ネムルバカのレビュー・感想・評価
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今年観た邦画の中ではかなり好き
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「リンダ リンダ リンダ」、古くは「青春デンデケデケデケ」、最近だと「知らないカノジョ」など、音楽青春映画には大好きな作品が結構ある。もちろん洋画にも好きな音楽劇映画はたくさんあるけれど、邦画作品の“青春”のとらえ方や描き方にある日本特有の感性が自分の記憶と感情により響くのかも。「ネムルバカ」はそうした音楽青春物のお気に入りに加えたい快作で、ジャンルを問わず今年観た邦画の中でもかなり好きだ。
阪元裕吾監督は「ベイビーわるきゅーれ」シリーズで培った、女子2人の何気ない日常会話から醸し出すシスターフッドの要素や、台詞だけでなく沈黙の間(ま)やカット編集のタイミングでも笑わせるユーモアセンスを、本作でも大いに発揮している。もちろん、石黒正数による同名原作漫画との相性も良かったのだろう。声を出して笑った場面がたくさんあったが、とりわけ変身ベルトから飛び蹴りのくだりでは爆笑した。
原作は未読ながら、コマ投稿できる「アル」というサイトで数ページを見ての比較では、久保史緒里が演じた入巣柚実に自堕落な感じが少々足りない気がする。乃木坂46の現役メンバーなので、所属事務所からの要請か製作側の配慮かはわからないものの、アイドルとしてのイメージを崩すような描写は控えたのだろう。ドラマ出演作の「どうする家康」や「未来の私にブッかまされる!?」などでのお姫様やヒロインはパブリックイメージに合うキャラクターだったが、入巣役はやや挑戦だったか。ルカとの会話の掛け合いでも、久保のツッコミがちょっと弱い場面がいくつかあった。
ルカ役の平祐奈はベビーフェイスで背も低めということもあり、入巣より先輩の設定に初めのうちちょっと違和感があったが、すぐ気にならなくなった(後で調べたら平が現在26歳、久保は23歳で、ちょうどいい感じの実年齢差だった)。やさぐれ気味で鬱屈した思いを抱えている感じはすごく良かったし、ルカとの先輩後輩の親密さと距離感の絶妙な塩梅も久保と2人で自然に表現できていた。歌唱は頑張ったけれど、感動的というほどでも。もっとも、アマチュアバンドの状態でしばらくくすぶっているという物語の設定上、あまりうますぎない、魅力的すぎないボーカルであることが必然で、演技としても演出としても仕方ない部分があったのも理解できる。
細かいところでは気になる点もいくつかあったが、総合的には大いに楽しめた。阪元監督も今後アクション作品以外のオファーが増えるのではないか。
ネムルエイガ
うーん、期待したのとなんか違った。とにかくどうでもいい中身も意味もないダラダラウダウダした日常の描写が延々続き、あまりの退屈さにちょっとウンザリ。それが1時間以上も続く。このダラダラウダウダ感、どっかで観たような……と思ったら監督が『ベイビーわるきゅーれ』の人だった。こういうのが好きな人もいるかもしれないが、僕はこの監督の作風は合わない。ちょっと眠くなった。ボーカルの先輩だけが大手レコード会社にピックアップされ、他のバンドメンバーが切り捨てられるという展開も、この手の作品では何千回と観てきたような話だ。
ただクライマックスのライブシーンはベタだとわかっていてもジワッと来るアガる展開で、そこだけはなかなか良かった。平祐奈はギターも歌もすごく練習したんだろうね。久保史緒里も演技が上手かった。しかし主演の女の子2人が上手くて可愛いってだけじゃ2時間持たないのも確かで、映画自体が面白くないとやっぱりちょっとキツい。
正直あまり期待してなかったけど
ぜんぶ良い
バンドで夢を追う者と何も目標がない者による物語。
大学生にありがちなモラトリアム感ある生活が描かれ、どこにでもあるような、誰もが一度は経験したことがあるような日々が懐かしくまぶしい!
何者かになりたくてもがいている人には痛みを伴って刺さるだろうし、やりたい気持ちはあるけれどしたいことがない人には共感すること必至。
そして、その職業になること自体が目標になってしまう危うさを描いている映画でもあるとおもう。
まあ、社会人になるとこれもよくある話で、「自分がしたかったのはこんなことなんだろうか…」みたいな若さ故の迷い。
良い。全部、良い。
そんな若さもゆるさもまぶしさもほろ苦さも全部全部良いんだよ!輝いてるんだよ!
これはルカと入巣のシスターフッドの物語でもあるし、最高純度の青春物語でもある!
