今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
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ただの最高純度のラブストーリーではない傑作‼️
すごい映画を観てしまった。いや、もはや3人の若者の人生を垣間見てしまった感覚だ。
一度目に観た時の衝撃が忘れられない。主演の萩原利久、河合優実、伊藤蒼、黒崎煌代。若い俳優陣の演技力の高さに震えが起こる。本当に素晴らしい。涙が止まらなかった。
大九監督、原作の福徳秀介さんに感服だ。物語、映像、音、ロールのないエンドロール。全てに衝撃を受けた。
1人1人のキャラクターが生きていて、リアルな学生の日常の喜びと幸せと、痛みのある時間が心に刺さる。大学生ってこうだった…自分の過ぎ去った時間を急激に巻き戻された感覚で、嬉しくも懐かしくも恥ずかしくもあり、こんなに心を揺さぶられた映画は初めてだった。
恋愛って痛いんだった。色々な意味でそう感じた。だからこそ尊くて愛おしいんだ。
伊藤蒼さん演じるさっちゃんと、河合優実さん演じる桜田さんに感動する方が多いみたいだが、もちろん私もその1人ではあるが、改めて伝えたい。この映画、何度も何度も観るたびに、萩原利久の凄さに1番衝撃を受ける。主演たる理由がわかる。小西の弱さ、残酷さ、もどかしさ、少しトリッキーな難しいキャラクターを、萩原利久が緻密にコントロールしながら演じている。ただの嫌なキャラで終わらないのは、彼の表情が瞳が間の取り方が仕草がセリフが、上手いテクニックにより、ただただ一生懸命に生きている小西をリアルに体現されていることに気づく。
あの2人の女優の大きなアクションを『受ける』芝居ができるのは萩原利久だからなんだと、改めて気づく。さすが子役から経験を積んできただけある。彼のこれからの演技が楽しみで仕方がない。
映画序盤のかわいらしい時間と後半の衝撃な時間。1本の映画でこんなに感情を揺さぶられるなんて。しかも何度も何度も観たくなるなんて。確実に自分の人生に影響を与えたひとつの映画となった。たくさんの人に観ていただきたい、勧めたい。そして世界中に大きく広がっていって欲しい。大傑作に出会えて私はとびきりのさちせだ。ありがとう。
時々目が点になる
最近観た中では、心が震える作品でした。
演出に関しては、好みが分かれるかもしれません。
でも、人ってみんな癖がある。
だからこそ、惹かれるんだと思います。
「人はどうしたら恋に落ちるのか」そんなことを考えながら観ていたら、まさに予想通りの展開で。
それでも、恋に落ちた人の目って本当にキラキラしていて、見ていて眩しい。
だから、さっちゃんは暗闇の中でも輝いて見えたんだと思います。
一方で、徹の眼差しにはどこか冷たさがあって、
同じ暗闇にいながらも、他人を見ているような残酷さを感じました。
偶然と共感は、人に安らぎを与えるもの。
だから一緒にいたくなる。
けれど、それが叶わないとわかった瞬間、
どうしてこんなにも悲しいのか——
自分でも不思議なくらい、心が動いていました。
そんな気分を味わえる、静かで強い余韻のある作品でした。
久々にハマった映画です。
幸(さち)せ、好(この)き
大学生の小西徹は、思い描いていたキャンパスライフとはほど遠い、
冴えない毎日を送っていた。
そんなある日、お団子頭の女子大生・桜田花の凛々しい姿に
目を奪われた小西は、思い切って彼女に声をかける。
いろいろな偶然も重なり、またたく間に意気投合する2人。
会話が尽きないなか、
「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好きって思いたい」
と桜田が何気なく口にした言葉が、小西の胸を刺す。
その言葉は、小西が大好きだった、いまは亡き祖母の言葉と同じだった。
桜田と出会えたことに喜ぶ小西だったが、そんな矢先にある出来事が2人を襲う。
といったあらすじ。
前半は大学生の恋愛、ラブコメなのか、と普通に鑑賞。
なんかなつかしいというか、うらやましいというか笑
桜田花を演じる河合優実さんのノーマルな姿、初めて見たかも笑
他の作品ではやさぐれて、心が痛い役柄が多かったから笑
ところが、後半は一気に急展開、重い雰囲気になり、どよーん。。。
萩原利久さん演じる主人公の小西が関わったもう一人の女性、
さっちゃんが居なくなったかと思いきや、まさか。。。
そして、弔問のためさっちゃんの家に伺うと、家にいたのはまさか。。。
まさかが二つも重なった。
どの役者さんも演技ももちろんだけど、長台詞がすごかった。
幸せは「幸(さち)せ」、好きは「好(この)き」、
そして「今日の空が一番好き、とまだ言えない」
