「時間をおいてまた鑑賞したい映画」敵 komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
時間をおいてまた鑑賞したい映画
これは観るときの年齢によって解釈が大きく変わりそうな作品。
カメラは通常客観的な視点で映すが、この映画に映し出される映像は主人公の主観。夢を白黒で見る人がいると聞くが、これはそんな主人公が見た夢(混濁した意識?)なのかしらとも思えた。
Xデーを決めて生きる主人公。しかし普通の人間に、日めくりの様に薄くなっていく自分の人生を見つめながら冷静に生きられるものだろうか。もし出来たとして、不用意に大金を失い大幅にXデーが前倒しになるような事態を受け入れられるだろうか。
そんな事を考えていると、Xデーを決めるという行為自体に生への執着を感じる。そして、それが性への執着とも重なる所に妙な納得感がある。
本音と建前、認知と非認知、客観と主観のギャップ、時間による変化。様々なことから生まれた矛盾に責め立てられる。その姿はセクハラという言葉の広がりに恐怖した当時の男達の姿を思い出させる。
そんなドタバタの末に主人公が口にした「春が来たら皆に会いたい」と言う一言。これがパンドラの箱から最後に出た希望の様に感じたのは楽天的すぎるだろうか。
それにしても、自分で作った自分らしさという体裁の中で悶えた男の遺言が何とも押し付けがましい内容だったところに、人というものの度し難い独善性が現れているようにも思えた。
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焼鳥とハムエッグがとても美味しそうに見えた。お蕎麦、胡麻はすり鉢であてるが山葵はチューブを使うところに、生活臭のあるリアリティを感じた。
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最後、遺言を開封した後のシーンはどう言うことなのか、残念ながら自分には理解が追いつかなかった。
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