ネムルバカのレビュー・感想・評価
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CHAKAPOCO
阪元監督最新作、石黒先生の作品ということで期待しまくりで観に行きましたが、抜群の手応えでぶっちぎってくれた面白さでした。
特典はポストカードでした。
青春が爆発していました。
原作の雰囲気そのままに阪本監督のチューニングで作られた会話劇がずっと面白く、物語が進むにつれてグッとくる展開があったりと感情が大変でした。
アパートで先輩のルカと後輩の入巣がワタワタしているのがキュートでしたし、女子2人の会話劇というところで阪元監督に全幅の信頼を寄せていましたが、テンポも良く、それでいてまったりした感じもあってずっと笑いっぱなしでした。
XやYouTubeを観ながらダラダラしている感じがとってもリアルでしたし、ご飯を2人で自炊したり、一緒に居酒屋に行ってベロベロになったりするのも身近な幸せが詰まっていて良いなぁとなりました。
入巣のバイト先の絶妙なウザさを漂わせる兎さんが地味〜に嫌で好きでしたし、面白いくらいカッコつけているのも良かったです。
どんなお店やねんというアーティスト志向なあれやこれやも面白かったですし、懐かしのファスト映画での決着も味がありました。
メンズたちが合流してからのファミレスでのやんややんやがま〜楽しくて楽しくて。
田口が入巣経由でルカと連絡を取っていたクソ野郎というのが明かされたり、伊藤がむっちゃマイペースだったり、奢りと分かったならば高い注文しまくるルカと入巣だったりとワチャワチャ感最高です。
そこからのシンプル暴力をかます入巣にやられた田口に怪我したのかと思ったらニキビだったことに気づいた伊藤だったりとまた面白くさせてくれました。
メンズ2人の会話劇もユルっとしていて好きだったのでもっと観たかったです。
砂浜まで来ての4人の会話は沁みるものがあり、何者にもなれないのを悟る伊藤のセリフも突き刺さりましたし、伊東に向かってドロップキックをお見舞いするルカもスカッとしていて良かったです。
自分も行動としてはルカ的に生きているのですが、頭の中に伊藤のような感じの悟ったセリフも浮かんだりするので歯痒いなぁ、ほんのり辛いなぁと思わされました。
ドンモモタロウにライダーベルトを装着させるなんて…なんてファンサービス!ありがとうございます!
ルカがバンドから引き抜かれて、ソロデビュー、しかもピートモスをやっていた時とは全然違うキラキラした感じ、入巣もピートモスのメンバーも観客も皆んな、絶対この路線じゃないのにな…となっていたところでギターを持ってネムルバカを掻き鳴らしていく展開は本当に胸熱で、体も動きましたし、拳もかかげたくなりました。
入巣が目一杯叫び、ルカはそのまま会場を後にする、最高にロックで中指立てまくってて痺れました。
切ないけど前を向くラストシーンもこれまたグッときて、ザ・青春映画だ…!と震えながら終わっていくのも良きでした。
エンドロールで入巣が部屋で口ずさんでいるのも本当に良くて、この日の帰り道以降ネムルバカをリピートしまくりでした。
阪本監督の新境地を開拓したような作品になり、原作の導線にもなりそうですし、個人的には実写化大成功だなと思いました。
何回も観返して思い出にふけりたいです。
鑑賞日 3/22
鑑賞時間 18:45〜20:31
座席 J-1
ライブシーンが良かった
・原作漫画がコミックリュウで連載時から好きで新装版を読了してから観た。思い入れがあったせいか、映画のテンポが漫画よりも緩くて遅く感じられて違和感がすごかった。原作ファンが映画に対して色々と思ったりするってこういう事か、と実感した。そのため、映画としての評価がとても難しい。原作にあったエピソードと構成が好きなだけに、あぁそこはそうするかぁーって感じだった。とはいえ映画に収めるってこういうことだよなとも思った。
