I Like Movies アイ・ライク・ムービーズのレビュー・感想・評価
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他人事じゃなさすぎる青春映画
本当に共感性羞恥で死ぬかと思った。少なくとも脳内では全毛穴から鮮血が吹き出していた。現実に向き合わずに映画ばっかり見て、それで世界や人生をひとより知った気になって他人を見下している鼻持ちならない若造。自分は才能があるという根拠のない自負心と、そんなものは幻想であるという事実から全力で顔を背ける弱さ。でもなあ、ついカップル客にトッド・ソロンズの『ハピネス』を勧めてしまう映画好きの気持ち、絶対にヤメロって思うけどわかる。結局、この情けなくて自分勝手な主人公が嫌いになり切れないのは、みごとにこの映画が類型としての映画オタクを捉えているからだろう。
そして主人公のイタさを相対化してくれる周囲のキャラたちもいちいち真実味があって、不満があるとすれば、終盤の成長が急すぎて、オイ、こっちを置いていくなよというか、そんなスピードでわかった気になってもまだまだ自分の足をすくわれるぞと助言したくなるというか、とにもかくにも他人事じゃなさが尋常じゃない青春映画に心から戦慄しました!
VHSフォーエバー
って会社名は洒落てるね。
しっかしくそガキ・・ほんの最終盤迄ムカムカした。情緒不安は百歩譲るとしても、来もしない未来のデビューを夢見てディスりまくる、鼻持ちならない、もっと重い罰を与えても良かった。
店長魅力的〜!くそガキの位置迄降りてくれる、美人でそんな奇特な人居ないよ、仏さんでっか?
まぁ彼女の仰る事は聴くわな。
やばかった
自分や一緒に映画の感想ラジオをやっている友達の性格や人格がほぼ一緒で怖い。幸い自分は結婚して子どももいるため、責任を負い大人になれていると思うのだけど、根っこは同じだ。そもそも大人になりたいと思ってなったわけではなく、妻や子どもがいるので必然的にならざるを得なかった。しかしそのおかげで心が救われている。
ずっと仲良くしてくれている友達を雑に扱うのも身に覚えがある。記憶を掘り起こされてつらい。叫びたくなる。
最後、店長が主人公にするアドバイスが身に沁みる。とんでもない映画を見させてくれたものだ。彼は映画人になれるだろうか。映画に対する情熱や気位の高さは散々見せつけていたが、才能の片りんも描かれていなかった。アドバイスに従って楽しい学生生活が遅れていることを心から祈らずにいられない。
若さのコントロール出来なさが愛おしい
卒業に向けて思い出をつづる映画撮影を学校から任され、のちに奨学金を地元の大学から得ているローレンスは優秀な学生なのだろう。
しかし、教師の指示を無視し、親の経済力を無視し、ずっと動画撮影に付き合ってくれる友人(マット)を「仮」の関係と呼び、およそ理不尽の限りを尽くす。
ローレンスは妙なハイテンションで、自分には映画作成しかない、NYUへの進学以外に道はないと思い込む。
アルバイトの遅刻も、セキュリティの未施錠の末、泥棒に入られたことへの謝罪もろくに行わない。
数年前に父親が自殺しているという衝撃的な事実が明かされるが、映画はそのことを強調しない。
アラナはローレンスを解雇する際、彼の父親の自殺の語りは、同情を引くための手口と毒づく。
マットは最初ローレンスに依存していたようだが、自分自身を取り戻す過程でローレンスから離れてしまう。
ローレンスはマットが自分と疎遠になった原因をおそらく理解しながら、マットに何故と問いかけずにいられない。
あの高校生のころの、自分も世界もどうにもコントロールできないもどかしさをこれ以上に正確に写し取った青春映画を私は知らない。
そして特筆すべきは周りの大人たちの優しいまなざしだ。
大人たちはローレンスを解雇し、きっちり筋を通しながら、彼への温かいまなざしを途切れさせない。
