今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
全196件中、101~120件目を表示
令和版恋愛青春映画としては◎。河合優実さすが❗️
令和版恋愛青春映画と言っていい作品。ストーリー的に突っ込みも入れたい箇所もあるが、恋愛青春映画としてはよく出来ている。河合優実は恋愛青春映画の演技はさすが。
ただ、残念なのは題名。いくらお笑い芸人の原作でも題名が長すぎる。ここは制作陣、配給会社は工夫して欲しかった。もったいない。
もうひと練りしてくれてたら・・・
長ったらしいタイトルを見て、俺の頭に浮かんだのは2017年公開の“夜空はいつでも最高密度の青色だ”。とても気に入った作品で、長いタイトルの他にも、小規模公開、地味ながら演技力のある売り出し中女優の主演という共通点が有って、勝手に期待を膨らませた。 単純に現在最注目女優の河合優実を観たいというのもあったけど。
【物語】
小西(萩原利久)は、大阪の大学に通う学生だが、唯一の友人・山根とクダラナイおしゃべりをする以外は、銭湯でバイトという地味な学生生活を送っている。ある日、講義で見掛けたお団子頭をした桜田(河合優実)という女子学生に心を奪われる。その後偶然何度か顔を合わせた後、勇気を出して彼女に声を掛ける。 そして、ときどきお茶する仲になる。
会話の中で桜田が口にした言葉が、亡くなった彼の祖母が良く口にした言葉と同じだったことで親近感を深める。小西がさらに距離感を縮めることを期待した矢先、突然桜田は小西の前から姿を消す。
【感想】
序盤はすごく良かった。スクリーンから漂う雰囲気やリズム感が、俺の期待を益々膨らませた。 ラストも良かったので、最終的にはまずまず満足出来たのだが、観賞前に連想した上述の作品ほどの満足感には至らなかった。
俺の中では、派手なアクションや展開の無いこういう作品はリアリティーが重要。登場人物の言動に「あるある」的共感を覚えるとしっくり作品に入っていけるし、そういう作品が好き。その点において、本作の中盤は違和感を覚えるシーンが散見され、気持が冷めかけた。ラストでだいぶ引き戻されたけど。
小西、桜田等、登場人物のキャラ設定は良いし、小西の友人山根、バイト仲間のさっちゃんの存在がストーリーを引き立たせているなど良かったところも多いだけに、惜しいと思ってしまう。もう一段脚本を練って違和感を無くしてくれてたら・・・
最後に注目の河合優実について。
世間と同じくTVドラマ“ふてほど”で存在を認識して、それ以後興味を持った。主演映画では“あんのこと”、“ナンビアの砂漠”に続いて3本目の鑑賞。前2作ではキャラ設定的に明るい娘ではなかったため、ヒロインとして「可愛い!」と思える姿は見られていないので、そろそろそういうのも観たいなと思っていた。が、本作も暗い娘ではないが、「女子の魅力発散!」という役どころではなかったのは少し残念。 ただ、ラストの小西と語り合うシーンでのアップでは彼女に思わず吸い寄せられた。マジマジ見るとこんなに美しかったのかと。 演技力があると、プロデュ―サーや監督は難しい役をやらせたくなる傾向があるようで、能天気な明るい娘みたいな役が回って来にくいのかも知れないが、次はラブコメ的作品で思い切りキラキラした河合優実も観てみたい。
シンプルながら深みある青春ロマンス
小西と桜田の恋愛ストーリーかと思っていたら、物語はそう単純でもない。彼らの成長ドラマであり、大切な人を失うことの後悔と悲しみのドラマであった。
映画のタイトルから何となくキラキラ青春物か…と勝手に想像したのだが、実はそうではなく、この年頃が抱える不安や葛藤を丁寧に掘り下げた大変見応えのある青春ドラマとなっている。どこか所在なさげで常に孤立感を抱える小西たちに自然とシンパシーを覚えながら、最後まで興味深く鑑賞することが出来た。
