この夏の星を見るのレビュー・感想・評価
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登場人物たちの健気さに胸がつまる
県内唯一の公開劇場で、たまたまタイミングがあって鑑賞。「何で最初から泣いてんの?」と妻に言われてしまったくらい、とにかく刺さった。
主人公たちの好奇心・探求心の輝きと眩しさ。それを支える大人たちの温かさとプロフェッショナルさ。そして、緊急事態宣言の頃に誰もが抱いた葛藤。それらを最小限のセリフで、ある意味淡々と積み重ねていく描き方なのに、ずっと涙がにじんで止まらなかった。
そう言えば、自分も昔、天体望遠鏡を手作りしたっけ。上手く焦点が合わず、残念な思い出しかないけれど。
でもそういう経験があるからか、本作や「宙わたる教室」のような映画やドラマは素直に大好き。
桜田ひよりや岡部たかしが抜群なのは言うまでもないが、黒川想矢と星乃あんなと上川周作の東京トリオ、中野有紗や和田庵たちの五島列島チームも素晴らしかった。
<ここからちょっと内容に触れつつ思ったこと>
・観ていて不快になる人物をわざわざ出さなくても、マイナスな事象はちゃんと描けるし、間違いなくいい映画にもなることを証明する作品。
・主人公の円華(桜田ひより)の母のセリフ一言で、コロナの負の面にケリをつけて、徹底してポジティブな方向を描く脚本に大共感。脚本の森野マッシュも、監督の山元環も、今後更に期待。
・映画の中で同じようなセリフが出てきたが、自分もあの頃「コロナだったからできた」と口にしたことがあったし、それは負け惜しみではなかった。でも、やっぱり失ったものや失わせてしまったものもたくさんあったよなと今改めて思う。そうした自分の経験も含めて、登場人物たちの健気さに胸がつまる。
・虎に翼の直言、直道、道男が出てきて、ちょっと胸熱。
・清水ミチコの名がエンドロールにあったが、あの声の出演で間違いない?
青春の甘酸っぱさと苦味、そこにグサっと挿し込まれるコロナ化の異常性...
【ただのアオハルなラブコメではなかった『この夏の星を見る』】
2019年。茨城県のある高校で、天文部に入部した宇宙オタクの1年生女子、渓本亜紗(演:桜田ひより)が、自作望遠鏡を3年掛けて作ろうと意気込む同期男子の飯塚凛久(演:水沢林太郎)とともに部活動にのめり込んでいくが、パンデミックが翌年から始まる。
緊急事態宣言とともに3ヶ月近くの休校措置、その後も部活動の時間制限や天文イベントの見送りなどで、卒業まで高校生活が何もできないのではないかという諦めと絶望感・無力感の中、「何かできるはず」と知恵を絞った挙げ句にオンラインで日本各地の学校を結んでスターキャッチコンテストをやろう、という企画が動き出す。
この茨城を軸に、長崎五島で県外者を受け入れていたために地元で非難される民宿の娘、佐々野円華(演:中野有紗)とその親友・福田小春(演:早瀬憩)の関係にヒビが入っていく無惨、東京でサッカー部が解散してしまい目標を見失った中学生、安藤真宙(演:黒川想也)の迷走など、それぞれの地域のエピソードが絡みながら物語は進んでいく。
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これも例によって別の映画を観に行った時の幕間時間の予告編で知り、少し心を動かされたのであまり期待せずに予約した。
この日の本命は夕方からの『おい、太宰』で、要するにせっかく日比谷界隈に出ていったのだから1本だけじゃもったいない、その前に時間が合えば何か1~2本観ておこう、という貧乏根性に過ぎなかった。
まず、小生は桜田ひよりが誰だか知らないし、彼女を目当てにしていたのではない。そして、なんとなくアオハルなラブコメ展開が予想されたので、普通なら絶対に食指が動かない。
ただ、何よりも長崎・五島の2人の高校生役で中野有紗と早瀬憩が出ているので、それだけ観たかった。
中野有紗は『PERFECT DAYS』で役所広司の姪っ子役だった。
そして早瀬憩は『違国日記』で天涯孤独となって新垣結衣に引き取られた女の子を演じ、強烈な印象が残っていた。そうそう、彼女は朝ドラ『虎に翼』のよねさんの薄幸の少女時代を演じていたが、あれも良かった。
他にも、黒川想矢は『国宝』で極道の息子で主役となる喜久雄(演:吉沢亮)の少年時代を見事に演じていた。
出演者はさておき、作品全体にあまり期待していなかったもう一つの大きな理由は、これは予告編を観た時点で非常に不思議かつ驚いたのだが、この作品は「コロナ禍での学生生活」を描いているわけで、出演者たちがみんな律儀にマスクをしているのだ(予告編をぜひご覧あれ)。
当然のことながら、演技の一番大きなファクターは、顔の表情である。
確か『フロントライン』でもクレジットで「演出上マスクをせずに会話してるシーンがありますが、当時実際には着用して活動しています」云々と表記していたはずだ。
その顔をほぼ半分以上隠したままの演技で、芝居として成り立つのだろうか?