アロナも職場の同僚たちも母もローレンスの不安定さを受け入れ突き放さない。
ローレンスは結局NYUへの進学を断念し、映画を扱うアルバイトを解雇され、卒業思い出ビデオ作製から外され、ことごとく夢の実現から疎外されているように見える。
そしてそれが、ただ現実に飲み込まれ、世間に妥協せざるを得ない若者の悲惨さに繋がらないところがこの映画の肝だ。
ローレンスの開かれた未来へのまなざしが温かい。
主人のその後の成長が伺える映画です。
「お坊さまと鉄砲」鑑賞して、15分後に同じSCREEN3で「アイ・ライク・ムービーズ」を観ました。
カナダの⽥舎町で暮らす主人公は映画が⽣きがいのニューヨーク大学で映画を学ぶことを夢見ている⾼校⽣。社交性がなく、自己中心的で周囲の⼈々とうまく付き合えず、友人たちをそんなつもりもなく傷つけてしまう。しかし、アルバイト先の店長さんがとてもイイ人で、彼女の「人の話を聞けるようになる」の教えを受けて、高校とは違い大学生活が、青春が、花開くであろうと思わせる内容でした。
何十年ぶりで1日で2本の映画(合計224分)をハシゴしたのは••• 。まだまだ映画を観る体力と気力は残っていました。
【”映画は僕の全てだった。けれどそれ以外にも大事な事が沢山ある事を知ったんだ。”今作は、性格にやや難ある愛すべき映画少年が、バイトや学校生活の中で徐々に成長するコミカル物語である。】
ー 序盤のローレンス(アイザイア・レティネン)は、同じく映画好きのマットとつるんで、映画を観たり映画を撮ったりしている。
彼は4年前に父親を首吊り自殺で亡くした事が原因なのか、どこか情緒不安定で我儘で、傲慢だ。だが、今作での彼は観ていて何故か愛らしい青年に見えるのである。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ローレンスはマットに何気なく、”君とは映画愛のレベルが違うよね。”みたいなことを平気で言ってしまうし、高額な学費のNYU(ニューヨーク大学)に進学するためにレンタルビデオ屋でバイトを始めるが、夜中の二時でも母親に迎えに来て貰う事が当然と考えている、ちょっと世間知らずで傲慢な高校生である。
・又、レンタルビデオ店の店主アラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)から指示された仕事は何となくこなすが、遅刻は多いしナカナカ問題児でもある。
・映画の知識は凄く、キューブリックが好きみたいである。TVで「フルメタルジャケット」を見ながら、微笑みデブが鬼軍曹から叩きのめされているシーンを観て笑っているが、彼はその後、自分も同じような目に遭って行くのである。
・彼は自分の言動が元で、マットに愛想を尽かされ映画作りはストップする。更にはバイト先で勝手に夜中に寝てしまい、セキュリティシステムを掛けろと言われていたのに、正面玄関から朝、帰ってしまい泥棒に入られ、レンタルビデオ店に損害を与え、アラナを傷つけてしまうのである。
流石にローレンスもしょげ返る。そして、NYU(ニューヨーク大学)の不合格通知が来て、彼は更にどん底に落ちるのである。ちょっと可哀想。
・けれども、彼はダイナーで独り昼食を摂っていると、アラナがやって来る。彼女は店で話してくれた女優時代の悲惨な経験を乗り越えて、もう一度演技を勉強するために安定したレンタルビデオ店を辞めると、彼に微笑んで告げるのである。
それを聞いたローレンスは、マットが映画プロデューサー志望の女の子と作った映画を観て”良かったよ。”と言い、仲違いを解消し、頭をサッパリと母親に刈って貰い、カナダの大学に進学するのである。
そして、大学の寮で、初めて会った同級生達の会話に自分から入って行くのである。
<今作は、性格にやや難ある愛すべき映画少年が、バイトや学校生活の中で徐々に成長する物語なのである。
<2025年2月9日 刈谷日劇にて観賞>
I hate movies!
