「この監督の味」敵 むっちさんの映画レビュー(感想・評価)
この監督の味
退職した元大学教授の一人暮らしの日常がモノクロームの映像で坦々と描かれていきます。何か起こるはず、と構えて見ていてもほとんど何も起こらない。眠気を誘うような心地よさを感じながら見ているうちにほんのわずかずつ不穏な空気が漂いだします。終局に向かって夢か現実かわからなくなるという体験を主人公と一緒に味わいました。過剰に不安を煽らない撮り方に好感を持ちました。ほかの監督が撮ったら全然違う作品になっていただろうと思います。ラストシーンの意味がわからなかったのですが、それも独特の余韻につながりました。
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