今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はのレビュー・感想・評価
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大九監督の本作に対する気合が充分に感じられる一作
大九明子監督作品、期待をして観続けてはいるのですが、残念ながら自分との相性はあまりよくありません。特に皮肉なことではありますが、ご自身の出自でもある「お笑い芸人」と組んだ作品はどれも好みではなく、本作も観る前から不安を感じつつも、逆にキャストは好みの面子だったこともあって劇場鑑賞を決意。ゴールデンウイーク前半の飛び石連休に挟まれた月曜ですが、テアトル新宿10時からの回は結構な客入りです。
で、本作を観終わってまず感じたことは「(大九監督の)本作に対する気合が充分」だと言うこと。原作は未読ですが、おそらく本作を映像化するために考えられた演出は全般で効果的に機能しており、ずっとタッグを組んでいる「大九組」の一人、米田博之氏の独特な編集も相まって、ストーリーに「語られる以上の行間」があって厚みを感じます。そしてまた、タイトルや音楽を入れるタイミングは巧みで実に気落ちが良く、かなりイカしていると思います。
ところが、全体的には終始エモーション一辺倒な演出と展開で、127分観終わるころにはメンタル面はマヒしてくる一方、いつしか身体が強張ってフィジカルはどっと疲れます。特に、メインキャラクターを演じる萩原利久さん、河合優実さん、そして伊東蒼さん、それぞれの役が心情を吐露するシーンはどれも結構な長台詞。俳優たちの演技に「凄いな…」と感心しつつも、かなり高めのテンションで容赦のない言い分は思いのほか攻撃的で、それらを聞き続けているだけで胃が痛くなります。そして、主人公・小西徹(萩原利久)の人間性については共感は疎か近寄りがたい。恐らくは「正にそういうところ」を表現したかったのだと想像しますが、外的な要因をきっかけに極端に感情のON/OFFをし、更に周囲を巻き込んでまた落ち込む様子は最早「モンスター」。どう考えてもカウンセリングが必要なレベルで、(映画上のストーリーが終わった)この先の将来もまた折に触れてモンスター化することを想像して、どうしても彼を好きになる女性の無事を願わざるを得ません。
とは言え、素晴らしい演技を見せてくれるキャストの皆さんは期待通りだし、今作の出来事態は「悪くはない」と思える大九監督。敢えて言えば、ストーリー、世界観、そしてキャラクターなど、やはり根本的には「原作」が自分とは合わなかったかな。。
あと取り敢えず些末な事ではありますが、講義はお喋りせず、ちゃんと最後まで聞こうね。それと、テレビの音量は普通に近所迷惑です。老害ですまんけどさ。
クソ映画かと思ったら、後半3分の1くらいで急展開
「かぞかぞ」の半分くらい
NHKで放送した「かぞかぞ」の脚本家兼監督と主演女優の作品なので期待して観に行ったが河合優実と伊東蒼のモノローグ以外は平板な映画だった。「かぞかぞ」はヒロインの七実の父親が死んで母親は病気で下半身不随となって弟はダウン症と「24時間テレビ」のドラマあたりなら「感動を呼ぶ」ようなドラマになりそうな話なのにコミカルなくらいに正反対な作品なので余計だ。最後に主役の2人と一緒に死んだ父親と幼い頃のヒロイン姉妹や死んだ妹が登場するのが「かぞかぞ」で七実と一緒に亡父が登場したシーンみたい。何でもBSで放送した「かぞかぞ」を見たTBSのスタッフが河合優実に「ふてほど」の純子役をオファーしたという話だ。「かぞかぞ」で福地桃子が演じたマルチのようなヒロインを引き立たせる脇役がいればいいんだけど。
見応えのある映画だったんですが……
各方面で評判がよかったので拝見しました。
期待しすぎたのか、序盤は少し退屈で演出過剰に感じました。ただし、そこで積み上げられた細かな伏線が効いてくる中盤からは非常に見応えのある作品になってます。
その意味でトータルとしては非常に評価してるのですが、細かな部分では「出来すぎ」な感じは気にかかる。タイトルにもなっている「今日の空が一番好き」というエピソードか重なっていたり、主人公たちが何度も鉢合わせする「偶然」は苦手。それがセレンディピティだし、「恋愛映画」だから、と言われればそれまでですがw
また、「さちせ」や「このき」はいかにもな感じで好きではないです。「お話のキーですよー」と言う感じが強くて。
文句なしで好きなのは山根と「さっちゃん」に関するエピソードですね。
残念だったのはラストシーンの演出。あれはスピッツの曲を大音量で流したまま、何を言ってるか観客にも聞こえない状態だった方が心に沁みた気がします。あそこは長台詞の見せ場でもあったのでしょうが、ハッキリと観客に聞き取れる言葉にしてしまったがために、小西のデリカシーのなさが改めて明確になってしまって嫌でした。
文句はいっぱい言ってますが、それを補って余りある良さがあり、見てよかった映画です(笑)
P.S. 山根、お前、ほやマンの弟だったのかよ!
