今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
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3人の長台詞と伏線回収
原作は未読。ジャルジャルの福徳秀介が書いた小説となるとそれだけで身構えてしまう。序盤で繰り広げられる様々な会話にコントの雰囲気を少し感じてしまい、そういうのいらないんだよななんて考えていた。
小西くんと花が出会い、急速に距離が縮まる流れも微笑ましくはあっても特段印象に残るわけではない。インパクトがあるのはやはりさっちゃんの長台詞から。自分の好意をごまかしながら、でも伝えたくて、相手に気をつかわせたくなくてという彼女の思いが伝わってくる迫真の演技だった。やはり伊東蒼すごいな。
でもちゃんと続きがあった。それも思ったよりもありえない偶然で。このあたりは受け入れがたい人もいるんだろうな。自分もちょっとやりすぎなんじゃないかと感じたくらいだから。ただ、最後の小西くんと花、それぞれの長台詞が素晴らしい。いくつかの伏線が最後に回収されていく流れ。ちゃんと思い出す時間になったよ(こんな流れは望んでなかったと思うけど)と伝えたくなる。
恋愛って結ばれた2人のためのもの。片思いしている側からすると1つの恋愛の成就は失恋ということになる。でも、それを気にしていては恋なんてできない。どんなクソヤローになったとしても2人がよければそれでいいということ。本作のような特殊な展開になると不謹慎に見えてしまうがそういうものだと思う。そういう覚悟で放たれた言葉だった。あぁ、これも伏線回収。福徳秀介のおかげなのか、大九明子のおかげなのか、それとも3人の俳優のおかげなのか。想定外の感動をもたらしてくれた本作に感謝したい。
あと、空耳アワーに出ていた安齋肇を久々に見ることができて嬉しかった。しかもなかなかいい味出してる。これからも他の映像作品に登場することを期待する。
撮影、演技、脚本、音の全てに感嘆
自分の信頼してる方がオススメしていたので観てきました。
・大九監督の作品
・河合優実さんが出演
・原作が芸人のジャルジャル福徳さん
という情報のみで観に行ったが最高過ぎて震えた。
以下、細心の注意を払って書きましたが
もしかしたら少しのネタバレがあるかもしれません。
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◾️撮影
変わった撮影が多かった。
画面を二分割にしたり、重要なシーンではワンカット長回し、上からの撮影、物体ごしの撮影、不自然なズームなど。そのトリッキーさが映画の味わいを深めていた。
◾️演技
河合優実さんの演技が凄いのは言うまでもない。
自分は初見だったが伊東蒼さんの演技が凄かった。長台詞ワンカットシーンでの涙を堪えながら、全てを吐露する演技は語り継がれるべき。ここでの撮影も凄かったから観て!
主演の萩原利久さんと河合優実さんもそれぞれ長台詞があるのだが、それももちろん素晴らしかった。
忘れがちだが男友達のキャラクターもめっちゃ良かった。
◾️脚本
最初はインキャな男の子に不思議女子が近づいてきて満たされていく的な邦画キラキラ作品かと観ていたが、とあるシーンからこれは普通の作品じゃないと思わされる。
また、死というテーマに真摯に向き合っており、適当にヒロインを殺してしまう邦画作品とは一線を画していた。
あのセリフやシーンがここに繋がってくるのか的な感動もあった。
◾️音
この映画では音も重要なパーツになっていた。雨音や周りの会話が印象的。
また、その音を使って彼らの性格や特性を表していたり、ストーリーのギミックになっていたりした。
自分が観た映画館はodessaという音響システムが使われていたので観終わった後は音をしっかり聞いてほしいという意図があったのかなと思った。
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とにかく最高すぎた。鑑賞後もしばらく余韻が続いていた。ネタバレして具体的に凄かったところを書き語りたいが、1人でも多くの人に新鮮な気持ちで観ていただきたい。
観賞後の余韻が凄い
大九監督ラブ
今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
オススメしますが好みは分かれそう
ラストで「今日の空が一番好き」と言えた感じの作品。 本年度ベスト!!
