名もなき者 A COMPLETE UNKNOWNのレビュー・感想・評価
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歌唱に聴き惚れ、エモーショナルな描写に酔う
ボブ・ディランが駆け出しからスターダムに登り詰める映画中盤までの描写に圧倒されました。
俳優陣の歌唱はいづれも素晴らしく思わず拍手しそうになりました。また60年代のアメリカの世相や風俗をうまく織り交ぜ、叙情溢れる絵作りになっています。このあたり職人監督マンゴールドの手腕が如何なく発揮されていますね。
終盤は音楽の方向性を巡る対立やニューポートのフェスのシーンに少し時間を割き過ぎたようにも感じましたが、実話に基づく部分だし、必ずしも聖人ではない天才ディランの肝となる部分だったので、これはこれで良かったのかも知れません。
前半ディランとシルヴィがデートで観ていた映画 ベティ・デーヴィスの「情熱の航路」ですかね。映画.comのように感想を交歓する二人の初々しい描写にはほっこりさせられました。
あとタバコのシェアって今流行なのでしょうか?(アノーラでも見たような)
育った場所を超えること、レッテルの拒否。
2024年。ジェームズ・マンゴールド監督。何者でもない若き青年ボブ・ディランが、フォーク界であっという間に注目を浴びて成功する姿と、フォークにとどまらない作品創作の情熱との間で葛藤が生じていく姿を描く。何物にもとらわれない創作意欲は、周囲の人間関係や活動領域を次々と変えていくことにつながるという芸術家の苦悩。1960年代前半の数年間を描いているだけだが、既成の価値観が崩れていき、フォークが反戦ソングとして脚光を浴びていく時代に、意図せずにその体現者となってしまった男の姿が描かれる。
自分の過去を恋人にさえ明かさなかったり、ライブ中に途中退席したり、というお騒がせな言動は「レッテルを貼られることへの拒否」といえそうだが、それが人間関係では交際相手を怒らせ、活動領域では育ての親のフォーク界の大御所を悲しませることになる。天才の悲しい運命。
一度別れた恋人を時間がたった後でもう一度誘う時、二人はバイクに二人乗りする(ニケツというやつです)。このニケツシーンの躍動感がたまらない。明るい光と緑のなかを疾走する二人。ラストシーンでも新しい世界へと飛び出していく姿がバイクに乗る姿として描かれている。この映画でのバイクは「自由」そのものの表現なのだ。
あっぱれ、ティモシー・シャラメ。
ボブディランの若き日を描いた伝記映画。
伝記とはいっても、ほんの数年。しかし、そのわずかな年月に
数々のドラマがあったことがわかる。
ミュージシャンの伝記映画は、いろいろあるが、その中でも
最も心に響いた映画だった。
伝記ものにありがちな、お涙ちょうだいシーンはないし、
ドラマチックな演出はない。実際の話とは違う部分もあるが、
事実を淡々と描いているのが良かったと思う。
しかし、ティモシー・シャラメはすごい。噂通りのパフォーマンス。
ライブ録音らしいが、まさに、ボブディラン。
レジェンド中のレジェンドで、世界の頂点にいる
アーティストを演じ、歌まで歌うということで、相当の
プレッシャーだと思うけど、あっぱれです。
良かった
子供の頃からボブ・ディランの名前は知っていましたが、特に興味は無く、USA for AFRICAで初めて本人が歌う姿を見ても、メロディーに沿ってない歌い方も声も好きになれませんでした。
本作を観ようと思ったのは、予告編のティモシー・シャラメがカッコ良かったからです。
ディランの曲は「風に吹かれて」と「ライク・ア・ローリングストーン」をちょこっと聞いた事があるだけだから、知らない曲だらけで眠くなってしまわないように、前日に30分ほどYou Tubeを視聴しました。歌詞がいいなと思いました。そんな感じで鑑賞です。
まず、「ライオンは寝ている」から始まり、音楽映画として楽しいです。シャラメだけでなく、他の俳優の歌もとても良いです。
本作では若きディランが、才能を見い出されて一気にスターになったものの、周囲の期待と自分のやりたい事とのギャップに違和感を抱いていく姿が見られました。
ボブ・ディランという人は、気難しく、気まぐれで、いい加減な所がありますが、音楽への思いは真剣だと思いました。真面目に努力するというのとは違うかもしれないけど集中力がすごい。
詩のセンス、時代の流れを感じ取るセンスが天才的なんでしょうね。