・寿司が嫌いになった理由が原作どおり血しぶきが観たかった。まぁ色々あったのかなと思いつつ、車が原作に出てくるような旧車だったらなぁと思った。それでガードレールにぶつかってぼっこぼこになるのも観たかった。
・個人的な思いとしては、舞台を当時の2005年頃にしてほしかった。まぁ最近知った人からしたら非常に迷惑な時代設定だろうけど。あと場所が関西なのか関東なのか、原作なら架空の日本だったらもっと地名の看板とかが観たかった。入巣が冒頭でswitchをしてたのが金がない割に余裕あるなぁって思ってしまった。意味のあるのかないのかっていう会話が今の流行りなんだなぁってシーンをサクサク進めてほしいなぁって思った。
・ストーリーは知っているので映画ならではのオチとかを期待しながら観ていた。その中でライブシーンが良かった。特にラストのピートモスのメンバーが観客で来ていて、観客席がバラバラなのが良かった。人気で取れなかったのか、各々勝手に来たらお前も来たのかってなったのか、今、皆は離れている状態ですっていうのが伝わってきた。そこで、ネムルバカを歌いだしたときにメンバーが席でエア演奏をしたのが最高だった。あぁこういう歌を歌ってたんだと。自分の耳の問題なんだけど歌詞が全然わからなかったことが残念だった。
ベイビー:カタギ編
笑えて泣ける
先輩、映画の感想を投稿して「共感した!」をもらって喜んでるのも「ダサイクル」に入りますか?
前半は、ルームシェアで一緒に暮らす二人の女子大生が、次から次へと出てくるダメ男たちをバッタバッタと切り伏せていくような話。
この映画に出てくる男たちは全員曲者揃いだが、どこかで見かけたことがあるようなウザさだらけなのが凄い。
個人的に特にインパクトが大きかった場面は、後輩・入巣柚実がバイトとして働くブックオフみたいな店でのやり取り。
「客のおじさん」も「南海キャンディーズ・山里みたいな同僚の男」も、若い女性店員である入巣に対して永遠と映画知識でマンスプレイニング。
「女性がかわいそう」と思うと同時に、「自分も女性から同じような感じに思われていたりして…」という考えが頭をよぎって怖くなった。
ウザいはずなのに、一応ちゃんと丁寧に対応する入巣は偉いと思った。
入巣が同僚の男に肩を軽く触れられた後、肩にこっそりとアルコールスプレーを吹きかける場面を観て、昔、似たようなことがあったのを思い出して戦慄した。
入巣が帰宅のために夜道を歩いていたら、突然見知らぬ男から「君に惚れちゃったから責任取って」と声を掛けられる場面。
男が夜道を歩いていてそんな目に遭うことは普通無いことを考えると、女性って本当に大変。
先輩の鯨井ルカが語る「ダサイクル」の話は、ネットに映画の感想を投稿している人間に対しても通じるような気がして、胸が張り裂けそうになった。
後半は、インディーズバンド活動をしていたルカが、大手音楽レコード会社に声を掛けられ、メジャーデビューを目指す話になっていくが、他の映画にもありそうなよくある展開で、「この映画ならでは」と呼べるような目新しさがあまりなく、個人的に物足りなさを感じた。
ラストは最近観た『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』の終盤にちょっと似ていると思った。
人気ミュージシャンの「周りがどう思おうが自分のやりたいことをやるんだ」なところが。
中2なら感動したかもね
ってエンドロールででかい声で話してたしたり顔のJDも
なになに?何が言いたかったか全然わかんなかったー
って彼氏とエスカレーター降りてる途中に言ってたJKも
まだ間に合うかもだから好きなこと探しなよ
劇中の小馬鹿にされてた意識高い系の先輩の言ってた
「今やiPadで何でもできる」は揶揄でも何でもなくエール。
気づくか気づかないかはあなた次第。
思い立ったら明日にでも
映画だって音楽だって小説だって創れる世界がやってきてる。
若者、まじ頑張れ!全世代頑張れ!