2003年のカナダを舞台に、人間関係がうまくいかず、行く先々でトラブルを引き起こす映画好きな高校生を描いた青春コメディ『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』
トロント国際映画祭を皮切りに熱狂的な評判を呼び、バンクーバー映画批評家協会賞で最優秀カナダ映画賞など4部門を受賞した。(公式HPより)
フライヤーに惹かれ、近くの気になっていた単館系シネマで上映されているとのことで鑑賞。
ラスト数分前まで、ただの映画好きなどうしようもない男子高校生(ローレンス)にモヤモヤ通り越して怒りを覚え、なんなんこいつ、高校生と言えどまじ最悪、胸糞悪い、などとイライラし続ける。
確かにいるいるこういう高校生。自分の好きなものを語りすぎて周りに疎まれちゃったり、こだわりが強かったりで、「好き」のエネルギーを昇華できずにふてくされてる子。高校卒業して、大学とかである程度自由ができて、「好き」の発散方法を見つけられたら花開くタイプ。でも周りはたまったもんじゃない。
ローレンスの周囲の人たちは心優しく、穏やかなぶん、主人公の子供っぽくてどうしようもない言動が目立つ。
その言動に振り回される家族、アラナ(バイト先であるビデオ屋の店長)、クラスメイト。
特にローレンスの母やアラナ、クラスメイトの才能ある女の子など、女性の傷つく姿にシンパシーを感じ、またイライラ。
彼女らはローレンスにきつく言い返したり悲しみながらも、なぜかローレンスを見る眼差しは少し穏やかだ。それはそれぞれ過去の痛みがあるから?もしくは"I like movies!"と訴える彼のまっすぐな瞳があるから?
確かに、人が好きなものを語る顔は非常に眩しい。なんかキラキラ、というかテカテカしている。お金もない、知識もない、技術もない、でも好きなんだ!!!という強い情熱は、なんというか、たくましい生命力を感じて、すごく、いい。
わたしにはそういうのあるっけなあ。
そんなふうに考えだした時からローレンスの魅力になんとなく惹きつけられている。
そして最後、爽やかなラストに繋がる。
わたしは、アラナの語る、「友達を作る方法」がグッと来た。
アラナはめっちゃかっこいい。ビデオ屋の仕事中に叫ぶ"I hate movies!"も、レジに方杖ついて放つ"××××"もめちゃくちゃ爽やかでかっこいい。
いいもん見た気がする。それはローレンスに対して溜まったヘイトから一気に解放されたからだろうか。夢も希望も詰まった若人のエネルギーがまぶしいからだろうか。
年齢は関係ない。だってアラナも辛くても立ち上がって、自分のやりたいことと向き合ってるから。
ちなみに、単館シネマを出た瞬間、同じ映画を見ていた見ず知らずの年配の女性に「いまの映画どう思った?」「あなた、映画お好きですか?」と聞かれ、なぜか彼女のおすすめの映画をいくつか教えてもらった。またこの映画館で会いましょうという約束をして。
なぜ私に?ありがとうだけどさ。
やっぱ映画の力ってすごい。
最高だった
前半は共感性羞恥が凄くて、
もうほんとにやめなやめなって感じなんだけど、
後半から各々の心の内が見え始めてよかった。
アラナがいいのよな、この映画は
二人の喧嘩なんて最高だったじゃないですか。
いやー、それにしても「マグノリアの花たち」か。
あんな溜められると、ん?ってなっちゃうけど、
終わってみると、最高の解だったとわかる。
めっちゃ考えたろうな。
もうね、アラナが主役と思うよ、この映画は
クソみたいな映画界に入って行く小僧のメンターだもんね
なんで被害を受けた女性が教える立場に回らないとあかんねんってのはあるけれど、なんせ相手は17歳だもんな、、
「あんたみたいな奴が大学入って、女をゴミ扱いするの」とかもうめちゃくちゃ良かったよ、マジで納得した。あいつが女をゴミ扱いするんだよ、
そんでさ、アラナ本当に偉くてさ、今後の業界のために
あいつに教えてやるんよな、人と関わる簡単な方法をさ…。
いやー、心にアラナを…。
なんかいつか、二人が仕事で会えたらいいなとか思うよね。
