重ねるのレビュー・感想・評価
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聖なる水がとりもつ強烈な再会
上司のしつこいパワハラにキレて停職になった男が妻子を残して地元の村に帰ると、渓流釣り師だった父親の思い出を胸に死に場所を探し、彷徨うように岐阜県和良にたどり着いた保育士の女と出会う話。
ホタル、アユ、アマゴなど自然豊かな和良をドローンを使った映像で収めながら、ドローンを操る男が女の行動を監視する、ノゾキ趣味的な一面も。観光案内所案の町興し促進課の男(逆ボタル)と鮎美が彷徨う林の中の木の先っぽがモロに屹立したペニーちゃん(笑)慾情した女とそれを見て戸惑う男のシーンはつげ義春原作の最近の映画よりずっとそれらしくて、困ってしまいました。昔のことですが、マムシグサの真っ赤な実の前で突然立ち止まって、固まってしまったオンナがいました。やべー奴でした。配島監督には次回作ではぜひマムシグサを使って欲しい。自然そのものなので、さらに画が映えると思いますよ😎
観光協会の彼。古舘寛治風で声も似てました。
「史上初、釣り恋愛映画、誕生」のキャッチコピーに惹かれて渋谷ユーロスペースへ行ったのですが、キャッチコピーが適切かどうかはいささか疑問ではあったものの、なんだかんだ面白かった。
上司にキレた夜、同僚の女とお洒落な居酒屋に寄ってから大宮駅のラブホへシケ込む。家に戻ると美しい妻は換気扇の下で電子タバコをくわえてる。レス夫婦の会話のリアル。妻子に同行を拒まれ、男は一人スズキジムニーを飛ばして地元へ。
橋の上に通りかかった女は橋の端っこの雨水溝の穴を見つけるとおもむろにパンツを脱いでお尻丸出しで放尿。橋の下の清流でテンカラ釣りをしている男にかかる。怒った男が崖を駆け登るとすでに女は荷物をまとめて逃げたあと。
ライトブルーの女物の日傘が落ちていたw
黄金の水(聖なる水)がとりもつ強烈な再会。
年齢的にも実家の両親がやってる民宿かと思っていたら、いとこ同志の夫婦だと。実家だと思っていたのに、自分の部屋ではなく、なんで普通の客間?って思ったが、なるほどね。3親等以内じゃないから、法律的にはセーフだけど田舎ではタブー視される。その他、子供のいじめと奇形の養殖アマゴ、アユ釣り大会名をレディース大会からペア大会に改めるなど、釣りにからめて、時代感覚も織り交ぜていました。
最近は釣りガール多いし、メーカーが釣りガール養成して放流してるし。まさにオトリ鮎状態。
児島玲子が懐かしい。
アユ釣り大会はダイワ、シマノ、がまかつなどが共催後援。プロのトーナメント釣り師たちもいたような。
奥さんにしてみれば、突然実家に帰ると言って音信不通の旦那が橋の上でのオンナと親しげにしていたら、そりゃ確信して、あの行動に出るのも無理なかろうとは思いますが、すっかりレスだし、素っ気ない態度だったので、オンナってわかりませんなぁ。そして、加藤鮎美と旦那イッテツのどちらをヤッたのか?二人ともか?観客に委ねるエンディングもなかなかよかった。
イッテツがいない間に荷物をまとめて、アユ竿を一本持ちだして、お堂の前で野宿するオンナもちょっとよくわからなかった。
サオ泥棒?
セブンスターはよかった。
換気扇の下のオンナたちと橋の下の男たち。滝壺ブルーのシーンもとてもよかった。死ぬ奴があんな派手なビキニの水着持ってくるかねとは思いましたけど、なんとなくオンナの最後のムチャブリならと、許したくなりました。
岐阜県 和良 いいところ
地ビール、焼酎、アユ、アマゴ
飯テロ映画でもあります。
是非とも村興しの映画を作って欲しい地方公共団体は次回作のロケ地候補を配島監督に申し込まれてはいかがでしょうか。
釣り恋愛映画という概念
訳あって岐阜を訪れた女性と都会での生活を離れ地元に帰省した男性が出会い次第に惹かれあっていくストーリー。
軽快なリズムの音楽が心地良いと思っていたら官能的な描写も随所にあり、終いには昆虫すらもエロく見えました。
一徹は妻帯者じゃないのかな~なんて考えていると衝撃度高めのラストシーン。余韻が強く残ったままエンドロールを迎えます。
上映後には配島監督とパワハラ上司役の関さんのトークショーもあり、大自然の中での撮影で天気には苦労したというお話が聞けました。美しい自然を撮るために時間をかけて撮影したということもあり、透き通った川や、岐阜の大自然の美しさが画面全体に広がっていました。釣った鮎を炭で焼いて食べるシーンが堪らなく羨ましかった…。
衝撃!
