「ディランファンにはいいけど」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN バビさんの映画レビュー(感想・評価)
ディランファンにはいいけど
クイーンとかエルヴィスとかホイットニーとか、スターの半生を描いた映画ってのは、総じて面白い。
面白んだけど、それって結局、スターの人生や、華やかさの裏の苦悩とかが面白いのか、映画として面白いのかがよくわからない。
だから本作も面白いんだけど、それは映画として優れているのか、単にボブ・ディランって人の個性が我々の感情を揺さぶってるのか、判断ができないね。
そして映画を観ている側がどれくらいディランについて知っているかによっても本作の評価が変わってくると思う。
「なんかノーベル賞をとった、フォークの人だよね?」ってレベルの人にとっては、本作でディランが何と戦ってるのは伝わりにくいでしょう。
クライマックスである、【フォークが政治運動だった時代にディランがエレキギターを持つことへの反発】ってのを、映画の観客がどれだけ感じとることができるか。
少なくとも40代以下の人にとっては無理なんじゃないかな。
ティモシー・シャラメがすべての歌を歌ったそうで、それはホントにすばらしい。
この映画のサントラは、ひとつの音楽アルバムとして完成しちゃってるんじゃないかな。
バエズを演じた、というか歌った女優も素晴らしい。
そしてちょいちょい「ファイト・クラブ」を見返してる自分には、エドワード・ノートンの老けっぷりにびっくり。
ご存命の場合、この手のラストには本人の近況の写真などが出そうなもんだが、それがまったくないのもディランらしい(笑)。
エンディングくらい本人の歌があってもよかったような気もするし、なくてよかったような気もするし。
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