この点もかなり疑問符がありながら、逆にどうやって克服するのか興味津々だった。
結果、お見事というほかなかった。
役者の演技は顔が隠れているハンディをまったく感じさせなかった。
辻村深月の原作小説が良いのだろうし、それを映像化するにあたっての脚本のバランスが良いのだろう。
アオハルなラブコメの香りはもちろんあるものの、アイドル役者に頼ったベタベタしたものではなく、さりとてコーコー野球的なアナクロな部活動の感動を狙うあざとさもない。
むしろ淡々としたトーン寄りに描こうとしており、大人たち(教師や天文台所長)の上川周作、岡部たかし、近藤芳正など実力派の脇役がそれを強化するようにバックボーンをガッチリ固めているので、プロットに安心感がある。
そして脚本やキャスティングのバランスの良さとともに、編集が優れていると感じた。テンポが良く、必要十分なスピード感があり、この作品の良さにおいて非常に重要なファクターを占めているとさえ思った。
観終わってみれば、うむ、なかなか良い映画を観た、という満足感に包まれた。
ここ最近一部を除いて洋画がおもしろくないけれど、邦画はかなり健闘しているな。この先も『木の上の軍隊』や『宝島』など、期待が高まってしょうがない。
星、桜田ひより、コロナ
少年少女の青春物語
自らを反省します
小気味良いテンポで、コンテストシーンはスリリングで、しっかりまとまった、素晴らしい青春群像劇でした。
5年前のコロナのあるある、忘れかけている自分を恥ずかしく思い出し、テレワークで楽をさせてもらい、ついでに勤務先の退職とその後の移住の準備をしていた、この1年を特別な時期などと捉えず、マンネリ化したサラリーマン時代のちょっと違った時期としか考えずにいたわたし、この1年がどれだけかけがえのない、貴重で、二度と戻ってこない時間と捉えていた人達が世の中にはこんなにたくさんいたんだと改めて気づかされ、もう反省しかありません。
こんな気持ちで観てました。
学生役では桜田ひよりさんと早瀬憩さんしかわかりませんでした。桜田ひよりさんは「大きな玉ねぎ」からファンです。いろいろな表情を作れていたと思います。あと朝倉あきさんを久々にスクリーンで観ました。
50のおっさんが泣ける
[日比谷の安居酒屋で鑑賞後]
まず絵作りが素晴らしい。満点の星ってこんなに綺麗なんだと感動した。
そしてコロナによってまさに鬱屈した学生生活を過ごさざるを得なかった若者が負けるもんかと自分の居場所や家族友人との関係の再構築を目指す姿に、この夏「国宝」以外で泣くもんかと身構えたおっさんはあえなく涙が止まりませんでした。。。
今振り返れば出社停止、黙食、飲食・旅行宿泊に対する忌避などなんとあの時代は異常だったかと思うが、渦中にあってその渦には違和感覚えつつも気付かず、流れに合わせるしかなかったわけです。
そんな時代にあった中高生の叫びが抗うことを半ば諦めた50代のおっさんの心打つ名作でした。
コロナ渦でも、気持ち次第で人とつながってチャレンジできるこれぞ青春映画!
