海辺へ行く道のレビュー・感想・評価
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なんか、いろいろスミマセン(と、謝っている風を装う)
さて、今週は「劇場鑑賞するorしない」をかなり悩んだ作品が2つあり、その1つが本作。(もう1つは配信待ちすることに)理由はいずれも「監督への信頼度があまり高くない」点にあり、未見だった同監督(達)の過去作も配信サービスで追いかけた上で本作の劇場鑑賞を決定。横浜聡子監督の長編映画は『almost people』(共同監督の一人)以外一通り観ました(内、『俳優 亀岡拓次』のみ劇場鑑賞)が、強いメッセジー性を感じるものの共感はおろか理解も追いつかないものもあって、正直あまり良さが解らない監督という印象。(ボロクソに言ってスミマセン)恐らく、一番評価が高いであろう『いとみち』も、主人公を演じた駒井蓮さんのパフォーマンスがあればこそで、ストーリーや展開には強引さも感じます。とは言え、作品を重ねるごとに着実に洗練されてきてもいて、まだ切って捨てるには時期尚早かな、と思ったのが決め手で踏み切った次第です。(上から目線でスミマセン)
舞台は“「アーティスト移住支援」をうたう、とある海辺の街”。地元民とテンポラリーに訪れてくる人たちが絡みつつ、それぞれの視点で描かれる群像劇。ただし、作品を通して軸になるような出来事はなく、全体として緩く繋がるエピソード集のような物語です。そして、“大人たち”のキャストはなかなかに贅沢な布陣ですが、やはりメーンである“子供たち”のシーンこそが本作の見どころだと思います。横浜監督の演出自体も“子供たち”に対しての方がより自然に感じ、ハマっているような気がします。或いは、観ている側も若手に対しての方が(俳優に対する)先入観が少ない分、横浜監督のユニークな世界観に違和感を感じにくいだけかもしれませんが。。
夏休みと言う独特で特別な時間感覚、海水浴場でも漁港でもない海辺というシチュエーション、地元独自のルールで執り行われる祭り、そして天性の才能を感じさせるアート作品等々、作品としての世界観は一見の価値あり。ただ、ストーリーとしてはかなり緩いため、配信サービスなど集中できない環境で観ると途中で飽きる可能性も否めません。また、景色の良さを含め、作品の雰囲気を最大限に感じるためにはやはり劇場がベター。ただ、惜しむらくはやはりイマイチ弱い脚本かな。或いは、群像劇があまり得意でないのか?まぁ、原作未読でその作品性を知らないで言っているわけですが、あくまで一つの映像作品として評価すると「今一歩」。私個人として他者へ勧めるような作品ではないので、それでも興味があれば自己判断で。
横浜聡子監督、、次作はどうしようか。。微妙な立ち位置はまた少しネガティブに振れた感がある、そんな現状です。(好き放題言ってスミマセン)
とっ散らかし方も横浜聡子
「ジャーマン+雨」や「ウルトラミラクルラブストーリー」といった初期の横浜聡子作品を思い起こさせるような一品。彼女は自らの売りのポイントをきちんとわきまえていて、大きく外れるような作品は撮らない。
本作はとある島(小豆島でロケ)の町おこしの「芸術」と「芸術家の短期移住」を軸としている。しかし揃いも揃って本当に売れている芸術家であるのかはわからない。みんな一癖ある紛い物っぽい者ばかりだ。そんな「芸術家」たちと、もしかしたら本当に大物になるかもしれない高校生との交流の中で成長していく中学生(主人公・奏介)の姿を描いている。そこに島のさまざまな人たちの交流も挟まって群像劇的な要素も見える。もしかしたら原作漫画は群像劇なのかもしれない(読んでいない)。ただそれだけの映画で、いつもの横浜作品らしく特に大きな事件は起こらない。何か重要と思われるファクトも描かれるが、それを最後までとっ散らかったまま意図的に放置してしまう。ぶっちゃけ言うと大人の登場人物の大半はいらないんじゃね?ともなってしまう。
