TOUCH タッチのレビュー・感想・評価
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Cursed by Dad
Touch is the first to make a period piece out of the COVID epidemic while it contrasts with the radiation poisoning of the Hiroshima disaster, two events that punctuate the plot here. Balance that with the shared experiences of an immigrated odd-couple: a young Icelander and Japanese working a restaurant in 70's London, and you have an interesting cocoction of tough love across the earth and ages.
人生の晩年期、失われてゆく記憶の中で、僕は、君に触れた
日本人としては日本文化が題材になり日本が舞台になったり、名のある日本人俳優が出演しているのが気になる所。
中でも一番の注目と話題はKōki,だろう。
今年はこの海外映画デビュー作や二部作の主演映画も公開。本来ならビッグブレイクしてもいい筈なのに…、
ビッグ過ぎる両親を持つが故に端から何をやっても冷ややかな声。二世はつらいよ。
拍車をかけるように主演映画も大コケ。本作もヒットしたとは言い難い。
しかし、それだけの理由で本作を失敗呼ばわりするのはあまりにも愚か。
Kōki,の現キャリアとは何の関係もない。寧ろ、Kōki,の好演も光った秀作。
新型コロナウイルスが世界中で流行し始めた2020年、アイスランドでレストランを営む初老の男性クリストファーは、初期の認知症と診断される。
記憶が失われてゆく前にやり残した事はないか…?
一つだけあった。50年前、ロンドンの大学に通っていた頃。
バイトしていた日本料理屋。そこで出会った日本人女性との思い出…。
悪くはない人生を送ってきた。
その人生も終盤、思わぬ事が。
コロナ。レストランは一時営業停止となり、他人とも距離を置く。何と生きづらい状況に。まさかこんな事になるとは…。
認知症。送ってきた人生を思い出しながら人生を終えると思っていたのに、それを忘れゆくというのか…?
酷過ぎる。だが、これも自分の人生。受け入れるしかない。
ただ、その前に一つ、心残りは…?
例え全てを忘れても、レストランは誰かが引き継いでくれるだろうし、家族も傍にいてくれるだろう。
だけど、君は…? 君が今どうしてるか知りたい。
幸せに暮らしているだろうか…? その幸せの相手がもし僕だったら…。
不幸ではなかろうか…? もし僕が傍にいれたら…。
それを確かめたい。この目で。
現在と過去が交錯して展開。
現在は激変した世の中や哀愁帯びるが、過去は美しく、甘く、ほろ苦く…。
きっかけは友人らとふざけて促されてだった。
“求人募集”の張り紙を見てたまたま入った日本料理屋。
店主の高橋さんから明日の朝面接に来い、と。
日本料理なんて食べた事ない。ましてや日本の事などほとんど知らない。
そんな時、君に出会ったんだ。
ミコ。店主の娘。
君の美しさに、僕はすっかり心を奪われた。
動機は不純だったかもしれない。
すぐ分かった事だが、彼女には恋人がいた。
がっかり…でもなかった。
皿洗いとして働き始める。
仕事はなかなか忙しいが、怠惰な大学生活より充実。
日本人ってどういう人たちか知らなかったけど、いい人ばかり。
厳しさと温情のある高橋さん、明るい接客担当のヒトミさん、厨房担当のゴトウさん、アライさん…。
日本について興味が沸いてくる。日本語も少しずつ勉強。
高橋さんの好きな“俳句”。日本の詩で、限られた文字数で風景や心情を謳う。その美しさ。皆でオリジナルの俳句を競うように。
日本料理。何と奥深く、何と美味しい事か…! 日本の伝統的な朝食作りに挑戦してみる事に。
ミコとも親しく。
ミコも父の店を手伝い。スタッフともフレンドリーで、本人も天真爛漫。友人らと遊びに行きたくて早退したり…。
父親との仲も良好だが、恋人との交際に関しては反対されている。それで大喧嘩の場を目撃も…。
何が原因…? 相手の男性は誠実そうに見えるが…。
ある時、高橋さんが相手の男性を呼んで話を。その直後、二人は破局…。
何処か放心状態になったようなミコ。
支えになろうとするクリストファー。
自然と二人は…。
ミコからすれば当初は穴埋めだったかもしれない。
しかし、二人の想いが溢れていくにつれて…。
決してそうじゃない事を確信する。
二人は真剣に愛し合うように…。
運命的な、一生ものだと思っていた。
それくらい、愛していたんだ。
そんな君が、高橋さんと共に突然姿を消すなんて…。
君に何があったんだ…?