黒柳徹子さんがピアノはじめたのは50代。
何かを始めるのに遅すぎることなんてない。
いま始めたら1日アドバンテージ。
今が一番若いんだからさ。
やっときゃよかったで死にたくない。
ただの映画好きの青年がまま大人になったのが坂元裕悟監督。
得意のアクションを封印してもここまで魅せられるのは
好きこそ物の上手なれを極めたからこそできるカッコ良さ。
この円熟味でまだ20代だぜ?末恐ろしい。
いつか坂本裕二脚本でダブル坂元あるよねこれは。
主演の二人も最初はちさととまひろにしか見えなかったのに
あっという間に個性を伴った説得力のある演技をし始めるし
撮りはじめて数日でここまでの伸び代はヤバいでしょ。
ヒトって可能性しかないから前向けってエールが聞こえるよね。
(全然この映画が本当にいいたいこととは違うかも笑)
あと楽曲はおやすみホログラムのオガワコウイチに頼んでみると
今の下北のもっと良いグルーヴ感が出たかも(私見です)。
平祐奈も久保史緒里も可愛いって舐めてると泣かされるぜ。
ということで、
今クォーターで1番楽しみ且つ不安だった作品が
かなり良い作品でした、ありがとうネムルバカ。
サプライズキャストも堪能しました。
あ、ベビわるのアクション監督の撮った映画も行かなきゃな。
それではハバナイスムービーズ!
クソレビューしてすまん
原作未読
阪元監督なので期待しながら劇場GO!
ま、そりゃ面白かったんだけど、なかなかショック受けてる。
聞けば原作漫画って相当人気で、漫画好き名乗るなら部屋に置いとけ!ってくらい名作らしい。
ても俺知らなかった。。
昔はマニア名乗るくらいに漫画好きやってたつもりだったのに。。
本映画とても面白く現代の若者キッチリ描いてんなー。とか感じてたけど、コレが原作のチカラなのか、映画の面白さなのか俺じゃ判別出来ない。我ながら軽くショックしてる。。
カルチャー老人じゃ無いか。
しゃあないんで、ココは映画の魅力だろうと勝手に思うトコだけ抽出にてレビュー。
タイトルイン、超カッコよかった!客の心が、映画見に来たって事すら忘れるサイコーの瞬間に狙い撃ちドーン!!
あのタイミングで来る?普通??
コレは漫画には出来無いぞ。
そして音楽漫画最大の難関、生歌どうすんの?
今作、原作ファンが納得するレベルなのかは解らない、ても説得力感じる、インディ下北パンクだし、AのもあるあるJPOPって思えた。
して彼女ら、大学の先輩後輩って設定だったけど、何処なんだろう?
八王子とか言ってたし、音楽と、ちょい映画に興味有りそうな貧乏ライフだったから多摩美?
やっぱ阪元監督、こういう貧困現代女子の美しくも無いけど愛おしい生活描かせたら世界一だな。
「エビの身の無い海老天丼」のように、 先輩後輩のゆる~い女子トークが続くかと思いきや…
まるでアクションの無い「わるきゅーれ」だった。
先輩女子と後輩女子の、とりとめのない日常のやりとりが可笑しくて愛おしい。
この二人の関係性が最高です。
「エビの身の無い海老天丼」のやりとりとか、最高すぎます。
そのままの世界が続いて、ゆる~く終わるものだと思いこんでおりましたが…。
やりたいことで突き進むルカ先輩は、カッコイイですが、一応ライブまでは大人たちに合わせて正反対の方向性の音楽でも我慢していたんですかねぇ。
あそこで失踪されたらエライ迷惑ですねぇ。
みんな生活がかかってやってるんですから。
そこを忖度しないのが、若さの特権!?
