「「敵」とは」敵 えーじさんの映画レビュー(感想・評価)
「敵」とは
定年退職した元大学教授の日常を追った物語りをモノクロ映像で綴る。渡辺儀助は妻に先立たれ既に20年近く経っている77歳の男。彼は日々自分で料理をし丁寧に生きている、いや生きようともがいているが正しい解釈か。彼の生活は預貯金との睨めっこな毎日だ。
モノクロ映像は不思議と観やすいと言うより映像演出の妙だ。
そんな彼も男だ。教え子に欲情もするし、あるバーのオーナーの親戚と言う若い子に騙されかなりのお金を失う。そして騙された事がきっかけとなり彼の歯車が大きく狂って行く。しかし予兆はそれ以前からあったのだが…。そうすると食生活も乱れ生きる気力も失い自死迄図ろうとする。
彼の頭の中の妄想は次第に酷くなって行く。その妄想の中でも儀助は自分の妄想の中だと言う事を理解している。そうしてその「敵(妄想→ボケ⁇)」はやがて儀助自身を飲み込んでいく。「敵」はまさしく彼の"老い"そのものだ。
が、彼は誰彼に迷惑をかける事無く最後は逝く事が出来た。。 全ては自己完結したのである 納得のいく遺書まで残し…
【追記】
主演の長塚京三氏をはじめ俳優陣は全てエロティシズムの象徴と成っている。特に主演の長塚氏は高齢ではあるが演じている知識人特有のインテリの醸しだすエロティシズムを発散させている。また主人公に関わる3人の女性はそれぞれに魅力がありそれぞれがエロティシズムを放っていた。
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