映画館で観るべき映画
個人的にアクションでもなく洋画でもないにも関わらず映画館で観てほしい映画。
先ずあの曲をあのタイミングで爆音で聴けるのは映画館で体感すべきだし、何よりも観終わった後の余韻が凄いし誰かと語りたいと思う映画。
何が凄いって俳優陣達の演技力や感情の出し方でほぼ説明なんかせず演技で物事を理解させる感じがまるで鈍器で殴られてるような感覚。(殴られたことは無いが)
また凄く個人的にだが頭の中で匂いのする映画がとても好きで雨上がりのアスファルトや、銭湯で掃除している時、主人公がさっちゃんの家に行った時の匂いなどこれは作り手さん達の計算と演者の一挙手一投足のなせるもはや芸術である。
伊藤蒼さんのひとりしゃべりのとこなんて泣くしか無いし完全に心持ってかれました。
泣きたい映画のオススメを聞かれた時の自信を持って紹介出来る作品が更新されました。ありがとうございます。
最後に空白といいさがすといい…いつか伊藤蒼さんのハッピーエンドな映画も観たいと思う今日この頃です…
萩原さん流石です。
中盤までは好きなタイプの作品だったんです。
だけど、完全に個人の好みの問題だとは思うんだけど、終盤が劇的過ぎてあんまり受け入れる事ができなかった。
それでも萩原さんが上手だから、最後までしっかり観られたけど。
人物をしっかり映す撮り方は良かったし、それに応える萩原さん、河合さん、伊東さん、古田新太さんの演技は良かったです。
河合優実と伊東蒼が良かった
大学生の小西徹は冴えない毎日を過ごしていたが、ある日、お団子頭の女子大生・桜田花に目を奪われ、思い切って彼女に声をかけた。いろいろな偶然も重なり、意気投合した2人は、毎日楽しいって思いたい、今日の空が一番好きって思いたい、と桜田の言葉が、小西に響いた。その言葉は、小西が大好きだった亡き祖母の言葉と同じだったからだ。桜田と出会いを嬉しく思ってた小西だったが、そんな矢先にバイト仲間のさっちゃんが・・・そして・・・そんな話。
何という偶然。ま、恋愛小説が原作だし、映画だし、なんだけど、小西はいくら興味無くてもバイト仲間なら苗字くらい知っとけや、とは思った。
桜田花役の河合優実とさっちゃん役の伊東蒼は長台詞も感情込めて演じてたし、2人を観る作品かな。
伊東蒼演じるさっちゃんおすすめの、初恋クレージー、鑑賞後にyoutubeで聴いたが、イントロ含め良かった。
リア充ですが何か?