なかなかストレートに表現はできないものですね笑
「初恋クレイジー」というスピッツの曲、知らなかったので調べた。
ホントにあった、1996年でした。
嫁がスピッツ好きなので、CDを持っているかと思い、探したが、
見当たらなかった笑
まあ、音楽CDをかける機器は家にないけどな笑
そして・・・テレビの音量を最大にする勇気は私にはない!笑
スピッツ好きな人は多分好き🐶
恋愛は迂闊に人を傷つける
本作はタイトルからして私の苦手な恋愛系の作品だと思って見るのを躊躇っていたのですが、You tubeなどでジワジワと専門家筋の高評価が目に入り気になって、やっと見てきました。
お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が2020年に発表した恋愛小説を、大九明子が監督し主演は萩原利久、河合優実、伊東蒼と言った今が旬の癖のある役者も揃えていて、どんな作品なのか全く予想できませんでした。
で、見終わって「あぁ~、また何も言えない系(ネタバレ注意)の作品なのか」と、もう感想は月末の短評で軽くまとめようかと思ったのですが、色々と思うところがあったのでネタバレなしでの、物語とは関係のない部分で思いついたことを喋って行きたいと思います。
上記したように本作はお笑い芸人“福徳秀介”の書いた小説が原作と言うところから、どんな映画なのか全く想像が出来なかったのですが、最近同じお笑い芸人の“バカリズム”脚本のテレビドラマを見て凄く面白かったのと、ほんの少し共通点があるように感じました。
恐らくメインの物語とは外れた部分での台詞のやり取りの面白さだと思うのですが、従来の映画監督や脚本家とはまるで違う「ああ、お笑い芸人の人達ってこういう台詞の会話が思いつけるのか」という部分にけっこう惹き込まれていました。
前にYou tubeで岡田斗司夫氏が、感想を書けないという人に対しての相談で、小説や映画の解釈に於いて大きく二通りのタイプがいて理論的に解釈をする人と気持ち的に解釈をする人がいて、おおまか理論的な人は気持ち的な部分が分からなくて、気持ち優先の人は論理的な部分(物語構造やテーマやバランス)が分からない人が多い。
なのでお互いを“論理の壁”“気持ちの壁”(バカの壁)と呼んで理解し合えないという感じの話をしていたのを思い出し、私自身、頭では両方のバランスが大事だと理解していても、上記で「恋愛映画が苦手」と言ってること自体、論理側の人間だと告白している様なものだと感じてしまいました。
なので本作の台詞を聞きながら、お笑いという職業自体がこういう気持ち側に寄り添う感覚が無いと出来ない仕事なんだということに改めて気付かされましたね。
話がちょっと脱線しますが、You tubeを見ていて、最近デビューしたばかりの日本のガールズグループ『HANA』という人達の曲がどうやら大ヒットしているようで、世界中で注目を集めている様なのです。
このグループは“ちゃんみな”という人気女性ラッパーがプロデューサーを務めて出来たグループであるらしく、1年くらいかけてのオーディション番組「No No Girls」プロジェクトの合格者により結成されて、今更ながらこの番組をYou tubeでボチボチと見ています。
本来、こういう番組は感情移入し過ぎるので見ない様にしているのです。出ている女の子たちが孫の様に感じて必ず落ちる人がいるので辛すぎますから(苦笑)
で、この番組に引き込まれるのはまず、応募者よりもプロデューサーのちゃんみなの個性に寄るものの方が大きいですね。彼女調べたらまだ27歳とのことで、それであの指導の出来ることの凄さの方にまず驚かされました。
話を戻しますが私はラップ音楽はダンスを習っているので聞き流してはいても、詳しくは全く理解していません。で、この番組を見ながらラップの歌詞などを見ていると、まさに上記した“気持ち”のぶつけ合いなんですよね。で、本作の台詞を聞きながら、ある意味これもラップなのかも知れないという風に思えたのです。
「No No Girls」の企画って、今まで自分に対してでも社会に対してでもNOを感じ続けていた人達を集めたオーディションであり、自分の抱えたコンプレックスと夢のぶつけ合いであり、これってまさに(私の苦手な)“恋愛”と、非常に共通点が多いのに気付いてしまいました。これって必然的に誰か傷つく人が必ず出てしまうのですよね。それに私達は涙してしまうのです。
多分私はそういう部分から距離を置く(逃げる)タイプだから、恋愛映画が苦手で通してきたのだと気付かされましたよ。
しかし、本作のさっちゃんの長台詞は、まさに心からの絞り声であり、ラップだった様に思えた。
ポスタービジュに騙されますね、良かった!