フォークのファンがエレキギターを嫌うのは想像がつきますが、既存の曲に満足して新しいものを中々受け入れない、新曲さえ、というのはちょっと驚きです。
本作のニューポートフォークフェスのディランの演奏は最高でしたが、ブーイングの嵐が起こると同時に拍手喝采もありました。今の感覚では、これのどこが悪いんだろうと思ってしまいます。
大音量だけど芯の部分はブレていないと感じます。
余談。
子供の頃は地味で暗い、と好きではなかった日本の70年代フォーク。今はメロディや歌詞がきれいだなと思います。日本のフォークは情緒的ですね。
私が本場のフォークの方に興味が持てなかったのは、電子オルガン(エレクトーンの事ですが他社なので)の教材として知ったからかもしれません。シンプルだから、初級用のテキストによく載ってましたが、それだとフォークの魅力が分かりません。フォークは歌詞があってこそだなと思います。
苔むすくらいなら擦り切れるほうがまし
ボブ・ディランの初期の歌を聴きたくなった
1 音楽家ボブ・ディランの前半生を描く。
2 映画は1961年に何者でもないディランが病で歌えなくなったウディ・ガスリーを訪ねるところから始まる。そこでウディと見舞いに来ていたピート・シンガーに自作の歌を披露し、キャリアの切っ掛けとなる。この場面は、あたかも立会人の下で、プロテストソングの魂を古老から新人に受け継がれるようなシーンに思えた。
3 ディランはデビュー後、数年のうちに時代の寵児となった。キューバ危機やケネディ大統領の暗殺で国内が浮き足立つ中でも、ジョーン・バエズとともにギターを掻き鳴らし歌いつづけた。公民権運動において、彼等の歌のメッセージが人心に届けられた。ディランは、歌の言葉で時代の変革を説く一方、自身の音楽性に変化を求めた。アコギをエレキに変え、音楽活動はオーソドックスなフォークソングから幅を広げた。そこに世間がディランに求めることとディランのやりたいことにズレが生じ軋轢となった。劇中、フォークフェスにおいて、ディランのバンド演奏中に観客が批難し、ディランが訣別宣言したエピソードが語られた。
4 本作は、ディランの前半生を映画化した。生存しているだけに始末の仕方が難しいが、青年期に絞ったのは賢明であった。音楽家としての彼の武器は鋭いメッセージ。それを何かの紙の余白でもかまうことなく常に書きつづけた。こうして生まれたメッセージが60年代という時代に吹いていた変革の風と合致し、彼は望まないのに時代の代弁者とされた。彼はただウディガスリーを敬愛し、やりたい音楽を創り、去って行った彼女と生活したかった。それだけであった。
5 映画の暗めの色調や室内の美術といった道具だてや演奏シーンは時代の雰囲気で出て良かった。また、本作の主要メンバーであるボブ・ディラン、ジョーン・バエズ、ピート・シンガーのそっくりぶりは見事であった。シャラメは台詞に演奏や歌唱と頑張った。ノートンの好人物ぶりも良かった。
すばらしい映画でした。でも…
本当にすばらしい出来栄えの映画だとおもいます。
でも、受け手の感性と知識がなければ、その魅力も半減するという代表作です。
まず、ボブ・ディランのことをよく知らない。風にふかれてぐらいしか曲がわからない。
それと、時代背景がよく分かっていない。後からああだったかと思い返せても、映画は止まらないから、あれよあれよという間に進んでしまう。本だったら、読み返すこともできるけどね。
自分の問題だから、作品になんの罪もない。
ただひとつだけひどく印象に残ったのは、恋人の心の動き。
美人の女優さんの演技がすばらしかったと思う。
価値観、世界観、住む世界の違うものどうしが惹かれ合うといのは、恋の常識かもしれないが、懸命な彼女は、後ろ髪をひかれながらも、彼のもとを去る。
涙です。
しっかりボブ・ディランのことを勉強してから、もう一度みてみたい映画でした。
作品は本当によくできた、すばらしいものだったと思います。
ボブ・ディランに生きうつしっ❣️
ティモシー・シャラメ素晴らしいっ❣️
ボブ・ディランに生きうつし😳(本物のBob Dylan見たことないけど…)
アカデミー主演男優賞獲らせてあげたかったなぁ💚
にしても、この冬は良い映画がいっぱい過ぎます。
Bob Dylanを映画で、することは。
答えは風に吹かれて…
ボブ・ディラン、シンガーソングライターで初めてノーベル文学賞を受賞した人だ。
今作、1961年〜65年。ディランが、ギター1本片手にミネソタからNYに出て来て、瞬く間にフォーク世界より時代の寵児となり、瞬く間にロックサウンド世界に疾走していく。