あの時は呆然と戸惑い信じられなかったけど、やがて知った。
いつぞや君が話してくれた事が要因だったんだね。
“ヒバクシャ”という…。
初めて聞いた時は知らなかった“ヒバクシャ”。
原爆の被害を受けた人の事。
ミコ自身は直接的な被曝者ではない。
広島にいたミコの母親が被曝した。ミコは被曝二世。
直接的に被曝したのではないなら、大丈夫なのでは…?
そうでもないのだ。遺伝で子にも影響する事があるらしい。
これは知らなかった…。劇中で実際の被曝二世の写真も…。
父はそれを危惧していた。
もし、ミコが誰かと結婚して子供を産んで、その子供に影響あったら…?
子供もミコもショックは計り知れない。
娘の事を思ってだが、ミコ自身は自分の将来や幸せを閉ざされたも当然。
高橋はちと過剰な気もする。だからと言って、ミコの身体に何の影響は無い…とは言い難い。
誰のせいとか誰が悪いとか誰かを責めたり出来ないやり場のない悲しみ、苦しみ。
悪いのは唯一無二。戦争、そして原爆。
戦争を早期終了させる為…? ふざけるな。
その為に原爆によって一瞬にして命を奪われた人々、今も苦しんでいる人々…。
人生を、幸せを、奪われ、狂わされたのだ。
それを分かっているのか!
ノスタルジー溢れる美しさと切なさの思い出ラブストーリーと思いきや、原爆の悲惨さを問うメッセージに響いた。
同じく被曝者を題材にした『遠い山なみの光』より個人的に胸に迫るものがあり、それが日本ではなくアイスランドなのが意外だが、世界中からの核廃絶の声にも聞こえた。
バルタザール・コルマウクル監督作はサバイバル物やエンタメの印象だったが、こういうヒューマンドラマも撮れるとは。キャリアでも上質作。
昔のロンドン、現日本。風景や映像も美しい。
若きクリストファーは監督の実子、パルミ・コルマウクル。イケメンで繊細な演技を披露。
老年期クリストファーはアイスランドの俳優で歌手のエギル・オラフソン。円熟味ある抑えた演技。
日本人キャストも好演。
本木雅弘はさすがの名演。
中村雅俊や柴田理恵も好助演するが、特に中村雅俊などちょっと勿体なかったかな。
しかし日本人キャストで最も魅せるは言うまでもなく、Kōki,。
日本では演技もその他も何もかも叩かれるが、本作で魅せる美しさ、透明感、色っぽさ、儚さは特筆。英語も達者。複雑な内面を体現した演技もなかなかで、国際映画で見事ヒロインを務め上げた。
日本映画より海外映画で…? 作品や役に恵まれればもっと飛躍出来るかも…?
50年の時を経て、クリストファーは日本へミコに会いに行く事に。
ヒトミと久々にコンタクトを取り、最後に交わした手紙からミコの現居所を知る。
広島。
日本もコロナ禍。ここでもソーシャル・ディスタンスは厳しいが、人自体は親切。
飲み屋でたまたま気が合った同年代の男性。
ミコが住んでるアパートで助けになってくれた女性。
コロナ禍、日本で、人の優しさに触れた。
そしていよいよ…。50年ぶりの再会。
二人とも老いた身。ミコはコロナからの病み上がり。
激しい感情の爆発は無かったが、しみじみと。
あの頃と変わらない。二人の想いが。
ミコから知らされたある秘密。
“3人”で幸せになれる道は無かったのか…?