この映画が一番好き、とまだ言えない僕は
ジャルジャルの福徳君の原作小説の映画化だそうだ。ジャルジャルのコントは一つしか見てないが面白かったのは憶えている。でもこの映画は見る人によって評価分かれそう。
若いころはみんな自意識過剰で人からの自分の評価が気になって仕方ない。大学デビューに失敗した徹は周りに溶け込むこともできず、くすぶったキャンパスライフを送っていて友達と呼べる人間は変わり者の山根のみ。
キャンパス内で居場所のない徹は山根を誘い誰も来ない屋上庭園で昼飯をぱくつく。友達のいない高校生が教室じゃなくてひとり屋上で昼飯食べるように。
自意識過剰な徹は紫外線ではなく人からの視線を避けるかのようにキャンパス内では常に日傘をさし続けた。しかしそれは逆に目立つ行為でもある。むしろ視線を避けてるというよりかは自分のことを注目してほしかったのかも。
誰からも関心を持たれないから誰か僕のこと見てよ、みたいな感じで。それは山根のド派手なファッションやきつい方言同様、徹の必死の自己アピールだったのかもね。花と出会って注目される必要なくなってからは日傘ささなくなったし。
若いころはとにかく人からどう見られてるかが気になってしょうがない。でも実際は誰も自分のことなんか見てないんだよね。みんな徹と同じく自分のことで頭が一杯、他人のことなんか気にも留めない。
ラジオから流れる中東情勢や、構内の反戦デモなんかもみんなさほど関心がない。
徹も自分のことばかりで余裕がないからバイト仲間の咲の自分への好意にも気づけない。特に花との出会いで有頂天な時だから尚更だ。
自分が繊細な人間だなんていいながら咲の気持ちには全然気づけない。所詮は徹も自分を代返に使う同級生たちと変わらない。咲を都合のいいバイト仲間としか思ってないんだよね。
咲の告白を聞かされてもただただ困惑するしかなくて彼女を思いやる言葉の一つもかけられない。
徹から何の言葉もかけてもらえないからか、咲の独白は間をもたせようとやたらと長々続いて聞いててちょっと引いてしまうくらい。ここはあえて監督はこのように演出したんだろうか。
勝手に片思いして勝手に失恋して、そんな心の内を恋愛対象でもない子から長々と聞かされても、みたいな迷惑そうに感じてるそんな徹の残酷な心理を表現するためにあえてそうしたのかも。
このシーンの伊東さんの演技がいいという人多いけど、見ていて私も引いてしまったから監督はあえてウザく演技させたのかと。
思えば寒い演出が目立つ作品ではある。やたらと変なタイミングでスローモーション入れたり、なんでこのタイミングでと首をかしげるシーンが目立つ。
前半の徹の言動に寒いのが多いのは有頂天になっている徹の若さを表現してるのでまだ許せる。花と仲良くなれて突然叫び声をあげるとことかはやはり寒いけどね。終盤の犬の真似はドン引きしたな。
監督の作品は「私をくいとめて」しか見ていないがあれは普通に面白かったんだけど、本作はやたらと奇をてらいすぎじゃないかな。すべて空回りしてるような気がする。
ドアを引くではなく押すとか、もぐもぐ咀嚼音などを台詞で言わせたりとか、なんか奇抜なことしたかったのかな。
ほんと見る人によって評価が分かれる作品だとは思う。私は個人的にイマイチだった。正直中盤までは駄作だと思って見てた。中盤以降の展開がなければほんと見てられないくらい。あれでなんとか持ち直してくれた。
よかったシーンは古田新太が咲の焼香に訪れた時に叫んだその声にかぶせるように花が「最悪!」と吐き捨てたシーン。あれは本作で白眉だったな。河合優美がやはり本作でもよかった。
自分のことしか考えられない自意識過剰な主人公が苦い経験をしてほんの少しだけ成長してあらためて恋愛に一歩踏み出していく。そんな普通の恋愛もの。
ちなみに伊東さんは古田新太と共演すると必ず交通事故で死ぬんだね。
ポスターだけ見るとほのぼのとした青春映画かと思いきや胸が苦しくなる...