あのビデオショップの店員もみんな好きになる。
あとお母ちゃんもね、、あの人もキーパーソン。
「キャスト・アウェイ」の海を思い出させるシーンは泣いた。
「お前と一緒にいると、ママも自殺したくなるわ」も泣いた。
いいキャラクターだったな…。家族なんてあんなもん。
ああやって、ずっと続けて、生きて行くしかないのよ、
役者、全員お見事! ただし脚本の一点だけに疑問・・・
主役ローレンス(演:アイザイア・レティネン)もそのお母さんテリ(演:クリスタ・ブリッジス)もバイト先店長アラナ(演:ロミーナ・ドゥーゴ)も、もっと言えば親友も学校の先生もバイト先の他の店員もみんなキャラが立っていてクォリティ高い演技を見せてくれました。
他のレビュワーさんも言及していますが、ローレンスの極端な言動はやっぱりある種の発達凸凹で、その知識がなく背景もわからない人には「しばいたろか、このガキ」とか「青春の一時期にありがちな傲慢さが痛い」と捉えられるかも知れません。
でもしかたない、病気なんですよね。
というかパニック障害で更衣室に立てこもってしまうところも含めて、すべての言動がローレンスの生きづらさを表していますね。
だからお母さんのテリが「Cast Away」を思い出して」って誘導してドア越しに落ち着かせるのが妙にリアリティがあった。
ただ、ちょっとわからない展開が、アラナの「ルームメイトが自殺した」のは嘘だった、と、それに続いて言わなかった俳優キャリアで性被害に遭った、という告白。
つまり性被害に遭って仕事も学業も一旦挫折した過去を言いたくないがために、それと同等くらいショッキングな「ルームメイトの自殺」というエピソードをフィクションとして言ってしまいました・・・という建付け?
・・・うーん・・・
性被害について告白するドゥーゴの演技は素晴らしかったし、そのあと夜の駐車場で自分の父親の自殺を告白するローレンスに共感し黙って抱き締めるシーンもぐっと来たのですが、えええええ? あのルームメイトの自殺が嘘だったの? それならあの駐車場の共感シーンは何? 身近に自殺者が居たという共通体験からの「共感」に嘘があるということになる。
その割には、ローレンスが店内に泊まって翌日問題になって、従業員控室みたいなところで本社筋?の男性の前でローレンスと罵り合いになった末、確かにそこで言うことじゃないだろうが自分の父親が自殺したことを口走ったローレンスに「あんたはいつもそうやって父親の自殺を引き合いに出して同情を引くのよ!」って、それはそれでちょっと言いすぎでしょう。
いやーこの女優いいなぁ、とずっと思いながら観ていたので、そこのところからちょっと興醒めしてしまいました。
そこだけ惜しいなぁ。ので星を半分減らして3.5にしました。
I like "I Like Movies"
映画好きさん?と興味を惹かれて鑑賞。
詳細はあまり事前にチェックせず、コメディかと思っていたけど違ったが、なかなか面白かった。
2003年のカナダ。映画が大好きで仕方ない高校生のローレンス。フィルムメーカーになりたくてNYUを目指すけど、そんなに物事上手くいかないよ…というお話。
題材が映画でなくて音楽でも野球でもサッカーでも同じ。好きな事だけしか見ないで人の事は全く考えずにいたら、そりゃー人は離れていく。
でもまだ彼は若く、それに気づけたのも周りの人のおかげ。そうして社会を学んでいく、青年の成長物語である。
新たな地で、新たな出会い。未来に期待、上手くいくと良いな。
ちょっと岡山天音君の「笑いのカイブツ」を思い出した。
映画作品名がセリフでいっぱい出てくるので、映画好きな方はそれも楽しめる。
最後に出てくる「マグノリアの花たち」を、レンタルかスカパーかで昔見たけど、泣いた記憶あります。いつの間にか配信で映画見られる時代になって、ローレンスのバイトするレンタル店も懐かしく感じた。
*****
字幕の「○○じゃ?」(知ってるんじゃ?とか、見たんじゃ?など)という訳が、現代風だなあと変なところに感心してしまった。
大学に入ったからといって、そんなに簡単に変われる?