上映前に流れるスピッツの「初恋クレージー」の音楽にテンション上がるものの鑑賞中、良い意味でだんだんトーンダウンして行った感じ(笑)
悲しくて切ない新鮮な恋愛映画って印象。
河合優美&萩原利久&伊東蒼さん目当て。
加えて松本穂香さんや古田新太さんも登場。
全てのキャストの素晴らしい演技に引き込まれる良作!
特に小西を演じる萩原利久さんと、桜田を演じる河合優美さんの2人の会話がとても良い!
大学構内で出会った1人しか友達のいない小西と誰も友達がいない桜田。
偶然出会うも直ぐに意気投合。
毎日の様に会い会話が弾んでいる感じ。
これは既に恋人だろって仲の良さ。
そんな中、小西のバイト先の銭湯のバイト仲間のさっちゃんが登場。
明るく活発的なキャラを伊東蒼さんが上手く演じているのが印象的。
さっちゃんの素直な性格は見習いたい(笑)
中盤までは、どこにでもあるラブストーリーなんだけど、それ以降の思ってもいない意外性のある展開が素晴らしい。
伏線も散りばめられて、然り気無く回収されるシーンも良かった。
特にテレビのボリュームの伏線は素晴らしかった。
終盤、河合優美さん演じる桜田の長回しでの顔面アップのシーンのセリフがメッチャ良い!
伊東蒼さんのギターがメッチャ上手いくてビックリ!
調べたら学生時代にギターを弾いていたのね( ´∀`)
ぐさっとくる
コントの書式を使って詩情溢れる世界を表現した斬新な傑作
世間のメインストリームに乗れない若者たちの人間、恋愛関係が描かれる。
彼らは日々の様々な状況で”違和感”を感じ、
言葉の読み方を変えたり、いろいろとツッコミを入れるシーンが出てくる。
これは、シュールなコントのネタのような構成だが、
その多くが楽しい、明るい感情ではなく、
悲しい、切ない、辛い感情のシーンで出てくるので、
笑いと哀しみという一見相反するものが近しい関係にあると思わせられる。
また、クライマックスの主要なシーンにおいて、構図を固定して、動きもなく、
話し手が長々とひたすら心情を告解する挑戦的な構成は、
コント的な自分自身へのツッコミを織り交ぜた斬新なセリフと、
素晴らしい俳優さんたちによって、集中度高く、強烈に印象に残るシーンとなった。
一方、傘、ギター、犬、洗濯ネットなどの物語のキーとなる事象の表現は、
対称的に説明も少なめで、映像や音楽主体で語られる部分が多く、詩的な余情に溢れている。
他にも、後半、醸成されていったかに見えた彼らの共感が容赦なく崩壊、急転する場面や、
ラスト実家でのワンワンの所作、大音量のテレビを背景にした会話など、
全編にわたってコントの書式と詩的な映像、音楽表現が見事に両立、融合されていて、
ものすごく革新的な映画だと感じた。
何度も繰り返し観たくなる
演出がありきたりの飛び道具なのに、ドヤ顔してきてしんどい映画
とにかくセリフが全部「花束みたいな恋をした」を余裕で超える気持ち悪さなので、あれがダメだった人はこの映画も生理的に受けつけないのでは。「洗濯機のゴミ」とか「鳩時計のほこり」とか「TVのボリューム最大」とか「山根弁」とか、思い出しただけで気持ち悪くなる。
ストーリーは中・高生向け恋愛映画(邦画)の王道。「セカチュー」とか「いまあい」とかとたいして変わらない。現実には起こりえないような偶然(実は彼女と彼女は●●でした!)や登場人物がいきなり死ぬなど、何の工夫もなく山場を作る手法で鼻白む。
ストーリーがあまりにもダメなやつなので、監督が何とか大人でも観られる映画にしようと頑張ったが、俳優が凄いのでたまたま上手くいった部分(伊東蒼関連)もあるものの、大半はキモいセリフにキモい演出のかけ算になってうんざりする映画になってしまっている。
さらに、おそらく原作にはない要素(フェミニズム、パレスチナ問題)を入れているが、これがまさにとってつけたものにしかなっておらず、ほとんど何の効果もあげず空回りしている。小西のダメさや暴力性みたいなものを多少は炙り出す効果があったかもしれないが。