お団子ヘアは傘とヘッドホンと同列だった
ほんとう、あんなお団子ヘアは陽キャとまで行かなくとも親友は居そうだし(本人の思惑通り)
このポスターから爽やか大学生の恋愛ものかな?と見てみたら!始まりは爽やかそのものだったが…こんなことになっちゃって!
さっちゃんの言葉が身に沁みる
好きな人と仲良くなりすぎちゃダメだよって言う…
片思いのうちに友達になっちゃダメ 私が事例!長い吐露、もう涙なくして聞けない。
映画の最後の方で、この場面の表情アップが見えてまたもっと泣ける。こんな表情だったのねとわかり…
僕はもうあなたに感情を伝えつづけるだけの人生で良いんだよ、ってそういう気持ちすごいわかる!
すごいわかるのだけど、そう告られても困る〜
だから聞こえないうちに言ったのかなぁ?
表現することの大切さを考えさせられる映画
山根のキャラ好きー
出演者の演技力凄まじい
切なく胸うたれました。
抜群のキャスティング、切なく痛みを伴うラブストーリー
大九明子監督・脚本、コント職人ジャルジャルの福徳秀介が2020年小説家として発表した恋愛小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』を映画化。
萩原利久演じる関西大学の学生の小西徹は、周囲でキャンパスライフを謳歌する周囲に同調出来ず冴えない毎日を過ごす。そんな中で河合優美演じる桜田花と出会い意気投合していく。
そこに男同士の友人関係やアルバイト仲間の咲のほのかな恋が絡むも、後半のストーリーは衝撃的で心に迫る展開。
河合優美ファンとしては、彼女の魅力に浸ることが出来る映画だったが、特筆すべきは咲を演じた伊東蒼の演技、心地よく響く関西弁の長台詞も素晴らしかった。映画「さがす」で初めて見た伊東蒼は今後も目が離せない。
また意外にも、空耳アワーで有名な安斎肇が喫茶店のマスターとして出演しており、それもいい味を出していたり、要所要所に登場するラブラドールレトリバー、その毛が美しく舞う映像美なども効いていた。
単に青臭い青春ドラマとならず、若い男性ゆえの愚かさ、痛みを伴う切ないストーリーを見事に描き切ったインディーズ映画。
「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好きって思いたい」という題名と被る台詞、そして人との出会いをserendipityと表現するナイーブな展開。痛みを伴うラブストーリー。自らの愚かだった青春時代と被った。
福徳秀介の出身校である関西大学が全面協力しているあたりも興味深い。この先、ネタを共作で作っているというジャルジャル、そのコントで演じる人間関係の機微も新たな楽しみ。
3人の長台詞と伏線回収
原作は未読。ジャルジャルの福徳秀介が書いた小説となるとそれだけで身構えてしまう。序盤で繰り広げられる様々な会話にコントの雰囲気を少し感じてしまい、そういうのいらないんだよななんて考えていた。
小西くんと花が出会い、急速に距離が縮まる流れも微笑ましくはあっても特段印象に残るわけではない。インパクトがあるのはやはりさっちゃんの長台詞から。自分の好意をごまかしながら、でも伝えたくて、相手に気をつかわせたくなくてという彼女の思いが伝わってくる迫真の演技だった。やはり伊東蒼すごいな。
でもちゃんと続きがあった。それも思ったよりもありえない偶然で。このあたりは受け入れがたい人もいるんだろうな。自分もちょっとやりすぎなんじゃないかと感じたくらいだから。ただ、最後の小西くんと花、それぞれの長台詞が素晴らしい。いくつかの伏線が最後に回収されていく流れ。ちゃんと思い出す時間になったよ(こんな流れは望んでなかったと思うけど)と伝えたくなる。