左様に初めて横浜監督の映画を見る人にとっては何のことかさっぱりわからない内容と思われる。おまけに男性でいえば深田晃司監督の初期作に近い会話劇をBGMとするような手法が取られていて「何をどう言ったか」に重きを置いていない。ここは会話を通じての人物間の関係性を見るべきだと思う。代表的なのはテルオの妹・加奈(新津ちせ=あの新海誠の実の娘)である。
そうやって最初の高良・唐田のチャプターの中盤には「ああ、この映画は頭で見ちゃだめだ」とこちらも心得る。以後、ただ心地よく感じるまま最後まで。雨のシーンは皆無。青空ばかりで退屈な4:3の画面。海と空。でも上映時間140分を長く感じることはなかった。
結論を言えば床に空けた大穴(の絵)のように、本作はあちこちに回収されることのない伏線が満載である。それを「ダメ」と断じるか「まぇええやないか」と感受性のみで語ってしまうかで評価は決定的に割れると思う。悲しいかなダメ大人の僕は後者だ。横浜ワールドをとことん楽しみたい向きには初期作品以来の絶好のお勧め作品。それ以外はむしろ見なくてもいいと言ってしまうくらいの客を選ぶ映画と言えると思う。
あと、オトナに「極悪女王」のメインキャストが多いw。特にクラッシュ(自粛www
支離滅裂W
積み残しもいっぱいだし、前半部眠かったし、回収してない事いっぱいだったけど、美術作品は素晴らしかったです。特に人魚は秀逸でしたね。
息子が美大卒なので、にわか美術評論家の私は、後半から面白くなってきました。
でもあのお祭りはwwww(*´▽`*) あったら参加したいw
天才少年が役者だということを忘れて、やっぱ小さいころから天才なんだなあ。と思わず思ってしまいました。美術好きならお奨めの映画ですね。☆4
高校生の無実とかそのへんをはっきりさせて積み残しとか無ければ、皆にお勧めできるけど
そのあたりを考慮し3.5かな?
分かりそうで分からない横浜聡子
なんの話かは分からないね。
色んな人が色んなことして、少し哀しさもあって。
色々と話はつながってるんだけど、高良健吾の包丁売りとあの後輩くんの超能力は他の話から浮いてるね。
後輩くんのおじいちゃんの嫌らしさいい。息子の嫁にたいする情欲を隠しきれなくなってるんだけど、少し認知症入った設定なのかな。
先輩がおばあちゃんと話すエピソードも良かった。
「家からお金がなくなってる」って追求されるけど、あれ、奥さんか旦那さんのどっちかだよね。それ隠すためもあって、先輩を退学に追い込んじゃう。
それで先輩も周りも気にしないんだよね。
この辺から「芸術ってなに?」っていうテーマで展開されるね。
演劇部の背景を描いたら演出家は「作り直して」と言い、戯曲家は「これで良い」っていうぶつかり合いも良かった。最後は戯曲家判断でいこうになるけど、ここも爽やかに芸術家がぶつかるね。
先輩がいう「全ての芸術家は自称であるべきである」はそうだなって思った。そうなんだよ。創りたいから創ってるのが基本だよね。
色々な事情を主人公の天才性が蹴散らしてくのもいいね。
アーティスト・イン・レジデンスをやる街には楽しそうな人たちが集まりそうで良さそうだったな。「自称芸術家でいくんだぜ」って踏ん切りがついたら行きたい。
総じて、なんか分かったような気もするんだけど、分からない。
でもそういうときは、案外分かってるんだって、デヴィット・リンチが言ってたからいいや。
出演者にはそうそうたる名前が並ぶよね。
横浜聡子が撮るって言ったら、これだけの人が集まるのすごいな。
それで誰がどの役やったのかサッパリ分からない。唐田えりかは全く気付かなかった。
駒井蓮もクレジットにあったけど、どこに出てた?
観終わった感じは爽快だし、横浜聡子作品は、また観ようと思ったよ。
詐欺師多くない?
夏休みの日記のような日々
この映画そのものがアートじゃない?
