「観る人によって合うか合わないか(もしくは好きか嫌いか)がはっきり分かれそうな作品です。白黒作品である理由は何となくですが理解できた気がします。」敵 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
観る人によって合うか合わないか(もしくは好きか嫌いか)がはっきり分かれそうな作品です。白黒作品である理由は何となくですが理解できた気がします。
出演者の中に気になる人が複数名おりチェックしてました。
長塚京三さん、瀧内公美さん、河合優実さん等々です。・_・
白黒映像にもどんな理由があっての事なのか気になります。
そんな訳で、さあ鑑賞。
した訳なのですが…。
この作品の感想をどう表現したら良いものか困ってます。*_*ン
鑑賞後1週間経過しても感想がまとまりません。
# 楽しかったですかというと いいえです(すいません)
# つまらなかったかというと 前半寝てしまいそうでした
# 気持ち悪かったかというと 否定できません (すいません)
# 観どころは無いかというと そうとばかりも言えない気も
うーん。
もしかすると、この作品をそんじょそこらの作品(どんなだ)と
思って鑑賞してしまったのが間違いだったかも。うん、きっとそう。
良くみれば、原作が筒井康隆の小説 だし。 @_@;;
というわけで…
以下、この作品が自分に合うか事前チェック~
…って 観てからやってもなぁ…と自分に突っ込みつつ
【設問その1】
筒井康隆を読んだことかありますか?
はい (次の設問へ) ★
いいえ (考え直すなら今のうちですよ)
【設問その2】
「時をかける少女」くらいでしょうか?
はい (引き返すなら今のうちですよ)
いいえ (次の設問へ) ★
【設問その3】
筒井康隆の作風を何となくでも理解していますか?
はい (この作品をお楽しみ下さい)
いいえ (選び直すなら今のうちですよ)
たぶん (何があっても自己責任ですよ) ★
★は私の選択です。
筒井康隆の小説で読んだことがあるのは、
「時をかける少女」
「家族八景」
「七瀬ふたたび」
「エディプスの恋人」 (←もしかしたら読んでないかも)
正直に書くとこの程度しかありません。@-@ ; ウン
そして、いわゆる七瀬三部作(の中のどれだったか)を読んだ
際に、トラウマになりそうなキツイ場面があった事も思い出し
てしまいました。・-・;; オッ
※「火葬場」「蘇生」「テレパス」このキーワードで ” あれか ”
と分かって頂ける方もいらっしゃるかも。
要するに、安心して鑑賞できる作品と思って鑑賞した自分が
悪かったのです。という事をお伝えしたいだけテス…。@_@;;;
そんな訳で、以下レビュー本文です。
◇
作品の概要を挙げてみると…
年老いた一人の老教授(長塚京三)が主役。仏文学の先生。
彼の日常生活のシーンが淡々と続く。
人生の残り時間を、収入見込みから逆算しているヘンなヒト。
その自説を、尋ねてくる人(多くは無い)に説き聴かせている。
住んでいる自宅は庭付きの、年季の入った屋敷。
奥様を無くして以来、一人で暮らしている。
家の手入れも大変だろうが、売って身軽になろうとかの考えは
全く持ち合わせていないようだ。
そんな彼を尋ねてくる内の一人が、過去の教え子(瀧内久美)。
教授と女子大生だった頃、カンケイがあったのかどうか不明。
自分を尋ねてくれるこの元教え子に対して抱く感情は…。
たまには、仏文学の評論記事の依頼がやってくる。
仏文学の研究は格調高い世界と思われているようだが、卒業後に
それで食べていくのが困難な分野でもある。
元教授が良く利用しているパブ(?)がある。
そこに行けば、新しいアルバイトの女子大生(河合優実)。
どうやらこの娘も仏文学をやっているらしく、久しぶりに文学の話
を交わすことで、精神が若返った気分を味わっている。
庭では使われなくなった古井戸を堀り直そうという話になり、
知り合いから紹介された業者が作業に来ている。
と、こんな感じに
淡白で静かな出だしから始まり、とても静かな展開を見せているの
ですが、ある時点を境に話の内容に変化が見られるようになっていき
ます。どちらかというと、不穏な変化が…。
◇
ある夜。トイレの水面を見て呆然とする教授。
白黒作品なので色が分かりませんが、恐らくは真っ赤な出血。きゃー。
辛いキムチを買って夕食に食べたのだが、食べすぎたせいか…。
医者に行く。ベッドの上に四つんばい。
手首も縛られ身動き出来ないように拘束され、下着を下ろされて尻に
検査器具をズブズブと。…うおぅ
その器具のホースが暴れ出し、悶絶する教授…。
という所で場面が変わり、…夢?
このあたりから後次第に、不安な現実と不穏な妄想の入り混じった展開に
なっていく訳で…。うーん。
鑑賞後に残ったのは、
” もやもや”
” 不条理 ”
” 不快感 ”
ほぼ、そういったプラスの感情ではないものが殆どでした。
最後の方では、やはり筒井康隆の世界だったと思うしかないのかと、
半分悟りを開いたかのような心境の中、更に悶々とすること数日。。
◇
突然、頭の中に閃いたものがありました。☆△☆
” 訳の分からないストーリーに変わっていくのは 主人公の ”
” 脳内の認知能力低下の進行を表現しているからではないか? ”
奥さんを亡くし、単調な一人暮らしの毎日の連続。
それによる、認知症の悪化。ワケ分からなくなった認識の表現。
と、アンソニー・ホプキンスの「ファーザー」を思い出しました。
徐々に認知機能が壊れていく老人の世界を、老人の側から描いた強烈な
作品でした。
この作品をそうなのかも、と考えていったら
「理解は出来なくとも納得はできる」 ようになりました。
理由のわからない不条理な展開も納得できます。
※ 本当は違うのかもしれませんが…、そう思うコトにしました。。
◇あれこれ
■長塚京三さん
ひきしまった肉体でしたねー。すごい。
何か特別な運動でもされているものやら。弛みが全く無いです。
とても80歳間近とは思えません。
■河合優実さん
色々な役を演じられる役者さんだなぁ と感心するばかりなのです
が、この作品では「水商売のお手伝いをする女子大生」でした。
一歩引いた感じの「目立たない存在感(ん?)」で好演。
■遺産相続
この作品に出てくるような、庭付きの一戸建て。
なるべくこのままの状態を保全してね との条件で譲られたら…。
うーん。相当の思い入れが無いと、かなりお荷物に感じるかも。
■相続したヒト
” 従兄弟の息子 ” に、その財産が相続されて終わったようですが
あのラストシーンって…。
あの家そのものにも、何かがある(いる)のでしょうか…。こわ。
◇最後に
この原作を書いた時、筒井康隆さんは60代半ば。
これから先の人生に立ちはだかると思われる「老」の世界に
色々な想いを込めて書いた小説なのかなぁ と、
勝手に思っています。(違ってたらすいません)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。