恋愛って結ばれた2人のためのもの。片思いしている側からすると1つの恋愛の成就は失恋ということになる。でも、それを気にしていては恋なんてできない。どんなクソヤローになったとしても2人がよければそれでいいということ。本作のような特殊な展開になると不謹慎に見えてしまうがそういうものだと思う。そういう覚悟で放たれた言葉だった。あぁ、これも伏線回収。福徳秀介のおかげなのか、大九明子のおかげなのか、それとも3人の俳優のおかげなのか。想定外の感動をもたらしてくれた本作に感謝したい。
あと、空耳アワーに出ていた安齋肇を久々に見ることができて嬉しかった。しかもなかなかいい味出してる。これからも他の映像作品に登場することを期待する。
何者にもなれていないのに、全能だと思えた人々に贈る鎮魂歌
2025.5.8 MOVIX京都
2025年の日本映画(127分、G)
原作は福徳秀介の同名小説
大学生の残酷な恋愛事情を描いた青春映画
監督&脚本は大九明子
物語の舞台は、大阪・吹田にある関西大学千里山キャンパスと京都・今出川にある同志社大学
関西大学の2回生の小西徹(萩原利久)は、人付き合いが苦手で、いつも学内で日傘を差していた
唯一それが必要ないのが大分出身の友人・山根(黒崎煌代)で、彼は大分弁で奇抜なファッションを好んでいた
徹は、家の近くにある七福温泉という銭湯でアルバイトをしていて、とある事情で少しの間休んでいた
店長の佐々木(古田新太)とその娘・夏歩(松本穂香)は笑顔で歓迎し、バイト仲間の同志社大学の学生・さっちゃん(伊東蒼)もテンションを爆上げしていた
ある日のこと、学内でお団子ヘアの学生・桜田花(河合優実)を見かけた徹は、彼女に心を奪われ、その存在をずっと気にかけるようになっていた
山根は恋をしていると感じていたが、特に野暮なことは言わずに見守っていた
物語は、ある大雨の日にヘッドホンをしている花と、日傘を差している徹がすれ違うショットから始まり、その後、徹の日常が描かれていく
そして、また別の雨の日の裏道で偶然出会った二人が、その縁を引っ張った徹によって引き寄せられていく様子が描かれていく
だが、徹のことが好きなさっちゃんは「徹の影に女性の姿」を感じて勢いに任せて告白をしてしまう
この約10分ほど一方的に気持ちを語るクライマックスのようなシーンが、実は映画の中間地点となっていた
映画は、「花曇(FULL OF SPRING CLOUDS)」「緑雨(EARLY SUMMER RAIN)」「虹橋(A RAINBOW)」「雷鳴(RUMBLING THOUNDER)」と続き、この後にさっちゃんの告白が登場する
翌日には、徹と花は昼食を済まし、喫茶店で謎のオムライスを食べるために約束を交わしていた
約束の時間になっても花は訪れず、さらにさっちゃんもバイトに来なくなってしまう
徹は花に強烈な嫌悪感を抱き、さっちゃんが来ないことを自分の責任だと思うようになる
そして、衝撃の事実が突きつけられる、という流れになっていた
映画のタイトルは、その日に起きた出来事が示されたのちに登場し、「SHE TAUGHT ME SERENDIPITY(彼女は僕にセレンディピティを教えてくれた)」という言葉で補足されていた
ここから先のストーリーは完全ネタバレでも躊躇する内容で、彼らを取り巻く人間関係の相関図というものがガラリと変わる展開を迎える
そして、それに気づかなかった理由というものが明確に語られ、恋の盲目の裏側にある残酷さというものを描いていく
冒頭のシーンは、花が白いヘッドホンをして爆音で雨音を聴いているシーンで、同時に徹は日傘を差して視界を塞いでいる
この時に大学に来た花に徹は気づくことができなかったのだが、これも盲目さが起こす恋愛の残酷さに繋がっていると言えるのだろう
後半はセレンディピティ(思いがけない幸運)の果てにあったラブストーリーになっていて、このまま2度と会わなかったかもしれない二人を引き合わせることとなった
花と再会した徹は「今じゃない」と言うのだが、このタイミングを「思いがけない幸運」とは思いたくもないのだろう
だが、人間関係というのも不思議な道程を経て、たどり着くべきところにたどり着くものであり、それを観念的な言い方に変えれば「さっちゃんが花と徹を引き合わせた」ということになる