ラストはもう感涙…。いろんな想いがあふれて涙がこぼれる…。
あと、坂元監督ファンとしては、入巣とルカの何気ない会話で「べびわる」のちさと&まひろを思い出してしまうのは仕方ないこと。このゆるい日常トークが大好き!途中からルカがまひろに見えてきてしまうのは末期的なのかもしれないけれど、観ながら思わず微笑んでしまう。
何度でも観たい。
ダサイクル
ジリジリとする映画
「歌が突出していい」
答えづらいだろうから今聞いているんだよ
先輩と後輩の繰り返す日常
そんな日常に突如終わりが訪れる
別々の道を歩むことになる先輩と後輩
先輩たちと環境が似ている箇所が多くないのに、自然と自分に置き換えて共感してしまう
あっという間に時間が過ぎ、終わったあとはひとりで余韻に浸りたくなるそんな映画でした
映画終わった後に一人で余韻に浸りたくなるのは私としては珍しい感情
一人でその感情と向き合っているうちに気付いたこととしては
「漫画のような、ドラマのような青春がすべてじゃない」ってこと。
キラキラした学生生活を当時行えず目を背けたかったんですが、映画を見て日常こそが幸せなんだと気づくことが出来ました。
意味のないって思うそんな日も大切だったんだなと
今までの記憶を青春に更新しつつ、これからそう思えるようになりたいな
笑いあり、涙ありで感情を豊かにする映画に見えながらも、こうして考えさせられる映画でした
入巣とルカのやり取りがクセになる
夢と現実の間で揺れる若者たち
2人の演技とスカッとラストが─
荒比屋土倍(笑)は、あの人。
「努力すんの、コスパ悪いじゃないですか」と発言するある登場人物に対して、「御託ばっか並べて、何もしないヤツが一番ムカつくんだよ!」とドロップキックを放つルカ(平祐奈)。
社会や生活との折り合いに課題があったり、大切な人との関係構築でも、ぎこちなさが浮き彫りになったりしてしまう不器用な登場人物たちを「ベビわる」から一貫して描いている阪元監督にとって、そういうスマートさを気取る輩に対し思いっきり中指を立てつつも、(多分映画の中のルカも同様だと思うが)自分自身にも喝を入れるドロップキックだったように感じて、いい場面だった。
リタイアするような年になった自分からすると、今作の中で出てきた「何かしたいけど、何ができるかわからない人が8割」といったセリフは、一見正論っぽく響くが、それはモラトリアムだから許される言説でもあって、人は結構、ささやかでも、自分のできることすべきことを見つけてしぶとく生きていく生き物だとも思う。
大人社会の代表者みたいな、音楽プロデューサーの粳間や、タレント部門担当の荒比屋土倍(なんていうネーミング笑)だって、こっち側からの視点ではヤラシイ面しか見えなくても、きっと何らかの熱量を持った努力があったからこそ、その地位にいるはず。
でも、まだ現実とぶつかる経験がないモラトリアムの時期は、そこまで想像できない。結果、自分周りのことで精一杯で、ルカのいう「駄サイクル」にハマっていってしまいがちにもなる。
そんな青臭さが、観ていて気恥ずかしかったけれど、ちょっぴり懐かしくもあった。
劇中歌「ネムルバカ」や「脳内ノイズ」の歌詞は、原作者の石黒正数とのこと。自分がこれまで感じてきた阪元監督の世界観にも一致してる感じがして、この映画化はとても幸せなコラボだったのではないかと勝手に推測している。
久保史緒里と平祐奈のコンビが、ベビわる(特にエブリデイの時のうだうだした感じ)のちさまひをほうふつとさせて和んだし、荒比屋土倍役で伊能昌幸が出てきた時は、とてもアガった。ロンコーの兎のウザさも、いい感じ。けど、それ以上に、ピートモスのメンバーが、よかった。クライマックスでの彼らの姿は、今作の映画化の一番価値があった場面ではないかと思う。
ちなみに、来場者特典のステッカーは、伊藤と田口と柚実とルカの4人が並び立つ場面のものでした。
よくある話?
ジリジリしてるけど心地よい日々
石黒正数の『ネムルバカ』を映画化。原作のファンです。
イリスとルカのジリジリするけど怠惰で心地よい日々を『ベビワル』の坂元監督ならば再現してくれるのではないかと期待して観に行ったのですが、期待以上でした。
ビンボーでだらしなくて小汚い生活も坂元監督が描くと居心地の良い空間に見えてくるので不思議です。
入巣の憧れの“先輩“であるルカは、エキセントリックで粗暴だけど優しくて、包容力があるけど庇護欲もそそるという難役だと思うのですが、平祐奈が見事に演じていました。
ライブハウスでの立ち振る舞いも様になっていて、それがラストシーンともリンクしていて胸が熱くなりました。
いや、良い青春・音楽映画でしたね。
あと、兎のキモウザさは流石でしたね。
今なぜに
原作は未読ですが、2006年〜2008年連載の漫画だと調べて分かりました。当時にこれが映画化されていたらもう少し良い感想を持ったのかも…
良いように例えるなら、『葬送のフリーレン』で最恐ゾルトラークが解析され一般攻撃魔法として定着してしまった感じかもしれない。目新しさがなく、当時の一過性の若者流行(はやり)で日常描写して、青春群像っぽく見せようとされても、その前に『NANA』や『ソラニン』とかタイムリーに見てるから響いては来なかった。
平さんは声は良いと思ったけど、もうひとつ何を歌っているのかよくわからず、それは惜しいと思えた。
音楽映画なら『君が生きた証』が最近なら好きだし、単に音楽って最高!なら『はじまりのうた』が好き
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