劇場公開日 2025年5月16日

「白いデイジーの花言葉は「無邪気」」金子差入店 ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0白いデイジーの花言葉は「無邪気」

2025年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

斬新

この国に「差入店」との生業があることを初めて知った。

拘置所や刑務所の近所で営業し、
被告人や受刑者に差し入れる物品を販売するのだと言う。

また、家族や知己の依頼で、
面会人の代行や差し入れ品を届けもするのだと。

その背景には、
差し入れ品には厳しい制限があり、
加えて面会は平日の決まった時間のみ可能で、
実際に訪問しても、
タイミングによっては会えぬことも多いことも挙げられるよう。

刑務所の近くで差入店を営む『金子真司(丸山隆平)』は
嘗て傷害事件を起こし服役していたこともあるが、
今は伯父の後を継いでいる。

世に必要な商いであり、
人の役に立っているにもかかわらず、
犯罪者と関係を持つことを疎んじる世間がある。

店の前に置かれている植木鉢が、
思い出したように壊されているのだ。

それが、ある事件を境にエスカレーションする。

息子の同級生の女児が殺害され、
犯人とは何の関係も無いのに、
世間は何故か『金子』一家をあからさまにヘイトする。

「コロナ禍」の際に、
医療関係者にぶつけられた心無い言葉の数々を思い出す。

怒りをどこに向けていいのか判らぬ心情とは言え、
我が身に置き換えることのできない、
想像力の欠けた人間が多いことに慄然とする。

その矛先が自身の小学生の息子に向かった時に
『真司』の怒りは爆発、
元々の短慮な性格も災いし、暴力を振う。

しかし、そんな彼を救うのは、やはり家族。

妻の『美和子(真木よう子)』や叔父の『辰夫(寺尾聰)』に助けられ、
幾度目かの立ち直りをする。

『美和子』も息子の『和真』も
『真司』の仕事に誇りを感じている。

それと対比するように、
子を自分が生きるための道具としか思っていないような母親や、
エキセントリックな性格の母親が幾人か登場する。

一つ間違えば、『真司』も同じような道に進んでいたかもしれぬのだ。

そうならなかったのは・・・・、とのハナシだが、
貴方は見捨てられてはいないのだと思わせるために、
「差入店」が果たす役割はあるのだろう。

母を殺された女子高生『佐知(川口真奈)』が
犯人の『横川(岸谷五朗)』に
拒絶されても面会要求を繰り返すエピソードは心に沁みる。

この挿話が、二人の男の大いなる救済に繋がるのだから。

ジュン一
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