二人は会いに行く。立派に成長していた。
ミコは素性を明かしていない。被曝者の孫である事に配慮して。
戦争は年々風化している。が、差別偏見だけは根強い。それらから陰から守るのも母の愛。
“父”も同じ思いだった。店を出た後、クリストファーが歌うアイスランドの曲が忘れられない。
後何年生きられるか。
クリストファーに至っては記憶が失われてゆく。
人生の晩年期、今一度君に会えて。今一度君の想いに触れて。
例え記憶は失われても、心や想いは覚えている。
君が僕の中から消え去る事なんて決してない。
これからも、君と共に。
青春を振り返る旅
女神降臨とは違う意味でドキドキした
2024年制作
2025年公開
U-NEXTで鑑賞
『女神降臨』より先に劇場公開されたが映画館では鑑賞しなかった
監督と脚本は『ザ・ディープ』『殺意の誓約』のバルタザール・コルマウクル
脚本は他に原作者のオラフ・オラフソン
世界的なコロナ禍
アイスランドで飲食店を営むクリストファーは病院で認知症の診断を受けた
ロンドンでの青春時代が度々交錯する
老人クリストファーは半世紀前突然ロンドンを去った恋人ミコの母国の日本にやって来た
ミコは広島出身で被爆二世だった
見どころはKōki,の濡れ場
背中ヌード
そして流暢な英会話
しかしネットで話題になった記憶がない
なぜだろう
わからない
ヤフーもYouTubeも薦めなくてもいいことばかり薦めるが薦めて欲しいことはなかなか薦めない
くだらないことばかりで本当に知りたいことはネットはなかなか教えてくれない
木村拓哉の結婚相手が気に食わないのか木村拓哉ファミリーに対する長年に渡る陰湿な誹謗中傷が許せない
自分はどちらかと言えばキムタクも工藤静香も好きな方なので叩く人達の気がしれない
彼女や彼女の姉が芸能界にデビューする前の2人な対する噂話は卑劣極まりない
なぜこんな人たちに忖度する必要があるのだろうか
巨人小笠原道大内野手容疑者終身名誉死刑囚はシャレで済むかもしれないがKōki,に関しては本人に謝罪してもらいたい
あとKōki,という芸名はいかがなものか
本名の読み「みつき」を稲葉浩志風に「こうき」のするのはまだいいが国民全体に親しんでもらうには木村光希か杏風に光希にした方が良い
朝ドラ主演抜擢も夢じゃない
彼女は両親にはない魅力がある
彼女が光ることによって親としての木村拓哉と工藤静香が輝くのだ
奈良橋陽子は俳優ではない
キャスティングディレクターだ
予定されていた人が急に出れなくなり「じゃ自分が出ちゃえ」って感じかな
ついでに息子も出演している
なんやかんやでハッピーエンド
配役
1969年
ロンドンの大学を辞め高橋さんが営む日本料理店で働き始めたアイスランド人のクリストファーにパルミ・コルマウクル
クリストファーの恋人のミコにKōki,
ミコの父でロンドンで日本料理店を営む高橋さんに本木雅弘
高橋が営む日本料理店で働く給仕係のヒトミさんにメグ・クボタ
高橋が営む日本料理店で働く料理人のゴトウさんにチャーリー・西川
高橋が営む日本料理店で働く料理人で美声のアライさんに田川達也
クリストファーを下宿させているエリス夫人にルース・シーン
2020年
アイスランドでレストランを経営するクリストファーにエギル・オーラフソン
来日したクリストファーがラーメン店で知り合いロンドン繋がりで親しくなる久多良木に中村雅俊
