劇場公開日 2025年4月25日

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「「“今日の空が一番好き”とまだ言えない僕は、キッチンカーに立つ」」今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 林文臣さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 「“今日の空が一番好き”とまだ言えない僕は、キッチンカーに立つ」

2025年7月19日
iPhoneアプリから投稿

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』というタイトルを見た瞬間、胸がざわついた。経営者として日々戦い、挑み、笑顔の裏で不安や焦りと向き合っている自分そのもののようだったからだ。

起業して3年目。僕は「キッチンカー」という形で食を届ける事業を始めた。理由はシンプルで、“自分の人生を、自分で動かしたかった”からだ。だが、現実は甘くない。天候に売上は左右され、スタッフも入れ替わりが激しい。誰も来ない日、冷たい風の中で一人立っていた時間は、孤独そのものだった。

そんな日々のなかで、ふと見上げた空があった。綺麗でも、感動的でもなかった。ただ、“あぁ、今日も終わるんだ”という実感があった。でも僕はまだ「今日の空が一番好き」と言えなかった。満足もしていなければ、理想の未来にも遠い。

でも、それでいいのかもしれない。僕はまだ挑戦の途中だ。理想の空は、自分で作っていくものなのかもしれない。だからこそ、今日もキッチンカーを走らせる。誰かに“うまい”と言ってもらえることが、僕の空に少しずつ色をつけていく。

「今日の空が一番好き」——そう言える日は、きっともうすぐだ。

林文臣