「予想外の展開に驚くが、釈然としないものも残る」今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
予想外の展開に驚くが、釈然としないものも残る
いくつもの偶然の出逢いを通じて意気投合したコミュ症気味の大学生の男女と、男のバイト友達のバンド女子との三角関係の物語なのかと思っていると、予想外の事態となって驚かされる。
貧困に喘ぐでも、精神を病むでも、やさぐれているでもない、等身大の女子大生を自然体で演じる河合優実には瑞々しい魅力を感じるが、それでも、知り合った男をストーカー扱いしてこき下ろす姿には、彼女らしさが感じられてホッとしてしまった。
ただ、それにも増して強いインパクトを残すのは、バンド女子を演じる伊東蒼で、好きになった人に好きな人ができたことを知り、彼への恋心を延々と一方的に告白するくだりは、この映画のクライマックスと言ってもいいだろう。河合優実や萩原利久にも、終盤に、長い独白のシーンが用意されているし、それは、それで、見応えがあるのだが、それでも、最も胸に響いたのは、失恋の悲しみや、相手への気遣い、あるいは自分への励ましの気持ちが痛いほど伝わってくる伊東蒼のこのシーンだった。
その一方で、映画が大きく転調する契機にもなっているこの告白の後に、伊東蒼が辿る運命には、釈然としないものを感じざるを得ない。
確かに、河合優実と萩原利久が、更なる、決定的な「偶然の出逢い」を果たすためには、こうした展開が必要だったのかもしれないが、それでも、何も、命まで奪わなくても(例えば、怪我で入院していただけでも)良かったのではないかと思えてならない。これでは、2人の恋を成就させるために邪魔者に退場してもらったみたいで、「ご都合主義」と「お涙頂戴」が感じられて、何だか興醒めしてしまった。
それから、先ほど「河合優実らしい」と書いた毒気たっぷりのシーンだが、彼女が、妹を亡くした状況で、あんなことを言うとはとても思えないので、あれは、萩原利久の妄想だったということを、(河合優実の名誉のためにも)もっと明確にしてもらいたかったと思ってしまった。
笑いジワについては軽く言及していたのかなぁ、それにしても凄い妄想力・・と思いましたが、キモい語り口の親友に当たり散らすのは違うだろ感でした。コレも一人よがり?
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