コロナが終わり、アートで観光客を呼び込もうとするある島。
のびのびとした環境で地元の中学の美術部の子供たちは
「アートは誰の為にやっているわけではない。やりたいからやってるだけ」
と、純粋な気持ちで作品作りをしている。
一方、大人たちは醜い。
芸術家に貸した借金の取立て屋、妻にDVをしている夫、実践販売ですぐに切れなくなる包丁を売りつける詐欺師、新聞部の生徒が偶然撮影した福祉施設のパワハラ動画を取り上げてしまう先生。
借金取りから逃げ身を隠してる芸術家。
しかし そんな事を気にするまでもなく、子供たちは作品を自由に作り続ける。映画でも大人たちには批判も擁護もない。
ただ誰かが未熟でも、それを受け入れようとする気持ちが大切だ。
何かをしようとする人に批判をしたり、こうあるべきだと指摘するほど愚かな事はない。
人間はみんな「自称アーティスト」なのだ。
とても人間臭い。
魅力的な島でした。
変な映画(褒めてる)だけどリアルかもA strange movie (and I mean that as a compliment), but maybe real.
出ている大人は変な人が多いけど、
実はデフォルメされているだけで
リアルかもしれないと感じた。
絵を描く、
造形するなど
芸術全般に長けている
男子中学生が主人公。
彼に関わる大人の方が
みんな変。
でも、実際の社会にいる大人も
実はあんな感じだよなあ
と思って見ていた。
大人は
みんな分かっているような顔して、
実はその理解力は
大して成長していない
っていうのがバレてしまう映画。
一夏の出来事しては面白い。
Most of the adults in it are odd, but I felt they might just be exaggerated versions of reality.
The protagonist is a junior high school boy talented in drawing, sculpting, and the arts in general.
The adults around him are all strange.
But watching it, I thought: in real society, adults are actually kind of like that too.
Adults all act as if they understand everything,
but this movie exposes how their level of understanding hasn’t really matured much at all.
As a story about one summer, it’s quite interesting.
丁寧と雑の絶妙なバランス
明確なストーリーは特になく、創作活動の好きな少年たちを軸に、大人たちがゴチャゴチャやってる。
麻生久美子さん以外は、変な大人しか出てこない。といっても息子にさん付けだから、変といえば変。
アートな島だから直島かと思ってたけど、小豆島なのですね。
穏やかな気候の場所だから、芸術家に向いているのかな?撮影時期もあるだろうけど、とてもロケーションが綺麗。
海や空の青が綺麗な島で、いろいろな経験をしながら、創作活動をする奏介が活き活きとしていて、なんだか微笑ましい。
「忙しそうだね」「ヒマだからね」ってセリフがすごく好き。
後輩や演出の子など、身長が低い男の子のシャツがブカブカなのがリアルで良い。中学生男子はある日突然デカくなるからね。
静か踊りやら野獣やら、シュールな場面も多いから好みは分かれそう。
すべての芸術家は「自称」であるべき
原作があるというのを見終わるまで知らなかったので、この映画単独の感想。
芸術家気取りや芸術を敬遠または忌避する人、芸術と聞いただけで盲信する人、黒猫、芸術家は気まぐれであるとの世評を利用する人、才能に自覚のない人、他人の才能を悪用する人などが織りなす、芸術表現をめぐる様々なぶっちゃけ話。
芸術の何たるかを語る知識も鑑賞眼も持ち合わせてはいないが、例えば内なる狂気を他者に伝える技術であるとか、生存に必須ではない物に価値を持たせる営みであるとか、子供の心を洗練された技術で表現する事、みたいなのを色々考える機会にはなった。
剛力彩芽がいい感じに発酵(劣化ではないよ)してた。子役達も余り無理してなさそうなのが良かった。
爆発的ではないけど、ずっと、ずるずるじわじわとおもしろい
大好きな「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督の最新作。公開週の金土日が重要と言われていて、初日に観られたんだからすぐ感想上げなさいよ!