その5年間を切り取った音楽青春映画である。
J・マンゴールド監督作。
ある人の特定の時間についての物語であり、歌で多くの事が伝えられる世界についての物語だとも述べている。
この時代のエネルギー、バイタリティが横溢する映像。時代の熱が伝わってくる描写。
この時代、アメリカは激動の時代。黒人公民権運動の高まり、JFK大統領就任と暗殺、キューバ危機…
65年にはベトナム戦争にさらに足を踏み込む北爆が始まる。
そんな時代にディランは世界に姿を現してくる。
素晴らしいのは俳優陣の歌唱力。ティモシーシャラメが存外に良かった。相当なトレーニングをし、ディランになりきっている。ジョーンバエズを演じるモニカ・バルバロ、エドワード・ノートンらが歌う力。音楽と歌詞が渾然一体となり物語を駆動させる。
バエズ演じるモニカ・バルバロもアカデミーにノミネートされている。その歌唱力には驚いた。トップガン・マーヴェリックにも出演、注目される女優の1人。
音楽伝記映画で私が感銘をうけたのは、ボヘミアンラプソディー。クィーンのフレディマーキュリーの半生を代表曲とともに描いた傑作だった。
今作はまた違った味わいを持つ秀作。
ディランの5年間、そこからの疾走、ジャンルの壁を破り、時代の壁を乗り越え、さらに走り続ける。
たどり着いた場所から、また次の場所へ…
天賦の才をもつものは、周囲との軋轢を生んでしまいがちだがこの映画でも同様である。
劇中、ディランは『風に吹かれて』をずっと歌い続けろ、とでも言うのか、とフォークの世界からロックへも向かう。
ディランを見出した恩人とも言えるピートシーガーのもとからも離れていく。
その後も周知の通り、時代は変わる、ライク・ア・ローリングストーンなど、名曲を生み出していく。
世界で最も知られているであろう『風に吹かれて』の歌詞は哲学的でもあり、普遍的で胸に残る。
どれほど道を歩めば 人として認められるのだろう
どのくらい白い鳩は飛び続ければ 砂浜で安らげるのだろう
どれだけの砲弾が飛び交えば 殺戮をやめさせることができるのだろう
…
人はどれほどの時間を過ごせば 自由の身になれるのだろう
人にどれだけ多くの耳があれば 悲しみの声が聞こえるのだろう
友よ その答えは風に吹かれている
苦手なジャンルでしたが…
ボブ・ディランについては全く知らず、ティモシー・シャラメが主演ということだけで観てきました。
普段サメだのゾンビだので大喜びしているアホの私にはちょっと合わなかったです。それでもティモシーの歌声、ギターの演奏は素晴らしかったし、他の出演者の歌も同様に、心を揺さぶられるものがありました。あと、エル・ファニングの演技もとても良かったです。そういえば、「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」もこの2人でしたね。本作のエルも最高だったので、彼女には今後もティモシーと結ばれない役をやってもらいましょう(笑)
ティモシー、アカデミー賞逃してしまいましたね…。「デューン2」もあったのでどっちかで取るのだろうと思っていましたが。それでも本作における彼の演技は素晴らしく、感情の機微を体現していたと思います。ボブ・ディランのことは全く知りませんが、ティモシー=ボブなのだと、自然と思える説得力がありました。
最後のフェスのシーンですが、あれってメタル系のフェスで例えるなら、Slipknotがトリで素顔晒してアイドルグループさながら踊って歌い始めるようなもんですよね。(ちょっと違う気が…)スゲーな、ボブ。
歌詞が突き刺さります
ボブ・ディラン
お名前を知ってるぐらいと、歌手でノーベル文学賞を受賞されたのに驚きましたが、受賞式を出席されなかったということでまたびっくりしたのを覚えています
それぐらいが私の知識で、少し勉強してから鑑賞しなければと思いました
検索したり、YouTubeみたりしましたが、あまり情報が豊富でないように思いました
そんな少ない情報の中でも、ティモシーシャラメの演技良かったと思います
ティモシーシャラメ扮するボブ・ディランの歌う そのリリックがすごく突き刺さりました
何でしょう
観てる途中から
もう一度観たいと思いました
ウディ・ガスリー、ピート・シーガー、シルヴィ、ジョーンの背景をもっと把握して もう一度観たいと思いました
Bob Dylanを知らずとも
