ネムルバカのレビュー・感想・評価
全139件中、1~20件目を表示
青春の終わりの痛みがビシッと伝わってくる
阪元監督らしい、というか、ベビわるらしい若い女性ふたりのわちゃわちゃ描写が炸裂、と思ったら、違う作品なのだから当たり前といえば当たり前なのだが、トーンも見せ方もかなり違う。原作にかなり忠実なノリだと思いつつ、そこは映像化の独特のノリでもあり、ルカと入巣は深いところで繋がっているようで、同じ方向を見ることなく、常にすれ違っている。
阪元監督自身が「ベビわるは永遠でネムルバカは有限」とコメントされていたが、「青春映画とは終わりを描くもの」と考えている自分にしても非常に納得のアプローチで、終わってしまう、変わってしまったという感覚がいろんなベクトルで押し寄せる「A、あるいは人間。」のライブシーンではまんまとすっかり涙ぐんでしまった(このときの平祐奈の完璧な「A,、あるいは人間。」っぷりはかなりの見ものだと思う)。
そしてその後の「ネムルバカ」の歌。撮影も編集も一旦終わった段階で、平祐奈が「歌を録り直したい」と言い出したことで、よりライブ感と想いが増したというのも納得のシーンであり、そして原作者が映画のために描き下ろした歌詞を踏まえると、「ルカ先輩の入巣に対する想い」がギュギュッと詰まっているようで虚を突かれるので、ぜひパンフとかどっかで歌詞はチェックしてほしいと思う。
あと久保史緒里のダルいコメディエンヌっぷりは最高。
今年観た邦画の中ではかなり好き
「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」「リンダ リンダ リンダ」、古くは「青春デンデケデケデケ」、最近だと「知らないカノジョ」など、音楽青春映画には大好きな作品が結構ある。もちろん洋画にも好きな音楽劇映画はたくさんあるけれど、邦画作品の“青春”のとらえ方や描き方にある日本特有の感性が自分の記憶と感情により響くのかも。「ネムルバカ」はそうした音楽青春物のお気に入りに加えたい快作で、ジャンルを問わず今年観た邦画の中でもかなり好きだ。
阪元裕吾監督は「ベイビーわるきゅーれ」シリーズで培った、女子2人の何気ない日常会話から醸し出すシスターフッドの要素や、台詞だけでなく沈黙の間(ま)やカット編集のタイミングでも笑わせるユーモアセンスを、本作でも大いに発揮している。もちろん、石黒正数による同名原作漫画との相性も良かったのだろう。声を出して笑った場面がたくさんあったが、とりわけ変身ベルトから飛び蹴りのくだりでは爆笑した。
原作は未読ながら、コマ投稿できる「アル」というサイトで数ページを見ての比較では、久保史緒里が演じた入巣柚実に自堕落な感じが少々足りない気がする。乃木坂46の現役メンバーなので、所属事務所からの要請か製作側の配慮かはわからないものの、アイドルとしてのイメージを崩すような描写は控えたのだろう。ドラマ出演作の「どうする家康」や「未来の私にブッかまされる!?」などでのお姫様やヒロインはパブリックイメージに合うキャラクターだったが、入巣役はやや挑戦だったか。ルカとの会話の掛け合いでも、久保のツッコミがちょっと弱い場面がいくつかあった。
ルカ役の平祐奈はベビーフェイスで背も低めということもあり、入巣より先輩の設定に初めのうちちょっと違和感があったが、すぐ気にならなくなった(後で調べたら平が現在26歳、久保は23歳で、ちょうどいい感じの実年齢差だった)。やさぐれ気味で鬱屈した思いを抱えている感じはすごく良かったし、ルカとの先輩後輩の親密さと距離感の絶妙な塩梅も久保と2人で自然に表現できていた。歌唱は頑張ったけれど、感動的というほどでも。もっとも、アマチュアバンドの状態でしばらくくすぶっているという物語の設定上、あまりうますぎない、魅力的すぎないボーカルであることが必然で、演技としても演出としても仕方ない部分があったのも理解できる。
細かいところでは気になる点もいくつかあったが、総合的には大いに楽しめた。阪元監督も今後アクション作品以外のオファーが増えるのではないか。
ストーリーはいいが、ありきたりな作品
配信(dmmtv)で視聴。