恋愛感情とその場を支配している感情が混同する再会になっていて、それぞれが別離から歩んできた道であるとか、抱えてきた思いというものを暴露していく
そして、「人を傷つけた人間として生きていくこと」を徹は決意することになるのである
大学時代の何者でもないのに根拠のない自信を抱えてきた人ならばわかる作品で、今思えばどうしてそんなに自信があったんだろうと思えるようなことがたくさんあった
彼氏がいる人を好きになって玉砕するとかは、高校時代に踏み込めなかった後悔がさせている部分があり、その向こう見ずな部分は色んな人を傷つけていたように思う
でも、自分が一番傷ついたと勘違いしてしまうのもデフォな感情であり、そうして過ごす4年間というのは、人生の中で一番宙に浮いていた時間のように思える
そう言った中で、人生の岐路となる人間関係は構築され、そこで自身の属性というものが色濃く反映され、進路というものに続いていくのではないだろうか
いずれにせよ、半分以上は体験談なんだろうなあと思って観ていて、空白が生まれたのは時代性(おそらくスマホがなかった頃の話)ゆえの悪戯のように思える
映画では、あえてどの時代かを明確にはしていない部分があるが、SNSで簡単に繋がっている今とは違う空気感の残っていた時代を再現しているように思えた
原作小説があるのでネタバレ云々は色々とあると思うが、可能なら頭をまっさらにして観た方が良い
そして、呪いのような長い告白に晒される彼らを見て、自分の中にある何かが疼くのを堪能することで、当時の立ち位置と現在地を確認することができるのかな、と感じた
撮影、演技、脚本、音の全てに感嘆
自分の信頼してる方がオススメしていたので観てきました。
・大九監督の作品
・河合優実さんが出演
・原作が芸人のジャルジャル福徳さん
という情報のみで観に行ったが最高過ぎて震えた。
以下、細心の注意を払って書きましたが
もしかしたら少しのネタバレがあるかもしれません。
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◾️撮影
変わった撮影が多かった。
画面を二分割にしたり、重要なシーンではワンカット長回し、上からの撮影、物体ごしの撮影、不自然なズームなど。そのトリッキーさが映画の味わいを深めていた。
◾️演技
河合優実さんの演技が凄いのは言うまでもない。
自分は初見だったが伊東蒼さんの演技が凄かった。長台詞ワンカットシーンでの涙を堪えながら、全てを吐露する演技は語り継がれるべき。ここでの撮影も凄かったから観て!
主演の萩原利久さんと河合優実さんもそれぞれ長台詞があるのだが、それももちろん素晴らしかった。
忘れがちだが男友達のキャラクターもめっちゃ良かった。
◾️脚本
最初はインキャな男の子に不思議女子が近づいてきて満たされていく的な邦画キラキラ作品かと観ていたが、とあるシーンからこれは普通の作品じゃないと思わされる。
また、死というテーマに真摯に向き合っており、適当にヒロインを殺してしまう邦画作品とは一線を画していた。
あのセリフやシーンがここに繋がってくるのか的な感動もあった。
◾️音
この映画では音も重要なパーツになっていた。雨音や周りの会話が印象的。
また、その音を使って彼らの性格や特性を表していたり、ストーリーのギミックになっていたりした。
自分が観た映画館はodessaという音響システムが使われていたので観終わった後は音をしっかり聞いてほしいという意図があったのかなと思った。
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とにかく最高すぎた。鑑賞後もしばらく余韻が続いていた。ネタバレして具体的に凄かったところを書き語りたいが、1人でも多くの人に新鮮な気持ちで観ていただきたい。
一瞬の瞬きも惜しい春の嵐のような恋愛映画の最高傑作...
