「芸術と社会」海辺へ行く道 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
芸術と社会
2025年。横浜聡子監督。人口減でアーティストを積極的に招いている海辺の町。おかげで町は芸術にあふれている。夏休み、中学校の美術部兼新聞部の少年は、絵を描き、彫像をつくり、地元の事件を追って大忙し。芸術にかかわる大人たち(と社会)が少年の周囲でうごめいている。
3つのエピソードで2時間半近い大作なのだが、芸術をテーマに盛りだくさんの内容。ゆったりしているようで展開はシャープだし、色彩や構図も美しいので、幸せな気分で見ていられる。海と空の青さのすばらしいことよ。
超能力とか詐欺師とかごちゃごちゃしすぎな面もあるけれど、芸術と社会の関係をシビアに描きつつ、それでも芸術によって自由や解放が実現していくという骨太のメッセージが、あっけらかんと提示されている。本当の芸術家にしか鳴らせない笛を吹くときに、本物の鳥が鳴く。芸術と自然は共鳴するのだ。いい映画を見ました。
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