秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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刺さった
原作が好きで、演じる俳優陣も好きで鑑賞。
原作を忠実に実写化しつつ、実写オリジナルの要素もあって、登場人物たちの人柄や心情が見えて、作品の中で生き生きとしていると感じた。
監督はキャラクターを相当深堀したんだろうな。実写ならではの表現の幅の中に、細かくそれが散りばめられている気がした。
白山乃愛さんと上田悠斗さんは本当に可愛いし、幼少期のああいう2人だけの世界みたいなのあるな〜と感じた。
森七菜さんと青木柚さんの掛け合いも好き。セリフっぽくなさがむず痒くて、青春時代の甘酸っぱさにキュンキュンした。
高畑充希さんも本当に素敵で、芯の通ったキャラクターがよく見えるし、個人的には、それまで気づかなかったけど、プラネタリウムで拍手した時に、あーやっぱり指輪してる、、いつから結婚してたの、、?と切なくなった。
松村北斗さんは本当にこういう役が似合う。ご自身の性格や考え方を遠野貴樹という人物と重ねて演じられた部分があるんじゃないかなと一ファンとしては思ってしまった。
あと本当に映像が綺麗すぎて驚き。
間違いなくもう一回見る。
実写化した意義がある作品
正直アニメ版は「美化された、初恋拗らせ男」の閉塞感が漂っていて、んー苦手で…。
実写化されるということで、10年ぶり位にアニメ版を振り返って見てけど、やっぱり風景描写はめっちゃ綺麗だけど、なぜ世の中でこんなに評価されてるのかが、分からずだった私。
今回、実写版で、大人になってからの貴樹パートや、明里の日常が丁寧に描かれていて、一気に解像度が高まりました。
高畑さんのプラネタリウム帰りのバスのシーンから自然と涙が。
松村北斗さんの独白シーンは胸が詰まる気持ちに。なんであんな演技できるのか。
そして最後の踏切シーンは、前向きな一歩なんだなと分かりました。
誰かに伝えた言葉が、相手とってこんなにも「養分」になることがあるんだなと。
自分も言葉を大切に伝えたいし、もらった言葉を大事にしていきたいなと思う、素敵な作品でした🌸
アニメ未見:映像に役者の佇まいは絶品、気持ちの動線が難しかった
アニメ未見の感想です。
桜、雪、月、海、空、映像美はとにかく絶品。
高校時代の思い出は花苗の恋心もあってきらめきのカラットが半端なかったです。
登場人物それぞれのセリフまわしや佇まいは、日常生活のやりとりを切り抜いたような自然さで、行きつけの紀伊國屋書店そのままの風景もあいまって、現実との地続き感がありました。
松村北斗さんは、ファーストキスも良かったですが、今回もあれだけ生気がないのに格好良いのがすごい!
ですが、気持ちの動線の持っていきようが難しかったです。
アニメ未見なのですが、貴樹の名をパンフレットで見た明里が次のシーンでバスを降りたり、明里も貴樹に気持ちがあるのではというミスリードがあったり、高校時代は花苗の立場で貴樹が何を考えているのかわからなくもどかしい気持ちになったりして、気持ちがすっと流れてクライマックスを気持ちよく浴びられる感じではありませんでした。
明里が別れの時に口にした言葉が、最初はアナウンスや鳥の声でかき消され、あとで聞こえるというのも、ちょっともったいぶっててにごらせてしまったかなと思います。
見終わったあと、会いたい会いたいと思っていた人は、実はすぐそこですれ違っているかも、という人とのつながりも味わいかなと思いましたが、ミスリードを企図していたとしたら、そこはいらなかったかなと思います。
世界観に命を吹き込む演技
オリジナルのアニメーションは未見。また、新海誠監督作品が好きだけど
全作品を観てはいないので”にわか”ファンとしての感想。
・独特の世界観が好き。過去に鑑賞した新海誠監督作品に通じる雰囲気。
・原作アニメとの比較ではなく劇映画として、登場人物に共感できる。
生身の人間が演じるからこそ表現できる機微が伝わってきた。
優秀なアニメーターさんが作画して優秀な声優さんが声を吹き込んだ
作品ももちろん良いはずだが、実写の方がより多くのことを語って
くれるのではないか。フィクションでありながら自分事のような感覚で
観ることができる、そう思った。もちろん演者に演技力がある
という前提で。
大事件が起きたり誰かが亡くなったりする話ではなく、親の転勤で離れ離れ
になった初恋の人を一途に思い続けるある男(遠野貴樹=松村北斗)の物語。
派手な見せ場が好きな人には物足りないかもしれない。実際、隣の
席にいた人が足を何度も組み替えたりため息をつく音が聞こえてきた。
多分その人には退屈だったのだろう。
自分も最初の方は方向性が掴めず戸惑った。そして物語そのものよりも
情景描写や場面ごとの心の機微に注目しているとだんだんその世界観に
引き込まれていった。宇宙や星に関係する話がたくさん出てくるのが独特だ。
何度も出てくる、桜の花びらや雪が”秒速5センチメートル”で舞い降りる
場面での空気感が好きだ。
ちょっと謎だったのが、栃木県岩舟の彼女に会いに行くとなった時にどうして
待ち合わせがあの時間だったのだろうということ。家に泊めてもらう前提
ならそれもありかもしれないが、画面を見た限りでは違うようだった。
何か特別な理由を説明する描写があったか?結局朝お別れすることになるが
その間はどこで何をしていた?