前半は恋愛映画のように進んでいき、予想道り。
中盤からは衝撃の連続。やめてくれー-!!ってなる展開の連続
これ恋愛映画じゃなくないか...?
っておもってたら最後はしっかり恋愛映画。
これほどネタバレ厳禁な恋愛映画はあまりない、できるだけ前情報入れずにみてほしい
めちゃくちゃ痛い…いい意味でめちゃくちゃ裏切られた打ちのめされました。人の痛さをとても生々しく描いていた。
展開が予想がつかない。ずっとどんなふうに着地するんだろうと思ってた。最後まで1ミリも離してくれない。
出演者の演技力にも衝撃😭
凄すぎるこの映画。見ている最中、これはもの凄い傑作を見てしまっていると、何度も思った。ある種アトラクションにでも乗ってる感覚というか、とにかく圧巻で目ががんびらいて仕方がなかった。
情報量が多すぎていろんな感情が入り混じって、映画終了後は、この渦巻く感情を言葉にしたいけど、でてこないのがもどかしい、この熱がするすると消えていくのがなくなっていくのが。
見終わったあとまたすぐ見たいって思った。と同時にかなりエネルギーを持ってかれズンとくるのでしばらくしてから見ようとなった笑(三日後、二回目見に行きましたw)
余韻が物凄いです。とくに告白シーンなんて、会場全員が見守る感覚というか、画面に全集中する、一体感みたいなのが感じられて、初めての映画体験。サブスクで見るのとは全く違う、映画館で映画を見るということの素晴らしさを再認識させられた気分。
恋愛映画において、死を扱う作品は少なくないけど、その死の扱い方が全く違った。
めちゃくちゃ好きな人が亡くなる。←これがスタンダード(そういうのを否定してるわけではない)
でもこの映画は逆で、興味がないひとが亡くなる。好きな人に振り向いてもらえない側の痛みと無関心故の残酷さに気づかされる。
恋愛とは痛さが伴うもの。傷つけて、傷つけられて、誰かを傷つけた事実を背負ったまま生きていく。さっちゃんが亡くなってはじめて小西が初恋クレイジー聴いたシーン。さっちゃんの涙でぐちゃぐちゃの顔を交互に映してくるの、告白した時は顔が遠くてあまりはっきり見えなくて、、最後に鮮明に映してくるのすごい演出過ぎる。小西とさっちゃんの気持ちが初めて繋がったと、胸が抉られる。
セレンディピティで「さちせ」な気分になり、とっても「このき」な映画。
------ ここからは自己満なので読まなくて良いです------
小西は、自分は下の分際(言い方)だということを理解しながらも、友達の山根のことは見下している。
「来ている服がダサいんだよな~」「女のバイト友達がいると知ったらショック受けちゃうと思う」と、さっちゃんに言ったり。
「言ってなかったけど、去年、彼女いた」マウントとったり。 「恋愛の話苦手だと思ってたから」=恋愛とは無縁な人と決めつけ。 「洋服どこで買ってんの?」や。
そんな山根が彼女いると知った時の表情ね(笑)
学生特有の感情。わたしも小西と似たとこあったなー。と。仲良しなんだけど、どこかで自分のほうが上だと思ってて、絶対負けたくないという感情。。
恋がうまくいくかも...と期待にあふれていた矢先、一方的に遮断されて、被害妄想だけ独り歩きして、そんなイライラを山根に八つ当たり。
一か月半も謝るのかかるのは、とてもリアルに思う。なんてことないように電話をかけるのも。小西はプライドが高い。そして許す山根優しい。
独りぼっちの小西の元に、サクラが駆けつけてくる。犬を撫でながら、嬉しい、と複雑な感情の入り混じった涙、あの演技めっちゃ凄いと思った。空見上げて清々しい笑顔。印象深いシーンでもある
山根めっちゃ良い奴。変な喋り方に変な格好、独特な顔(ごめん)、総じて変な奴。