まず、良かったのは音の使い方である。雨の音やチャイムの音、テレビを最大音量にしたら?という問いかけ、ポストに入れる鍵の音。また、スピッツの楽曲『初恋クレイジー』の使用も気が利いていた。これらの音の演出は、小西と桜田の関係、更には小西とさっちゃんのすれ違いの関係を上手く演出していると思った。
中盤で小西と桜田の心の声をシンクロさせる音の演出、蕎麦のすする音や胸の高鳴りを『ドキドキ』とわざわざモノローグ風に表現するあたりは、少々遊びが過ぎるという気がしたが、こうしたユーモラスな演出は本作の一つの妙味に思える。
また、小西役・萩原利久、桜田役・河合優実、さっちゃん役・伊藤蒼、3人の演技も実に素晴らしい。夫々に長い一人芝居が用意されており、本作の大きな見所となっている。いずれも引き込まれるような演技に目を見張った。
更に、本作にはストーリーを転がすための様々なアイテムが登場してくる。小西が常に携帯している日傘、大学近くの名物犬さくら、喫茶店のオムライス、ヘッドフォン等、これらアイテムの使い方も実に上手く、シナリオの構成という点でも感心してしまう。
基本的に演出自体はオーソドックスにまとめられているが、所々に凝った映像も見られる。
例えば、冒頭の土砂降りの雨の中をヘッドフォンを付けて歩く桜田(?)の後姿、晴天の中を日傘をさして歩く小西の後姿。この対比からして面白いのだが、他にややフェティッシュな映像演出も見られる。宙に舞う犬の毛、空から降って来る雪の結晶、揺れる照明器具の紐といった繊細な描写は映像感性という点で嘱目に値する。
また、途中でスクリーンの画額が急に変わる場面が出てくる。その意図については今一つ理解できなかったが、きっと何らかの意味があったのだろう。
いずれにせよ、全体を通してよく考えられているシナリオであり、演出も含めて感心してしまう個所が多い作品だった。
その反面、残念だったことが2点ある。
一つは終盤の”ある演出”である。詳細は伏せるが、果たしてこのシリアスな場面でこの演出はどう受け止めればいいのか…。ここまでとても良い流れてきていたのに、この部分だけまるでシュールなコントを見ているかのようで、自分はかなり戸惑ってしまった。また、ここはバイト先の銭湯の店主の立ち回り方にも疑問を持つ。
もう一つは、途中で2度ほど登場する武器輸出反対デモのシーンである。これがストーリーのノイズになってしまった感が否めない。テレビやラジオからはパレスチナのニュースが流れ、明らかに何らかの意図を持って出しているのは確かなのだが、メインのドラマに絡んでくるかと言うとそういうわけでもない。この中途半端な描き方は感心しない。
今も、まだ言えない僕は
かつて桜田さんとそっくりな、顔も声もキャラクターも状況も、そんな女性を愛しました。河合さんともう区別がつきません。だから7回観ました。止まりません。だからだと思っていたのですが、映画自体が最高なんです。凡庸な日常から奇跡の恋愛が始まる非日常、日常の生から非日常の死、日常の日本から非日常のパレスチナ、さっちゃんの死は唐突では無く必然となり、それによって凡庸な日常の奇跡の愛が永遠の愛に昇華されていく怒涛のクライマックス、そして静謐な日常のラストに帰る。永遠の愛の日常を予感させた幸せ、だから観るのを止められない、永遠に観ていたい、今日の空が、中毒で良い、映画の虜になりました、自分の成され得なかった過去の呪縛から解放してくれたこの作品、今日の空が一番好きと言える僕にしてくれてありがとう。追伸、今、オードリー ヘプバーンのティファニーで朝食を観ていたら、既視感、最高!河合さん、ヘプバーンだね!
