秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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愛する人々の出会いと別れ
感想
演出・脚本・撮影
原作の要点を残しながら尚も不足する分を補填し、各配役に印象的な台詞を配している原作を凌駕したよく考えられた素晴らしい脚本。撮影・演出としても場面一つ一つに原作へのリスペクトと同時にオリジナリティ溢れる印象的で秀逸な映像を創造する事に成功している。纏め方もこれぞ実写作品である。と胸を張れる創りになっており、監督のカット割や演出技量、原作を意識しながらも実写版にしかない新しい映像センスを感じる出来映え。新海作品へのリスペクトを感じつつ、本作は現代日本における商業映画の代表作の一つと言って良い作品に仕上がっている。画面的にも16㎜フィルム映像風にダウンサイジングしているという話であったが、自主製作作品のような雰囲気も充分に感じられ、邦画の制作表現過程のステージがまた一段上がったと感じられた。
俳優
松村北斗氏、高畑充希氏、脇を固める引き立て役の
森七菜氏、吉岡秀隆氏、宮崎あおい氏、諸氏は安定した素晴らしい演技を本作でも披露している。
他、青木柚氏はじめ出演俳優陣の肩ひじを張らない自然な演技も流石の一言。素晴らしかった。
特に松村北斗氏の演技は心の内面が滲み出る雰囲気があり素晴らしい。そして若き日の貴樹と明里を演じた上田悠斗さんと白山乃愛さんの演技は原作がよく読み込まれており兎に角素晴らしく観ていると新海作品とオーバーラップし涙する。
もののあはれ
⭐️4.5
「エモい」という言葉と現代社会
デジタルで撮られた映像を16mmフィルム風にグレーディングしている映像。いくら何でも主張激しい。少なくともフィルムダメージは絶対入れなくてよかった。人々がエモいと言っているものはエフェクトに過ぎないし、情緒として余韻を作るカットの繋ぎ方もしてない。
金だけかけて内容のこと、何も考えてないとても愚かで作家の自慰的な映画だった。
新海監督のタッチを実写で表現している奥山監督作品
繊細で純粋な恋物語、新海監督の原点ここにあり
典型的なすれ違いラブストーリーでありながら、美意識の高い映像と繊細で純粋な作風が深く心に刻まれる。原作者である新海誠監督の原点が静かに、しかし鮮明に蘇った感がある。
本作の主人公・遠野貴樹(松村北斗)は小学校時代に転校してきた篠原明里(高畑光希)と互いの孤独を癒すことで心を通わせるが明里の転校で離れ離れになる。中学1年の冬に栃木の岩舟で再会した二人は、2009年3月26日に同じ場所での再会を誓う。時は流れ2008年、貴樹はシステムエンジニアとして働きながら過去の想いに揺れ動く日々を過ごしていた。明里もまた過去の想いを抱きながら穏やかな日々を送っていた。やがて二人はそれぞれの過去の想いに静かに向き合い始めていく。
二人の会話は、幼い頃の純粋さから、思春期の揺らぎ、そして、大人としての覚悟に変化していく。そのプロセスが丁寧に描かれており、相互信頼、相互理解が愛に昇華していく様に心打たれる。特に子役の演技が秀逸で、表情や台詞に込めた想いが自然体であり、二人の関係性にリアリティを持たせている。
当初、二人は、心の中に封印していた想いを、人生経験、人間関係を通して少しずつ解放していく。その姿は青春の彷徨そのものであり、誰もが一度は経験する“言えなかった想い”と“踏み出せなかった一歩”を象徴している。私自身も、かつて言えなかった想いを抱えて彷徨していた時期があった。だからこそ、二人のカミングアウトには深く感情が重なった。同時にカミングアウトの大切さも実感できた。
ラストの踏切でのシーンが作品を静かに集約していて心に深く刻まれる。迷いを振り切って二人がそれぞれの人生を踏み出すことを示唆している。
人生には、想いを言葉にできないこともある。誰にも言えず、ひとりで抱え込むこともある。それでもなお、過去を断ち切ることで人生は前に進んでいく。本作は、迷いの中にいる全ての人たちに過去を抱えながら前に進む勇気を与えてくれる熱いメッセージである。
男と女の恋愛に対するとらえ方を感じさせる映画
誰かの支えになる言葉を伝えられたらいいな
とても人気があるということは知っていますが、アニメ版はまだ観てません。どんな話だったかも知らず...