山根が画面に出たらめっちゃ安心感でカタルシスで、癖になる、好き。
あんな友達ほしい。山根は優しい。"ほんとに実在していた彼女"と一緒に並んで歩く山根とすれ違う場面の小西の居たたまれなさったら。
彼女存在しない呼ばわりされて、ムカついたしプライドずたずただろうに小西を許していて、絶対いい彼氏だな。
食堂のガラス越しに、ちょんちょん、ずるずる、効果音が良かった。河合優実さんの効果音がめっちゃかわいい。恋をしたら、桜田からそんなかわいい効果音が聴こえてくるようになるのかわいい笑 ふたり目が合うと、どきどき、のふたりの声が重なって、二人の世界って感じがしてすごい良かった。いい演出だなっておもった。
二人のどきどき…!の時、山根が「ミキちゃん大分からこっち来るやねん」的なこと言ってたの2回目見て知った笑
初恋クレイジー。聴いてって言われてたのにずっと聴かないで、やっと聴いたのが亡くなってからなの辛い。
「私のいないところで私を思い出して聞いてほしかっただけ」
本当に、い亡くなってしまった...
さっちゃん(伊東蒼さん)の演技に圧倒される、目が強制的に開かされているような、目が離せない。自虐交じりに、自分でツッコミ、小西のことも気遣う発言をしながら、しゃべり倒す、さっちゃんが不格好で痛々しくて。背景真っ暗闇の中つらつらと一人でしゃべり倒す光景は異様で、(映画館も暗いから余計に)小西の度々映る表情がまた絶妙。
でも実際興味のない人に、あんな感情大爆発させて喋られたら小西みたいな顔になるよなとも思う。
「途中でやめさせたり、嫌だという態度をあからさまに出したり、する選択もできただろうけど、それをしなかった小西なりの優しさだったのかもしれない。ただ単に、丸く収めようとしてただけかもだけど。丸く収めることが優しいこととはまた別の話だけど。。」的なニュアンスなことを小西役の萩原利久さんが言っていた
人に興味を持たないことの残酷さに心がえぐられた。「小西君の名前聞いても、聞き返してこなかったもんな」刺さった、、
わん!サクラになる。のお腹捲ってお腹さわさわは凄い共感性羞恥になった笑 好き嫌い分かれそうだけど、自分はすき、桜田の「サクラ?」の半笑いながらも投げやりにサクラをヨシヨシして、
あのシーンは、お互い負けじと、勝負のようなシーンと監督が言ってた。
小西が自らシャツを捲るのも「ここまでやったら引くだろ?」と。でも負けじとお腹触る桜田。
初恋クレイジーをきいて、なくなったことの実感と、生きていた時、さっちゃんが自分に向けた言葉や顔を、ばっと思い出してしまった回想入れてくるのはダメ。あの小西は痛々しくて初見は苦しくて見てられなかったな。
初恋クレイジー。まじでタイトルからは想像つかんくらいクレイジーな映画過ぎた。ジェットコースターみたいな
萩原利久くんは凄いエネルギー使う役だったな。笑ってると思ってたら泣きだしたり、泣いてると思ったら爽やかな笑顔で空見たり。
発狂しながら号泣したり。陰気で翳った、でも憎めなくて愛おしい。
桜田は、玄関で出迎えた時、案外平気そうじゃんって。でも強がってた、弱ったところを見せたくないだけで。桜田が妙に出迎えた時、小西に冷たかったのは、小西は唯一八つ当たりできる存在だった。と聞いてなるほどとなった。
手紙を読もうとしたら、啖呵を切ったように泣きだして、そのあとも縁側で途切れ途切れに話すところが凄い……。そして台詞の生々しさ。団子とショートのギャップ凄い。
みんな人間臭くていいなー。
驚異的な長台詞みんな素晴らしかった
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