ベイビーわるきゅーれの坂元監督作品。ベイビーわるきゅーれもどきのシーンもあったが、彼女たちの青春讃歌と言えよう。ただ、気になったのはストーリーは良くてもありきたりな作品なのは残念。
ニヒルニナル
今の時代を真空パックしています。
鑑賞中、登場人物達に共感してしまって、虚しさが漂うフワフワした不安定なメンタルになりました。自分の中のニヒルさに氣付かされました。
会話に魅力があって、劇中の演奏曲も魅力的で、不安で人恋しくなるような氣分にさせてくれる好きな映画です。
鑑賞後、自分だけが評価高いかもしれないと思いながら『ネムルバカ』と入力してここに来たら、多くの人の評価が高くて嬉しくなりました。
仮面ライダーの変身ベルトのようなものを腰に巻いている若者が、変身ポーズをとって決め台詞で「へんたいっ」と言ったり、ルカ(平 祐奈)のマフラーがいつの間にか無くなっていたのが印象に残りました。カリスマ的なルカをリスペクトしていたので、失踪するのも意外で驚きました。
エンドロール中の映像が面白いと思いました。入巣 柚実(久保 史緒里)がイヤホンで聞いていましたから、これもひとつの伏線回収でしょうか。
「先輩」と「お前」にすべてが詰まっていた
配信が始まってから鑑賞し、どうして映画館で観なかったのかと後悔。この映画の絶妙なテンポ感は、予告編では伝わらなかったようだ。他県の劇場で上映中なのを見つけて遠出した。
大学の寮で暮らすユミ(久保史緒里さん)とルカ先輩(平祐奈さん)の何気ないやり取りがとにかく心地よい。レンタルビデオ屋の客との会話、バンドメンバーの楽屋の会話も癖になる。
バイト仲間や大学生の男たちがファーストネームで距離を詰めてくるのに対し、肝心な2人は終始「先輩」と「お前」。これが逆に絆を感じさせる。ユミにとって先輩は憧れの対象であり、平凡な自分への自己嫌悪の源であり、いつか別れが来ることも自覚しているのだ。
ユミが必ずしも先輩の言いなりでないのがよい。思うに、この年頃は自分が確立しているから全部他者に合わせたりはしない。しかしふとした会話で、大事な人と「壁打ち」をして自分のセンスや価値観を確かめるものだと思う。
この映画でいえば、居酒屋の帰りの「食事のことを背徳と言うのは好きじゃない」(ルカ)、「じゃ、言いません」(ユミ)とか。そういう言葉をユミは終生覚えているんじゃないかな。
先輩にとってユミは、気を抜くと甘えてしまうホームのような存在に見える。レコード会社と面談し、広い社会を知ったルカはユミの肩に顔を埋める。そこに安住してはいけないと悟った瞬間だろう。
「売れない時代の曲を忘れていなかった」というラストは、ちょっと音楽映画の型にはまっているように思えた。が、客席からの「先輩」という絶叫と、「元気でね」というつぶやきのためにあるシーンだったのだろう。「先輩」「お前」にすべてが詰まっているのだ。
【今作は、心地良いのにそれなりに切実な女子大生2人のダサイクルな人生を前半オフビート調で描いた作品。そして、ラストのルカが青春と決別するネムルバカ演奏シーンが激烈に格好良い作品でもある。】
■どっかの大学のボロッチイ女子寮で同じ部屋に住む黒髪が綺麗だが怠惰な後輩・入巣柚実(久保史緒里)と茶髪のイケテル先輩・鯨井ルカ(平祐奈)の女子大生2人。
只、日々を過ごす入巣は何となくDVD屋でバイトする日々を送り、ルカはいつも金欠状態だがインディーズバンド、”ピートモス”で夢を追いかけている。
2人はゆるくもどこか心地良い日々を過ごしていたが、或る日ルカに大手音楽事務所から声が掛かり、二人の生活は大きく変わっていく。
◆感想<Caution!内容に触れている・・かな?>
・”阪元裕吾監督作品だったら、アクションでしょ!”という理由で、車をブッ飛ばせば一時間の所にある映画館で上映されたこの作品を映画館で観なかったオイラのおバカ!である。
一体、何をしてんだか!って感じである。
・前半は、”ベイビーわるきゅーれ”のオフビート調で、柚実とルカのダラダラ生活が描かれる。更に柚実に纏わりつくバイト先のいい年をしたポッチャリでぶっちょ仲崎(兎)の全然イケテナイ姿や、二人のパシリ兼お財布の田口クン(綱啓永)の姿が、可笑しすぎる。特に田口クンの変なナビには笑うなあ。売ってるのかなあ。買おうかなあ。