ええ、おかしいぞ。目の動きが。もしかして? と思っているうちに明らかになる。ローレンスは映画好きだが、それが昂じて、オタク、ギーク、アスペルガー症候群のようで周りが全然見えず、自己主張だけ延々とをする。こんな生徒はよくいる。クラスメートはローレンスが話し出すと聞きたくないようだし、親友マットですら、困った表情を見せる。しかし、担任の先生はローレンスをうまく相手にするね。パンデミック後、好きなことだけをしたり、発言したりするからローレンスのような生徒は増えていると思うよ。周りの生徒はなんだこのやつと思うかもしれないけど、先生は慣れてるよね。ローレンスのような言動で、友達や仲間を失ったりするんだよね。ローレンスにとってみれば、悪気があるわけじゃないんだけどのね。言葉の使い方なんだよ。マットのことをplaceholderなんて言い方をしたのはびっくりしたよ。大学に行って本当の友達を作るための仮の友という意味なんだよね。傷つくよね。でも、バーリントンのビデオ屋の店長アラナ(ロミーナ・ドゥーゴ)はローレンスの毒舌戦闘で立ち上がったんだよね。かつて⼥優を⽬指していたアラナはローレンスとの毒舌を吐きあう会話によって、自分がビデオ屋の店長をしていることは自分の痛みからの逃避だということが認識できたんだよね。ローレンスのような直球型の人とまじあって、自分を考え直すことができて最高だね。
パニック症候群もあって、ヴィデオストアーの更衣室に閉じ籠るシーンはきついね。母親はローレンスのことを知り尽くしているから対応が上手だったね。Close your eyes, imagine oseanとか。。。。 Cast Away の映画を想像させて、トムハンクスの島での生活だと思う、Warm, Blue とローレンスは想像していう。母親はローレンスの落ち着かせる方を知ってるね。このシーンが好き。
最後のオタワのカールトン大学に行く前のシーンで、ファーストフードでアラナに会う。ローレンスが大学に行って人に好かれるためのどうしたらいいかというように質問するシーンがあるが。。。。大学に入って快活そうに振る舞っている。質問もたくさんしても問題意識の強さとして考えられる。でも、大学に行ったって、最初だけが人に気を遣っているがだんだんと地が出てしまうんだよね。そうでなければ、アルペルガー(かもしれない)は完治されてるよね。アラナはローレンスのことをCollege type of personality. だって。そうだね。
ローレンスってトッド・ソロンズ監督の若い頃のような感じじゃない?
大嫌いなのに、大好きな主人公。
秋田県大館市にある東北唯一の単館常設映画館の「御成座」さんにて鑑賞いたしました。本作については全く事前知識がない状態での鑑賞です。
結論ですが、面白かった!!!