『大九明子』の手腕は、
コミュニケーション不全の人間を主人公にした時に、
抜群の冴えを発揮する。
〔勝手にふるえてろ(2017年)〕の『松岡茉優』しかり、
〔私をくいとめて(2020年)〕の『のん』しかり。
それを本作では男子大学生に置き換え、
新たな傑作を生みだした。
故郷の横浜を離れ「関西大学」に通う『小西(萩原利久)』は、
家庭の事情もあり大学を長期間休んでいた。
大学の敷地内では日傘をさすとの奇矯な行動に象徴されるように、
他の学生との間に自分から垣根を作っており、
学内に友人は『山根』しかいない。
そんな彼が、
独りで蕎麦を啜るシニヨンの女子学生『桜田花(河合優実)』に目を留め、
思い切って声を掛けると、
これがどうにもウマが合う。
細かい感性がぴたりと嵌り、
会話はとことん盛り上がる。
が、何日かを楽しく過ごしたのち、
彼女はふっつりと姿を消す。
ここから「消えた女と探す男」にストーリーは移って行くのかと思えば、
そうはならない。
『小西』は自身の妄想に閉じ籠り、
気遣う『山根』にさえ邪険な態度をとる。
共感できぬ人物の典型例。
観客はこの後の成り行きを
顔を顰め冷たく見つめる。
そもそも彼は孤独な存在ではない。
『山根』のような友人も居るし、
バイト先の銭湯では店主やその娘に頼りにされている。
なによりもバイト仲間で同じ大学に通う『さっちゃん(伊東蒼)』は、
彼に好意を抱いているように見える。
その『さっちゃん』が、夜道で独白にも似た長台詞を吐くシーンは見せ場。
彼女の全身をフレームに収めた長回しと
時として『小西』の顔のアップを挟み乍ら
台詞は途切れず延々と続く。
聞いていて胸がかきむしられる
心に突き刺さる切な過ぎる内容も、
実はこの場面がキーポイント。
物語りの転換点且つ、最後のシーンと鮮やかに対比させ繋がる、
出色の構成なのだ。
それにしても、役をこなした『伊東蒼』は素晴らしい。
この場面だけで、更に一皮剥けたような成長を感じさせる。
そののちに、思いもかけぬ展開が待ち受ける。
が、それは先に『さっちゃん』が語った言葉をよくよく吟味すれば、
ある程度は予見できたもの。
そしてまた彼女の感性も、実は『小西』と似ていたことの背景でもある。
その場面と
次に挙げるシークエンスだけで
本作を観る価値は十分にある。
顔のアップが多用される
『花』と『小西』の長い会話は、
やはり印象的。
深い悲しみから立ち上がり、
新たな希望を掴もうとする二人を再生へと導く。
そもそもの出会いが
劇中何度も繰り返される「セレンディピティ」だったことも、
改めて指し示す。
ジャルジャル文学。
さっちゃんにもっていかれた〜
河合優実さんが出演するということでとりあえず鑑賞予定に入れ、公開2日目に鑑賞してきました。思っていたのとは異なるテイストでしたが、若手俳優陣の渾身の演技が光る良作でした。
ストーリーは、いわゆる陽キャのグループには入れないタイプの大学生・小西徹が、おもしろみのない大学生活を送っていたある日、同じ講義を受けていた女子大生・桜田花の自分のスタイルを貫くような姿に惹かれ、思い切って声をかけたことをきっかけに、二人はあっという間に意気投合して、一緒に楽しい時間を過ごすようになるが、その頃、徹のバイト仲間のさっちゃんが突然姿を消してしまい、これが後に二人に暗い影を落とすことになるというもの。
人との距離感をつかみかねる若者が、誰かを好きになる喜びや切なさに一喜一憂する姿が、観る者の共感を誘います。人を好きになるのは本当に尊く素敵なことなのに、どうしてこんなに苦しく切なくなるのでしょうか。誰もが自身の学生時代を思い出して、胸が苦しくなると思います。昔以上に人間関係がデリケートになり、他人の目を必要以上に気にする現代の若者にも、今まさに経験している感情と重なり、刺さるのではないでしょうか。