小学生~中学生カップルの瑞々しさがある演技が良かった。当時過ごした
時間を二人ともとても愛おしく心に刻んでいた。それが長い年月を経ても
それぞれの生き方に影響しているところが良かった。成人した二人を
演じた松村北斗・高畑充希の演技ももちろん良かった。
この作品の主要な出演者は会話がとても自然な感じで、どこにでもいる
普通の人の物語という親近感があった。物語を動かすための説明ではなくて
今この瞬間を生きている人間の普通の会話に聞こえた。
二人をつなぐ接点が見えてきて、最後は再会してハッピーエンドかと
思ったらそうではなかった。かつて「2009年に同じ場所で再会しよう」と
言っていたその場所に彼女は現れず。
小学校時代は親の転勤で離れ離れになることが決まった日にちょうど
踏切のあちら側とこちら側にいる場面があった。
大人になってからの踏切の場面。いつかは再会できると期待していて踏切を
渡る時、すれ違ったのはもしかして?ところがすれ違った後遮断機が降りて
電車が何本か通過。電車が通り過ぎた後にはもう彼女の姿はなかった。
その前に新しいパートナーと一緒の場面があったし、彼女にしてみれば
「元気でいてくれればそれで良い」ということなのだろう。すれ違うだけで
多分目線も合わせていない。切ない終わり方だ。でも余韻がずっと残った。
自分も親の仕事の関係でよく引っ越しをしたし当然転校もした。だから
何となく身近な物語と感じた。親の転勤で仲良しと離れ離れになってしまう
経験はかなり多くの人があるだろう。割とありふれたそんな出来事を物語と
して膨らませ、こんなにも切ない感情にさせることができる新海誠や映像作家
たち。やっぱり彼らはそういう才能に恵まれているんだなと改めて思った。
映像面では、まだスマホが普及していなかった時代を表現するためか、
35ミリフィルムで撮ったような画質になっていた。懐かしい雰囲気を感じた。
たくさんの印象的な場面があった。好きな映画ではあるが、所々で手持ち
カメラにしてわざと手ぶれさせた映像は好きではなかった。
実写版に何を期待していたのかな
遠景の構図は新海誠っぽくまとめていました。
ベースは新海誠作品だからそれっぽいのですが、
最期に見せたのは、男のファンタジーと女のリアルというのでしょうか。
あの雪のシーンは、やはりCGなのかな?
ラストシーンは「君の名は。」?
