「香港映画の伝統とも言える「男たちの友情」に胸が熱くなる」トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
香港映画の伝統とも言える「男たちの友情」に胸が熱くなる
人間離れしたダイナミックなアクションや、「魔窟」と呼ぶに相応しい九龍城砦の造形が大きな見どころではあるのだが、それにも増して、因縁に彩られた男たちのドラマに引き込まれた。
特に、義兄弟の復讐と、友との約束の間で葛藤する九龍城砦のボスの苦悩は深刻で、見ているだけで身につまされる。
何よりも、主人公たちの価値基準や行動原理が、「組織の論理」ではなく「個人的な友情」に根差しているところには、思わず胸が熱くなってしまった。
ボスが思い悩むのは「友情」のせいだし、3人の仲間が命を張って主人公を助けるのも、すべてが「友情」のためなのである。
こうしたところには、「男たちの挽歌」などから受け継がれた香港映画のDNAのようなものが感じられて、何だか嬉しくなってしまった。
ボスの世代の爺さんたちも、主人公の世代の若者たちも、皆、超人的な戦闘能力の持ち主で、一体誰がラスボスになるのだろうと思っていると、出てきた時は単なるチンピラにしか見えなかった人物が、まさかの強敵になるところも面白い。
それにしても、ラストで主人公たちが九龍城砦に殴り込みをかけるのは良いのだが、気功の使い手で、いかなる武器も歯が立たないことが分かっている敵に、何の対策も練らずに戦いを挑むのは、余りに無謀と言えるのではないだろうか?
こんな化物、どうやって倒すのだろうかというハラハラドキドキは味わえるものの、普通のやり方では手に負えない相手だけに、もっと頭を使った「作戦」があっても良かったのではないかと思う。
そういえば、複数の仲間たちが、力を合わせて一人の強敵に立ち向かっていく様子は、「プロジェクトA」のラストを彷彿とさせて、そんなところにも、香港映画の復活の兆しが感じられる映画だった。