「ドントタッチ、そしてタッチ」TOUCH タッチ mizukaさんの映画レビュー(感想・評価)
ドントタッチ、そしてタッチ
第二次大戦で中立を宣言しながらもイギリスから侵攻をうけ、さらにアメリカの駐屯地となったアイスランド。そのアイスランドの映画。
広島で被爆した高橋とその娘。被爆者の生きづらい社会から逃げるようにイギリスに渡り、日本食の食堂を開く。そこで働くことになったアイスランドから来た若者。
恋人同士になった娘ミコとアイスランド人のクリストファー。やがて突然の別れがくる。
51年後、クリストファーはミコを探しに東京、そして広島へ。という物語。
時はまさにコロナ禍、人と人の間に距離が生じ、触れ合うことができなくなった時期。かつての食堂の同僚に巡り合えてもドントタッチ。
広島で無事再会できたミコとクリストファー。距離はあっという間に縮まる。彼が知らぬ間に2人の間には子供が誕生していた。2人で手をつないで歩いて子供に会いに行く。2人の人生が大きく回転した。
言葉にできない辛さを内に秘め、静かにひっそりと暮らしてきたミコは広島そのもの。今、海を越えて来た彼は広島と手をつなぎ、生まれた子供を2人で見守り続けていく。
ラブストーリーの形をとった反戦、世界平和を願う物語と受け取った。
私は北関東の小さな町暮らしだが、行きつけのクリニックには今でも、広島、長崎で被爆したかたは体調管理のお手伝いをしますので申し出てください、という張り紙がしてある。
また昨年旅行途中、新幹線で乗り合わせたオーストラリアから来たご家族と話をしてみると、広島にいくところだという。高校生くらいの娘さんに原爆や戦争について教えるため、とのこと。ショックを受けるだろうから気をつけて、と私は伝えたがその後どうだっただろうか。
エンディングの美しい曲を聴きながらそんなことを考えた。