また、あっというまに意気投合し、似たような価値観に居心地のよさを感じるようになった二人なのに、ちょっとしたボタンのかけ違いで、ネガティブな思考に傾くのも、恋愛初期のあるあるネタで共感度が高いです。ましてや小西のように、自分に自信がなく、周囲の視線を気にしている男ならなおさらでしょう。
その一方で、自分に好意を寄せている女性の気持ちにはまったく気づかない鈍感ぶりも、実に小西らしいです。男ってこんなものかもしれませんが、なんとなく小西は自分本位な恋愛をしそうなタイプに見えてしまいました。
そんな小西に対して、さっちゃんの長い長い告白が刺さりまくります。本作屈指の名シーンで、あまりにも実感がこもりすぎていて思わず泣けてきます。こんなに素敵な子はめったにいないし、小西にはもったいなさすぎます!河合優実さんももちろん素敵ですが、さっちゃん役の伊東蒼さんもすごいです。このシーンが強烈すぎて、主演の二人が食われ気味に感じるほどです。
それにしても、タイトルにある「今日の空が一番好き」って、なんだかいい言葉です。今日の空が一番を更新するということは、今日を最高にすることにほかならず、そのために今日に全力を尽くせということでしょうか。さっちゃんの渾身の告白の中にある「もし…だったら」という後悔を滲ませる言葉が思い出され、胸が締め付けられます。「今日の空が一番好き」って言える人生を送りたいですね。
主演は萩原利久さんで、ちょっと神経質でナイーブなキャラがよく似合います。脇を固めるのは、河合優実さん、伊東蒼さん、黒崎煌代さん、古田新太さん、安齋肇さん、浅香航大さん、松本穂香さんら。長い独白シーンが多いのですが、若手俳優陣がみごとにその大役を果たしています。
特に伊藤蒼が素晴らしい
感情が胸ぐらを掴まれて、あっちこっち引っ張られた末に、武骨な棒切れで殴られたような映画体験だった。
初めは、冷めた目で観ていた。
「流れは“Boy Meets Girl”だけど、そこにいわゆるコミュ障の要素を付け足してってことですか…ふ〜ん」いう感じに。
正直「今時の若者のそういう感じの描き方は、もうお腹いっぱい」ぐらいのことまで思っていた。
けれど、中盤の銭湯での伊藤蒼とのやり取りや、その後の彼女の超絶長台詞辺りから、やられてしまった。
「片思い」の持っている行き場のないやるせなさを、全身で体現した伊藤蒼がとにかく素晴らしい。決してスマートとは言いがたいちょっと強引な展開に関わる伏線も、スルッと自然に入れ込む演技で、その結果が他の演者によって、物語の後半で何倍にもなって返ってくるのだから、もう素直にお手上げするしかない。
ただこの物語は、恋愛映画というより、身近な人の「死」と、残された者の「受け止め切れなさ」にも強くスポットが当たっていて、「どう人と関係を結んでいくか」や、「自分がどう悔いなく生きるか」が主たるテーマだと思う。
そして、そこに、大九監督の「怒り」が加味されたことで、より味わいが深くなったように自分には思えた。
象徴的だったのは、関大初の女子学生北村兼子の展示と、小西が限界までボリュームを上げようとして消したテレビや、喫茶店のマスターが聞くラジオから流れてくるパレスチナ情勢。
一見、どちらのエピソードもこの映画とは直接関係無さそうだが、鑑賞後に自分が思ったのは、父親の病気も、咲の交通事故も、「理不尽さ」という点では地続きで、「その理不尽さというのは、あなたにとって、どこまでが関係あるラインですか」と、「その理不尽さに、あなたはどう向き合うのですか」ということが、この二つのエピソードにより問われている気がした。
だから、「怒り」という言い方をしたが、どちらかと言うと、「社会や他者に対しての怒り」より、状況に麻痺して鈍感になっていく自分自身への戒めという方が適切かもしれない。
スピッツの楽曲の使い方から、エンドロールまでの流れもお見事。いい映画だった。
【”初恋クレイジー。そして”さちせ”と”このき。”今作は関西大の大切な人に想いを上手く伝えられない男女三人の恋物語であり、伊藤蒼、河合優実、荻原利久の長台詞シーンの物凄い演技にやられた作品である。】
