「敢えての"完全に不明"」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN ひみあさんの映画レビュー(感想・評価)
敢えての"完全に不明"
若き日のボブ・ディランの音楽的進化を描いた伝記映画。キューバ危機や公民権運動、ケネディ暗殺といった激動の60年代。ディランの天才的歌詞と重なって時代の空気感に圧倒される。
映画の中のディランは田舎から出たてにして天才オーラ全開。大御所にも物怖じしない。ファンにブーイングされても全くブレない。
内面や感情はあえて排除し、タイトルどおり"完全に不明"な人物として描かれている。彼が理想とするカリスマとしての自分なのか。
ティモシー・シャラメはミステリアスな魅力でディラン像を体現。吹替え無しの歌唱演奏は鳥肌モノ。
いつも煙草をくわえたクールな佇まい(あの時代だから許される。現代ならスマホ?そんなのヤダ)。
三白眼気味の眼差し。鍛えていないカラダもセクシー(フォークシンガーが体を鍛えているイメージないから役作り?)。
あんな人いたら女子は殆ど好きになると思う。
フェスの途中で帰った彼女を波止場まで一応追っかけて行ったけど、追っかけたフリ、振られたフリ。
女性に執着がないのかないフリなのか、やっぱり"完全に不明"。
全編に流れる音楽は心地良く、ディランをよく知らない人の入門書としては秀作。
あとシャラメの入門書としても。2人のそれぞれの作品をもっと知りたくなった。
個人的にはもう少し彼の出目や作詞方法、本当の人物像を描いてほしかった(本人が現役だし、タイトルと逸れちゃうからダメか‥)ので星4つで。
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