平祐奈のなりきりぶり、特にキラキラガールズPOPSが良かったです。
それに対して、何がやりたいかわからず、うだうだする入巣は、動きが少ない役でしたが、久保史緒里が本当に良かった。
バイト先の常連客と昔の海外ドラマの話で盛り上がったり、居酒屋で酔っ払ったり、ファミレス前で大泣きからの暴行、本当に何から何までチャーミング。
最後は自身が先輩になって、エンドタイトルバックまで、本当に魅力的でした!
そのためだけでもまた観たい!
他の男連中は本当にポンコツ揃いで、まともな奴がいない。
アッシー(死語)田口が入巣経由とか、中身が無いとか、本当に失礼。殴られて当然!
もう一人の謎の伊藤、樋口幸平は、ドンブラザーズ同様の不思議な男(謎の2対2ファミレス)。
ドンブラザーズ繋がりか、新後輩役で、志田こはくが出てきてびっくり!
ちょい役でしたが、得した気分。
原作買います!
音楽集は…ダウンロードで済ませるか、円盤買うかは考え中です!!
ある意味「ベイビーわるきゅーれ」女子寮編ではあるが
原作再現度が高くよかった
ラスト直前までは最高だった超残念映画
ラスト5分まで、
とっても素敵な映画でした
2人の掛け合いも、
海岸のシーンも、
何気ないようで、
とっても深い…
ラストの先輩の失踪は、
久保史緒里に理由を
語らせているし、
あとは、
説明しなくてもわかるだろ…
ということなのだろうけど、
説明不明すぎてドン引き…
それまでの、ストーリーと
まったく繋がっていない
そこまで素晴らしかった映画が
ありきたりなよくある駄作映画に
一瞬で早変わり
そこまでの過程をぶち壊します
エンドロールのとき、
酷い映画を見せられた気になって
とても気分が悪かった
売れたい事と、やりたい事
「ベイビーわるきゅーれ」にはまった人は楽しめると思う。僕は若い女子2人の緩い日常は「ベイビーわるきゅーれ」だけで充分かな。ラストからのその後を描くPART2希望。平祐奈さん目当てで観賞。ナビコが笑える
「ベイビーわるきゅーれ」では、俊敏で緊張感に充ちた殺し屋だから、対極の伸びきった弛いゴムヒモみたいな日常が面白いと思った。
ルカ(平祐奈さん)にはユルイ日常からはじけるロックがあって、静と騒のバランスが良くて見てて心地よい。
だけど、入巣(久保史緒里さん)はずっとユルイままでメリハリがなくグダグダしてるだけなので面白くも何ともない。店長や同級生が絡まなければ映画の物語にはならない生活だ。
だいたい久保史緒里は最近テレビ,ラジオ,アイドルと大活躍なので、グダグダする姿には違和感があって、はまらなかった。
久保史緒里さん目当ての人は満足できたと思う。
僕は、平祐奈さん目当てで観賞したので、これまた大満足だ。
歌が上手くて、ピートモスのボーカルも癒し系の歌姫もヨイ♪ヽ(´▽`)/
物語は、ルカが大手レコード会社に誘われる所から面白くなる。
特に、ステージでルカが、「作詞·鯨井ルカ、作曲·ピートモス,入巣柚実」と言うところなんかすごく感動的だ。
だけど僕は、大手の誘いを蹴飛ばして、「ピートモスで ”ネムルバカ” をヒットさせんかい」と思ってしまうのだヨ。 ルカが大手レコードの誘いを断るよりも、映画どおりの展開のほうが面白いとは思うんだけどね。
物語はラストのルカの逃亡からのほうが興味深いので、そこからを描いた,それからの物語·PART2が見たい。