■関西大に通う小西(荻原利久)は、唯一の友人山根(黒崎煌代)とのみ過ごし、あとはなるべく人目を避ける様に学校生活を送っている。
アルバイトは、銭湯の掃除で仲間のさっちゃん(伊藤蒼)と業務をこなす。この時は明るいさっちゃんのお陰で、小西も楽しそうである。
そんなある日、講義で見かけた桜田(河合優実)に心惹かれて、勇気を出して声を掛けると思いがけず、彼女とは話が合って、一緒に古い喫茶店(マスターが、ナント安西肇さんである。ムッチャ似合っている。)に行ったりするようになるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・もうね、この作品は伊藤蒼さん、河合優実さん、荻原利久さんの長台詞3シーンの演技に尽きると思ったね。
衝撃だったからね。それまで踏ん反り返って観ていたが、シャキッと背筋を伸ばしたからね。
・さっちゃんを演じた伊藤蒼さんが、小西の桜田に対する想いを知った時の、銭湯の風呂に俯せで飛び込むシーンからの、三差路の壁を背にして涙を流しながら小西に対し、自分の想いを告げるシーンは、長台詞も演技も物凄かった。ホント、あの鬼気迫る伊藤蒼さんの演技の凄さにはビックリした。
・約束の学校の正門に現れない桜田に振られたと思い込んだ小西が銭湯にアルバイトに行った時に、店主(古田新太)から怒号の如く告げられたさっちゃんの死。へたり込む小西。自殺してしまったのかと思ったら違ったけれども、店主と共に向かったさっちゃんの家で出迎えた桜田の姿に又ビックリ。さっちゃんが泣きながら言っていた”アタシの名前なんて、興味ないんでしょ!知らないんでしょ!”と言っていた事がこのシーンで、フラッシュバックの様に蘇るのである。
・さっちゃんの遺灰の前での桜田を演じた河合優実さんの、長台詞シーンもマア凄かった。病気で死んだ父が、さっちゃんに残した手紙を小西が頼まれて読むシーンで、”辛すぎる!”と言いながら、畳に大の字になり顔にハンカチを乗せて父の手紙の文章を聞く姿と、妹のさっちゃんが亡くなった連絡が母から入ってからの出来事を、一気呵成に語る姿。
・そして、小西を演じた荻原利久さんが、スピッツの”初恋クレイジー”が最大ボリュームで流れる中で、自分のさっちゃんの気持ちに気付かなかった愚かさと、それでも桜田に対する想いを告げるシーンも、凄かったな。
■今作では、大九明子監督らしい斬新な演出の数々も効いている。例えば、さっちゃんが風呂に俯せで突っ込んだシーンで、水中で亡き父(浅香航大)がギターを弾いているシーンや、同じく桜田の独白のシーンで描かれる亡き父と、幼き桜田とさっちゃんが戯れるシーン。
<今作は、関西大に通う男女三人の大切な人に想いを上手く伝えられない若者達の恋物語であり、伊藤蒼さん、河合優実さん、荻原利久さんの物凄い長台詞シーンの演技にヤラレタ作品なのである。
重ねて書くが、伊藤蒼さん、河合優実さん、荻原利久さん、そして大九明子監督には、参りましたの作品なのである。>
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ATフィールド全開大学生の友情と恋愛と喪失感の話。
半年ぶりに大学に行ったら、同じ講義に出席していたお団子頭の1人ざるそば女に惹かれて巻き起こっていくストーリー。
この子がボッチ?という感じしかない、明るく毒のない花ちゃんとナイスな偶然バンザ〜イだし、これまた良いヤツ過ぎる唯一の友達山根がいれば、そりゃあ大学生活楽しいでしょうがな主人公。
しかしながら喜べない真実の連続で、ネガティブワールドにハマり込んで行く姿は、そういうキャラではない自分にもド共感。
間違いなく恋愛映画ではあるけれど、なかなかヘビーな個々の境遇や機微がとても素晴らしく、恋愛映画ならではのクドさを感じるところも少々あったけれど、とても面白かった。
俺は今日の空が一番好き、と言ってやろう!