犬関連と、桜田家父のファンタジー演出はすべて上手くいっていなかった。前半の縦横サイズを主人公主観で変える部分とか、後半の花をいきなりズームする部分とかが代表だが、とにかく演出手法がありきたりの飛び道具なのにドヤ感がすごくて、いちいち鼻白まなくてはならないのでしんどい。犬のスローモーション映像で「小西の中の何かが変わった!」みたいな演出は3回くらいあったのでは。あれは本当に酷いと思った。
撮影も気持ち悪い。特にラストの目尻の唐突なズーム。主人公のフェティシズム視点なんだろうが、単なるおぞましいセクハラ映像になってるだけ。
あと、現代が舞台なはずなのに大学生の登場人物はみなガラケー世代っぽい。スピッツが好きというもそう。そもそもストーリーもケータイ小説っぽいし。
ただ、中盤までの伊東蒼の出てくるシーンはだいたい全部よかった。ある機能を果たすためだけの人物にしたくないという演出意図はハッキリ効果をあげていたと思う。
脚本も演出も撮影も編集もダメだが(音楽と美術は普通くらい)、俳優陣は素晴らしい。というより、河合優実と伊東蒼のおかげでなんとか映画として成立している作品。
とにかく、「花束みたいな恋をした」がダメだった人はお気をつけて。
表現しづらいです。
レビューが良かったので鑑賞。やっている映画館が少なかったためか、満席だった。
前半の大学のシーンは自分の大学時代を思い出した。
銭湯の深夜バイトってあるのかな?と思って調べてみたのですが、あるのですね。
他の方のレビューを観て、河合優実の暴言は主人公の妄想だったのでは…?とのことで、そこはなるほどと思いました。
観て良かったといえばそう思うし、観なくても良かったといえばそう思う映画でした。
映画ってどうしてこうも簡単に死を扱うのか。レアすぎるものを扱うのか(この映画で言えば姉妹だったこととか)。
それが映画というものなのか…映画通ではない私にはわかりません。
とりあえず、観終わったあとに『恋愛クレイジー』は聴きました。
アレ(優勝ではない)
傘から解放されて青春を謳歌する
大学生の青臭さ、恋愛と友情、恋心と失恋、勝手な妄想と思い込み、自分のバカさ加減に呆れる後悔、そんな20歳前後のリアルを生き生きと描いた作品。
単なる恋愛映画ではなく、話の展開も予想の斜め上を超えてくるので、最後まで目が離せない。そして、大人が観ていても若かりし頃を思い出して思いっきり切なくなれる。なるほど、何度も観たくなる人が続出する訳だ。
小西にも桜田にも長台詞があるんだけど、何といってもさっちゃんの「大演説」には誰が観ても苦しくなる程に胸がぎゅっと掴まれる。まさに、この映画の最大のハイライト。
本作で大きな役割を果たす小道具が「傘」。傘は雨などから身を守ってくれる道具であると同時に、人との距離を取らせ、自らの姿を隠す役割をも果たす。不安で手放せない状態から、有頂天ですっかり手放す状態、忘れていたものが再び登場し現実を突きつけられる状態、等々、それは小西にとっての精神状態を端的に象徴し、無防備になった桜田は傘無しで雨の音を聴くことで自らの殻を破っていく。ある意味、『美晴に傘を』と共通したメッセージが見出せるのが面白い。
演技に定評のある河合優実だが、終盤、あれだけの長回しの顔アップでの表現力は流石。だが一方で、今回は伊東蒼の演技の素晴らしさが光っていたと思う。
最後に一点、自分的に気になったのが喋り方。吉本の出資だからといって、そこまでノリツッコミ的な話し方を多用しなくても良かったんじゃないのかなぁ?あれが関西では普通、とか言われたら、関東人の自分にはついていけないなぁ。
三者三様
大九明子監督
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