あと、カーナビがルカを灯台がある岬まで案内して最後に「ナビ、マチガイちゃいました~」と緩く言ったのが1番笑えた。マジかナビコ。こんなポンコツナビだから配信終了しちゃうんだよ。
自分の学生時代そのままの世界がそこにあり懐かしくもありめちゃめちゃ面白かった。
私の世代にはちょうどどんぴしゃな学生生活の感じが懐かしかったし、出演者4人の掛け合いがめちゃめちゃ面白かったです。
バンドブームの時代に誰もが夢見ていた音楽でメシを食っていくみたいな感じが懐かしく、そして、自分がやりたい音楽を売れなくてもやり通すのか、売れることを優先した音楽をやるのかみたいなところも懐かしかったです。
普段はキラキラの久保史緒里さんが夢がないダラダラした大学生を演じていたのに、それがちゃんとネムルバカの世界の入巣になっていて、ダメダメな久保さんもめっちゃかわいかったです。
平さんの先輩ぶりもすごく良くて、入巣とルカの先輩後輩の感じがなんか心地よく、見ていてしっくりきて、2人のやり取りもおもしろかったです。
泣く要素なんて全くなかったし、そんなつもりもなかったのですが、最後のルカのライブシーン、久保さんに感情移入して、感情が高まり思わず涙が流れました。
久保さんの演技、素晴らしかったです。
最後のシーンでダメダメ後輩だった久保さんが4年生になっているのですが、見て一瞬でわかりますが、ほんとに4年生の先輩になっていてすごいって思いました。
衣装も変わってない、メイクも変わってない、髪型も何も変わっていないのに明らかに大学4年間の時を経て4年生になった久保史緒里さん演じる入巣柚実がいて、大学生の時に感じた1年生と4年生のまったく違う感じが明らかに見てわかって、ほんとに久保史緒里さんの演技はすごいと思いました。
この最後のシーンのこの感じが出せなかったらおそらくこの映画が表現しようといていたことは表現しきれなかっただろうということを考えると、この役にそれをちゃんと表現できる久保史緒里さんを配役した監督は役者を見る目がある人だと思いました。
ダメダメ後輩だった入巣が4年間の時を経てしっかり先輩になっているっていう場面は、誰もが大学時代に目にした大学時代ならではの感じで、最後の場面として結構重要だったと思います。
誰だったか忘れましたけど、他の映画監督が久保さんは神経細胞の一本一本で演技しているというような表現をしていたけど、まさにそれでした。
すっかり昔の大学時代に戻ってネムルバカの世界に入り込むことができて、なんとも言えないなつかしさと楽しかった時代を感じられ、とてもいい映画だったと思います。
久保史緒里さんと平祐奈さんの演技があって初めて完成したネムルバカの世界だったのではと思います。
2025年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨✨
1人で立ちづづけてるよ…
良いラスト場面でした笑
いい映画に出会えました!
*原作漫画は未読。映画鑑賞後、読んでみるか…なんて気分になった。乃木坂って言われても、オレには困る…もうジイさんだから。音楽…意外にポップ…もっとハードコアなもんが出て来るのかと思った。
色々ブチブチ言ってるやつはこの作品を楽しめなかったんだろうな…。
…これからもいいもん見せてほしいです。
ルカ・柚実がサイコー!