モノづくりが好きで純粋な若い子たちを中心において、取り巻く変な大人が次々出てきて爆発的ではないけど、ずっと、ずるずるとおもしろい。
とにかく登場人物がみんな少し可笑しくて愛らしいお話。お気に入りは「静か踊り」のパートと桟橋ランチの客としてやってくるクドカンさんパート。認知症のおばあさんとおじいさんのデスマスク(?)の逸話は笑いではなく良かった。
演者は本当にみんな良かったけど、澄んだ心の主人公原田くん、恐ろしき包丁捌きの麻生久美子さん、胡散臭さと実在しそうな感じが見事に調和した諏訪監督、謎の美女唐田えりかさん、新聞部の同級生役の山﨑七海さんがとてもいいなと心に残る。思い出しながら書いていると、あ、本当にいい映画だったし、好きだわと改めて感じる。
近くでやってたらぜひぜひ観てこの世界観を受け取ってほしいです。
監督の「原作愛」がなさすぎる
三好銀さんの原作コミックスは、
版画のような、切り絵のような、くっきりした線と、
目が特徴的でクセの強い人物が、いい。
そしてちょっと
ホラーだったりエロだったりピカレスクだったりする風味を帯びて、
不思議な雰囲気を醸す飄々としたストーリーがまた、いい。
で、期待して映画を観てみたら……
* * *
原作ものの映画で、原作より劣化しているものは、
監督の「原作愛」が足りないと思う。
なぜならそれはたいてい、監督の力量不足ではなく
故意に改変したところが劣化を招いているから。
つまり監督は原作を「材料」としか見ておらず、
「自分がつくればもっとよくなる」とか思い込んでる
としか思えないんである。
ーーそしてこの映画も、
原作より劣化していてガッカリ。
役者の、とくに少年少女の
演技はとってもいいんだけど、
脚本と編集が……
* * *
思えば、
原作をそのまま映像化して素晴らしかったのは、
吉田秋生原作、是枝監督の「海街diary」
この作品には、監督の「原作愛」があふれていた。
横浜さんという方がどんな方かは存じ上げないが、
あちこち改変してツギハギしたことで、
さらにはありきたりなエピソードを加えたことで、
どれだけのものが損なわれるのか、
お考えになったことはないんだろうか。
とにかく、
木に竹を接ぐような改変が多過ぎる。
中1のスプーン曲げ少年が一目惚れしたのは
東京から夏休みにだけ来る中1の少女なのに、
なぜ詐欺師まがいの街頭販売男のツレの女に変えた?
ニホンザルを、巨大なニホンザルの人形で撃退した場面は、
謎の野獣を、訳分からんオブジェで、って変えられちゃってたし。
謎のケンくんの素性が、
別の話の似非芸術家の話と合体させられて胡散臭くなってたし。
さらには芸術家かどうかが分かるという「カナリア笛」が、
最終的にはなんだか雑な扱いだし。
しかも、
ひとつひとつの場面が、ねちこい。執拗に長い。
(だから全体で140分にもなっちゃう)
「しずか踊り」の場面など、どんだけ引っぱるんだ。
(原作では、たったの6ページ――その「キレの良さ」が味わいなのに)
原作そのままのシーンももちろんいくつもあって、
そこは味わいそのままで笑えたんだけれど。
(近くに座ってたオジサマは、最初から最後までめっちゃたくさん笑ってた)
だから、
もっと原作リスペクトがあったら、
と残念なのであります。
不思議な映画
のどかな海辺で芸術家たちが織りなすまったりとしたお話になるかと思いきや、UMA出て来たり超能力使ったりと変な感じ。登場人物がまたみんな変な趣向だったりウソつきだったりで、どう言う見方したらええのか分からんかった。
少なくとも作品のテーマは理解出来ひんかった
【”藝術って何だろう!”あるアーティストの移住を積極的に勧誘する海辺の町で、地元の中学生達とアヤシイ大人達が繰り広げるぬるーい話を、一夏の光景として描いたホンワカ世界観が楽しき作品。】
■ある海辺の町が舞台。
”アーティストの移住を積極的に歓迎します。”と書かれた看板が立っている。
地元の美術部の中学生シンスケ、リョウイチ、芸術家を目指す先輩のテルオと、町に移住して来たアヤシイ芸術家たちとの関係を、3章に分けて描いた物語である。
◆感想<Caution!内容に触れている・・かな?>
