劇場公開日 2024年12月27日

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「ほろ苦くて、ちょっと痛い。」I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ ゆみなさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ほろ苦くて、ちょっと痛い。

2025年10月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

拗らせ映画オタクのビターすぎる人生勉強物語。

これ観る前は、映画好きの男の子が仲間とアレコレしながら成長していくアオハル映画かな〜て想像してたんですよ。観終わったらまあいい意味で全然違っていて、ほろ苦すぎてちょっと自分の過去にも蓋をしたくなるようなお話でした。痛い。

ローレンスがめちゃくちゃ映画が好きなのはわかる。でも多分、映画も好きなんだけど映画を知ってる自分がいちばん好きなんだと思う。自分がだれにも負けないことは映画の知識で、それを盾に周りの人達を全員見下しているように見える。
親友マットにも母親にもバイト先の上司アラナにも彼は最悪な言葉を悪気もなく投げつける。(仮)なんて親友だと思ってる人に言われたら泣くよ…他人の気持ちがわからなすぎる。

でもさ、これ共感性羞恥っていうか…過去の自分にもちょっと当てはまるところもあるのよ。ローレンスほどじゃなくても自分がいちばん映画を知っている気でいたし、とにかく知識を入れるために1日に何本も映画を観続けていた日々もあった。評論家でもないのに他人に自分好みの映画を押し付けたり、好みが合わないと映画をわかってないんだな〜って苛立ったり。なんて浅はかなアホなんだ…。今は自分がただの映画が好きな人って理解しているので許してください。過去を抹消したい。

ローレンスがいちばん傷付く形をしっかり描くラストが素晴らしい!自分より下に見ていた同級生の映像に魅せられて、自分より才能がある人が居ることを受け入れる。マットとはこの先会うことはないかもしれないけど和解はする。卒業アルバムのメッセージもなんだか切ない。

彼がアラナのオススメ映画のポスターを貼った部屋で、新たに出会う人の話を聞く側になるのがいい。自分よりまずは誰かの話を聞く。ここから少しずつ変わっていけたらいいね。

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ゆみな
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