そして、強引にエンディング米津玄師に持っていった気がしました。
なんだかなあ
私が鬱になってるからかあんま内容が響いてこなかった
ダラダラ展開が続いてダラダラ男のほうが恋愛を引きずってる感じがなんかリアルだけどもうちょいどうにかならないもんかなあって感じになった
優しいのはわかる、だけど曖昧な態度を彼女さんに取りすぎてるのがやっぱ鼻につくって言うかだったらはじめから付き合うなよって気持ちがデカくなってしまった…あとフィクションだからありえないとは分かっているんだけどそれにしても色々と美化されすぎていたり美しく描かれすぎてる感じがして無駄の一切排除された濃すぎる料理感あってなんか微妙だった。アニメ原作もこれもやっぱり私の感性とは合わないのかも。リアリティのある展開のほうが好み。ただ好きな人はホントに好きな展開だろうなとは思った。すごくロマンチックだし。ただもうそこまで彼らの気持ちに寄り添えるほど気持ちが若くないのかもと思った。さっさと前に進んだらいいのに、と思ってしまった笑まあこれは原作の流れ汲んでるからそもそも仕方ないんだろうけど
それでも映画としては完成はされてて画面が綺麗だったし何より俳優さん達、女優さん達が魅力的だった。それだけでも観て良かったなと思った。宮崎あおいが可愛すぎる。
松村北斗じゃない、遠野貴樹がそこにいた
エンドロールが終わるまで、誰も席を立たなかった。どんな映画でも絶対にエンドロールが流れ始めて席を立つ方っている。誰もが余韻に浸っていたんだと思う。
言葉だけじゃなく、表情、間、風景全てを感じて観てほしい。一瞬も目が離せない。
この映画に限っては何か食べながらではなく、ただ観て欲しい、というか、買っても食べるタイミングがどこにもないと言う方が正しい気がする。賑やかな映画では売上に貢献したい。
ここからネタバレ
明里は結婚してたんだ、やっぱり女の人の方が現実的ではあるよな、と思うなど。未練があるのは男性よね…
貴樹が、前を向いたというのが表情からも、行動からもわかるエンディングになっている。ぺしょぺしょ泣く松村北斗は最高だ。かわいすぎた。周りも泣いてた。エンドロール終わってから鼻もかんでた。
高校時代から大人の描写は、心ここに在らず感がすごく上手だったな。タバコを吸うということ=なんか自分を大事にしていない感なのかなって。プログラミングも、なるべく人と関わらないでできる仕事探したんだろうなって感じ。前を向いて歩き出したあとはたぶんもう吸わないんだろうなって気がした。
遠野貴樹を演じた役者さん全員がずばらしかった。遠野貴樹の理解が同じになっていないと、こうはならないなと。
彼の生解説プラネタリウムは観に行きたいよね。録音でよいのでどこかでコラボしていただけないものか…
原作が、何回観ても途中で寝てしまうためどんなエンディングか知らずに観ていたが、この機会にまたチャレンジしたいと思う。
喪失感の先の光
物語の随所にある貴樹の抱く喪失感を凄く感じた。
けど、もしかしたら誰もが持っている喪失感なのかもしれないし、縁がまったくない人もいるのかもしれない。
その喪失感を長い年月と経験をかけて自分に落とし込んで進んでいく貴樹くんに涙が止まらなかった。
地球が終わるんじゃなくて、一つの句点を打てたのかなって感じた。
これまでも自分の物語として、そして新しい続きを続けていく。
最後に そんな貴樹くんの背中が見れて本当に良かった。
そんな風に物語に入り込めたのは、随所にちりばめられた映像の工夫と役者の演技力だと思う。
個人的にではあるが、明里の小・中学生役の白山乃愛さん、貴樹の高校生役の青木柚さん、そして貴樹役の松村北斗さん、明里役の高畑充希さん この方々がその瞬間瞬間の感情表現が与えられるものと考える余白とで絶妙なバランスでした。
あとラスト 館長である吉岡秀隆さんとの やり取りは必見。
ほんっとに良かったです、もっと回数重ねて細かい所まで観て、物語の奥深くまで入り込みたい。
時代背景も考えるとより深い
1995-1998年:作中の高校生の頃に携帯電話・PHSの普及
コミュニケーションツールが無く手紙でやり取りするしかない時代
2000年前後:作中の大学卒業の頃に就職氷河期
やりたい仕事につくことが難しかった時代
(求人率が低く、数十社受けても受からない時代)
連絡が取りづらく心が離れていくが想い出を忘れられず、
また望んだ仕事(天体関連)も得られない