主人公のローレンスが本当に憎らしい少年でしたね。物凄い生意気であらゆる言動が鼻につき、能力は低いのにプライドだけは異常に高い。劇中何度も「なんだこいつは」とムカムカするのですが、正直思春期の自分にも思い当たる節があるので、振り上げた拳をそっと降ろす。多くの人が思春期に抱いていた、肥大した万能感と社会に対する無根拠な反抗心をじっくり煮詰めて出来上がったもの。ローレンスはそんな少年です。
愛する家族との衝突、仲の良かった友人との疎遠、バイト先の美人店長に抱く淡い恋心と決裂。様々な人生の障害にぶつかったローレンスが、それらをどのように受け止め、どのように乗り越えていく(もしくは乗り越えない)か。見る人に自己嫌悪や同族嫌悪を抱かせるようなリアルで痛い人間ドラマが、本当に素晴らしい作品でした。
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レンタルDVD全盛期の2003年カナダ。映画好き高校生であるローレンス(アイザイア・レティネン)はニューヨーク大学に進学して有名映画監督から映画について学ぶことを夢見ていた。ニューヨーク大学への進学には多額の学費が掛かることが分かり、行きつけのレンタルビデオショップでアルバイトを始める。はじめはアルバイトも楽しんでいた彼だったが、卒業や受験が間近になってくると、友人との疎遠、家族間の衝突、バイト先でのトラブルなどによって精神的に追い詰められていくことになる。
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この映画の魅力は、何といっても主人公のローレンスですね。
私も色んな映画見てますが、ここまで見ていて嫌悪感を抱く性格の主人公ってなかなかいません。生意気でプライドが高くて他人を見下して、いつも最後の一言が余計。でも、自分の思春期の頃を思い出すと自分にもちょっぴり似たところがあって、あまりローレンス悪く言うことができない。そんな感じの主人公。
映画好きの人って、多かれ少なかれローレンスのような言動しちゃうことあると思うんですよ。いわゆる「シネフィル」と呼ばれる映画オタクの人たちって、結構上から目線で映画の批評をしたり、映画に詳しくない人に対して偉そうに講釈垂れてたりするじゃないですか。まぁ、俺の事なんですけど。ローレンスを見ていると、そういう今までしてきた自分の言動を反省して、考えを改めようと思いますね。
監督脚本のチャンドラー・レヴァックさんは本作が長編映画デビューとのこと。デビュー作でここまでクオリティの高い作品ができるとは、今後が気になる監督です。というか監督はトロント大学出身だったんですね。劇中でローレンスが監督の母校であるトロント大学を小馬鹿にした発言がありましたが、大丈夫なんでしょうか。
ローレンス本人は自らのことを不幸な身の上だと思っているっぽいですが、子供のためにプライベートを犠牲にして送り迎えをしてくれる母や、ローレンスの言動に思うところもありながらずっと仲良くしてくれた友人、ローレンスの発言や素行によって傷つけられながらも最後には彼を応援して金言を授けてくれたバイト先の店長など、正直周囲の人たちに恵まれすぎているくらいな気がします。彼の言動にイラつくこともありながら、しかしどこか惹かれてしまうローレンスという少年の不思議な魅力が、周りの人々にそうさせるのだと思います。ローレンス本人も終盤には自分がいかに周りの人たちに助けられたかを自覚し、辛い経験を乗り越えて人間として一皮むけて大学デビューを果たしました。
観客もまたローレンスの周りの人々と同じく、劇中の彼の発言にイラつきながらも最後には彼のことを好きになってしまいます。カナダの片田舎に住む少年の物語であるにも関わらず、自分のこれまでの人生や思春期の黒歴史を思い出し、自分の半生を振り返ることができました。半生を反省する、なんつって。
本当にいい映画でした。映画の舞台は2003年ということで、劇中では描かれていない現在の彼について思いを馳せてしまいますね。
良い映画でした。本当に。
オススメです。
思い当たるふしがあれば刺さりまくる