小説の内容を詳細に把握した人に向けた映像作品
まず最初に、原作小説を読んでから鑑賞されることをおすすめします。
本レビューでは、映画を観て疑問に思った方へ、個人の感想も含めた原作との違いを書きます。
映画のみならず、小説を読もうとしている方にもネタバレになることをご了承の上ご一読ください。
・小西について
原作では三重県出身で関西弁に近いです。映画では標準語なので、主人公以外が関西弁なことも相まって周りの人物全員と距離感を感じる印象になっています。
それに加え、心理描写が小説と比べてほぼ無いと言っていい少なさで、違和感を感じるほど何を考えているか分からない浮いたキャラクターになってしまっており、感情移入がしにくいです。
・祖母への思い
原作ではことあるごとに小西の祖母との思い出が綴られています。
小西がどれだけ祖母の考え方に影響を受けているか、どれだけ祖母のことが大切だったか、祖母が認知症になってから亡くなるまでどのような思いだったかなどが詳細に綴られており、逆に亡くなった後の思いを涙ながらに語るシーンは一切ありません。
映画では桜田との会話の中で口数も少なく何を考えているか分からない一方、急に祖母への思いを語り出した勢いに驚きました。
・傘の再現度
この作品で最も重要と言っても過言ではない小道具。
傘は絶対にこだわるべきだった。
小説では、折り畳み傘も雨用の長い傘も、祖母からもらった大事な傘という描写があります。
映画の折り畳み傘は酷い。千円で買えそうな、日差しが透けるほど生地の薄いシワシワの傘。しまいには祖母からもらった設定もありません。
あえて粗悪な雨傘を晴れの日にさしているという意味での変わり者を描きたいのかと思ってしまうほどでした。
ちなみに桜田に預けることになる雨用の長傘は、原作ではアニマル柄です。映画では紫色の丈夫そうな傘で"祖母感"を表そうとしたのかもしれませんが、「この傘派手でしょ」という台詞を出すには派手さに欠けていました。原作アニマル柄だし。
・桜田の暴言シーン
小説では決してこのような乱暴な表現はありません。
そもそも小西の推察というふうに箇条書きのように台詞ではなく文章として書いてあり、"不快""不気味だ"という言葉はあれど、"気持ち悪い""消えて欲しい"などの強い言葉は一切ありませんでした。
映画ではいきなり桜田が今までとは打って変わった衝撃的な発言をさも現実でしていたかのように表現されていて、それが小西の想像だったとしても、小西の中の桜田がいわゆる普通の大学生が言いそうな雑な言葉を使うような奴だと思っている描写に納得がいかず、がっかりしました。
・山根との喧嘩シーン
原作では、山根に対して小西は"消えろよ"などの強い言葉は発しておらず、普段よりすこし刺々しい態度の小西と普段通りの山根が少しずつ言い合いになってしまうというシーンでした。
本作唯一の救いである山根が、映画では雑に理不尽に傷つけられるという最も胸が痛むシーンでした…。
ちなみに原作では山根は坊主です。
・三人の長台詞
今まで原作と映画がいかに違うかを書きましたが、三人の長台詞はほぼほぼ原作のまんまなんですよ。
そこが良くないんですよね。
小説と同じくらい詳細な心理描写ができていないから、三人の熱量に着いていけないんですよ。
役者の方の演技はとても良かったです。特に伊東蒼さんは原作の喋り方のイメージそのままでした。
河合優美さんの長台詞中にカットを入れないまま突然顔面に寄る奇抜なカメラワークは、意図がわからず逆にノイズになっていると感じました。
・終盤のサクラの真似
このシーンで不快感を感じた方は少なくないと思います。
なぜなら心理描写が無いからです。
原作では、小西が桜田を励ますために今自分ができることを考えた結果、スーツに毛がついていたこともありサクラに本気でなりきることだという答えに辿りつき、その意図を一瞬で理解した桜田のことを驚異的に思うというシーンでした。
原作でも少し突飛な表現だったとはいえ、二人の思考が似ていることを表す大事なシーンです。映画で小西の心理描写があれば、どれほど印象が変わったか計り知れません。
・最後に
原作にはセレンディピティという言葉は出てきません。
一日で急激に仲良くなることはなく、ため息(喫茶店)以外に遊びに行くこともありません。
「さちせ」は「幸せ」と言うより早く伝えたいから。
「このき」は「好き」と言うより時間をかけて伝えたいから。
これに関しても原作では独特な表現でありながら納得のつく説明が強調されており、映画でもさらっと流すのではなく数回説明するくらい強調した方が、より意味を持たせやすいのになと感じました。
原作と比べるとあまりに違う点が多すぎて、これより他にも挙げ出したらキリがありません。
もちろん、原作に対してリスペクトを感じる部分もあります。
ただ、監督独自の台詞の言い回しや間合い、カット割りを先行した結果、伝わるべきところが伝わらず賛否両論が激しく分かれる作品になったのだと思います。
私の場合、映画を観てから小説を読んだため、映画の先入観がある状態で読んでしまったことを激しく後悔しています。
特に長台詞の場面は先入観なく、ノイズも無い状態で読みたかったです。
小説を読んでから映画を観た方の感想を知りたいです。
まさかの冷や水
河合優実の演技力は、相変わらずすごい。だけど、話が全く頭に入ってこない。小説だったら叙述トリックで驚いただろうけど、この作品における人間関係だったら、「はーっ」って言いたくなる。
初々しいといえばいいのか、マンガ的な出会いで、徐々に距離をつめる2人。最初のうちは、何とも思わなかったが、ジャルジャルの世界観が所々に見え始めて、うーん来たかって感じ。違和感を感じたまま流すように鑑賞していていると、予期せぬ長台詞。ここのシーンは、めちゃくちゃ心に刺さる。
いろんな伏線を張って、どんどん返しあり、予期せぬ感動へ。スリラーだったらそれでいいんだろうけど、その仕掛に冷や水を浴びせられて、全くの興醒め。
作り込みすぎもほどほどに。
さっちゃんの映画
さっちゃんに助演女優賞を!
