれを支えた家族の絆を描きつつ、そして彼が影響を与えた数々の実在の人達の証言とキャラ設定を見せる。
観てて どうしても思い出したのは『光のお父さん』で、コッチは無表情なゲームキャラで こちらから心情を察っして行く感情移入が有り、今作はキャラの表情を巧みに造り込んでいるので製作者の意図に引っ張られる。
どちらの作品も欠点は無くて「実写表現」と「CG表現」が巧みだと思う。
今作は実話なので観てて至る所に重要ポイントがあった。
こんな体に産んでしまった親の気持ち、外に連れ出して楽しんでもらいたい思い、家の中にこもって欲しくない家族の努力、ゲームに対して大きく反対しない決断、家族の結婚、そしてマッツがゲームのIDとパスワードを書き残した事。息子がこの世を去ったことをインターネットの住民に告げる決断をした事。
息子は狭い世界で生きていた訳では無かったのだと気付き、映画化に至った経緯とベンヤミン・リー監督の着眼点がいい。
社会貢献の真価
このようなテーマに対して、感動ポルノ的な描写を避けている所に好感が持てる。
ゲームの中で人から悩み相談を受けるようになった彼が、その事を職業として意識していた点には感心させられた。社会に恩恵をもたらす活動が、いかに人間の人生を豊かにするか痛感させられる。
生活保護受給者に対し「寝ているだけでお金がもらえてうらやましい」と言う暴論が蔓延する昨今。働くことや、社会活動に参加することの本当の価値を問い直す良作。
ゲームの再現が圧巻のドキュメンタリー
あるオンラインゲーマーの一生を追いかけるドキュメンタリー。障害を持ちリアルでは殆ど人付き合いがないように見えて、実はオンラインゲームの世界では人々と深いつながりを持っていたというよくある話。
ゲームのやり取りの再現が圧巻で、きちんとゲームのグラフィックに寄せたフルアニメーションを描き下ろしていて素晴らしい出来になっている。セリフも実際にチャットに残ったものを使っていてリアリティがある。ボイスアクターの演技も違和感ない。
インタビューなどが途中に挟まり、ドキュメンタリーとしての構成も丁度よい。
主題となっている人物とただの善人として描くのではなく、周囲との軋轢や衝突も丁寧に描いて好感が持てる。
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