高齢期のミコに奈良橋陽子
ミコと同じマンションに住む橋本に柴田理恵
かき舟の料理人のアキラに野村祐人
平易な表現で心地よいテンポで話しは進み、ゆっくりと閉じていく
1969年のロンドンと、2020年のコロナ渦のロンドンと日本が、交差しながら物語が進む。
被爆者の人生という非常に重いテーマでありながら、平易な表現で心地よいテンポで話しは進み、そして、ゆっくりと閉じていく。
年老いた主人公、若い主人公の両方の役者が、各々違った魅力で良かった。
主人公の恋人の父役で、本木雅弘さんが出演。非常に味のある演技。
中村雅俊さんも出演しているが、これはいつもの中村雅俊さんでした。
中々の名作です。
日本語を 話せぬふりの 岩魚かな
日本人の気質を知った外国人監督が、外国人スタッフとともに、外国に住む日本人を描いた映画。エキゾチックでありノスタルジック。出てくる日本人の英語は流暢で、映画の作りは当然洋画の雰囲気を纏う。その中の日本人は皆、およそ西洋人のもつ日本人のイメージはこうなのだろうというキャラだ。総じて規律や礼儀をわきまえている、知性や良心を持ち合わせた日本人。なんだか善人ばかりで、ちょっとこそばゆくなる。ちょっとおセンチなラブストーリーなのかと思いきや、しっかりと負の歴史も描く。ああ、だから高橋はそんな悲しい顔をしているのか、と胸が痛くなった。だから彼はクリストファーと娘の仲を知り、その行動をとってしまったのだなと。この題材に出会うたびに、なぜ一般市民がそんな過去をわが身の罪のように背負わなければいけないのか、と思う。だけど、それこそが日本人の気質なのだろう。見方によっては美徳とさせる、日本人の慎ましさなのだろう。再会し、「いい人生を送った?」、そう語りかける気持ちを思うにつけ、もしかしたら幸せな日々を過ごせていたかもしれない二人が不憫でしかないが。
ノーモア、ヒバクシャ
本編が始まる前に「原爆のシーンが出てくるので、。」云々の注意書きが出てきたので、どう関わってくるのかと思っていた。主人公が「ヒバクシャ」という言葉を恋人から聞き、彼女が「被爆2世」である事実を知り、図書館で映像も見て大変な事とわかった。しかし、恋愛真っ只中の2人に当時(1969年)の重さ(差別的考え)までは見えなかった。
そして51年もの時を経て、忘れかけていた大切だった人を探しに行く事を決意をしたクリストファー。初期の認知症が出てきたとは言え、凄いことです。アイスランドからイギリス、日本へ。日本では東京から広島、呉まで、。誰もがミコに会えることを祈りました。会えて本当に良かったです。更に2人が残した命にまで巡り逢えるなんて、。
Kokiはキムタク、工藤静香の娘として有名ですが演技を見たのは初。なかなかです。これからも良い作品に出会え経験を積めば大成もできる予感がします。
これは外国人監督の視点で「原爆」「ヒバクシャ」を扱った貴重な作品と言えます。
「被団協」のノーベル賞の件も当時はかなり報道されたが核兵器廃絶には全く向かわない世の中だが、このような映画があるという事実だけでよいから、もっと日本のマスコミに伝えてもらいたいものである。
知らない人には驚きだったかもしれない
テーマは知らない人には驚きだったかもしれない。自分は一応知っていたのと、ちょうど民放の某ドラマでも触れられていたので認識した人もそれなりにいたのでは?