そんな中再生していく物語
よく再現されている。
実写化されたシーンについては、とても丁寧に再現されており、特にコスモナウトの高校生時代のシーンは印象的でした。
アニメ版の雰囲気や世界観をしっかり踏襲していて、ファンとしても満足できる仕上がりだと思います。
一方で、もともと60分ほどのアニメーション作品を2時間に拡張したことで、オリジナルのストーリー要素が追加されています。
この追加部分は少しもどかしい展開や時系列の入れ替えがあり、アニメを観ている人からすると「ん?」と感じる箇所もありました。
それでも、アニメ版の名シーンが実写でしっかり再現されている点は高く評価できます。個人的にはその部分だけでほぼ満点をあげたいくらいです。
とはいえ、オリジナル要素にやや違和感を覚えたため、全体としては80点ほどの評価になります。
もともと1時間のアニメを2時間の劇場作品に仕上げ、より一般向けに構成したと考えれば、とてもよくできた実写化だと思います。
最後に、序盤は「見る映画を間違えた?」と思いました。
心の柔らかさをずっと持ち続けて行きたい
懐かしさを覚える美しい風景
優しく寄り添い救い上げてくれる音楽
素敵な言葉たち
演者みなさんの繊細で胸に来るお芝居
琴線に触れるシーンが多すぎて上手く感想が纏まらないくらい自分の中でさまざま感情が一夜明けても巡っていたし、今もまだ静かに感情が揺さぶられ続けている様に感じます。
良かった。
本当に良かった。
まるっと抱きしめたくなる様な愛おしい作品に出逢えました。
原作者である新海誠さんはもとより、奥山由之監督、主演・松村北斗さん始めキャストスタッフの皆々様、素晴らしい作品をありがとうございます。
また観に行きます
ネタバレです
ネタバレです
アニメ未見、情報をほぼ入れず見ました
こんなに綺麗な映像で、現実でなくて
映画なんだから夢物語でいいじゃん!
ってマジで思いました笑
私的には十数年も誰かを思い続けるというのは
この主人公だから許されるかもだけど、
正直、気持ち悪い、ありえない
そんなのない、現実的じゃない
とか思いたいところだけど、
それでも、それでも、
この映画では
2人にくっついて欲しいと
切に切に願ってしまった
終盤、桜の木の下に彼女にいてほしかった
でも、バスでチラシの主人公の名前を発見
した時の彼女のリアクションがあまりに薄く
あ、これ、もしかしたら
って思ってしまった
それでも、願いが叶うなら、
あの桜の木の下に彼女にいて欲しかった
願ってしまった
残業で彼女が居酒屋に来れなかったシーンも
あーーって思ってしまった
作り手の思う壺だ笑
わかっているけど映像が
あまりに綺麗で切なくて没入してしまった
子供時代も青年期もとても良かった
山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」、『月とキャベツ』なんて懐かしい映画
手に届かないどうしょうもない願いの映画
だからこれを絡めてくる時点で
今回の映画の結末はわかっていたんだけど、
それでも、くっついてほしかった
ラスト、館長のそばで泣きながら
心中を吐露する主人公に共感して涙が溢れた
どう表現していいかわからないけど
私は見てよかった、とてもよかった
最後の踏切
電車が去っても彼女がいないことは
もうわかってるんだけど
もう期待もしないんだけど
現実をこれからも生きるという
ラストシーンとしてはとても納得した
もう一回見ようかな
主人公の男性、めちゃくちゃ良い
アイドルと思えない
月まで
公開日に観に行きました。
個人的には、とても良かったです。
勝手な解釈ですが、出会いによって人は変われる。
そんなメッセージを受け取りました。
それは、人との出会いだけではなくて、星々だったり、音楽だっり。
主人公は、ヒロインとの出会いで恋という優しい呪いにかかっています。いや、もう愛になってたかもしれないですね。
対処的にヒロインは主人公との出会いによって、恋の種を糧にして暗い未来から名前の通り明るい人間になれました。
最後には、館長からヒロインの思いを聞けた事で、恥ずかしくない自分の道を歩む決意をしたように感じました。
最後に月まで11年。
この言葉を聞いて私か感じたものは、hump backの月までと言う曲です。
月くらいまでなら迎えにいったのに。という歌詞が11年ぐらいかけてでも会いに行くというより深い愛の歌に聞こえました。
