敵のレビュー・感想・評価
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実写版パプリカ
よくぞこれを映像化した。原作は前半と後半の落差に愕然とさせらる構成になっているが本映像作品はその辺の移行が実に見事で理解しやすい。とにかく長塚京三のひとり芝居が凄い。勿論共演者は居るのだが、ほとんど一人芝居と言ってもいいレベルだ。🎦PERFECT DAYSの 役所広司を思う浮かべてしまった。それとなにより極めて注目すべきは🎦桐島、部活やめるってよが全く理解できず、🎦紙の月も焦点がぼけてるようにしか思えなかったのが、この作品ではその才能を全開放している監督、吉田大八の才能の凄さである。この表現なら分かる、この監督の凄さが。このコンテキストなら読み取る事が出来る。この方法論で今一度この監督作品追っ駆け直してみてもいいかも知れない。
長塚京三が全ての映画。
(敵)は死であり、老いという攻撃を受けながら、最後は力つき敗(北)する、を独特な視点と発想と悲哀とちょっぴりのコミカルで表現した秀作だと思いました。
多分若い頃に観たら意味は分かるものの、深い共感までは至らなかったのではと思います。
配偶者との別れ、抑揚のないマンネリ生活、孤独、仕事、収入、病気、ボケ、詐欺、相続、老醜、加齢臭、性などなど、人が死に近づくにつれ襲ってくる大小様々な問題に対し、時には翻弄され、時には受入れ、時には迎合していく引退したフランス文学教授の”老人”を長塚京三が品良く、そして身体を張って演じられておりました。(何度かある入浴シーンカッコよかったですよ)
全編モノクロ映像なので変な生々しさが薄れる代わりにドキュメンタリー感が強く出て来るため、長塚さんの生来持っているアカデミックなイメージと合わさり、本当の独居老人のリアルなノンフィクション映画を観ている感覚になりました。
物語の終盤になり、初めて筒井康隆色を感じることができるのですが、終盤のシーンこそ監督のオリジナルだそう・・・。
長塚さんを最初に認識したのは賀来千香子主演の「典奴どすえ」というテレビドラマでしたが、毎回賀来さんに振り回される上司をコミカルに演じられていたので、当初は喜劇役者さんかと思っておりました。
ですが、私にとって今ではあんな風に年をとれたらなあと思っている一番のモデルケースかもしれません。
平日の日比谷はおじさん、おばさんでいっぱいでしたが、皆様どういったご感想をお持ちになられたのか是非聞いてみたいと思いました。
ちなみに私もフランス書院派でしたw。
リタイアしたインテリの妄想
多くの人が感じるように前半部分は「パーフェクトディズ」を彷彿とさせる展開でした。主人公の折り目正しい静かな日常がスクリーンの上を淡々と流れていく。ただ、パーフェクトディズの平山とは異なり、この映画の主人公は現役時代、大学教授でフランス文学の権威で今も講演やら執筆活動を続けており、その活動を通じて社会とも細々とではあるが繋がりを保っている。恵まれた老人でもある。
しかし途中から一転。筒井ワールド全開の展開となっていく。良識あるインテリ渡邉儀助が現役時代に心のなかで描いていた欲望、後悔、鬱憤やらが妄想として噴き出していく。そして次第に現実世界との境界が曖昧になっていく。
マゾヒズム、女性との情事、先立った妻に対する後ろめたさ、がさつな編集者への怒りなどなど。これらの妄想、願望がいかにもありそうだなという感じがしてとてもおもしろい。
モノクロ映像の中、主人公渡邉儀助の住む古い家屋の令和の中にぽつんと取り残された昭和という感じがとても胸に沁みた。
高度な絵作りをして、しっかりエンタメしている、最近の邦画では稀有な作品
本年屈指の傑作
描写の破壊力凄かった!モノクロの世界なのに不思議なことに食べ物が美味しそうに感じました。
前半はパーフェクトデイズ見てる感覚になりましたね
見てて夢か?現実か?生か?死か?って混沌としてましたが私の中では老後の不安や恐怖を視覚化した作品なのかな?と。
誰もが通る老後、
・お金のこと
・情弱が故に引っかかりやすい「フィッシング詐欺」
・面倒見が良いが故に騙されてお金取られてしまったり
・欲が出て教え子相手に妄想してしまったり
・病気への不安(松尾貴史が病室で「敵」って言ってましたね)
・認知症への不安
・亡くなった奥様を思い寂しさや孤独感
・死後の家の事
・死ぬ事
いろんな不安や恐怖がある中で
この作品は夢オチかな?妄想かな?とか認知症が見る世界を視覚化したものなのかな?とか、どれにでも当てはまると思うんですよね!