◇移住希望者に物件を紹介する不動産屋の女(剛力彩芽)が、狂言回しカナ。
1.アヤシゲな包丁売りの男(高良健吾:ムッチャ似合っている。)が、地元の主婦たちに空中に鯵を放り投げ、刺身にするパフォーマンスを見せ包丁を売りさばく中、妙に長いサンバイザーを被った女(唐田えりか)は町を気に入り、地域の祭りで行われるヘンテコリンな”静か踊り”に参加するシーン。
何だか、可笑しい。笑ってはイケナイ全然楽しそうでない踊りの一団が町中を練り歩く中、監視のオジサンが笑った人に”ピピー”と笛を吹き、レッドカードを渡している。裏面を見ると”又、来年”だってさ。クスクス。
2.アヤシイ美術商がシンスケに人魚像の制作を依頼し、そのオッパイを開けると心臓が出て来る斬新な像が大変な評判になったり・・。
3.借金500万円を抱えた彫刻家(村上淳)が町に住み込み、不動産屋の女と良い仲になる。が、女の幼馴染の借金取り(菅原小春)がやって来たので、不動産屋の女が一計を案じ、シンスケたちに部屋の中に”脱出口”を描かせたり・・。
<今作は、ハッキリ言って、どーでも良い話しのオンパレードなのだが、町の夏の風景や、のんびりした町の人達とアヤシイ芸術家たちとの関りが、緩ーく、可笑しく描かれている柔らかく、何だか懐かしい世界観が良いのだなあ。
あ、でもね、睡眠をキチンと取っていないと、アブナイ作品でもあります。
私は、結構好きな風合の作品でありました。>
変な人たちのエピソード集
タイトルに書いた以上のものはない。恐らく原作のエピソードをただ並べただけなのだろう。まったく芸がない。個々には少し面白いエピソードはあったが(序盤のスキャナーズ展開とか)、ただそれらが並んでるだけでは飽きてしまう。
主人公に何か問題を与え、映画全編を通して解決しようとする展開を中心に据え、その周りに変な人の変なエピソードが並ぶようにすべきだ。それが映画の脚本とというものだろう。こんなグダグダな脚本なのにプロデューサーがゴーサインを出したか理解に苦しむ。
あと主人公が作り出す「アート作品」のどれもイマイチだったのも痛い。「君の作品には批評がある」とか言っても見てるこちらとしては「そこまでのもんか?」としか思えないものばかり。素人が見ても「なるほど、この子には才能があるんだな」と納得させるものが必要だったのでは?
独特の映像表現と多士済々の演者が見物でした
主人公は中学生の南奏介(原田琥之佑)ということでしたが、序盤は高岡(高良健吾)とヨーコ(唐田えりか)のペテン師コンビが登場し、不動産屋の谷川理沙子(剛力彩芽)がこのペテン師コンビを賃貸物件に案内したりと、誰がメインか分からない、ちょっと散漫とした展開でした。でもNetflixの名作ドラマ「極悪女王」でクラッシュギャルズを演じた唐田・剛力コンビが登場したのは、結構目を見張りました。
ちょっと雲をつかむような展開だった序盤でしたが、徐々に登場人物が繋がっていき、中盤以降は盛り上がりを見せて行きました。理沙子が案内する怪しげな”芸術家”と、美術部所属の奏介との絡みをはじめ、人間関係が薄っすらとではあるけれども重層的になって来ると、俄然面白くなりました。
そして本作の見所はと言えば、その独特の映像表現でした。芸術家を誘致して街おこしを図っているらしい瀬戸内の海辺の街が、とても輝いて見えて実に綺麗であり、かつ浮世離れした感じがあって中々良かったです。ストーリー的にも、地味に超能力が登場したり、謎の怪物が跋扈して街の人々を困らせたりと、微妙にSFっぽい要素があって浮世離れしており、映像とストーリーが合致していたように感じられました。
また、登場人物たちの怪しさも最高。冒頭紹介した詐欺師コンビをはじめ、生徒が撮影したスクープ画像を勝手にネットにアップしてしまう中学校の大岩先生(宇野祥平)、海の中で生活しているらしい五郎(宮藤官九郎)、海辺でランチを販売している静香(坂井真紀)、お祭りの金魚すくい屋(吉岡睦雄)、謎の美術商A氏(諏訪敦彦)、奏介の叔母でありつつも実は借金取りのため街にやって来た大林メグ(菅原小春)などなど、とにかく多士済々の顔ぶれの怪演が非常に楽しかったです。
そんな訳で、本作の評価は★4.2とします。
不思議な芸術作品?