悩んだのは河合優実さん演じる桜田花さんが萩原利久さん演じる小西徹君と早朝の雰囲気の良いけど変なメニューばかりの喫茶店に行って、午後にもう一度行こうと言っていたのに姿を消して、1ヶ月以上現れることがなくなる。
そして小西君が花さんの姿を探しつつも普通に大学生活を繰り返し、フラれたと思い傷心している間に、花さんが誰かにキモい男に付きまとわれてますと言う会話をバイト仲間か店員さんとしているシーンが挿入されるのを見て、あぁ1人が好きな女性に勝手に考え方が似ていると思い込み好きな気持ちが膨らみ過ぎてやり過ぎてしまったと映画が終わるまで思ってました。
なのに咲さんが亡くなって線香を上げに行くとそこに姉妹だったことを知らなかった花さんがいて…。
映画観終わってから暫くして分かりました。小西君が花さんが会えないのは自分を好きでないのに付きまとわれていると勝手にしていた妄想。花さんが大学やバイト先から消えていたのは妹が交通事故で死んだから傷心で家にとじこもっていたからで小西君のことが好きでないからじゃなかったんだと。
ちょっとしたことだけど妄想シーンならもっと現実と区別した描き方して欲しかった。小西君が頭の中で妄想していたとしてしっかり分かるように。おかげで後半はフラれた男と無言で消えて逃げた女が何しているのかと、最後まで勘違いしていましたのが勿体なかった。
良かったのは伊東蒼さん演じる咲ちゃんのずっと小西君のことが好きと分かる会話と仕草。そして相手が姉だと知らないで(知っていたかも?)好きな人と仲良くなれて小西君が幸せになれるようにと身を引く告白シーンの長セリフ(まるで交通事故が身を引く告白をした余韻で疲れて出会ってしまったのでないかと思わせるくらい長くて渾身のセリフ)。
若さゆえの間違い(人を見る目の無さ)と将来への不安と The Blindness of Youth and the Uncertainty of Tomorrow
55歳のおっさんだと「さっちゃん(伊東 蒼さん)」の良さが
わかるかもしれない。
ただ、20代の頃の自分が分かったかと言われると
正直わからない。
それは男性に限った話ではなく、
女性もそうかも知れない。
経験の無さからくる
【見る目】が無い状態。
銭湯の主人(古田新太さん)は
良さが分かっていた。
主人公の徹(萩原利久さん)はわからない。
良い悪いじゃなく、
たぶん、人生経験の差が残酷なまでに出ている。
それでいえば、
さっちゃんも見る目があったのかどうか・・・・。
もうひとりの主人公の桜田花(河合優実さん)も
徹と同様、集団の中で上手くいかない経験を持つ。
故に、おそらく経験が足りてない。
なかなか言語化できない「若さゆえ」
というものを物語にした
ジャルジャルの福徳秀介さんの凄さを改めて実感した。
映画の中に、誰もが
あの頃の自分を見出すことが出来るだろう。
At 55, maybe someone like me—a middle-aged guy—can finally understand what made Sacchan (played by Aoi Itō) so special.
But if you asked whether I would’ve recognized that back in my twenties… to be honest, I don’t think I would have.
And that’s not something limited to men.
It might be the same for women too.
It’s that state of not having the eyes to see—a lack of discernment that comes from inexperience.
The owner of the public bathhouse (played by Arata Furuta) understood her value.
But the main character, Toru (played by Riku Hagiwara), didn’t.
It’s not about who’s right or wrong—
It’s just that the difference in life experience shows through, in a way that feels almost cruel.
And when you think about it, even Sacchan herself—did she really have that discernment?
The other protagonist, Sakurada Hana (played by Yūmi Kawai), like Toru, also had experiences of not fitting in.
Which probably means she, too, lacked enough experience.
That vague, hard-to-put-into-words feeling we call "the folly of youth"—
Shusuke Fukutoku of Jaru Jaru managed to turn it into a story.
And I was once again struck by how remarkable that is.
In this film, everyone will likely catch a glimpse of who they once were.
演技力
間違いなく大九明子印の作品ながら、なんだこのセルフ突っ込み多めの怒濤の関西弁一人語りは?と思ったらジャルジャル福徳の原作か…
あまりにも長い語りは好き嫌いが分かれるところだと思うが、河合優実と伊東蒼の圧倒的な演技力で説得力を持たせている。またそれを計算できるのが大九明子とも言える。
特に伊東蒼の夜の語りシーンをアップで終盤にもう一度持って来るところ、終盤の河合優実の語りシーンでの突然のズームはその信頼感の表れだったと思う。
また古田新太の感情の発露もさすがの味でしたね。
ストーリーは役者陣の演技力も相まってどうしたって泣いちゃうものなんだけど、泣かせるためのストーリー、泣かせるためのキャラクター設定になっている気がして気になってしまった。知らんけど。
正に大学時代の俺がいた
ルックスは違えど、傘はさして無いけど、大学時代の俺がいた。
広大なキャンパスや周りに馴染めず、坂の両側の華やかなカフェには縁が無く、他人には鈍感な割には自分には繊細で、珍しく好意を持ってくれる他人には甘えて傷つけてしまう。
そしてまた孤独感だけを味わいながら坂道を登る。
芸達者な俳優さんと手練手腕な監督と脚本が上手くブレンドされた良作。
後味はかなりビターだけど、俺のような青春を味わった方には郷愁を。
共感を感じる若い人には、それでも明日に向かって少しでも前を向く勇気を。
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