演出の方は、役者も絵の作り方が美しく、コロナ禍の日常を揶揄した感じも個人的には良かった。
絵は美しかったが、日本文化や養子制度の部分で違和感があり、演出自体が淡々としすぎた故に、かえって気になってしまった。個人的にはもう少しエモーショナルな演出でも良かったのでは?と思った。勢いがあればきっと気にならなかったかも。
さて、何よりkokiがもつオーラが素晴らしかった。キムタクの血なのか分からないが、醸しだす雰囲気がちょっと異質だった。今後の活躍に期待。
ドントタッチ、そしてタッチ
第二次大戦で中立を宣言しながらもイギリスから侵攻をうけ、さらにアメリカの駐屯地となったアイスランド。そのアイスランドの映画。
広島で被爆した高橋とその娘。被爆者の生きづらい社会から逃げるようにイギリスに渡り、日本食の食堂を開く。そこで働くことになったアイスランドから来た若者。
恋人同士になった娘ミコとアイスランド人のクリストファー。やがて突然の別れがくる。
51年後、クリストファーはミコを探しに東京、そして広島へ。という物語。
時はまさにコロナ禍、人と人の間に距離が生じ、触れ合うことができなくなった時期。かつての食堂の同僚に巡り合えてもドントタッチ。
広島で無事再会できたミコとクリストファー。距離はあっという間に縮まる。彼が知らぬ間に2人の間には子供が誕生していた。2人で手をつないで歩いて子供に会いに行く。2人の人生が大きく回転した。
言葉にできない辛さを内に秘め、静かにひっそりと暮らしてきたミコは広島そのもの。今、海を越えて来た彼は広島と手をつなぎ、生まれた子供を2人で見守り続けていく。
ラブストーリーの形をとった反戦、世界平和を願う物語と受け取った。
私は北関東の小さな町暮らしだが、行きつけのクリニックには今でも、広島、長崎で被爆したかたは体調管理のお手伝いをしますので申し出てください、という張り紙がしてある。
また昨年旅行途中、新幹線で乗り合わせたオーストラリアから来たご家族と話をしてみると、広島にいくところだという。高校生くらいの娘さんに原爆や戦争について教えるため、とのこと。ショックを受けるだろうから気をつけて、と私は伝えたがその後どうだっただろうか。
エンディングの美しい曲を聴きながらそんなことを考えた。
ただ美しいと変わらないこと
10代の恋愛
欧州から日本へ、突然いなくなった恋人を探す旅
アイスランドのバルタザール・コルマウクル監督がアイスランド、ロンドン、東京、広島を舞台にロケを敢行し、かつての恋人を探す旅を描いたラブストーリー。
2020年、アイスランドで暮らすクリストファー(エギル・オラフソン)は初期の認知症と診断され、記憶が薄れる前に学生時代に恋人になるも突然姿を消してしまった日本人女性のミコ(koki,)を探す旅に出ることを決意する。
ロンドンの学生時代に働いていた日本料理店でオーナーの娘であるミコに出会い、恋に落ちていく回想シーンと現在のミコの足取りを探すシーンを交えながらロンドンで日本で暮らしている手掛かりを見つけ、日本に飛ぶ。
過去と現在を目まぐるしく行き来する編集は落ち着きないが、テンポがある展開として面白い試み。
ただし展開が予定調和な感動ラブストーリーで引いてしまい、心を揺さぶる感動は残念ながら無い。
学生時代のミコとの恋愛はプライベートのシーンがほぼベッドシーンでミコは色狂いの女性に見えてしまう。
ボディタッチで誘惑するシーンなどは過剰では無いか。(それをタイトルと掛けているのか?)
また、ストーリー上重要な「被爆者」の件は間違っているとしか思えない。
コロナ禍での旅を帰れないリスクを冒してでも強行する思いとしたいのかもしれないが、表現がマスクとソーシャルディスタンスを表面的に描くだけで薄いのも気になる。あえてコロナ禍にする意味はなかったのではないか。
印象として自分の思いを遂げるために相手が今どういう思いで暮らしているのかも考えずに思いつきで行動している物語にしか見えなかった。
いい話カナー?