何が言いたいかというと、知ってる事が増えるときっと感じれる事、見える世界が広がるという事です。
だから人は色んな出会いにワクワクするんだろうな。
秒速5センチメートル。花びらですら進んでるんだ頑張ろ
いらない偶然を足しすぎ
種子島にいるはずの澄田お姉さんが、なぜか東京に現れ、しかも教師から書店員に転職して、明里の同僚になっています。さらに、偶然街で昔の教え子である貴樹と再会し、明里を誘って三人で飲みに行こうとします。たった今再会したばかりの、特別親しいわけでもない元教え子なのに、親しくもない同僚を急に誘うなんて、普通ありえるでしょうか? この展開は、0.000003%の確率といったレベルの話ではなく、ただの都合のいい偶然にしか見えません。
正直、澄田お姉さんが東京にいること自体に強い違和感があり、物語に不要だと感じました。もし繋ぎ役が必要なら、新しいキャラクターを登場させればよかったと思います。現在の設定はあまりにも無理やりです。同様に、プラネタリウムの館長もただ都合よく配置された存在にしか見えず、偶然があまりにも多すぎます。
原作では、貴樹と明里は繋がりを失い、人生が平行線をたどります。いつも心のどこかで探し求めながらも、簡単には再会できない。最後に、偶然踏切ですれ違う――この十数年間待ち続けた、たった一つの偶然こそが、切なさの真髄ではないでしょうか。
秀逸な原作の再構築
原作の再構築により、より分厚く丁寧に描かれ、もはや実写版というより、
新たな『秒速5センチメートル』が誕生したといって過言ではない。
再構築というのは、原作の紡ぎあげ方とは異なり、
現在の貴樹と明里をはじめ美鳥までもが丁寧に描かれているのは好感が持てた以上に
グッと胸にきた。
森七菜演じる花苗の一挙手一投足が実にリアルだ。
貴樹を見る表情、髪をかく仕草、ヨーグルッペを飲む仕草など、枚挙にいとまがない。
花苗をみているだけで泣きそうになるくらいせつない。
これは原作を観ているだけに余計にそう感じるのかもしれないが、
もはや森七菜の演技が異次元過ぎて、もはやこのパートだけで持っていかれた。
宮﨑あおいが演じる美鳥も実に深みを増している。
現在パートに登場し、貴樹とのコミュニケーションがはかられるのもグッとくる。
高校時代の貴樹に向ける表情が厳しさも優しさもあり、宮﨑あおいの魅力全開で
私としてはうれしすぎる起用であった。
木竜麻生演じる水野理紗も原作よりも丁寧に描かれていて、
貴樹といっしょに過ごすシーンや、
メールだけではなく、ちゃんと貴樹とお別れするシーンがあることにグッときた。
そして高畑充希演じる明里も、原作では幼少期のイメージしかないのだが、
しっかり現在パートで今の明里を描いていたり、
貴樹とニアミスが複数回起きるところは、もどかしい気持ちでいっぱいになる。
それにしても高畑充希がとても魅力的で、ハマり役だと思う。
貴樹を演じた松村北斗は、こういう拗らせ系の男子を演じさせたら右に出るものは
いないくらいに自然だ。
松村北斗が主演だからこそ助演の俳優陣が映えているのかもしれない。
奥山由之監督の映像も素晴らしい。
デジタルで撮影したものをフィルムに焼き付ける手法をとったとのことだが、
このアナログのような質感は本作とマッチしていて、観ていてすごく気持ちがよかった。
原作を観ていなくても充分に楽しめる。
私としては今年ベスト級の作品。
※女性の俳優陣は私の推しの方ばかりで、このキャストでなければ評価4.5だった
大島依提亜さんデザインのパンフレットを読んで、余韻に浸ろうと思う。
10/13おかわり観賞。
明里の思い出に終わらず現在と続いているとの心情は
実際に行動にあらわれていて、あらためて感動した。
自販機のボタンを2つ同時に押す。小惑星1991EV。天文手帳などなど。
「貴樹くんは大丈夫」のセリフは貴樹との決別だったのだと
わかった。立派な大人になっているから、もうここで会わなくても大丈夫。
だから16年後の約束の場所に明里はこない。
そのことに貴樹がわかったのは現在のプラネタリウムの中。
このプラネタリウムの中で前に進むことを決意した
貴樹の顔つきは確かに変わっていた。
ラストシーンの交差する電車は貴樹と明里は
別々の道を進んでいることへの示唆か。
そういえばボイジャー1号2号もそう言えるかも。