「根拠のない自信」を持ち、「ここではないどこか」を日々夢見て、地元で最大限の流行に触れられる場所であるレンタルビデオ店に足げく通う田舎の高校生ローレンス君。思い当たるふしがありまくり、痛甘酸っぱい気持ちで鑑賞した(自分はレンタルビデオ店ではなく書店に通う高校生でした)。
ローレンスの未熟さが全部の地雷を踏みぬいていく人間関係は、なかなか見ていて気が気でない。しかし、失敗してぶつかり合うものの、その関係性はそのままにされることなく前に進んでいく。フタをして忘れるような、もやもやした感じにならなかったのは良かった。マットが離れて行った理由をちゃんと聞けた勇気も褒めたい(まあ…あまりに興味なさそうに聞かれたら、話したくなくなるよね)。
ぎこちないながらも、人に興味を持つことから始めるローレンスの将来に幸あれ。
あと、アラナがキレるところ、ハリウッドの悪習を痛烈に皮肉っててよかった。
才能があったらクズでも許される、などと言うことはないのだ。
ネタバレは避ける(避けない
素直に絶賛はできないが、嫌いじゃない。
本作のカメラは常に主人公を追っているので、彼を好きになれるかどうかが大事なのだが…
正直、嫌いになれないとやっぱり嫌いだを行き来した。
周りを下に見て、擁護してくれたローレンすら否定し孤高を気取る。
自信家かと思えば、ひと皮むいたら劣等感の塊。
人の話を聞かないので会話が常に噛み合ってない。
ハマればいいけど確実に爆弾でもある彼を、よくアラナは即日採用したな。
序盤から思うところのある表情はしていたが、マットとの関係も次第に拗れていく。
誰も知らないところで冷たい風に吹かれたいとかなら分かるが、「仮」とか言われたらそりゃ傷つく。
約束をすっぽかしたりもするけど、それでも完全には見捨てないマットがいい奴です。
聖人にまでは到らず、人間臭い範囲での善人というのが、アラナ共々大好きでした。
(母も、レジでのシーンさえなければなぁ)
駐車場でアラナが主人公を抱きしめるシーンには涙。
…が、予告で見た「私を見て優越感に浸ってる」がこの後で来るんだよな、と思い出して少し冷める。笑
しかしそれ以前に母親に最低なコト言うし、アラナのあの話も嘘だしで、感情がゴチャゴチャ。
やらかしの後も、先輩がクビになるというのに自分の話しかしないし。
しかし度重なる“失敗体験”によりサスガに学んだようで、ローレンにも歩み寄り、マットにも気持ちを伝える。
アラナに教わった“人に好かれる方法”を素直に実践する姿は、ぎこちなくはあるが確実な変化だ。
滑り止めも素直に受けたし、本当に慕ってたのだろう。
彼の大学生活に幸あれ。
自己愛
オタクでもあり思春期ならではの破壊力。
一緒に居る時は楽しいが、それだけではない。
自分が正しいと思っている正義が半端ないし
大好きで前しか見えない。
あの激しい性格を見守る母親が凄い。
そこに尽きる。
決して見捨てず対峙して思いやる。
その勇気を伴う愛情が素敵。
しかしあの俳優を主人公に選んだのも
最高のチョイスをした監督。
過去の自分を照らし合わせながら観ていた
鑑賞者もいたのでは。若い思春期の自分に。
不器用だし、自己中で自分しか考えない
少年が新天地で頑張ってたよ。
人の話しを聞いたり、質問したりと。
周りの人々への感謝もあり大人になった。
最後は胸熱。
成長して良い映画を撮って欲しい。
むしろ過去の自分を監督が投影してたのかも
しれない。
予想してたのと違ったけど、
なんとなくルックバック的なものを想像してた(主人公が映画を撮ることが映画のメインだと思ってた)けど違った。こじらせ社不主人公が人付き合いだとかそういう社会、現実に向き合うまでの話だった。劇的な変化は無くて、主人公はNYCに受からないし、友達のことは傷つけて(あの子とは多分あのまま疎遠になりそうだな)一応謝ったけどなぁなぁになって終わる。人生のシーンをそのまま切り取った感じだった。主人公は精神的に不安定で、お父さんが亡くなったからだろうけどかなり子供っぽい。カナダの治安とか遠さはいまいちわからないけど母親に毎回送り迎えしてもらうのは甘えって感じだな。あと周りの人が全員大人っぽいから余計それが強調される。特にあの親友の子すごい。私だったら仮の友達とか言われたらもう友達辞める。ゆっくり、確実に時が進んで、こういう風に人生の段階が上がっていくんだろうなと思った。