「長塚京三さんありての力作。」敵 オットさんの映画レビュー(感想・評価)
長塚京三さんありての力作。
前情報なしで鑑賞。
渡辺儀助氏の毎日のルーティンが良い。
退屈そうにさせていないのが
この役を演じた長塚京三さんの力感のないリアルな
演技力なのだろう。
渡邊儀助(77歳)はフランス文学の元教授、長塚京三さん(79歳)はパリ大学卒業で、偶然なのか?これ以上ない配役であり驚かされた。
老人特有の何ともおぼつかない言葉のやり取りや仕草。でも食卓テーブルの上はフランス仕込みなのか上品な香りがしたからその辺のバランスが良かった。
そして後半に「敵」が現れる。
それは自らの死に対する、或いは老いと孤独に対する恐怖心なのか? 亡くなった妻の言葉に対する反抗心なのか?夢また夢、妄想また妄想。
色々な交錯した心情が痛いほど伝わってきて、でもそれは重くはなく切々と伝わってきてクスッと笑ってしまった。
菅井歩美役の河合優実さんも良かった。
儀助と歩美のBARでの会話は本当に元大学教授と現役学生のそれだった。
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