踏切で明里の姿が見えなくなっても貴樹は追わない。
しっかり前を向いて歩き出す。
だから、単純な恋愛ストーリーではないのだな。
小川館長(吉岡秀隆)と美鳥(宮﨑あおい)がいかに重要な
役どころかあらためて気づかされた。
映像も街の明かりや自然の風景など素晴らしすぎる。
私としては完璧な作品。
ひとつひとつのシーンに無駄がなくつながっている。
思わず唸ってしまうほど完璧。
新海誠の知らない思い出を植え付けられる心中みたいな自傷行為。なのに最後は宇宙に一人放り出されるようなそんな映画。
タカキの恋のペースが5センチメートルだよな。
お互いに呪いを掛け合ってるし、特にあんだけ遅れたのに待っててくれるとか完全に落ちます。勘違いもします、両思いなのに伝えられなかったのが悲劇だね。だから何も起こらないし始まらない。でもやっぱりずっと初恋の子に送るメール作っては消してを繰り返してるのは気持ち悪いよ、タカキ。
でもめちゃくちゃ共感できるんだよな。中学時代にあんなゴリゴリの恋したら戻りたいって思うし苦しいもん。その先の人生が先の見えないトンネルになるわけだ。
タカキくんにとってあの頃、というか明里が人生の全てだし唯一縋れる道標だったんだな。明里にとってはタカキくんを形成する周りのコンテンツが日常だけどタカキにとってはキラキラした思い出そのものみたいな明里がすべて。そのすれ違いもあるしタカキは言葉にしないからな幸せにはなれないよ。俺への当てつけだよな、新海誠?わかってるよ。タカキは俺だ。日々気取って動のない日を生きてるよ。
どんでん返しは無いんだけど心に確かな引っ掛かりを残された。生半可な気持ちで見に行ったちょっとナードなカップルは刺さりすぎて眠れないんじゃ無いかな。
細かな表情での感情表現も素晴らしく、こっちまで泣きそうなくらいだったし、子供のころのどこか依存じみた恋愛模様がものすごくアダルティックででも変に背伸びしてなくて等身大の全力な恋で、こんな恋愛したかったなあって、あれ?でもしたことあるんじゃないか?って思わせるパワーがあってすごくいい。
たしか高校時代のとこでケータイポチポチしてるとこって居酒屋で言ってた宮沢賢治味のあるポエムを書いてるのは嘘で明里へのメールを書いては消してを繰り返してた覚えがあるんだけど、こいつめちゃくちゃ気持ち悪いって思ってた。電車のシーンで「大丈夫」って言ったの聞いてればちゃんと引きずらず次の恋もできたはずだし高校時代ももっと充実したものになってたはずだよ。
見終わった後の心にぽっかり穴の空く独特の浮遊感は他では味わえません。ほんとなんでもっと早く好きって伝えなかったんだよタカキ。
心にしこりが残りすごく苦しくなるそんな原作の感覚をそのままに実写化されててほんとにほんと良かった。個人的には過去一の実写映画。米津に釣られて行ったけど映像も夢みたいで良かった。大ヒットはしてほしく無いな。自分だけの思い出にしておきたい。
美しさに酔って、核心を見失った映画
久しぶりにスクリーンで宮﨑あおいを見た。
年齢を重ねていた。当たり前だが、宮﨑あおいも歳をとるのだと実感した。
そして、同じ時間を生きてきた僕らもまた、あの「秒速5センチメートル」という映画の登場人物と同じように歳をとった。だからこそ、この実写版には期待してしまった。アニメ版が描いた“時間に置いていかれる痛み”を、いまの時代でどう再構築するのか。その答えを見たかった。
結果的に、私はこの実写版に期待しすぎたのだと思う。
アニメ版が放ったあの「痛みの静寂」、時間と記憶がすれ違っていく切実な美しさ――それを現代的な映像技術で再解釈する、という触れ込みを聞いた時、誰だって胸が高鳴るだろう。だが、結果的にこの映画は、美学を再現することに成功したが、情緒の再構築には失敗した。新海誠の作品世界を“表層的な映像詩”として理解したまま、構造的な悲しみの仕組みを見落としてしまった印象だ。
まず、時代感の扱いが中途半端だ。アニメ版が2000年代前半の通信文化――手紙、PHS、ガラケー、そしてドコモタワー(ドコモ代々木ビル)の風景――を象徴的に配置し、「つながらない時代の痛み」を描いたのに対し、実写版はスマホ時代との折り合いをつけきれない。