伝記映画は、観客の予備知識で見方が変わる。若者であっても、Bob Dylanの熱狂者であれば、彼の曲も歴史も周知の事実。あれが足りない、これが足りないって批評になりガチ。一方、Bobと同世代であっても音楽に興味がない人は、歌詞の中身までは知らず、本作でBobや曲の背景に初めて触れるのだろう。
自分はその点中途半端で、曲は散々聞いているが、自分が生まれる前のBobの歴史なんて知らない。自分の知ってるBob Dylanは完全にオジサンだが、デビュー時は演じたTimothée Chalamet並のハンサムボーイだったなんて、初めて知った。エレキへの転向を批判される件は、吉田拓郎氏が語っていた経験と酷似して興味深かった。
本作で最も感銘を受けたのはやはり、Timothéeの歌唱。聴き比べてしまうと、声はそっくりではないかもしれないが、雰囲気は抜群でTimothée Dylanとして客を呼べそうなレベル。Joan Baezを演じたMonica Barbaroの歌唱も美しく、Baez作品をYouTubeで漁ってしまった。
本作は、曲を作り出す衝動に突き動かされる天才の青春をよく映し出していて、音楽映画としての完成度も高く、Bob Dylanを知らない人でも愉しめる。気が向いた時にしかパートナーの幸せを祈れない自己チュウは世間的な幸せとは無縁そうだけど、直ぐに次の相手が見つかるBobに世間的な幸せなんて必要なさそうと思った映画。
素晴らしかった
ボブ・デュランは世代ではなく、アルバムを3枚しか聴いてこなかった。みうらじゅんさん世代のものだ。特に何の思い入れもなく見たのだけどめちゃくちゃ面白いし、曲も演奏も素晴らしい。特にいいのは歌詞が字幕で出ることだ。名曲を惜しみなくたっぷりやる。また、見せ方もよくて、作曲やレコーディングでちょろっと聴かせて、おお!と思わせておいてライブでドカンとやる。2時間半もあるので、飽きるかと思ったらすっごく楽しいまま終わる。
女の扱いがひどい。シルヴィという素晴らしい彼女がいるのに、ジェーン・バエズを彼女の留守中に呼び込んで彼女の部屋でやる。ヒモのくせに。また、ジェーンとデュエットしている時、ジェーンはボブの目をのぞき込むかのようにガン見しているのに、ボブはそっぽを向いている。でも曲や演奏がいいのでこっちまでぽーっとなる。
当時はジャンルの壁が考えられないほど分厚かったようだ。そんな壁を破ろうとするボブを煽りに煽るのがジョニー・キャッシュで、そういう人大好きだ。
高田渡が好きです
まだ幼かった頃親父のカーラジオから流れてくる音楽にジャンルはなかった
なかったと言うよりも幼かったから知らなかっただけなのだけど
それから薄々と音楽のジャンルがわかるようになり自分はフォークやロックが好きなのだなと思うようになっていった
しかし映画が好きなこともありありとあらゆるジャンルの音楽を聴くようになりました
彼のことはあまりよく知らない
もちろん曲は聴いたことはあります
ただね、彼の歌詞を読んだことがなかった
海外の曲のほとんどを歌詞の内容も知らずに今までその雰囲気だけで聴いてきました
だから彼がなぜそれほどに崇拝されるほどの人気があるのか分からなかったし考えたこともなかった
彼の歌詞はシンプルで分かりやすい
そして威圧感がない
「俺についてこい」とか言いそうにない
不思議なことを不思議だと言い
おかしな事をおかしいと言う
いたってシンプルなのだ
ブルーハーツを思い出す
金子みすゞを思い出す
そして周りが勝手に騒ぎ担ぎ上げようとする
でもきっと、彼は風になってどこかへ行ってしまうのかも
彼の歌をちゃんと聴く機会をありがとうございます
自分を生きる
既成概念を実際に打破して行く。多分ご本人はそんなことは意図していなかったのではと思いました。ただただ自分を生きて行くということだったのではと感じました。最近においても例えばノーベル賞の授賞式に出席しなかったのは、今も自分の人生を生きていることの証だと思います。自分を生きる人は真実に幸せな人だと思います。人や立場によっては我儘に思われることもあるけれど、結局それは旧来の自分を保身する事であり、人目を気にした視野の狭い、それこそ自己中心的なことなんだと思います。ビジネスや自分の社会的立ち位置中心的なことなんだといつか気づく時が来るのかもと思います。
PS: 自分を生きることは日本では未だに難しいことかもしれませんが、音楽だけでなくどんなフィールドでもこの映画のようにブレークスルーを起こせる可能性があるという事だと思います。
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