なんか惜しい
コロナで繋がったなにか
青春の残像
コロナ禍にあったキラキラした青春
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により登校や部活動が制限された中高生たちの青春。
天文部の高校生たちの星🌟に対するピュアな愛情がいいなあ。好きなもを共有する喜び、プラトニックな恋。それだけでも十分なんだけど。
そんな茨城県の高校生たちがリモートで天体観測の速さを競う「オンラインスターキャッチコンテスト」を企画した。茨城県土浦市、長崎県五島市、東京都渋谷区がつながった。さらには全国へと拡がった。
主演の桜田ひよりさんが素敵でした。
分厚い脚本も高揚感あふれる演出も素晴らしかった。
ただし自分には少しいいお話過ぎたのかも。
拡がるほどに心から離れていった。
先日観た「YOUNG&FINE」にある猥雑でチープな青春のほうが肌に合うみたい。
コロナ禍だから出来た事も有った
2020年。新型コロナウイルスの感染拡大により登校や部活動が制限され、茨城県土浦市の県立砂浦高校・天文部に所属する2年生・溪本亜紗の提案で、リモート会議を活用し、各地で同時に天体観測をする競技、オンラインスターキャッチコンテスト、が実施されることになった。長崎の五島列島や東京都渋谷区の生徒たちも参加してスタートしたこの活動はやがて全国へと拡がり・・・そんなコロナ禍真っ只中での話。
星の観測の話より新型コロナで最初の頃のビクビクしてた様子を描きたかったのかも。
濃厚接触者の濃厚接触者、とか言って排除してたよな、なんて当時を思い出しながら観てた。
スターキャッチ大会の様子は・・・みんなすごいなぁ、とは思ったけど、暗かったし、マスクしてたし、顔が見れずイマイチだったかも。
でも、コロナ禍だからこそできたこと、オンラインの技術向上など、だからこそ、ということも有ったのだと思い出した。
亜紗役の桜田ひよりはまあまあかな。
春菜先輩役の河村花は良かった。
長崎の学生役の中野有紗と早瀬憩も良かった。
東京の学生役の星乃あんなも良かった。
花井うみか役の堀田茜は綺麗だった。
新人俳優が勢ぞろい
これから売れていくであろう新人の役者がとにかく多い。痛みを抱えた演技が秀逸だと思います。
特に、個人的には黒川想矢さんの演技がとても好きでした。
新型コロナが全てを奪い去っていき、当たり前に目の前にあった日常でさえ制限されていく。部活動というものが一体何の為にあるのか。今まではずっと学校で生活する中での1つの活動に過ぎないものだとばかり思っていました。でも、大人になったら傷つかない事があります。それこそが「青春」というものです。学生は、この青春を目一杯楽しむ為に部活動に励むのだと私は思いました。大人は青春で傷つく事なんてありません。青春で喜び傷ついた心もいつかは失っていく。それでも、後悔しない為に今を最大限に楽しみたい。そんな気持ちを、未知のウイルスにいとも簡単に奪われ、苦しめられ、傷つけられて、納得出来る訳がない。みんなそうです。今回の映画は、そんな心の隙間を埋める物語だと思っています。どんなに離れていても、同じ空の下にいれば心は繋がっている。皆さんの繊細な演技がそれを美しく表現していて、深く心に染みました。
地元で上映されておらず、県外まで観に行った甲斐がありました。
今度書籍の方で読み直そうと思います。
コロナ禍の青春
コロナ自粛の大罪、青春と宇宙の美しさ
コロナ禍によって貴重な青春を奪われた五島、渋谷、土浦の中高生が、行動を制限された中でも試行錯誤しながらも夢に向かっていく青春ストーリー。
「オンラインスターキャッチコンテスト」をきっかけに五島や東京の中高生が集まる。
各地域の子ども達の物語が群像劇のように展開されていく。
コロナをきっかけに親が離婚し、転校しなくてはならなくなった子。
田舎は濃厚接触者というだけで差別されるという現実。
実際に起きていたことだ。
数年経ってこうして作品でみると、あれは異様な光景だと痛感する。
コロナによって多くの人が命だけでなく、いろんなものを失った。
あの茶番劇がもたらした大罪は許せるものでは無い。
広大な宇宙のように子どもたちの未来も無限大。
宇宙をイメージしたような劇中曲も美しく、自然と涙が溢れた。
もうすぐ選挙だ。
どうか、どうか子どもたちの未来が明るいものでありますように。
夏の夜空の星座たちを見てみるか〜
みっけもんの良作でした。天体観測に興味をもったことはなかったが、映画の中で紡がれる小さな感動の連続に心を震わせ、自分自身を高校生の彼ら彼女らの気持ちに同期させてくれた。
え!天体望遠鏡って手作りで出来るんだ〜しかも覗いてみたら、ちゃんと月のクレーターまで見える。スターキャッチコンテストてどんなことって思ってたが、先生が呼びかける星座を皆が俊敏な動きでレンズに捉えていた。ISSって「国際宇宙センター」かぁ、。調べたら平均高度400 km(250マイル)の軌道を維持してて、約91分で地球を一周し、1日あたり地球を15.5周回ってるんだとか、それを捉えるってのも凄いわぁ、。
桜田ひより、黒川想矢は主役を張れるようになり有名だが、中野有紗、早瀬憩、星乃あんな、水沢林太郎らの若手の皆さんも(マスクで顔がちゃんと認識できなかったが)、これから期待できますね。あと岡部たかしをはじめとする先生たちが良かった。コロナ禍でまともな学生生活が送れなかった生徒たちにこのような煌めきをを届けようと頑張った先生は沢山いらっしゃったんじゃないのかなぁ、と思います。
映画を見終わった後はSCに入ってる書店に寄り、辻村深月の原作本も買ってしまった。
夏の夜空に浮かぶ星座たちを見た後、ゆっくりと読み始めようと思う。
コロナって
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