登場人物の持つ端末がauのezwebだったり、背景にドコモタワーがそびえていたりと、時代をまたぐ“過渡期”のリアリティは確かに正確だ。だが、観客にそれを意識させる導線がない。つまり、作り手の中では「通信の変遷」が物語の重要な背骨であるはずなのに、それが映画のリズムとして立ち上がってこない。結果、「懐かしさ」と「古臭さ」のあいだで宙吊りになった。
そして、もっと致命的なのは、「言葉の間」に宿る情緒が抜け落ちていること。
アニメ版で新海監督が描いた“間”――数秒の沈黙、メールを打ちかけて消す指の動き、降りしきる雪の音――には、観る者が自分の過去を投影できる余白があった。ところが実写版では、説明的なセリフと演技がその余白を埋めてしまう。監督は誠実に物語を再現しているのだが、観客が想像で埋める余地を失った瞬間に、この作品は単なる失恋映画に後退した。
映像は、確かに美しい。光の粒子の描き方、風の質感、夕暮れに沈む街の空気――どれも一級品だ。だが、その美しさがどこか“義務的”。これは、Instagram以後の映像感覚の罠でもある。すべてが美しいが、どこにも焦点がない。美しさを重ねれば重ねるほど、物語の輪郭がぼやけていく。新海監督作品の本質は「風景の美」ではなく、「風景の中に取り残された人間の孤独」である。そこを履き違えている限り、どれだけカメラが精密でも、観客の心をえぐることはできない。
もちろん、実写化そのものを否定する気はない。
むしろ、新しい世代に“秒速”の世界観を伝えるという意味では、意義はある。俳優たちの演技も悪くない。ただ、どこか「誰もがわかる感動」に寄せようとした結果、原作が持つ繊細な温度差が失われた。
秒速5センチメートルというタイトルは、「桜の花びらが落ちる速度=人が別れを受け入れる速度」の隠喩だ。だが実写版の貴樹と明里は、あまりに説明的に“別れを受け入れて”しまう。観客に「この二人はもう戻らない」と悟らせる構成があまりに直線的で、詩ではなく報告書のようになっている。
結局のところ、この映画は「思い出を再現する映画」にはなっても、「思い出を更新する映画」にはならなかった。つまり、過去の名作に敬意を払いながらも、その“痛み”を現代の文脈に翻訳しきれなかったということ。映像の美と音楽の感傷に酔いしれたまま、肝心の“秒速”――人の心が変わる速度――を見失ってしまった。
静かに、琴線に触れ続けている
原作のアニメ映画は未見です。
なので元々の作品ファンの方にとっては気になる箇所もあるのだと思いますが(自分が原作ファンの作品はそうなりがちなので)、少なくとも初見の私には無理な改変や要素は感じられず自然に物語を追うことが出来ました。
まず俳優陣の演技が良かった。
とても自然で、喋り慣れていない人が言葉を選びながら話す時の話し方、繊細な仕草や表情。言葉で多くを語りすぎない、静かな心の動きが伝わってきました。
小学生の頃の淡い恋の思い出、
遊びながら帰る住宅街の通学路、
他愛無い話題で溢れた手紙のやり取り、
親には秘密の待ち合わせ、
意味もなく寄り道したコンビニ、
心に折り合いをつけるためにただ泣きじゃくるしか方法を知らなかったこと
映画を見ながらふと自分のことを思い出してしまう、考えてしまう。そんな心の琴線に触れる瞬間が幾度もありました。映画を観た人の誰しも、どこかに共感できる箇所があるのではないでしょうか。今となっては愛しい学生時代。そうして少し、子どもの頃の自分にちゃんと向き合える大人になっているのかと、幼い遠野くんの言葉に不安になります。
何度も何度もすれ違い、出逢いそうになってはまた離れる二人。転勤族の孤独な小学生たちの出会いは0.0003%の奇跡で、二度目の奇跡はなかったけれど、どれほどかけがえのないものだったか。彼らの日常に、あるいは約束の場所へ駆け出す衝動に、見出すことができました。
お互いに忘れることなく、ただ果たされなかった約束。ロマンチックでドラマチックな恋愛ドラマのように、約束の桜の下で再会することも、踏切の前で待ってることもなかったけれど、だからこそとてもいろいろな感情を引き出され、観終わった後の余韻からなかなか抜け出せない作品と感じました。
さくらの落ちるスピードは秒速5cm
小説とかは読んでないので映画で初めてです。
最後大きな木で出会いラブな感じで終わるかと予想してたのですが全然違いました。
でも、、それもそれで儚い感じがあってとても良い !
見たかった映画なので楽しめました🥴
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