ピチピチのプルルん。
アーティストが集う海辺の街の住人とその街を訪れてくる者達の話。
瀬戸内海の海辺に住む美術部の中学生達とフリーター、その街へ一時的に物売りに来た詐欺師カップル、借金取りから逃れこの街に辿り着いた男とその地元育ちの借金取り女の群像劇。
「ツバの長い女」から見せてく流れで見せる物売りカップル、美術学生の家での爺ちゃんから母へのセクハラ的関係性、海辺で見かけた詐欺女の濡れた着衣を爺ちゃんから借りたカメラで盗撮する中学生の思春期?!だったり。…かと思えばセクハラ、暴力?がエスカレートする爺ちゃんに念力で苦痛!?
何かこの辺りから不思議な世界観、シュールになってきて、監視付きの無音踊りにはちょっと笑えて、何で未確認生物?!だったりとなんでもありみたいな…。
テアトル作品ってのもあり「さかなのこ」の雰囲気をちょっと思い出したり、主演の原田君サバカンから成長したね!と、後々調べたらルート29出てたっけ?!と色々な感情で観たけれど独特な世界観、シュールさで言葉に現せない感情(笑)
夏の海辺できらめく創作の輝き
■ 作品情報
監督・脚本 横浜聡子。原作 三好銀。主要キャスト 原田琥之佑、麻生久美子、高良健吾、唐田えりか、剛力彩芽。
■ ストーリー
アーティスト移住支援を謳う海辺の町でのんびりと暮らしている14歳の美術部員・奏介は、仲間たちとともに、演劇部に依頼された絵を描いたり、新聞部の取材を手伝ったりと、楽しく多忙な夏休みを過ごしていた。そんな奏介や仲間たちが、創作活動を通して経験したさまざまな出来事を描いていく。
■ 感想
予告編で感じたほのぼのとした雰囲気はそのままに、観る者を心地よい世界へと誘ってくれます。抜けるような青空と、どこまでも広がる雄大な海を背景に、創作活動に勤しむ少年たちの自由な発想と、その楽しげな様子がスクリーンいっぱいに広がり、夏の開放的な気分に満たされます。彼らが作り出す世界は、まるで彼らの心そのもののようにいきいきとしていて、観ているだけで心が洗われるような感覚に陥ります。
物語は、包丁の実演販売、独居老人の相手、人魚像の制作、少年の淡い恋、不穏な祖父の影、介護虐待の疑惑、芸術家への融資、鳥の笛など、本当に多くのエピソードで彩られています。それはまるで、夏の日に海岸に打ち上げられた貝殻や流木のように、それぞれが個性的で、固有の物語をもっているかのようです。最初は、それらがどこに向かっているのか、どう繋がっていくのか掴みかねて戸惑いを覚えました。一般的な映画のような起承転結を求める方には、もしかしたら物足りなく感じられるかもしれません。
しかし、本作は最初から「まとめる」ことを意図していないのかもしれない、と気づいた時、その見え方が一変します。金のためでも、評価のためでもなく、ただ「描きたいものを描きたいように描く」という純粋な衝動が、作品全体を貫いているように感じます。それはまさに、劇中の少年たち、奏介たちが純粋に創作を楽しむ姿と重なり、芸術の根源的な喜びを教えてくれているかのようです。
夏の海辺で青春を謳歌する少年たちの眩しさ、そして自由奔放な物語の展開を、五感で楽しむ。そう考えると、この映画が提示する「投げっぱなしの美学」は、案外心地よいものに感じられます。
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