「恐れぬ心=無敵状態」スピーク・ノー・イーブル 異常な家族 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
恐れぬ心=無敵状態
これまた上映終了滑り込み鑑賞。
昨年12月は体調不良&多忙のせいでここ2~3年で1番映画が見れなかった月になってしまったので、翌年にだいぶ漏れることに。2024年に公開された映画は2024年に見たかったのだけど、、、やむ無し。これでようやく取りこぼした映画は見終えたかな?
この映画を見て先月の自分を酷く恨む。体調管理はしっかりせい...。昨年見てたら間違いなくベスト30には入ってた大傑作。不調が続いていたブラムハウスの衝撃の一本。いやぁ、すごい。とんでもないものを目の当たりにしてしまった。
リメイク元の「胸騒ぎ」は見逃してしまい、というのも陰鬱としたポスターと見るに堪えなさそうな苦しい予告から見る気はあったものの、身体がどうしても動かなかった。本作も年を跨いでしまったし、配信で見ることにするかと半ば諦めだったのだけど、近所の映画館が予定より1週間長く上映するとのアナウンスが出たため、これは天からのお告げだと受け取り鑑賞することに。
結果として大正解。レイトショー、しかも外は大雪の不気味な空気感というのもあって予想以上に食らってしまったが、これは劇場で見なけりゃ絶対に見れなかったからわざわざ来てよかった。家じゃキツすぎて逃げ出しちゃう。
ジェームズ・マカヴォイってこんなふてぶてしい顔してたっけ笑 登場してすぐわかる、親密になってはいけないヤバいやつ感。綺麗なお顔立ちのイケメン俳優のイメージがあったけど、完全に払拭されてしまった。もうこの人のことを直視できない。パディが脳裏に焼き付いてしまった...。
喋りは面白くついつい聞き入ってしまうけど、常軌を逸した言動と行動から徐々にただならぬ恐怖を感じることに。黙っていても溢れ出てくる狂気。やばい、何か気に触ることいったかな?言ってはいけないこと言ったかな?笑顔の先に見える闇のオーラに怖気付いてしまう。このままだと喰われる、喰われてしまう...。
見透かされたような目が本当に怖い。加減することを忘れたリミッター解除の殺人兵器風に映る暴力性に圧倒されてしまう。こいつを怒らせてはならない。
主人公の敵対関係にある人物というのは、主人公に対し害を加えたり犯罪をほのめかしたりしながらも、生まれながらの純粋悪ではなく、どこか共感したり同情してしまう人物であることが多い。ただ、本作のパディというキャラは完全なる悪であり、同情させる隙なんて一切なく、主人公と観客の完全なる敵でいてくれる。代表的なものでいえば「ダークナイト」のジョーカー、最近でいえば「映画【推しの子】The Final Act」のカミキのような存在。こういう人の形をした化け物は、途方もなく怖くて怖くて仕方がなく、ある意味カリスマ性溢れる魅力的なやつだとも捉えられる。
ストーリー展開も非常に秀逸で、恐怖と興奮がごちゃ混ぜになったかのような終盤20分も、言葉選び正しいか分からないが、最高に楽しかった。怖すぎて、気味が悪すぎて、もう笑いが出てきてしまう。
ブラックコメディとも言える奇妙な世界観は「憐れみの3章」を彷彿とさせ、気味の悪さと心地良さの両方を感じる不思議な面白さがあった。二度と見たくないはずだったのに、癖になっている自分がいる。ブラムハウスマジック。やれば出来るじゃない。上質なホラーでしか得られないものがあるのです。
尾を引く恐怖。いやぁ、なんで無理してでも年内に見なかったんだ。洋画ホラー不作だと思っていたけど、こんなにもいいのがあるとは聞いてないよ。今年はたくさんホラーがありますからね。「ミーガン2」を始めたブラムハウス作品にも期待が高まります😊