劇場公開日 2025年1月24日

「COVID-19も既に「過去」」TOUCH タッチ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0COVID-19も既に「過去」

2025年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

IMDb、RottenTomatoesでの評価が高いようなので鑑賞を決めた本作品。会員サービスデイのTOHOシネマズシャンテ、10時30分からの回はけして多くはないものの平日にしてそれなりの客入りです。
と言うことで観た感想ですが、小説的でリアリティーよりは雰囲気に寄った作品という印象。全般「美しさ」が前に押し出された画作りで目の保養です(古い表現w)。特に本作最大の魅力「1969年のクリストファー(パルミ・コルマウクル)とミコ(Kōki,)」はとても初々しく、二人の美しさやはかなさを感じる演技は、それだけで本作を観る価値があると言っても過言ではないでしょう。
ただ、逆にそれ以外は設定も展開もややフンワリ。何ならそれも「2020年のクリストファー(エギル・オラフソン)」が初期の認知症であることが影響しているのかと思いきや、話自体は結構強引に進んでいき、そこまで行ったらもはや奇跡の展開。中でもCOVID-19については記憶に新しいだけに気になってしょうがない。。如何にも障壁のように扱われるものの、物語の展開としては「都合の良い省略や改変」があって悪目立ちしています。少なくとも日本のコロナ禍はそんな感じじゃなかったし。そうなるともう、COVID-19が「単なる状況として消費されている」としか思えず、更には本作で扱われる「認知症」や「高橋家の秘密」など、観る人にとってはセンシティブな内容にまで波及していかないかと懸念も。ただ、原作本のあらすじをAmazonで確認してみると、特に映画で脚色されたわけではないらしく、そこは文学的には引っかかってはいけないのかな。。そしてCOVID-19も既に「過去」であり、今後もこんな風に切り取って扱われるんだな。。なんて。
いやいや、けしてネガティブな見方ばかりしているわけではありませんよ。昨今では海外が描く「日本、或いは日本人」に関し、一昔前ほどの違和感は感じなくなってきているように思えますが、その背景には本作でもキャスティングディレクターを務めつつ、自らも「2020のミコ」として出演している奈良橋陽子さんのような存在が大いに貢献しているはずです。実に素晴らしい仕事。

TWDera