実写化映画ということで、何となく雰囲気に惹かれて観てみました。予告編でSixTONESの彼が主演ということは知っていましたが、それ以上は特にインプットなしで。TVドラマで見て落ち着いた印象があったので、そんな雰囲気がハマる役柄かな〜ってくらいで
意外と、といっては大変失礼かもしれませんが、とても味わい深い映画だと思いました。主人公の気持ちや成長を描いた物語ではあるんですが、それぞれの登場人物たちの心の動きがきちんと描かれていて、"群像劇"という感じが色濃いです
共通して描かれているのは、多くの人が誰かの"一言"に影響され、時にはそれに支えられて生きている、ということ。その"言葉"自体は過去の出来事かもしれないが、それを受け取った誰かにとってはずっと生き続ける"今"になり得る、ということ
全てのシーンがのんびりとゆっくりと進んで行く。それぞれに十分な間があり、見る側は忙しなくストーリーを追いかける必要がない。そのため、映画を観ながらも、登場人物の言動や迷いを自分の過去の出来事や経験に照らして反芻する時間がある
この映画は恋愛ストーリーではあるもの、若い人がキュンキュンする、というより、ある程度人生経験のある大人が過去を振り返りながら味わうことができる物語、と言えるように思います
それにしても、このタイトルを聞いたときからずっと思ってたのですが...
秒速5センチメートルって、いくらなんでも遅すぎますよね
2.5m落下するのに50秒かかる速度。いくら空気抵抗があっても自由落下でそんなにゆっくり落ちる物体。そんなにないと思うんだけどなぁ
どうでもいいけどさ。
思い出じゃなくて日常です。
「秒速5センチメートル」/新海誠
いつも応援している松村北斗さん(SixTONES)が
主演をしていることがきっかけでこの映画を知りました。
この映画は新海誠監督による
2007年公開の日本のアニメーション映画です。
全主人公・遠野貴樹と、
彼の成長や「時間」と「距離」によって変化していく
人間関係を描いています。
タイトルの「秒速5センチメートル」は、
“桜の花びらが落ちる速度”を意味し、
「人と人の心が離れていく速度」にも重ねられています。
私自身は学生生活の中で
転校したりすることはありませんでしたが、
仲良くしていた近所の友達が遠くに転校して行き
少しの間文通していたことを思い出しました。
大切な人との別れやその寂しさは
誰もが経験することで
その人たちの再会する確率はすごく低くて
でももしかしたらどこかですれ違っていたりするのかな…
なんて思いました。
忘れられない人がいることを、彼女は「思い出」ではなく、
「日常」だと表現されていて
切り離された過去ではなく、今日の話であると…
明里にとって、貴樹の存在は綺麗な思い出で済まされるようなものではなく、今の自分の血肉となっている要素なのだ。
私はこのセリフに、酷く共感しました。
どの時代も生きることに切実で誠実で、幸せを実感するまでの余裕はない...
迷う映画
きっと自分が20〜30代で、独身で、初見であったなら、ものすごくハマったかもしれない。
この映画の評価が難しいところは、そもそも新海さんの癖強のオリジナルアニメが既にあって、嫌が応なしにも比較してしまう点。比較するのがナンセンスである意見も分かるが、脳裏にちらついてしまう。その点で、なかなかデスアドバンテージになってしまってる。
おそらく「現在の役者陣で見てみたい」というモチベーションで始まったと思うが、それに白羽の矢がたった監督はじめスタッフ陣、役者陣は良い仕事をしたと思う。
一方で、それは自発的、内的に発生するクリエーションではないので、狂気とも思える映像美を追求してできたオリジナルと比較するとどうしても作品の質としてパワーが落ちる。それも難しい点だった。
また、パンフの内容からも見受けられたが、いろいろ迷いながら作られたカットがあったと思う。「さすがっ」と思うような良いカットや実写ならではの表現もいくつかあったけども、「これは本当に納得した絵なのかな?」と思うような部分もあった。そこはアニメと比較して実写の限界だったのかもしれない。
トーンは岩井俊二や篠田昇を意識したようにも見えるけど、これもまた狂気の二人と比べると、運とパワーが及ばない。この点は仕方ない部分もあって、見方を変えれば若々しいであったり、これからの伸び代に期待する、とも言い換えられる。
音楽については、江崎氏や米津玄師の楽曲を否定するわけではないが、1991は名曲だと思うが、やはりオリジナルの天門さんの楽曲が「新海作品らしさ」をたらしめてる要素として、かなり大きいウェイトを占めていることを改めて実感した。