被爆者の苦しみと…
コロナ禍の日本人と戦後の日本人
映画冒頭で「原爆描写が出てくるので試聴にはご配慮を」みたいな表示が出てきて、急にそんなこと言われても「じゃあ観るのやめます」とはなかなかならんだろ、なんて思っていたが、実際観てみると日本人なのに今まで見てきた「被爆者」に関する映像の中で最も刺激の強い内容で、短い映像だったがなかなかの衝撃。
日本国内での「被爆者」に関する描写がいかにオブラートに包まれていたかを痛感(不勉強なだけかもしれないが…)。
ロンドンの大学を勢いで辞めてしまった20歳の青年・クリストファーが、ロンドンの日本料理店で働くKōki,演じるミコに一目惚れし、勢いでそのまま日本料理店に就職。
仕事をしていく中でミコと親しくなっていくが、ある日、街でミコが男を連れて歩いているのを見て、彼氏がいたことを知るクリストファー。
恋愛ドラマにありがちな展開で、他の作品だと恋人の存在を知った瞬間に「ガビーん」みたいな演出が入ってもおかしくないところを、この映画だとクリストファーがまるで何事もなかったかのような対応をしていて、こっちの方がリアルな反応で良い演出に感じた。
クリストファー自身はミコに特にアプローチをかけるわけでもなく「皿洗い」か「料理作る」か「歌を歌う」ぐらいしかしてないのに、ミコの方がどんどんクリストファーに惹かれていくので、「結局顔かよ」とは思った。
クリストファーの方はミコに会えなくなってから50年経っても彼女のことが忘れられず、結婚してて(奥さんは亡くなってはいるが)娘もいるのに彼女を探そうとするのに対し、ミコの方は彼氏と喧嘩別れしたわけでもないのに破局後、すぐに前の彼のことは忘れてクリストファーとくっつこうとするのが対照的。
あと、ミコがクリストファーに「人と付き合ったことある?その人とは寝たの?」みたいな質問をしていたが、男が女の人にそんなこと訊いたら炎上しそう。
でもまあここは若気の至りということで納得。
Kōki,という方を今回初めて見たので「これが噂のキムタクの娘か」となりつつ、「キムタクの娘」という意識が強かったため、最初は本木雅弘演じるミコの父親に感情移入しながら観ていたが、この父親が途中から共感しづらい行動ばかりとるようになるので、「モッくん、それは違うよ」と思う場面が多かった。
途中、東京出身だと思われていたミコやその父親が実は別の場所から来たことがわかり、その地名が東京と同じぐらい世界に知れ渡っていることが興味深かった。
前半はコロナ禍のロンドンが舞台で、ホテルでアルコール消毒する場面やソーシャルディスタンスをとるように注意を受ける場面が出てきて「他の国も同じなんだ」と思いつつ、ロンドンでマスクをしている人はゼロ。
一方、後半は舞台が日本に移り、みんなマスク姿なのを見て、日本が他の国よりも「感染」に敏感なことがよくわかる。
後半、50年前の日本人たちの被爆者に対する行動が、今の日本人からしたら理解不能だが、前半に「コロナ禍でのロンドンと日本の対応の違い」が描かれている結果、「日本人ならば被爆者に差別的な態度をとってしまうのも納得」な作りになっていて、映画の構成が上手いと思った。
怒る人は多そうだけど…
エンドロールに流れる音楽が久石譲っぽくて沁みた。
厨房で働く頑固親父な見た目の方のオペラが美声すぎて吹いてしまった。
邦題は考えて欲しい…
ヒロシマを扱った北欧の映画ということで鑑賞。とにかく映像が美しくきちんとした作品でした。原爆被害の模様や被曝に対する当時の社会の扱いもニュースフィルムなどが使用されていることできちんと伝わってきた。中盤かなり厳しい状況もあり最悪の展開も想像してしまったが、とにかくミコも息子もきちんと生きていた事がわかって良かった良かった。奈良橋陽子の演技は見た事がなかったが、自然だったと思う。中村雅俊の歌はいつもの通りで…。
コーキ、名前の表記にカッコつけて長音の記号やコンマ付けたりして個人的な第一印象は良くなかったのだが、英語も演技もなかなか堂に入っていてよろしい。普通の俳優として成長されることを願う。
しかしね。たとえ原題SNERTINGあるいはTOUCHだったとしても、邦題として「TOUCH/タッチ」では全く伝わらない。何なら「感触」でもいいが考えていただきたかった。
優しさの映画
ヒロシマ
知らなかったな、そんなこと
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