6888郵便大隊のレビュー・感想・評価
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こんな女性上司になりたいが詰まっていた
第二次世界大戦中、女性の有色人種で編成された陸軍部隊があったことを、今作を見るまで知らなかった。まずはその存在に興味を持ち見始めだけれど、今の自分にも置き換えて考えられる話が盛りだくさんで、新年にぴったりな良い刺激になる作品だった。
ガラスの天井、差別、女性で黒人というだけで、隊の指揮官であるアダムズ大尉は、様々な嫌がらせや嫌味や、不当な扱いを周りの白人男性から受けるのだが、まーーこれが憎たらしいのなんのって!!!けれど怒りに震えながらも必死に耐え、毅然とした態度を貫くアダムズ大尉がかっこよすぎて、こんな上司の元で働きたいと何度も思ったし、また自分もこういう上司になりたいと思った。
特に部下への伝え方がすごく勉強になった。
無駄に希望を持たせるような言葉を投げかけるのではなく、常に冷静に状況を部下に伝えているのが良かった。
わざと「あなたたちなら出来ると思ってこの任務が与えられた」といえば、人によっては素直に信じてそれが違ったと気付いたときに士気が下がるだろうし、また人によっては、この上司は綺麗事ばっかり言ってと求心力を無くしかねない。
けれどアダムズは「私たち黒人女にはどうせ無理だと思って、上はこの任務を私たちに与えてきた」と伝え、その上でどうするのかを伝えた。
だから彼女の言葉は信用できるし、そして彼女が1番矢面に立ち戦っているのを知っているから従いたいと思う。
まさに理想の上司像だった。
歴史の新たな知識を得られたと同時に、日々の行動で活かせる学びもたくさんある、とても素敵な作品でした。
ひさびさツボった
一言「ひさびさツボった(大泣きレベル)」
第2時世界大戦時、有色女性のみで編成された陸軍婦人部隊。
彼女たちに与えられたのは、たまった郵便の仕分け事業。
この2行だけだと、ふーんなんですが。
有色女性というだけで、軍の中では下に見られ。
たまった郵便も、戦闘機の格納庫10個分、期限は半年。
戦地へそして家族へ送られたはずの郵便。
食料や武器等の輸送物資が優先するのは、仕方ないよね。
でもたかが手紙、されど手紙。
兵士の士気を高めるには、手紙が大きな力になる。
指揮を取る大尉が、実に厳しい。だけど頼もしい。
実在した部隊の話っていうのが、これまた胸に刺さる。
ラストまでぎっしりの2時間でした。
⭐️今日のマーカーワード
「This is our mission!」(これが、我々の任務だ)
偉業
何となく気になったので観賞。
そして正解。
観てよかった。
1945年頃の話。
差別バリバリ。
黒人婦人部隊。
婦人部隊ではなく、黒人と付く。
訓練に明け暮れる日々。
特に任務無し。
兵士の士気を回復すべく
白人婦人部隊が無しえなかった
郵便物の取り扱い任務に
黒人婦人部隊が着任。
約7万人の郵便物を流通させることに成功。
なかにはニックネームで送る人、
血や汚れで認識しずらい郵便物も。
なんとか発送する為、手紙の中身を読んでまで
人の手に渡る様尽力する。
兎に角ね、あの手この手で送り先や送り主を特定するわけですよ。
黒人差別の映画って多い。
本当に何とも言えない差別の仕方。
いちいち「白人専用」とかね...
未だに黒人差別が強い地域もあるみたいだし
kkkもあるんじゃないかな?
まあ、なんにせよ
今作品は当時の差別のえげつなさや戦争の悲惨さ
そして任務を成功させるひた向きな努力が伝わる
実話ベースの作品でした。
この作品はいろんな人に観てほしいですな。
ほぼほぼ、ドイツが敗戦した1945年初頭からの1946年戦後処理の...
実話に基づくからこそ考えさせられる
「実話と生存者の証言に基づく物語」というテロップが最初に出るということは、あの人権感覚皆無の糞レイシストの中将のような上官は、この映画のために作られた人物造形ということではなく、実際に存在していたということでよいのだろうか。
だとすると、誰か教えて欲しい。
なんでそういう人物が出世できるのか、その仕組みと理由を。
(今も「そういう人物」に該当する人物が、あの国やその国の首脳たちを筆頭に何人も思い浮かぶが…)
理念的なことではなく、実務的な面で、心の底から疑問に思うのだ。
つまり、糞レイシストたち自身が、どんな価値観を持っていようが知ったこっちゃない。「ご自分の心の中でご勝手にどうぞ」だ。
ただし、郵便大隊の彼女たちの能力の高さや、あげた成果を客観的に評価できない曇った眼差しは、リーダーとしての資質に決定的に欠けてやしないか。欠けるどころか、それでは正しい戦況判断も出来ない訳で、軍を敗戦に追い込みかねないし、純粋に、処分されるべきはどっちだという話だろう。
糞レイシストの権化の中将に「私たち黒人は、生まれた時からあらゆる前線で戦っている」と毅然と言い放つアダムスの力強さにしびれるし、入隊したてで、制度的な差別に晒される黒人女性たちが「南部へようこそ」と皮肉るタフさもシャレている。しかし同時に、彼女たちにそれを強いている特権性と同様なものが、今現在も自分自身と自分を取り巻く社会の中に残ってはいないかと考えさせられる映画だった。
それにしても、それだけ差別されながら国に忠誠を誓える気持ちって、どこから生まれるのかがもう一つ残った疑問。
上記のように、苦しくなる場面が多い映画だが、リナとエイブラム二人のシーンには胸を掴まれるし、その輝きにキュンとした。演じている俳優たちが、とても魅力的。
複雑に絡み合ったプライド
集合ラッパ、
様々な作品で聞いてきた、
「刑事コロンボ 祝砲の挽歌」
パトリック・マクグーハンを思い出す。
訓練シーンは、
黒人女性版「フルメタルジャケット」
陸軍婦人部隊、黒人兵の物語だ。
志願した理由が各兵士の等身大で描かれている点は、
観客に自分事のように受け止めてもらうよう、
突きつけてくる狙いが感じられる。
田舎を抜け出すため、
戦地にいる夫を帰還させるため、
あるいはイケメンを見つけるためといった現実的な動機から、
国のため、ヒトラーを倒したいという理想的な動機まで様々だ。
この多様性が観客にとって、
より身近に感じられる要素となり、
それに沿ったエピソードも積み上げられていく。
グラスゴー到着後の行軍シーンは、ラストまで必見だ。
軍人としての誇りと、
同時に人間としての尊厳を守りながら進む彼女たちの姿には胸が熱くなる。
軍人としてのプライド、
それを支える女性としての怒り、
さらに黒人としての誇り、
人としての尊厳が絶妙に絡み合って描かれている。
同胞であるはずのアメリカ軍からのあらゆる差別や妨害、
嫌がらせと闘いながら、自らの存在と誇りをかけて戦う兵士たち、
『6888郵便大隊』は、戦争の残酷さとともに、
戦争を生き抜いた人々の誇りと闘志を描き出した作品であり、
ただの戦争映画にとどまらず、
観客に力強いメッセージを届けている。
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