まぁテーマが深い
この作品は若い世代より50代より上の世代が見た方が刺さると思います。
塩昆布茶漬け〆
老後の不安を敵に見立てて映像化🧓👵⤵️
誰にでも必ず起こる出来事!
老後の不安て、死、お金の事、認知症やら病気、仕事、家の事、孤独、詐欺、死んだ後の事、様々な不安や恐怖を敵として描いてる名作ですね!(敵は急にやって来るって言ってたけど一理アリ過ぎるし🐜💨)
あとこの作品原作者がカラーだと色が余計だと思っていたという事で白黒作品で良かったって言ってますが日本家屋やら食べ物やら白黒だからこそより効果が高かったとも思えますし完全同意です🫡
下品な話でもあるんだけど品があるのは不思議❓
意外に分かりやすい展開と内容で敵の正体も直ぐに分かり色々と上手く作っているなあと感心してしまいましたよ🔥という訳でネタバレでも無いので老後の不安を視覚化してるという前提の知識があった上で初見で観るのも全然アリだと思います🐜
あと敵が北から来るってのがフック🪝で何かに襲撃される話だとミスリードされるし井戸が怪しいとか女子が怪しいとか勝手に勘違いする仕掛けにもなっていて面白かったしまんまと騙されてワケがわからんからクソ面白くないって感想もあって賛否はハッキリ分かれるだろうと思って居ましたがその通りでしたね😱
あと夢オチ、妄想、認知症、どれに当てはめても辻褄が合うし結局根本の老いの不安と恐怖って部分は変わらないからどう解釈しても良いと思います。(敵の正体が分かった上で2回目の鑑賞だとより面白く作品を見る事が出来るからリピートしたくなるんだよなあ敵は👀✨)
あとラスト付近は白黒なのも含めて鉄男みたいな映像でパンチが効いてましたよ🤍🖤👀💥✊
あと綺麗な自分の昔の教え子や👩🎓飲み屋の若い子が👩🦰明らかに自分に好意があるような🥰感じで絶妙に美味しいモノが食べたいとか🍽️フランス文学を先生に習いたかったとか🇫🇷📕家に来て夜遅くまで居たり酒飲んで離婚するみたいな話をしたり勘違いして惑わされるような絶妙な距離感に向こうからグイグイ距離を縮めて来る感じもより独身の老人の理性を破壊する原因になってて恐ろしかったですね😨(あれは主人公が一線引いて誘ったりエロい事をしようと実際にはしてないからこそのあの妄想又は夢又は幻覚に繋がっていてより作品として効果的になってたね🎯)
あと奇跡体験したんですが平日の田舎のミニシアターの最終上映という事で客が他にゼロで貸し切り状態って贅沢過ぎるんよ💰
観て面白いと言えるのは多分55歳以上とかになると思うんですが若い人が👶鑑賞すると実感がまだ無いから面白いとはならないと思いますし自分のような超絶孤独なエロゴミクソジジイにはブッ刺さりまくるんだと思いますよ🤮
万人受けはしないだろうけど間違い無く質の高い作品です!
あと前半の同じルーティンを繰り返すおじさんて部分とかまんまパーフェクトデイズですが敵は老後のマイナス部分がテーマなので裏パーフェクトデイズって感じですね🫣テーマも深いし後半の演出は下手なホラーより怖いし😱(最後に集団で襲って来たやつは様々な不安が具現化した集合体で白黒映像がより気持ち悪さを増す効果があったと思います!)