青春コミックの実写映画化らしいですが、原作未読です。予告も目にしなかったので、予備情報もゼロです。でも、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズの阪元監督作品であり、キービジュアルからも同じ雰囲気を感じ取り、ちょっと期待して公開初日に鑑賞してきました。
ストーリーは、大学の女子寮で二人暮らしをしていて、インディーズバンドのギター&ボーカルとして夢を追う先輩・鯨井ルカと、これといった夢もなく古本屋でなんとなくバイトを続ける後輩・入巣柚実が、変わり映えのない日常の中でも二人で緩く楽しく暮らしていたが、ルカにレコード会社からデビューの話が舞い込んだことで、二人の生活が大きく変化していくというもの。
期待どおり、完全に「ベイビーわるきゅーれ」とかぶり、二人の醸す空気感はちさまひのそれとよく似ています。もちろん、そこに既視感はあるものの、これも悪くないと思わせる独自の関係性が垣間見え、この緩くどうでもいい会話の応酬をいつまでもずっと見守っていたいと思わされます。
そんな二人が、互いをどれほど大切に思っているかが伝わってくる終盤は、なんだか一気に切なくなります。先のことをあまり考えてなさそうな柚実は、ルカとの生活は永遠に続くものだとぼんやり思っていたのでしょう。でも、ルカはもっと現実を見ていて、後ろ髪を引かれながらもバンドメンバーに別れを告げ、メジャーデビューを目指します。これにより、二人の共同生活を終わりを迎えます。
しかし、夢がかなって売れっ子となりながらも、思いとは異なる仕事をさせられる中で、ルカは違和感や消化できない思いを募らせていったのでしょう。ラストステージで歌い上げる「ネムルバカ」は、やりたいことをブレずに貫く強い決意の表れであり、その原点を与えてくれた柚実への感謝だったような気がします。そんな今の自分を柚実に見届けてほしかったのかもしれないし、夢や目標のない柚実への精いっぱいのメッセージだったようにも思います。ルカの思いは観客の誰にも理解されなくても、柚実とかつてのバンドメンバーにだけは、しっかりと受け取ってもらえたに違いありません。
本作は、「やりたいことが見つからない」「何をやればいいのかわからない」という思いを抱いて焦燥感に駆られる若者には、刺さるものがあるのではないでしょうか。また、かつてそんな思いを感じ、今は惰性に流される日々を送る大人には、懐かしく沁みるものがあるように思います。
主演は、久保史緒里さんと平祐奈さんで、二人の掛け合いが最高すぎます。ぜひこのコンビで、本作の前日譚や後日談を描いてもらえないでしょうか。脇を固めるのは、綱啓永さん、樋口幸平さん、兎さんら。
まんじゅうに毒があったら
静かにせい!この音でわれは何度もよみがえる!
ハードなアクションがなくても楽しめる
「ベイビーわるきゅーれ」を彷彿とさせるような、緩くてグタグタなガールズトークを存分に楽しめる。
大学生たちの話なのに、キャンパスライフがまったく描かれないところや、主役の2人だけでなく、登場人物たちが、揃いも揃ってクセの強いキャラクターばかりというところも面白い。
基本的に、延々と会話劇が続くだけなのだが、それでも、先輩の「自称アーティストたちのダサイクル」の話は身につまされるし、男友達の1人がつぶやく「大半の人は、何かをしたいのに、したいことが分からない」という言葉にも大いに納得することができた。
何よりも、明確な目標があり、自らの夢の実現に向けて努力している人間だけでなく、そうした人間を羨ましく思う側の人間にもしっかりとスポットライトを当てていて、彼らに寄り添おうとする姿勢には、共感せざるを得なかった。
やがて、ミュージシャンとして成功する先輩と、取り残される後輩の姿には、誰もが味わう「去りゆく青春」のホロ苦さや切なさが感じられて、しみじみとさせられる。
クライマックスとなるコンサートでは、それまでの脱力系の雰囲気を吹き飛ばすかのようなエモーショナルな盛り上がりが用意されていて、自分のやりたかったことを爆発させる先輩の姿や、先輩が自分たちのことを忘れていなかったことに気付く後輩やバンド仲間の姿には、思わず胸が熱くなってしまった。ここで初めて「ネムルバカ」のタイトルが大写しになるという、心憎い仕掛けも効果を上げていると思う。
「先輩の失踪」という事件と、女子寮で同居する先輩と後輩の日常の描写によって、オープニングと繋がっていくエンディングには、新たな物語への予感があって、何だか明るい気持ちで劇場を後にすることができた。
原作を大学生の時に読んだ全てのおっさんに祝福を
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