とびっきりの映画でした。
予告を見て、釣りをテーマに山村を舞台にしたほのぼのハートウォーミングな映画だと思って鑑賞しました。
だけど、、、
開始5分でこの映画の画力に食いつく自分がいた。
なんか映画から伝わってくる重厚な雰囲気が凄い。期待していたのは綺麗な自然の風景程度だったのに、、
田舎で出会っただけの男女の物語に特別な事件があるわけでもないのに引き込まれていく。物語の中の人物設定や、ちょっとした小道具の使い方も絶妙。もちろん自然の美しさは申し分なしの描かれ方。撮影も素晴らしい。
ハートウォーミングな話だと思っていたのに、、、
最後でホントにやられた。脳天打ちのめされた。
あのシーンのカットがいつまでも残像として頭をよぎる。
この監督凄い。長編初監督らしい。どこから来たんだ?一体何者だ?
色んな要素がほんと余計
2024年劇場鑑賞315本目。
パンフレットないのでマイナス0.5。
妻と小さい子供がいながら若い女性と不倫し、仕事で失敗したので一人で実家のある田舎にリフレッシュか何かで戻ったらそこでまた別の女性と知り合う話。
釣り恋愛映画と謳われているので当然この女性と恋愛になるのだろうけど、完全に不倫なので全く応援できず、結構色んなキャラクターが喫煙するのでせっかくの綺麗な自然の空気も煙たく感じてしまいました。
ヒロインが吸うのはお父さんとのことがあるということでまぁいいとして、奥さんが吸うのは、まぁ冷え切った夫婦関係を暗示しているのかなとは思ったんですが。
不倫と喫煙なかったらもうちょっと綺麗な風景楽しめたんだけどな・・・。
何を「重ねる」のか気になって観てきました。
人間皆それぞれ、多くの事を重ねて生きていますね。
一人一人の人生が偶然誰かの人生と重なる。何重にもなった層の中での生活は、とても複雑で僕はよく逃げ出したくなります。そんな時にこの映画を観て、心の中で絡まっていたものが少し解れたような気がしました。
映像がとても綺麗で、岐阜県へ足を運んで鮎を頬張りたくなりました。
あなたは何を「重ねる」のか
ユーロスペースで観てきました
全編通して絶妙!
ラストカットの衝撃度が半端ない、自然&昆虫&釣り映画!
【釣り恋愛映画】とキャッチコピーにあり、もちろん釣りと恋愛がメインで描かれてはいるけれども、その裏には文明批評だったり、家族の繋がりだったり、ホンネと嘘だったり、様々なテーマが折り重なっているのが興味深い。
タイトルにもある「重ねる」という抽象さが、監督のイメージする一番外側の言葉だったのだろうか。そこから内側に降りてくるにしたがって、より具体的な映像であったり、カットだったり、人間関係が襞のように重なってくる。
劇映画なので、とうぜん物語形式をとってはいるけれど、コンセプチュアルアート的で、哲学的な側面も持ち合わせているような気がする。人物が重なり、台詞が重なり、風景が重なり、カットが重なり、そこに観客の脳内が重なり…と、無限に重なり合うこの世界で「自分はどこにいるのか?」が問われてくる。それは監督が自分で脚本を書かねばならなかった世界だからこそ産まれた問いに感じられた。
そして、何と言ってもラストカットの衝撃が凄まじい。オープンエンディングになっていて、その可能性は観客に開かれている。このラストを語ることは、それぞれ自分の人生を見つめることにもなると思う。
自然、昆虫、そして魚がしっかりとカットに刻まれた、切実で、力強い映画だ。
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