劇場公開日 2025年1月2日

「計画中の「諏訪信仰と鹿」ツアーが楽しみ🦌」鹿の国 Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0計画中の「諏訪信仰と鹿」ツアーが楽しみ🦌

2025年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

美しい雪景色の中、どこか神々し差も感じる鹿たちの姿が見えるかと思ったら、、次には鹿の生首が出てくるので、神社に動物愛護団体によって掲げられた思われる「諏訪大社は鹿を殺すな」の幕の通り、動物を絶対に殺すなと言う人には向かないドキュメンタリーだ。(もちろん神事のためであって密漁や物欲のためにむやみに鹿を殺しているわけではないのだが、それでも反対する人はいるのだろう)

700年以上明らかになっていなかった御室での神事の再現や、地元諏訪の様々な神事の様子や地元の人々などにスポットをあて、鹿にまつわる信仰が生活に深く根付いた諏訪を知る作品としては非常に興味深い。
ただ、監督が長くNHKで番組を作っていた人と言うこともあって、ナレーションの入れ方や演出など、ドキュメンタリー映画というよりはNHKスペシャルのようなテレビ番組を見ているかのようだった。
いっそナレーションをもっと少なくして淡々と神事を映す神秘的なドキュメンタリーにするか、逆にもっと台詞の字幕などを足してテレビ的にわかりやすくしたほうが方向性がはっきりしたのでは。神事にまつわる専門用語(【大祝(おおほうり)】など)一度だけ字面を見ただけでは音として「おおほうり」と聞いても「???」となることが多く、もっと台詞を字幕にして欲しかったと思うところ。

パンフレットというか公式ガイドブックが書籍並みの情報量なので、本編で諏訪の神事などに興味を持った方は是非手元に置いておきたいところ。

*上映後、監督と本編にも登場し地元の腰がしっかり入った中年女性にコメ作りについてアドバイスをもらっていた三好さんと監督が登壇するトークショーがある回を観賞。
三好さんは、3.11を機に諏訪に移住し、写真家、師範、民俗学研究者など様々な分野で活躍しながら農業も営んでいるらしい。トークショーにもまるで時代劇のような格好で登場し、地元で小さなほこらからも様々な信仰や行事に触れることが出来る諏訪の魅力を語っていた。
今後、映画で興味を持った人など向けに、撮影にも協力しているスワニミズムと、近々「諏訪信仰と鹿」ツアーを計画中らしい。2025年春頃には地元の鹿や神事を巡るツアーに行ける日が来るのだろうか。楽しみである。

Jax