正に、劇中で台詞で出る“ダサイクル“な青春である。
■だが、”ピートモス”の超格好良い曲”ネムルバカ”が出来た理由が、ルカから入巣柚実に明かされるシーン。”アンタの寝言から作ったんだよ。メロディが格好良いから。”で、ぶっ飛ぶのである。
二人で作った曲だったのである。一名は無自覚であるが・・。
・そして、大学を辞め、メジャーデビューした鯨井ルカのステージ。
柚実や”ピートモス”のメンバーが観客席で聴く中で、ルカはアイドルのキラキラした格好でアイドル曲を歌うのだが、柚実は目に涙を浮かべて”そんなんじゃないよ!”と呟くのである。
だが、その言葉の後にルカは、柚実と”ピートモス”の名を告げて、”ネムルバカ”をそれまでの曲とは一変して、ギターリフを激しく効かせてソロで謳いあげ、エレキギターをステージ場に”ガーン!”と投げ捨てて、舞台から失踪するのである。
実に格好良いシーンであり、イケテル先輩・鯨井ルカが、自らの青春と仲間と決別した瞬間である。
<今作は、心地良いのにそれなりに切実な女子大生2人のダサイクルな人生を前半オフビート調で描いた作品。そして、ラストのルカの青春と決別する”ネムルバカ”演奏シーンが激烈に格好良い作品なのである。>
ゼロ年代なのか現代なのか
原作が2006年から2008年のものということですが、本作においては時代設定が製作時現在になっているようです。
しかし、バンドがやっている音楽、バンドメンバーその他登場人物の感じ、レコード会社がプッシュして女性アーティストを売り出す感じ、そしてそこそこ売れている感じ、ラストに演奏される曲、すべてが2025年っぽくない。少なくともコロナ以前であるように感じる。
時代設定をコロナ以前の適当なところと明示してくれればもう少し違和感がなかったのかもしれないが、そんなことばっかり考えてしまった。
予想の数倍良かった
音楽映画の難しいところ。
シスターフッド物が流行ってると言うのは聞いてたが、
やはりシスターフッド物で監督と言えば阪元監督が
真っ先に浮かぶ。
気だるい感じ、何気ない日常、エッジの効いた台詞
好きな人にはブッ刺さるんだろうなと
少し離れて観てた感じでした。
なんとなく別れがすぐそこにある感じが切なく、
もう戻らない青春感は話が進むにつれ大きくなって
ラストにスゴい期待してしまって、
持つ者持たざる者がどういうラストを迎えるのか
ワクワクしてたのだけど、
音楽映画の難しいところで、
肝心のネムルバカの曲が僕には全く良い曲に聴こえず、
やりたい事とやりたくなかった事をやらされてる差が
伝わって来ず、これだったら今のままで良くないか?
と思ってしまいました。
後に残る戻って来ないあの日々と、
先輩の残り香と鯨井先輩を求めてる感情は
主人公と完全に一致して良い映画だったなと
思うので最後のライブシーンがとても残念だった。
こういう青春は好きだけどありきたりでもある
基本恋愛要素の少ない青春映画は好きなのでそれだけでポイントは高くなってしまうかな。
ストーリー自体は特記することもない底辺の夢見る少女がスターを目指すが、、、という話。
夢見る少女の青春と同居する夢も持たない普通の少女の下宿先の何気ない鬱々とした日々が楽しく見れる人は好きになるかもしれないけどそうでない人には大分退屈かも。
後半唐突にルカだけにスカウトが来て仲間を置いてデビューすることに後ろめたさを感じながらもスター街道を突っ走るんだけどなんともその辺の描きはなく、柚実が好きだったルカがステージでは別人でその姿にガッカリするのだが突然昔の曲をやりだし失踪する。
正直大人が見ると、ルカの行動も致し方ないし柚実のガッカリも押し付けな気持ちだったりもするんだけど、そういう20歳ぐらいの友情や夢は大人の視点では語れるものではないし、友情ってものが同じものを求めるのではなく、別々でもお互いを応援するということがわかるのはきっと先のことになるのだろうと自分自身を納得させた。しかし、それでも原作が何巻あるのか知らないけど、走り過ぎて適当に終わった感は否めない。
正直唐突なメジャーデビューは要らなかったし、最後までダラダラ凡人の青春でも良かったんんじゃないかなとは思った。
ビールの栓は開けてるから
「PEATMOSS」最高!