というわけで評価も迷う映画であった。
しっとりと
精算
TVから突如流れた、涙を零さざるを得ない懐かしい曲。画面に顔を向けると、それは実写化が決まったCMでした。
それからしばらくして。あんなに美しい作品を実写化してしまう恐ろしさ、不安、心配が募る中、公開前にもかかわらず知人が必ず観に行けと言うのでムビチケを購入。役者が上手い下手関係なく、きっと主人公の貴樹は味がしてくれるだろうと少し期待をはじめました。
とどめは米津玄師の1991。なぜか切なくなるこの曲の歌詞を眺めながら、きっと切なくなると思い躊躇っていた気持ちを押し出して足を運びました。
結果としては、観に行くべきです。私はこれのおかげで、あの時から止まってしまった何かを精算できたような気がします。
トラウマは、米津玄師の軽快な「1991」が消し去ってくれた
原作アニメは10年以上前に深夜何気なく観て、誰も幸せにならない現実の残酷さにトラウマになって2度と観なかった。
実写化され、演技指導があったのか役者個人の解釈なのかは分からないけど高畑充希さんの寂しさと優しさの中に見え隠れする「今が幸せ」感ある笑顔の演技に救われた気がしました。
アニメ的な構図というか実にそれらしいCG的な実写表現と、雑な強めのフィルムグレインが「当時アニメをみた」という「過去の思い出」感を空気感としてうまく表現してくたように感じて、記憶の中の新海誠ワールドが実写化したらこういう表現なんだろうな、という期待通りの表現だった。
原作アニメは、救いのない現実の結末が主題歌の「One more time....」といっしょに心の重く響いてくるわけですが、実写化され見せられる登場人物たちの過去話は、現実の残酷さよりも違う登場人物たちの現在進行系の話を雑に切り貼りさて見せられてる印象もあり最後の踏切のシーン、取ってつけた感があって残念だった。(まぁ、それぞれの俳優個人の印象が強すぎるんだろうなぁ。ここらへん「からかい上手の高木さん」は違和感なかった)
とはいえ幼年期の明里役の白山乃愛の演技は切なすぎ。
可もなく不可もなく「無」
終わってみれば「無」でした。
原作もわからずアニメも見ていなかったからなのか、何を伝えたい作品なのか全く分からなかったです。
人気作品というだけで見に行ったのが間違いでした。
自分に合わなかっただけなのかもしれませんが、アニメを見ていたらおそらく映画は見ていなかったでしょう。
これが人気でいいの?って感じ。
何か特別に心に残ったものもなく、
「桜の花びらって秒速5センチメートルなんだあ」って知識だけ得た感じ。
寝不足だったら寝てました。
良かった点
映像の作り方はとても綺麗。
子役も含めてみんな演技うまっ。
悪かった点
子供時代を振り返りながら進んでいくので転校前か後か分かりづらかったし男の子の心情が読み取りづらかった。
せつない
おおむね評価します。
これはバッドエンドではない
ある程度大人になった人間にとってこの映画の過去パートは、
さぞや甘酸っぱいがすぎることでしょう。
特に男性においては
充実しなかった、鬱屈としていた、
好きな人に告白できなかったなど
まぶしい青春を送れなかった人ほど刺さること請け合い。
中高年の男子なんてものは大抵が格好をつけ、
心ここにあらずみたいな態度をとり、
クールを気取り演じる生き物。
この映画の主人公はそんな恥ずかしい格好つけを
『素』でやっているので
映画を見ている男性諸君は恥ずかしい過去を思い出して
身悶えするかもしれない。
しかも文字通り『次元が違う』原作アニメとは異なり、
実写なのでダメージがダイレクトに伝わる。
いつまでも『初恋』という一番輝いていたアノ頃に
捕らわれ続けている男に対し、
彼女が最後に出す『答え』が実にいい。
なおかつアニメとは違い現代パートを多めにする事で
主人公がいかに初恋をひきずっているかがよくわかる。
アニメのあっさりした結末も素晴らしいが、
この実写は原作のそれとは違った魅力がある。
元のアニメ映画を見た人で
『この映画はバッドエンド』と称する意見をたまに見かけるが
これは決してバッドエンドではなく
むしろ未来が明るくなる映画だと思っています。
実写がどうなるかはご自身の目でお確かめください。
個人的な名作!
原作に思い入れがありすぎるので
全546件中、141~160件目を表示
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