「【”愛を交わすと姿を消す女。”山間のリゾートホテルを舞台に、障害ある息子への献身と少しの欲望の狭間で生きる仕立て屋の女の姿を詩情を漂わせて描いた作品。】」山逢いのホテルで NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”愛を交わすと姿を消す女。”山間のリゾートホテルを舞台に、障害ある息子への献身と少しの欲望の狭間で生きる仕立て屋の女の姿を詩情を漂わせて描いた作品。】
■アルプスが見える小さな町で、障害がある息子バティストを育てるクローディーヌ(ジャンヌ・バリバール)。
彼女は、仕立て屋を営みながら、リゾートホテルで一人旅の男性との情事を愉しんでいた。そして、その男の語る旅の物語を、バティストの”父の手紙”として投函し、彼に聞かせていた。
だが、ある日、ドイツ人のダム設計屋のミヒャエル(トーマス・サーバッハ―)と出会い、彼女は彼に惹かれ、ミヒャエルもクローディーヌに惹かれて行くのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・良き母と、たまの情事を着飾って愉しむクローディーヌを演じるジャンヌ・バリバールの二面性の演技が、ナカナカである。ゴックン。
・夜は10時に寝て、朝は6時に起きるルーティーンの日々の中の、クローディーヌの束の間の愉しみ。
ウエイターに”もうすぐ帰る男は?”と聞いてチップを上げ、妖艶にテーブルに近づく姿と、腕の良い仕立て屋として働く姿と、障害がある息子バティストの好きなダイアナ妃の写真を切り取ってあげたりする姿のギャップが凄いが、クローディーヌがバティストを大切にしている事は良く分かる。
■ミヒャエルとは、何度も情事を楽しみ、お互いに惹かれて行く姿。そして、クローディーヌは、母としての道から女としての生き方を選ぶシーンの描き方が、ナカナカである。
ミヒャエルから、仕事先のアルゼンチンへ一緒に行かないかと誘われ、悩んだ末に・・。だが、障害がある息子バティストは、手を振ってからサラッと障害施設の方へ駆けて行ってしまうのである。振り返りもせずに・・。
<今作は、山間のリゾートホテルを舞台に、障害ある息子への献身と少しの欲望の狭間で生きる仕立て屋の女の姿を詩情を漂わせて描いた”様々な事情を抱えた大人の恋愛映画である。>