公開時、あまり気にもとめていなかったのですが
ネフリのサムネとタイトルが気になったので鑑賞しました。
「ベイビーわるきゅーれ」の阪元監督ですね。
どうしてもアクション系の印象が強く
見始めは女子二人の他愛もない日常会話が続くと
どうも「ベイビーわるきゅーれ」とかぶる印象で
あー、そうか、この感じですよね。
ですが、主演二人のナチュラルでリアルな演技に
ぐいぐい引き込まれていきました。
お二人とも存在感抜群ですが、なんといっても平祐奈さん。
平愛梨さんの妹という印象しかなくて、初めて出演作観たのですが
バンド女子としての演技、特にライブのシーンはやばいです。
バンドメンバーも実際に居そうな感じでキャスティングもうまい。
短い上映時間ですが、青春のキラキラとかギスギスとか、
切ない感じとかがビシビシ伝わって来ました。
しいて言えば、少し上映時間が伸びても
作品内バンド「PEATMOSS」の演奏シーンを
もっと増やしてほしかった。
私の中では「ベイビーわるきゅーれ」超えです。
3.5点をつけましたが、ほんとは3.8点。
アクションがなくても、しっかり阪元監督作品ーーー
『ベイビーわるきゅーれ』を思わせるような、あのユルくてクセになる会話劇。今回も主役のふたりが延々と他愛のない会話を繰り広げていて、「ああ、阪元節だな」とニヤリとさせられる。アクションじゃなく、実はこの会話こそが阪元作品の“芯”なんだと思う。
とはいえ、好みは分かれる。理解できる人にはクセになるだろうし、イラつく人にはとことん刺さらないかも。個人的には冒頭の「スイカゲーム」のBGMで、なぜかイライラしてしまった(笑)。
でも物語が進むにつれて、これは“ちょっと変わった青春音楽映画”なんだと気づかされる。そして迎えるラスト、ちゃんとカタルシスが待っていて、気づけば胸が熱くなっていた。
アクションができる役者が揃っているのに、あえてアクションを封印した意味も、あとからじわじわ効いてくる。主役のふたりの演技力と阪元監督の丁寧な演出が、ラストに向かってしっかり機能していたことに気づく。
予想外に熱くて、ちゃんと沁みる作品でした
涙が…
先輩が完璧超人すぎる。
原作と監督の作風が奇跡的に合っていた🎸
原作の会話内容が、SNS全盛の現代にアップデートされていて、違和感がありませんでした。「ベイビーわるきゅーれ」で培った日常会話の感じが、作品にベストマッチしていました。」駄サイクル」懐かしいです。
上げたハードルの遥か下を
女の子2人のダラダラとした日常を撮らせたらこの監督の右に出る人はいないと思う。
特に何も起きないのに何故かずっと見てられる。
キモの曲『ネムルバカ』をイントロしか聴かせずに引っ張って引っ張って、ラストに歌が来るぞ来るぞというシチュエーションを作り上げたまではよかった。
さあ後は感動するだけだと待ち構えていたら、曲も歌詞もイマイチでズッコケた。
この手の映画で楽曲が良くないのは致命的だと思う。
惜しかった。
意外。平祐奈の演技が素晴らしい。
今年公開されたばかりの作品ですが、もう、サブスクに降りてきたので、早速みて見ました。
いやぁ、タイトルの通りですよ。平祐奈が、“どんな演技するんだろうな”と思っていたんですが、バンド活動にいそしむ女子大生を好演しています。ぶっちゃけ、あそこまでバンド活動にのめり込んでいると、大学の単位とか心配なくらいですがw。でも、意外に周りを冷静に見ているルカを、上手く演じています。
そしてもう一人が、乃木坂46の久保史緒里。彼女は、乃木坂46でも演技派のメンバーとしても知られていて、大河『どうする家康』、NHK夜ドラ『未来の私にブッかまされる!?』に出演したほか、朝ドラ『あんぱん』にも出演することで知られています。この作品でも、いかんなくその力を発揮していましたね。この作品では、うれしい表情、悲しい表情など、いろんな表情の演技を見せているのですが、素晴らしかったです。
なんか、意外に面白かったです。
あと最後に、田口を演じた綱啓永。彼、綱啓永に見えなかったと言ったら意味不明??だってさ、綱啓永って、結構イケメンだと思うんだけど、全然そう見えなかったんだよ。
全139件中、1~20件目を表示