「日本語を 話せぬふりの 岩魚かな」TOUCH タッチ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
日本語を 話せぬふりの 岩魚かな
日本人の気質を知った外国人監督が、外国人スタッフとともに、外国に住む日本人を描いた映画。エキゾチックでありノスタルジック。出てくる日本人の英語は流暢で、映画の作りは当然洋画の雰囲気を纏う。その中の日本人は皆、およそ西洋人のもつ日本人のイメージはこうなのだろうというキャラだ。総じて規律や礼儀をわきまえている、知性や良心を持ち合わせた日本人。なんだか善人ばかりで、ちょっとこそばゆくなる。ちょっとおセンチなラブストーリーなのかと思いきや、しっかりと負の歴史も描く。ああ、だから高橋はそんな悲しい顔をしているのか、と胸が痛くなった。だから彼はクリストファーと娘の仲を知り、その行動をとってしまったのだなと。この題材に出会うたびに、なぜ一般市民がそんな過去をわが身の罪のように背負わなければいけないのか、と思う。だけど、それこそが日本人の気質なのだろう。見方によっては美徳とさせる、日本人の慎ましさなのだろう。再会し、「いい人生を送った?」、そう語りかける気持ちを思うにつけ、もしかしたら幸せな日々を過ごせていたかもしれない二人が不憫でしかないが。
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