大腸検査の女の医師との会話は超大爆笑してしまい🤣😂劇場貸し切りで無人だったから助かりましたよ😂
最後に老後の恐怖と言う名の敵から逃げていたのにそれを受け入れて立ち向かうラストはめちゃくちゃ感動したしラストのセリフの春になればまたみんなに会えるってのも深くて死の向こう側には再生が必ずあるというのを暗示した言葉でハッピーエンドとも言えますよ🌷🪦👻👶🏻😭(結局いずれ全員に絶対に訪れる事ですから🪦)
あと白黒なのに食べてるモノの色や匂いまで感じる映像のおかげでめちゃくちゃお腹減ったし飯テロ映画でもありますね🍽️
まあ結局語る事が多くなりがちな満足感の高い怪物や市子を見た時のような感覚がありました✊
この作品好き過ぎてパンフレットをついつい購入してしまいましたよ📕⤴️
見終わって家に帰って寝てみて分かりましたが映像のインパクトが強くて脳🧠に焼き付け現象が起きててPTSDみたいになってます🥹(観て2日経ちましたがまだ脳の焼き付き現象が治ってないです👀🧠💥)
年間自分ランキング上位確定作品です🏆
どこまでが現実で、どこからが違うのか?
河合優美の演技を見たくて見に行ったが中心となる長塚京三が演じる元大学教授の内面が上手く演じられていた。瀧内公美が「光る君へ」で見せたようなおどろおどろしさと河合優美の謎めいた役どころもいい。河合優美はコピーライトの「2023」年にNHKで放送した「かぞかぞ」の七実と宗教二世を演じたように作品ごとに役を使い分けられるのもよく分かる。河合優美が演じた学費を滞納している大学生に主人公が貯金を提供したあたりから現実から非現実に移ってしまったのが分かりにくい。ひょっとすると最初から内容が全て主人公の内面世界の現れなのかもしれないとも見えてしまう。筒井康隆原作の映像化を見た事があるのは原田知世版の「時をかける少女」と蓮佛美沙子版の「七瀬ふたたび」なのでライトノベルと大人向けの小説との違いもあるのだろうかと思った。
椅子を蹴って退席する観客も
恋は、遠い日の花火じゃない
面白いです
ア・サッチ・ア・パーフェクト
え!?ものすごくおもしろい
リアルとドリームの境界が…
いかにも筒井康隆…
妻には先立たれ、10年以上前に大学を退職し、昔ながらの日本家屋で、丁寧に食事を作り家事をこなし時々原稿を書いたり講演をしたりする、恐らく昭和の頃から変わっていないであろう日々のルーティーンを一人で静かにこなしているフランス演劇を専門とする仏文学者の渡辺儀助。原稿執筆中に時折り届くメールは「5百万円が当選しました」のような詐欺メールばかり。そんなある日、「敵が北からやって来る」というメールが届く……。
儀助は時として現実離れした夢にうなされながら目覚める。上映開始1時間ほと経過した映画の後半になればなるほど、その夢は激しくなっていき、現実と幻想の境目が曖昧になっていくが、そんなシュールレアルな幻想を真に受けていても仕方がない。そもそも、やって来るはずの「敵」とは、いったい何者なのか?
劇中で敵の姿が明示的に描かれることはない。しかし、映画の、そして人生の、時間の進行とともに誰しもに忍び寄ってくる「敵」とは何か?と考えてみると、さほど難しい謎掛けでもないだろう。
「こちらの世界にいる人類や友人よりも、あちらの世界にいる知り合いの方が圧倒的に多い年齢になると死を恐れなくなる」といういう話をどこかで聞いたことがある。
誰にでも訪れる「老い」を敵対視するのか、それともそれを味方につけて楽しみに過ごすのかによって、人生の質も変わって来るのだろう。
ちなみに、全編白黒なのだが、これも余計な情報が遮断され、逆に集中しやすいのかも。
ホラーでもなくて
これは、絶対に原作を読む!
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