下手なスプラッター映画より心を抉られる作品
Twitterで「今年ベスト」と呟いている方が散見されたので観ました。正直、原作者に対してプラスの感情がなかったので自分で観にくるタイプの映画ではありませんでした。
前情報を全く入れていなかったので、第一幕の間は『花束みたいな恋をした』のようなタイプかと油断していたらミッドポイントから話の方向性が一気に変化し、見ている間『花束みたいな〜』とは別の青春の痛みのようなものが噴出し「やめてくれやめてくれ」となりました。
もちろん彼らと全く同じような経験は私にはありませんが、それでも私の大学時代の思い出と重なり辛くて辛くて仕方なかったです。
もしこれを私が大学二年生の時に見ていたとしたら、死にたくて仕方なくなっていたかもしれません。
万人におすすめできる映画ではありません。
面白いと断言することもできません。
ただ少なくない人間の人生に影響を与える力を持つ作品ではあると思います。
そういう意味では間違いなく傑作の一本です。
そして、映画の終わらせ方、エンドロールに関しては、間違いなくあらゆる映画の中でトップです。
全ての映画に真似して欲しいです。
何度も何度も涙した
懐かしい街並みと懐かしい青春
世間は河合優実ばかりに目を奪われていてはいけない、伊東蒼に刮目せよ!
まだザワザワする
伊東蒼の怒涛のセリフにやられる
原作と大九明子監督が合っていなかったかも
大九明子監督作品が好きかというとそうでもないが、NHKのドラマ「かぞかぞ」が心に刺さったので鑑賞。
冒頭から相変わらず奇怪な演出、カメラワーク、編集、音響(褒め言葉)で攻めてくるので、昨今流行りの長いタイトル系のラブストーリーだと思って観に来た人は面食らうのではないか。
原作はお笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介による同名小説だが、未読なのでどこまでが原作通りでどこが大九監督の脚色なのかがわからないのだが、ストーリーとしては大学生のボーイミーツガール物の典型で、失恋、予期せぬ事件、偶然、それを乗り越えるラブストーリーとありがちな展開だ。そこに大九監督の独特な演出がどこかミスマッチに思えるのだ。
大九監督には瑞々しいラブストーリーよりも綿谷りさの作品のような少し湾曲した純文学系の恋愛ものの方がマッチする。
同じ大学に通う小西(萩原利久)と桜田(河合優実)は偶然の連続で意気投合するのだが、桜田ある時突然姿を消してしまう。後半はツッコミどころ満載の偶然が描かれていくのだが、この物語のキーワードとして「セレンディピティ」という言葉が出てくる。意味は予期せぬ発見が新たな価値を生み出す事象のことで「偶然の産物」や「幸運な偶然を引き寄せる力」を意味する言葉なので、人生は偶然や奇跡の連続なのだと解釈出来なくもない。
ただ、終盤の感情が爆発する濃い演出は流石に長くて疲れてしまった。
うまく言葉にならない
ロマンチスト
長台詞にこそ俳優と演出が生きる
河合優実が好き、関西が好き
見なきゃならないと久々に映画鑑賞。
最初はオーソドックスな恋愛映画でキラキラ系かと思いきや...
ストレートな映画ではなく、いろんな感情がうずまいてくる。
この映画は、とにかく俳優がいい。
それぞれ見せ場長台詞があるけれど、
映画にありがちな説明くさいものでもなく、関西人がよくしゃべる延長になっており、嫌にならない。
そこに音楽だったり、カメラワークだったりがあわさり、大きな見どころになっていた。
逆にセリフのない、阪急電車のシーンもとても好き。
脚本が福徳ということで、伏線や粋な演出もいきてきて最後まで心地よかった。
でも、主人公の気持ち、理解できるようなできないような。映画ってそんなもん。
全196件中、101~120件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。