自分はマーベルの主人公みたいに突然能力に目覚めるわけでもなく、才能が特段あるわけでは無く、ほどほどの身の程を知る。主人公はあのあとどんどん人付き合いが上手くなっていくんだろうな。取り返しのつかない失敗を重ねて人間関係は上手くなると再認識した。もっと大人になったらどんどん丸くなっていって、映画もだんだんみなくなりそうだなって思った。(まぁ映画専攻で大学に行ってるのでこれはおかしいかもしれない)子供とかができて、自分がこき下ろしてたシュレックみたいな映画を一緒に見に行ったりするんだろうなー、あと主人公の映画って現実逃避的な部分もあるんだろうな。大学に行ったら人生は一変するっていうのもある意味現実逃避だし。自意識が強くて子供っぽい、肥大した自尊心がそのうち周りの人にばれるところは自分と重なりました‥大学映画専攻だろうからおかしいのは重々なんだけど主人公が社会生活をうまくこなしていけるようになったら現実逃避に使ってた映画が必要なるから映画見なくなりそうだなって思った(2回目)自分で通勤して、自分で食事を作って、仕事に行ってっいう大人になってからお母さんの苦労がわかって優しくなるんだろうな。仕事して、子育てして、引っ越して、みたいな毎日の間に、いつかスタンドバイミーをみたら、この人は最後のセリフをみて泣くんだろうなって思った。考えすぎかもしれないけど作中でやってた思い出映画っていうのもなんかメッセージにみえる。この映画自体が主人公の思い出映画なのかな。そのうちI liked moviesになるっていう儚さを感じた(映画監督とかになってずっと映画好きかもしれんけど)
I like this movie!
私はこの映画が好きです。
「人生に必要なことは映画が教えてくれる」っていうのを体現してる映画だと思いました。
例えば、友だちとの関係。
主人公ローレンスが自己中すぎてマットという親友が離れていってしまい、おそらく高校卒業したら会わないんじゃないかと思います。ただ、その後、元バイト先の先輩に聞くんです。「どうしたら周りに好かれるのか」と。そのアンサーが「その人の好きなことを興味を持って聞く」なんですが、凄く納得というか、共感しました。
あとは、母親の無償の愛です。
確かに、ローレンスの母は息子を甘やかしすぎだという意見もありそうですが、ローレンスがNYUに落ちた時とか、問題を起こした時とか、どんな時でも味方になってくれる、「しょうがない子ね」っと言って手を差し伸べてくれる存在って私も母親しか居ないなと再認識させられました。
この映画はローレンスっていう自己中で、たぶん男尊女卑で、自分は映画を作る才能があると信じて疑わない周りから見たら痛い奴の成長ストーリーです。私もローレンスとは友だちになりたくないです。でも、ローレンスを通して、私も周りの人からの愛でここまで来れたのかと、今考えるとあれもこれも愛だったんだなぁと思い返すことができました。
主人公を介して自分の人生を振り返るのも映画の醍醐味かなと思います。
追伸
ローレンスとマットの私服が可愛い。好き。
ローレンスがスナック菓子が入った袋を枕代わりにしてるのに衝撃を受けた。
レンタルビデオ屋さんの制服が可愛い。
前半は共感し、後半は彼の様な熱意とは比べないと気づいた
父の自殺による子供の時から、うつ病を持つ少年は人生の一番重要な段階で自分の夢の方へ進んで行く話である。
人間関係、エキセントリック、家庭矛盾のような様々な葛藤から物語を伝える。前半でかなり昔の自分と似ているなと思って、目標のために進んでも、病気のせいで全部喪失人間になってしまった。その残った一つものがすごく重要だと思う。だから、その主人公にとって映画という重要な物をすごく感じた。
後は主人公自身のわがままな問題も少しでもあると思う。僕自身映画大を通っているから、そういう自分の脚本は最高、その偉さがわからないのは読み側のせいだと考えるやつはいっぱいいる笑
そのわがままな所も偏執の熱情かな...私はそう考えている、他人の迷惑かもしれないけど。でも、同じ沢山映画を見て、映画を勉強している自分は彼の様な映画に対する熱情に比べてみると、恥ずかしくなる笑
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